20年間あまりの大部分を三度にわたる自宅軟禁ですごしたアウン・サン・スー・チー氏が、3度めの今回の自宅軟禁期間が終って解放された。
20年余の歳月のうち、15年もの時間を自宅軟禁されて、自由と志を遂げる手段を奪われたまま、歳を重ねてゆくのはどんな気分のものだろうか。
書棚の隅から探しだした Aung San Suu Kyi, Freedom From Fear and Other Writings, Penguin Books, 1991 には、当時のチェコスロバキア大統領ヴァクラフ・ハヴェル氏が、短い序を寄せている。その中で、ハヴェルはアウン・サン・スー・チーについて次のように書いている。
また、その本のイントロダクションでは、夫のマイケル・アリス氏がアウン・サン・スー・チー氏との暮らしや、彼女のビルマでの民主化活動について書いている。その最後に、アリス氏はこう書いている。
そのマイケル・アリス氏は1999年にがんでなくなっている。一度ビルマを出国すれば、再び帰国できなくなることを恐れて、アウン・サン・スー・チー氏は、配偶者を見舞うこともなく、葬儀に出ることもなかった。
Freedom From Fear and Other Writings には、スー・チー氏がアリス氏と結婚したころの写真や、長男を出産したころの写真が載っている。
ペンギン・ブックスの写真と、『演説集』の前記一節を見た。あわせて新聞記事の中のスー・チー氏の苦闘のあとを記録した年表も読んだ。胸が痛む。
(2010.11.14 花崎泰雄)
20年余の歳月のうち、15年もの時間を自宅軟禁されて、自由と志を遂げる手段を奪われたまま、歳を重ねてゆくのはどんな気分のものだろうか。
書棚の隅から探しだした Aung San Suu Kyi, Freedom From Fear and Other Writings, Penguin Books, 1991 には、当時のチェコスロバキア大統領ヴァクラフ・ハヴェル氏が、短い序を寄せている。その中で、ハヴェルはアウン・サン・スー・チーについて次のように書いている。
彼女は武力を持たない者が持つ力の見事な例である。
また、その本のイントロダクションでは、夫のマイケル・アリス氏がアウン・サン・スー・チー氏との暮らしや、彼女のビルマでの民主化活動について書いている。その最後に、アリス氏はこう書いている。
スー・チーがビルマでめざしている目標である永続的な平和をめざす一連の対話に、ノーベル平和賞の受賞が役立てばと願っている。私事ではあるが、いま一度家族で彼女に会える機会にもつながって欲しいと願っている。We miss her very much.
そのマイケル・アリス氏は1999年にがんでなくなっている。一度ビルマを出国すれば、再び帰国できなくなることを恐れて、アウン・サン・スー・チー氏は、配偶者を見舞うこともなく、葬儀に出ることもなかった。
Freedom From Fear and Other Writings には、スー・チー氏がアリス氏と結婚したころの写真や、長男を出産したころの写真が載っている。
理念を伴わない行動は、状況がそれを必要としなくなったとたん、その有効性を失ってしまう。一貫した展望に欠ける実利主義的な行動の繰り返しでは、長期的な運動を支えることは期待できない。
(伊野憲治編訳『アウンサンスーチー演説集』みすず書房、1996年)
(伊野憲治編訳『アウンサンスーチー演説集』みすず書房、1996年)
ペンギン・ブックスの写真と、『演説集』の前記一節を見た。あわせて新聞記事の中のスー・チー氏の苦闘のあとを記録した年表も読んだ。胸が痛む。
(2010.11.14 花崎泰雄)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます