昔は缶詰の蓋を開けるのには、缶切りという小道具が存在し、これが無ければ缶詰の中身を取り出すことはできなかった。
缶詰の上蓋の所に引っ掛けるような形で円周状に拡がり、缶を切る刃でシコシコ前進、あるいは後退しながら蓋を開け、中身を取り出した後は缶蹴りをして遊んだものだった。
時代が移り変わり、今現在缶切りという小道具を使うことがほとんどなくなってしまったような気がする。
鯖缶でもみかんの缶詰でも、だいたいこのような構造になっている。
缶をひっくり返すと、缶切り不要でパッカンと一気に全開するようになっている。
便利な時代になったもんだ。
子供の頃、缶切りを使って缶詰を開けるのはとても楽しみであった。
腕力が弱くて四苦八苦しながらも、シコシコしたものだ。
そして「かくれんぼ」するとき、缶を蹴り遠くまで蹴った者が素早く隠れて、最後まで捕まらずにいて、少しだけ鼻が高かった。
今頃、缶蹴りなんてする子がいるのだろうか。
いないだろうなぁ…。
過去の遊びとしてではなく、重要無形文化保存行事として、缶蹴りを後世に伝えていかなければ。
などと思うのであった。