はぶて虫のささやき

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(旧:はぶて日記)

映画評1148 ~ ゴルゴ13(CS)

2024-03-30 | 映画評
今回は「ゴルゴ13(CS)」です。

ゴルゴ13と呼ばれ、民族も思想もない一匹狼の非情な殺し屋が世界を舞台にしての活躍を描くアクション映画。さいとうたかお原作・劇画の映画化。脚本はさいとうたかおとK・元美津、監督は「実録・安藤組 襲撃篇」の佐藤純彌、撮影は「前科おんな 殺し節」の飯村雅彦。

主演:高倉健
その他:すべて外国人

<ストーリー>
ある国際都市の高級ホテルに、某国秘密警察の幹部数人が集まった。彼らの議題は、犯罪王ボア殺害についての善後策だった。ボアは表向きは海運業者だったが、その正体は世界中に麻薬と武器を密輸している犯罪シンジケートのボスで、しかも彼の素顔は誰も知らなかった。そのボアが人身売買に手をのばし、イランの女性へと毒牙をのばし始めたのだった


ご存じゴルゴ13の実写版である。

1973年の作品だから、映像もかなり古い。

ゴルゴ13を演じたのは高倉健。

もともと作者のさいとうたかを氏によれば、ゴルゴ13のイメージは高倉健らしいので、ある意味その通りの内容ではある。

ただ、さいとう氏は映画化に乗り気ではなく、諦めさせようとしてあえて「オール海外ロケ」「主演は高倉健」という条件を出したところ、東映が意外にもその条件を全て呑み、本当に映画化となったのだそうな。

後で知ったことだが、本作はファンの間では黒歴史として語られているらしい。

確かに、これをゴルゴ13映画の代表作として残すのは、ちょっと・・・である。

評判通り(?)内容はかなりヒドい。

アニメ版のゴルゴ13にも頻繁に出てくるシーン(捕まって拷問される、ヘリから襲撃される等)も出てくるが、あまり見たことがないシーンもあちこちに出てくる。

まず、中盤でカーチェイスが出てくるのだが、これが何をやっているのかよくわからない。

ただ車をぶつけ合っているだけで、スリルもくそもない。

ゴルゴ13なら、並走している時点で拳銃を2・3発ぶっ放したら終わりだろう。

さらに、人質を取られて、敵から「出てこないと殺すぞ」と脅されるシーン。

そもそも人質の大半は敵方が勝手に拉致した女性たちなので、ゴルゴ13が人質を取られたからと言って逡巡したりすることなど、とても考えられない。

結局のところ、自分の妻を拉致された現地警察の警部が、無謀にも飛び出していって敵方と撃ち合いになり、殺されてしまうのだが、このシーンはまったく不要だろう。

そして極めつけは、クライマックスのシーン。

ゴルゴ13は、敵方のヘリコプターとのバトルで車を破壊されてしまったため、ラスボスを暗殺するために、砂山ばかりのイランの砂漠を歩き続け、ようやくラスボスのアジトを見つける。

このシーンが延々と続くのだが、これって必要か?

確かに、ゴルゴ13が「ゼッタイに生きて脱出することができない」と言われる砂漠や吹雪から生還したことは何度かあるが、わざわざそのシーンを描く必要なんてないと思う。

しかも、回りには何にもない砂漠なのに、ゴルゴ13はそこにアジトがあることがわかっているかのように歩き続けていたが、敵方のアジトをどうやって見つけたの?

とは言え、最終的にはアジトを見つけ、ラスボスを倒したわけだけど、その後どうやって帰ったの?

とにかく、全体を通してスリルがなく、圧倒的にハラハラ・ドキドキ感がない。

よくもこんな展開にしたものだ、と逆に感心するほどだった。

主演の高倉健も、余計なことはしゃべらず、表情の変化がほぼないその姿は、確かにゴルゴ13のイメージ通りなのだが、如何せんアクション向きではない。

敵方に捕まって拷問されるシーンや、M-16を持って走り回るその姿は、むしろ任侠映画の彼である。

でも、高倉健は悪くない。

さいとうたかを氏自身がイメージしている俳優なのだから、そのイメージを壊さないような展開にすればいいだけ。

それ以外の出演者はすべて外国人なのだが、中途半端に吹替えをしているので、余計に陳腐に感じた。

ということで、ここまでがっかりするとは思わなかったので、評価は「C」にします。
(過去作品なので、あえてDとかEをつけることはしません)

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