お隣を訪ねる。
庭に蓆を敷いて、米を干している。お隣は農家である。
来年の米作りの種籾を干しているそうである。
種籾が季語であるか調べる。
秋の季語は 「種採り」「種茄子」「種瓢」 等々
春の季語として 「種浸し」 種物屋」 種蒔き」 「種袋」 等々
「種籾を干す」は独立した季語としては無い。
昨日までの、薄寒かったのが嘘のように、今日は秋晴れである。
干している籾の上に風にふかれて木の葉が舞い落ちる。
錦木や花水木の濃い影が揺れている。
つい先だって訪れたときは軒に胡麻を干していた。
大きな農家は休む間もなく次ぎから次へと、来年の農作業の準備も怠ることなくやっている。
茄子が出来た、枇杷が熟れた、柿が熟れた、蜜柑が色づいた、いちぢくをどうぞ、と持って来てくださる。頂いてばっかり。いつも有り難うございます。
間引き菜と胡瓜を頂いて帰る。(もらいに行ったのではない)
🍒 秋晴るる門ぬちに干す種の籾
🍒 納屋で鳴る柱時計や胡麻叩く
🍒 婆と猫目を閉じをりぬ秋日向
🍒 籾を干す忙し忙しと庭たたき
🍒 ばったんこ鳴りたる後の波紋かな
🍒 錦木紅葉ぬけるといふ空ありにけり
お隣さんで、はからずも吟行句が生まれた。