Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

良いものも度が過ぎるとね

2006-03-16 | 想い・雑感
 赤ワインが体に良いと聞き、毎日浴びるように赤ワインを飲んでいると言っているタレントがいました。ポリフェノールは、赤ワイングラス1杯で十分らしいから度が過ぎている!ポリフェノールの良い面を、間違いなくアルコールの害のほうが凌駕しているでしょう。

 今年のアメリカ歯科研究学会なるもので、赤ワインおよびブドウ種子に含まれる天然化合物(ポリフェノール)が歯周病の抑制に役立つ可能性が示されたらしい。ポリフェノールの抗酸化作用により、マクロファージを介して歯周病を抑制する効果がありそうとのことです。ただ人間で直接実験したわけではなく、決して歯周病予防のための赤ワイン摂取を推奨しているわけではないことに注意。

 でも今のメディアというのは、この段階でのデータに飛びついて、「○○に効く!!!!」などと喧伝しがちなのです。惑わされないでください。

がんの痛みをコントロール

2006-03-16 | 医療・病気・いのち
 日本で年間亡くなる方は約100万人。そのうちがんで亡くなる方は約30万人。そしてそのうちの7割以上の方が感じるとされる痛みは、その方の苦しみを大きく左右する。

 厚生労働省もがん対策の中に、がん患者等の生活の質(QOL)の向上のために全国的に緩和医療を提供できる体制を整備することをあげている。

 がん性疼痛の9割以上はコントロールが可能であり、コントロールの努力をしないのは医師の怠慢である。病院勤務の私の感覚では比較的多くの医師がその努力をしていると思っていたが、そうでもないらしい。

 私の勤務する病院のがん疼痛の専門看護師資格を持つ看護師は、広い地域からの相談を受けているが、在宅ケアを標榜している医師の中に、少なからず痛みのコントロールをきちっとしてくれない医師がいるようだ。

 痛みのコントロールに絶大な力を発揮するのは、麻薬。「がんの痛みからの解放―WHO方式がんの疼痛(とうつう)治療法」として世界保健機関(WHO)からもその使用を強く推奨されている。また、痛みのないふつうの人に麻薬を使用する場合に問題となる依存症も、がんなどの痛みがある人に対して投与した場合は、ドーパミンの上昇が抑えられて依存症にはならないことが確認されている。

 がん性疼痛に苦しむより、痛みをきちっと取ってもらい、よりよい毎日を送ってもらいたいと心から思う。また、患者の痛みに鈍感な医師は、在宅ホスピスを語る資格は無いと思う。