そのみぎり障子破りし逸物ぞ
マッチョ妄想萎びてもなお
閑散人
都議選から一夜明けた7月13日、東京都知事の石原慎太郎が、総選挙を前にして都議選が番付外の力士が取る前相撲のようになってしまい、おおいに迷惑していると語ったと、13日の朝日新聞夕刊が伝えていた。
「(告示)2週間前から始めた候補が自民党のエースを破る現象は異常。非常に浮薄な選挙になった」と語ったそうである。
選挙を浮薄なものにする原因は、①候補者が浮薄である②選挙民が浮薄である③選挙民も候補者もともに浮薄である、と考えられる。「2週間前から始めた候補が自民党のエースを破る現象は異常」と石原はコメントしているので、彼は東京都の選挙民は浮薄で、つまらん人を都議に選んだと言っているのだろう。その浮薄な選挙民によって石原は知事に選ばれている。かつて青島を東京都知事に選んだ選挙民は浮薄で、石原を知事に選んだときの選挙民は浮薄でなかったとでも、石原は思っているのだろうか。
青島も石原も東京都の浮薄な選挙民によって知事に選ばれた。他の自治体でも変ったキャラクターやキャリアの人が首長に選ばれている。総裁候補にしてくれるのなら自民党から選挙に出てやってもいいと、芸能界出身の知事が豪語する背景には、選挙が浮薄な人気投票になっている現実がある。そうした日本の国会や地方自治の様子を見ていると、いっそ裁判員を選ぶようなやりかたで議員や首長を選ぶ方法もあるように思える。
選挙民のことを浮薄と言った石原だが、彼自身も相当に浮薄だ。
この間、オリンピックの開催予定地視察のために東京にやってきたIOC視察団のナワル・ムータワキル(女性)の写真を都の広報誌の臨時号に載せたことについて、石原は「よほど若くて美人ならわかるけど……」と、いつもながらの女性蔑視の発言で、浮薄な選挙民の受けをねらった。高い金を出して視察団を案内し、接待し、広報誌に写真を載せてゴマをする一方で、つまらん強がり発言ですべてをぶち壊しにしてしまいかねない知恵のなさだ。石原の暴言はすでにムータワキルの耳に届いているだろう。イシハラは男っぽくていい奴だ、とムータワキルが感じているとは、とても思えない。
以下、東京都のサイトに掲載されている2009年6月5日の石原知事定例記者会見録から。
【記者】先ほどの都議会でですね、副知事人事同意を得たわけですけれども、ここに来て五輪担当の副知事さんがかわることがですね、招致に何か影響が出たら困るなという声があったりするんですけれども、今回の人事の知事のお考え、知事の専管事項なんであれですけれども、お考え…。
【知事】オリンピックはね、佐藤(広)新副知事に担当してもらおうと思ってます。さっきも言いましたがね、息子からも電話かかってきてね、やっぱりいろんな問題があるんでね、人間の引き継ぎっていうのは必要だから、国との交渉のね、人脈というのをきちっとできるだけ早くつないでおいてくれって佐藤君に言いました。まだ辞令渡してないんだよ。
【記者】招致活動においてですね、谷川(健次)副知事のプレゼンスも(存在)あったかとは思うんですけれども、ここでやっぱりあえてかえるに踏み切った…。
【知事】それは人によっていろんな評価があるでしょう。ただね、さっきもね、ああいう言葉だと、僕も物書きだからね、言葉にこだわるし、何か胸に刺さるんだけどね、かいた汗が報われなかったという言葉はね、人によってとり方ある。私は一番汗かいてきたと思いますよ。その汗をだれがぬぐってきたかとなるとね、わりと何と言うのかな、そういう機能がね、有効に働いたとは思わないね。
