アタクシたちが子供だった頃、人々は今の人のようにラーメンにそれほどの関心を持っていなかったと思う。
だがラーメンは次から次へと手を打ってきた。
最初に北海道から火の手を上げた。
札幌ラーメンの出現は衝撃的だった。
ラーメンに味噌?、うそー、ラーメンにバター?、嘘ー、ラーメンにコーン?、信じられなーい。
それまでのラーメンといえば薄ぼけた醤油味と決まっていたところへ突然の味噌の導入。
スープだけ考えてもその後、塩、豚骨、鶏白湯、背脂チャッチャッ系、豚骨と魚介のWスープ系、煮干系などなど次から次へと探求の目を絶やさなかった。
話題も常に絶やさないようにしてきた。
横浜にラーメン博物館をつくって話題を集めた。
店名も各店、それぞれに凝りに凝る。
こうまで無政府状態でいいのか、と思うほど乱脈を極める。
あらゆる手を使って、打つべき手はすべて打って、なりふり構わず麺の道の頂点にまで昇りつめた。
昔の麺類は横一線に並んでいた。
その昔はラーメンもワンタン麺も、チャンポン麺、五目中華そば、焼きそばなどは同格、相撲でいえば平幕同士だった。
それが今やラーメンは大横綱、そしてもう片っぽは…エート、どのへんにいるのか、それさえもわからないあたりにいる。
平幕から横綱に昇りつめるのは容易ではない。
秀吉が一農民から天下人に出世したのと一緒ではないか。
ラーメンは国内に留まらず、海を越えて世界を見据えているに違いない。
グローバルな食品として世界に羽ばたくことだろう。
世界戦略のひとつとして、安倍内閣のこれからの課題が一つ増えた、ということになるのだろうか。