いよいよ宴会のシーズン。
宴会も終わりに近づくと、〆問題が発生する。
〆を何にするか、何を食べて〆とするか。
幹事がその思案をすると、それまで何の考えもなく、酔ってガヤガヤ騒いでいた連中が急に静かになる。
幹事がひとりひとりの注文を伺う。
宴会の初めから〆問題を考える人はいない。
そう言われて急に気がつき、急にあわてて急に決断を迫られる。
店側も当然のことながら〆メニューをいくつか用意している。
「焼きおにぎりなんかどうすか、味噌つけて焼いたやつ」
「焼きおにぎり」のところで迷ってた人も「味噌つけて焼いたやつ」のところで激しく感動して激しく決断する。
そうなんだよ、飲んだあとの〆はおにぎりなんだよね。
それも味噌つけて焼いたやつね。
酔っているから大げさになり、テーブルなんかを叩くのもいる。
「ラーメンもありますけど」
の一言にハッとしたりする。
ラーメン、悪くないなぁ。
飲んだあとのラーメンは堪えられないんだよな。
「あとはお茶漬け、雑炊、うどん、そば…」
ここで気がつくのは〆のメニューはほとんど炭水化物だということ。
そしておにぎりを除いて全てツユを伴っている。
焼きそばも炭水化物だがツユを伴わないのでダメ。
パスタもダメ。
パンも炭水化物だが当然ダメ。
ましてフランスパンはとんでもなくダメ。
つまりそれを食べると、それまで食べてきたものがチャンと〆るものと〆らないものがある。
お茶漬けだったら食べ終わったあと、「あぁ~これで〆ったなぁ~」と思うが、フランスパンだと全然〆らない。
ちゃんとした〆だと全体がちゃんと〆るが、ちゃんとしてない〆だと全然〆らないというところがエラいところだ。
みんなでおにぎりだ、ラーメンだ、お茶漬けだ、とひとしきり騒いで全体をしっかりと、しかも〆てから宴会を終えることができる。