これはだれの責任ということじゃなくて、結局私の責任かもしらんけども、この間もね、理事会(東京オリンピック・パラリンピック招致委員会理事会)でね、これはやっぱりさすがに森喜朗(元首相)ね、森君がね、私の古い友人だけどね、こんなもの(広報東京都臨時号)だれがつくったって言うの。それはね、そうするととくとくとね、いや、これは谷川副知事じゃなしに、担当の局長がだな、これは何十万部刷っててね、都の広報紙でありましてどうのこうのと言うからね、調査委員会(IOC評価委員会)の女性のですね、モロッコの委員長(ナワル・ムータワキル委員長)の大きなクローズアップがあるわけですよ。よほど若くて超美人ならわかるけど、あの人、元美人ではあるけどね、あれ見て、だれが、これはだれだかわからないんだよ。そんなものがばーんと出てきてね、だれが興味持ちますか。それはね、森だって、おれだってね、人の1枚のポスターでもみんな苦労してるんでね。
やっぱり森君らしいね、指摘がありましたよ。こんなもの、だれがわかるかって。どうせやるならね、石原とね、委員会の委員長が対談してみたら、2人の写真だったらわかるけどね、こんな見も知らない女の顔、ばかっと出してね、だれがこれアトラクトする(人を引きつける)かって。そういう工夫はまあないしね、だから、もう言ってもしようがないんだけど、今、そこらじゅうに立ってる、張ってあるポスターにしたって、勝手に決めてくるからだめだと。全部見せなきゃ。あれ、僕は5回、とにかくね、直させて、最後は電通の社長呼んでね、こんなことだったらって、嶋君(嶋達佳 電通代表取締役社長)が来て、昔から友人で、あ、石原さんの言うとおり、これは恥ずかしいと、直しましたよ。そういう、まあね、緻密(ちみつ)なネットワークは、残念ながらまだできてないね、都庁でも、JOC(日本オリンピック委員会)とのかかわりの中でも。
だから、ここでね、やっぱりちょっとね、人心一新してやろうと思ったんです。これは谷川君一人の責任じゃありませんよ。うん。全部の責任だけど、やっぱり担当の副知事で、この辺ちょっとということで、大体一段落しました。だから、これからやっぱり、その資料を提げてね、ローザンヌに行きですね、それからね、コペンハーゲンの決戦に行くわけですからね、やっぱり、サッカーで言うとね、ハーフタイムが来たんでね、ミッドフィルダーかフォワードかは知らんけれどもね、とにかくかえるものはかえて進もうと思っております。
【記者】はい。ありがとうございました
マッチョ妄想萎びてもなお
閑散人
都議選から一夜明けた7月13日、東京都知事の石原慎太郎が、総選挙を前にして都議選が番付外の力士が取る前相撲のようになってしまい、おおいに迷惑していると語ったと、13日の朝日新聞夕刊が伝えていた。
「(告示)2週間前から始めた候補が自民党のエースを破る現象は異常。非常に浮薄な選挙になった」と語ったそうである。
選挙を浮薄なものにする原因は、①候補者が浮薄である②選挙民が浮薄である③選挙民も候補者もともに浮薄である、と考えられる。「2週間前から始めた候補が自民党のエースを破る現象は異常」と石原はコメントしているので、彼は東京都の選挙民は浮薄で、つまらん人を都議に選んだと言っているのだろう。その浮薄な選挙民によって石原は知事に選ばれている。かつて青島を東京都知事に選んだ選挙民は浮薄で、石原を知事に選んだときの選挙民は浮薄でなかったとでも、石原は思っているのだろうか。
青島も石原も東京都の浮薄な選挙民によって知事に選ばれた。他の自治体でも変ったキャラクターやキャリアの人が首長に選ばれている。総裁候補にしてくれるのなら自民党から選挙に出てやってもいいと、芸能界出身の知事が豪語する背景には、選挙が浮薄な人気投票になっている現実がある。そうした日本の国会や地方自治の様子を見ていると、いっそ裁判員を選ぶようなやりかたで議員や首長を選ぶ方法もあるように思える。
選挙民のことを浮薄と言った石原だが、彼自身も相当に浮薄だ。
この間、オリンピックの開催予定地視察のために東京にやってきたIOC視察団のナワル・ムータワキル(女性)の写真を都の広報誌の臨時号に載せたことについて、石原は「よほど若くて美人ならわかるけど……」と、いつもながらの女性蔑視の発言で、浮薄な選挙民の受けをねらった。高い金を出して視察団を案内し、接待し、広報誌に写真を載せてゴマをする一方で、つまらん強がり発言ですべてをぶち壊しにしてしまいかねない知恵のなさだ。石原の暴言はすでにムータワキルの耳に届いているだろう。イシハラは男っぽくていい奴だ、とムータワキルが感じているとは、とても思えない。
