Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

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ダンジーブログ

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2006-03-02 | 医療・病気・いのち
 約2年半前、胃癌に対して胃全摘をした患者さんがおられる。

 リンパ節転移が多かったので再発は必至と考え、術後に抗癌剤を使用していた。
術後3ヶ月毎の検査でも、特に再発の兆候が無く、1年が過ぎた。ひょっとしたら行けるか、と思った矢先、腫瘍マーカーが上昇しはじめた。直ちに抗癌剤の使用方法を変更し、マーカーは一時的に減少傾向となったが、再度上昇に転じた。

 しかし、CTその他の画像診断では、明らかな再発巣は見つからない。こういう場合、ほとんどが、腹膜再発である。胃癌の再発形式としては、最も頻度が高いが、治療も極めて困難なものである。

 その後も手を変え品を変え、全身化学療法を行っていたが、術後2年目に入り、右の胸に水が溜まりはじめた。胸水のため肺が圧迫され、息苦しさが出現して来た。そこで胸水を抜くとともに胸腔内にも抗癌剤を入れたところ、胸水の貯留傾向は一応止まった。

 2年6ヶ月が経過し、現在の抗癌剤治療方法は、6種類目。腫瘍マーカーは今のところ減少傾向だし、体調も何とか維持している。

 その方の息子さんは、今年の春から高校3年生。母親としては、大学合格を見届けたいところなのは痛いほど分かる。でも、「何とか後1年持たしてください。」と頼まれても、きびしいなあ。最善は尽くすけど。