民主党の衆議院議員16人が衆議院の民主党会派からの離脱を表明した。国会議員は自由に院内会派を組織できる。したがって、議員の会派離脱や1政党複数会派の結成については、その党の規約とのかねあいになる。
とはいえ、政党というものは価値観やビジョンを共有し、その実現のために議会で政治権力の獲得を目指す団体であるから、常識上、1政党複数会派の結成という事態は想定外である。したがって、民主党の規約には党員による別会派を禁じる項目はない。
16人が民主党会派を離脱して別会派を作ろうとした動きが、どのような政治上の価値観から生じたのかについては、マスメディアは詳しく伝えていない。政治報道より政局報道が好きなマスメディアの性なのだろうか。あるいは16人にメディアが詳しく伝えるほどの政治的見識がなかったのかもしれない。
議員が所属する党と考え方を異にする場合は、離党するのが普通だ。自民党を離党して新党を結成し、その新党からも離脱して民主党政権の大臣になって自己実現を図ろうとした人物がいる。
1政党複数会派が常態化すると、自民党、あるいは民主党の一部が旧会派を離脱して新会派を作り、民主党あるいは自民党と会派を組んで、自民党、あるいは民主党籍のまま他党政権の閣僚になることも考えられる――はて、こういうことは可能だろうか?
民主党の無惨な末期的ドタバタ劇をわれわれは目撃している。はっきりしているのは国会議員の資質がとめどなく劣化し続けていることだ。政治家としての能力・資質を問わず、当選可能性だけで候補者選びをした報いだ。
2007年のこと。参議院の民主党所属某議員が国会議員1人あたり年間どのくらいの国費が使われているか、質問主意書を出したことがあった。それに対する回答は、当時の新聞報道によると、以下のようであった。
①議員歳費・秘書給与・議会事務局職員の人件費など
衆議院 654億円
参議院 420億円
②参院選関係費 580億円
③政党助成費 321億円
④国立国会図書館 229億円
などなど、予算総額は2244億万円だった。
国会議員1人あたま年間3億万円余。3億円といえば、ごくめぐまれた勤め人の生涯賃金に匹敵する額である。国会議員にはこれだけの金がつぎ込まれているのだ。かれらにそのコスト意識はあるのだろうか。「金返せ」と怒鳴りたくなる人もいるだろう。
(2011.2.19 花崎泰雄)
とはいえ、政党というものは価値観やビジョンを共有し、その実現のために議会で政治権力の獲得を目指す団体であるから、常識上、1政党複数会派の結成という事態は想定外である。したがって、民主党の規約には党員による別会派を禁じる項目はない。
16人が民主党会派を離脱して別会派を作ろうとした動きが、どのような政治上の価値観から生じたのかについては、マスメディアは詳しく伝えていない。政治報道より政局報道が好きなマスメディアの性なのだろうか。あるいは16人にメディアが詳しく伝えるほどの政治的見識がなかったのかもしれない。
議員が所属する党と考え方を異にする場合は、離党するのが普通だ。自民党を離党して新党を結成し、その新党からも離脱して民主党政権の大臣になって自己実現を図ろうとした人物がいる。
1政党複数会派が常態化すると、自民党、あるいは民主党の一部が旧会派を離脱して新会派を作り、民主党あるいは自民党と会派を組んで、自民党、あるいは民主党籍のまま他党政権の閣僚になることも考えられる――はて、こういうことは可能だろうか?
民主党の無惨な末期的ドタバタ劇をわれわれは目撃している。はっきりしているのは国会議員の資質がとめどなく劣化し続けていることだ。政治家としての能力・資質を問わず、当選可能性だけで候補者選びをした報いだ。
2007年のこと。参議院の民主党所属某議員が国会議員1人あたり年間どのくらいの国費が使われているか、質問主意書を出したことがあった。それに対する回答は、当時の新聞報道によると、以下のようであった。
①議員歳費・秘書給与・議会事務局職員の人件費など
衆議院 654億円
参議院 420億円
②参院選関係費 580億円
③政党助成費 321億円
④国立国会図書館 229億円
などなど、予算総額は2244億万円だった。
国会議員1人あたま年間3億万円余。3億円といえば、ごくめぐまれた勤め人の生涯賃金に匹敵する額である。国会議員にはこれだけの金がつぎ込まれているのだ。かれらにそのコスト意識はあるのだろうか。「金返せ」と怒鳴りたくなる人もいるだろう。
(2011.2.19 花崎泰雄)