以下、東京都のサイトに掲載されている2009年6月5日の石原知事定例記者会見録から。
【記者】先ほどの都議会でですね、副知事人事同意を得たわけですけれども、ここに来て五輪担当の副知事さんがかわることがですね、招致に何か影響が出たら困るなという声があったりするんですけれども、今回の人事の知事のお考え、知事の専管事項なんであれですけれども、お考え…。
【知事】オリンピックはね、佐藤(広)新副知事に担当してもらおうと思ってます。さっきも言いましたがね、息子からも電話かかってきてね、やっぱりいろんな問題があるんでね、人間の引き継ぎっていうのは必要だから、国との交渉のね、人脈というのをきちっとできるだけ早くつないでおいてくれって佐藤君に言いました。まだ辞令渡してないんだよ。
【記者】招致活動においてですね、谷川(健次)副知事のプレゼンスも(存在)あったかとは思うんですけれども、ここでやっぱりあえてかえるに踏み切った…。
【知事】それは人によっていろんな評価があるでしょう。ただね、さっきもね、ああいう言葉だと、僕も物書きだからね、言葉にこだわるし、何か胸に刺さるんだけどね、かいた汗が報われなかったという言葉はね、人によってとり方ある。私は一番汗かいてきたと思いますよ。その汗をだれがぬぐってきたかとなるとね、わりと何と言うのかな、そういう機能がね、有効に働いたとは思わないね。
これはだれの責任ということじゃなくて、結局私の責任かもしらんけども、この間もね、理事会(東京オリンピック・パラリンピック招致委員会理事会)でね、これはやっぱりさすがに森喜朗(元首相)ね、森君がね、私の古い友人だけどね、こんなもの(広報東京都臨時号)だれがつくったって言うの。それはね、そうするととくとくとね、いや、これは谷川副知事じゃなしに、担当の局長がだな、これは何十万部刷っててね、都の広報紙でありましてどうのこうのと言うからね、調査委員会(IOC評価委員会)の女性のですね、モロッコの委員長(ナワル・ムータワキル委員長)の大きなクローズアップがあるわけですよ。よほど若くて超美人ならわかるけど、あの人、元美人ではあるけどね、あれ見て、だれが、これはだれだかわからないんだよ。そんなものがばーんと出てきてね、だれが興味持ちますか。それはね、森だって、おれだってね、人の1枚のポスターでもみんな苦労してるんでね。
やっぱり森君らしいね、指摘がありましたよ。こんなもの、だれがわかるかって。どうせやるならね、石原とね、委員会の委員長が対談してみたら、2人の写真だったらわかるけどね、こんな見も知らない女の顔、ばかっと出してね、だれがこれアトラクトする(人を引きつける)かって。そういう工夫はまあないしね、だから、もう言ってもしようがないんだけど、今、そこらじゅうに立ってる、張ってあるポスターにしたって、勝手に決めてくるからだめだと。全部見せなきゃ。あれ、僕は5回、とにかくね、直させて、最後は電通の社長呼んでね、こんなことだったらって、嶋君(嶋達佳 電通代表取締役社長)が来て、昔から友人で、あ、石原さんの言うとおり、これは恥ずかしいと、直しましたよ。そういう、まあね、緻密(ちみつ)なネットワークは、残念ながらまだできてないね、都庁でも、JOC(日本オリンピック委員会)とのかかわりの中でも。
だから、ここでね、やっぱりちょっとね、人心一新してやろうと思ったんです。これは谷川君一人の責任じゃありませんよ。うん。全部の責任だけど、やっぱり担当の副知事で、この辺ちょっとということで、大体一段落しました。だから、これからやっぱり、その資料を提げてね、ローザンヌに行きですね、それからね、コペンハーゲンの決戦に行くわけですからね、やっぱり、サッカーで言うとね、ハーフタイムが来たんでね、ミッドフィルダーかフォワードかは知らんけれどもね、とにかくかえるものはかえて進もうと思っております。
【記者】はい。ありがとうございました