☆ 下駄の音ころんとひとつ秋深し 富安風生
秋深しが秋の季語。秋闌ける、深秋、秋深む、秋さぶなども同意の季語です。
すべてのものが冬へ移ろうとする晩秋の静けさを言います。1年の中でも最も自然の気配が身に沁みて感じられるひと時ですね。深秋はもう秋が終わろうとする気配。見るもの聞くものすべてがはかなく、哀切の情けが胸に湧きだすようです。
この句は、そのようなはかない深秋のころに、突然に下駄の音がひとつころんとして、ああもう秋が終わるのだ、と作者は詠っています。
( 深秋会 日めくり俳句 ) より
この句を見つけた。
私は最近、しり取り俳句で 「 投函の音のことんと秋深む 」と作って投稿をした。
(投函)の言葉を繋いだ、しり取り俳句を。
風生さんの句を見つけて嬉しくなった。「類想」とは?おそれおおいが、ポストにポトンと封書が落ちた音を聞いて、ああ、、秋も深まった、この手紙は私の手を離れるともう私の物では無くなるという想いが秋深むという季語に結びついた。
同じような思いを感じたことで、嬉しくなったのである。
もちろん風生さんの句にこんなのがあるとは知らずに、ネット句会に投句をして没にはなったけれど、よいではないか、、だろう ことんとした音に過ぎ行く秋を感じたのであるから。
公園の池に秋の光が射していた。
鯉が餌をくれる人に気づいて近づいて群れていた。紅葉鯛ならぬ紅葉鯉であった。
🍒 散紅葉ごとく水面の錦鯉