老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

    いたわりあっている

2018-04-22 10:07:10 | 俳句

      

 草臥れた。
最後の実家?
整理をして、飛ぶ鳥後を濁さずの気持ちに、、、片付けた。
明日からは解体屋が入って、跡形もなくなる家に別れを惜しんだ。
今度、来た時は、広い駐車場に一角いなっているのだろう。

 半世紀以上も前の舞い扇が出てきた。
私の嫁入り箪笥の中を整理中に子供の「へその緒」などと一緒に。
昔のまま、色落ちもせず、折り畳をするとパチンと音を立てて閉まる。

子供の頃、日本舞踊を習わされていた。
先生に
「この子はちっとも 品(しな)」がないと云われていた。
「背中に竹の尺を入れるよ」
そんな事を言われても品なんてと、、、悲しくも何ともなかった。
姉が踊りが好きで、私は姉のお付き合いだとくらいにしか思ってないもんな。

先生は京都の祗園の出身の方だとか。
戦争中に親戚に疎開をして来、そのまま住みついたと聞いていた。
子供心にも綺麗で、着物を着たときの襟のつかし方が母とは違っていた。

しかし、踊りのお稽古以外は、優しいおばさまで、いつも遊びに行っていた。
水に小さい貝を浮かべると、貝が相手を求めて一方の貝とくっつき合う、珍しい貝で遊んでくれた。
姉が作ってくれた、お人形の着せ替え遊びが子供達の間で流行っていた時は、先生は着せ替えの着物をそれは沢山に縫って下さって、皆に羨ましがられた。
綺麗な端切れは、皆の持っているお人形の着物と云えど、段違いに綺麗だったから。

         

 その時の、踊りに使った、扇子があったのだ。
表は金、裏が銀の面、桜が描かれている。
多分、先生が京都から取り寄せたのであろう。

家も嫁入り道具も想い出も全て昨日で無くした?

前に進むには、捨てさるものが、いかに多いか。
夫と何も言わ無いことがいたわりと、哀しみを隠しあっている。
夫の方が、もっともっと哀しいだろう。亡くなった両親や姉妹、はらから、計り知れない想い出がいっぱい。

全国で空家が増え、空き家対策に今住んでいる我が街も力を注いでいる昨今。

空き家の数だけ、想い出がある。
人出に渡ったとはいえ、市営の文化ホールの駐車場だと哀しみも半分くらい。
遊ばして置く余裕が無かった。これが悔しい。


      🍒     舞扇とぢて行く春惜しみけり



コメント
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