進行中の 主要先進国首脳会議 G7広島サミットが佳境に入りつつある様だ。昨日などは、参加全首脳による原爆慰霊碑参拝と 広島原爆資料館視察が史上初めて実現の由で、それは評価する者だが。
次には様々な困難があるも、この席で首脳各位が示された「非核化への決意」をどう実行し、ゆっくり段階的にでも その為の道筋を明らかにしていく努力も求められよう。議長役の岸田総理は百も承知だと思うが、近く発出といわれる「広島ビジョン」などの共同声明を「期待しないで待つ」という所か。まぁ特に必要なのは、G7側以上に困難な 中・露・朝など非友好国側に核軍縮を迫る事だろう。どれ位有効な声明が発出できるかは現状不透明も事実だが。
拙者も一度は広島原爆資料館や同様の長崎史跡を訪ね、原爆禍の惨状を垣間見た端くれだ。惨劇の繰り返しが「あってはならない」所は理解する。しかしその上で、やはり米合衆国他による「核抑止力」の我国への後ろ盾効果は無視して良いものだろうか。
前述の惨劇を顧みる意味もあって、我国には「作らず、持たず、持ち込ませず」の非核三原則が定められているのは全国民に知られる所だろう。勿論 前 2項に異論はない。それを認めれば、我国は直ちに核保有国と化してしまうからだ。
問題は 3項目。「持ち込ませず」はあくまで原則で、以前からあった 我国の安保上やむなき場合に限り、厳しい条件下でそれを可能とする「運用の弾力化」の議論をこれからも続けるべきという事だ。既に非公式には弾力化が実現しているとの指摘もあるが。
これを受ける形で表面化したのが、米合衆国との「核共有」議論だろう。その大筋は 保守側や軍事に通じる向きにはよく知られる様に、核保有国の核兵器等を自国に受け入れ、その輸送や使用を 自国の責任で行う策の事である。
この場合の核保有国とは 当然米合衆国を指し、これを我国(現状は自衛隊)基地に受け入れた上で、平時は米軍が管理。有事の場合 核兵器を自国戦闘機に搭載し、(例えば北大西洋条約機構 NATOの行っている様な厳正な作戦内において) 自国が行える様にする取り決め。必ず、核保有の米合衆国同意の元行う。又 作戦に当たっては、NATOの様な厳格な意思決定も必要とされる様だ。
これらの事から、直ちに現状の我国での実施は不可能は分かるが、生前の安倍元総理が主張されていた様に「実現への可能性を探る議論をタブー視してはならない」のも事実だろう。複数の専門家筋の指摘にもある様に、非核三原則・第 3項の見直しなり解釈変更がまず必要だし、自衛隊法の改正も要する事だろう。憲法も解釈変更がどこまで可能かの見極めと、ひいては改正への道筋をつける事も要しよう。
現状では野党、特に左派側の反発も予想されるので 広い合意づくりは難しいのは理解するが。だからといって、現状の核抑止力の有効性も それは尊重され得るものだし、先の大戦の敗北側たる 独、伊両国が 米合衆国との NATOを通じた核共有を実践している事実も見逃せないだろう。
既に我国を取り巻く地政学的環境は、欧州が NATO結成に踏み切らざるを得なくなった頃と同レベルに緊迫化しつつあるとみられる。それは決して 我国が徒に周辺諸国を挑発もしなければ刺激もしていないにも関わらずだ。中・朝両国は「あの頃」から軍事力増強のペースを緩めてはいないし、露に至っては 先年来、国際世論の非難を無視して対ウクライナ侵略を継続する始末。直ちに実現は不可能としても、米合衆国との「核共有」に向けた議論は 今から始めても良いと拙者などは思う。その上で 近しい国々の核を巡る議論には、一定の寛容さで向き合っても良い様な気もする所。
例えば隣国・大韓民国の一部で核保有の議論がされているやに聞くが、直ちに目鯨を立てるのは過剰反応というもの。一つには あくまで韓国内政レベルの議論であり、過ぎた反応は内政干渉に当たる可能性があるからだ。もう一つ。仮に実現に相当な危険を伴うにせよ、そうでなければ議論自体は自由だからだ。
今回画像は昨初夏、当地北郊・一宮市内の JR東海道本線を大阪方面へと下る 臨時貨物便の様子を。末尾に、今日午前急遽発表された ゼレンスキー宇大統領来日関連記事をリンク致します。「読売新聞 5/20付」