こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

べっちょない

2016年03月04日 01時06分27秒 | 文芸
「おう。〇〇はんかいな。どないしはった?」

 関西弁丸出しで豪放磊落な先生。

物心ついたころから

半世紀余りお世話になって来た。

 自覚症状を聞き出すと、

「ほうけ。そら、よう診なあかんのう」。

聴診器を当てると、

「よっしゃー!べっちょないわ」

と締めくくる。

 大声で、

とにかく明るい。

先生のひと声で、

病気など吹っ飛んでしまうのが常だった。

 荒っぽいイメージばかり先行するが、

胃カメラの操作は丁寧で上手い。

「ウェッ」とえづく間に、

手際よく終わる。

「ちょっと荒れとるけど、べっちょないわ」

といつもの調子だ。

 もう高齢で、

医院の主役は息子さんに移ったが、

待合室にいると、

白衣姿を覗かせて、

「おう。〇〇はんか。どないしはった?」

「風邪ひいてしもうて」

「そんなもん、べっちょないわ」

といつもの調子は健在で安堵する。

「ちょっと喉が赤いです。胸の方、レントゲン取っときます」

の若先生より、

大先生の

「べっちょないわ」の方が、

私には効果てき面だ。

 
コメント
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