先日のブログ「こどもの歌で楽しいレッスン」に書きましたが、初めて楽譜を習うときに どの音符から習うか、そして手のポジションをどこに置くか、というのは、一つの決まったルールがあるわけではありません。
先生によって、あるいは教室によって、いろんな方法や考えがあり、それぞれメリット、デメリットがあります。
たとえば、昔から日本のピアノレッスンの主流とされてきた「バイエル」では二点ド、つまり中央ドより1オクターブ高いドから始めます。
これは、音符の読み方都合というより、最初のうち先生と連弾する都合上、生徒は高いポジションで弾く、ということのため。つまり「音都合」ということなので、メリットは音の響きがきれいなこと、そしてデメリットは音符の分かりやすさがいまいちということ…かな。
バイエルスタイルはまた、ト音記号とヘ音記号を別々に考えるスタンスなので、ヘ音記号が出てきた時点でさらに混乱しやすいです。
ヒバリ教室では、右手と左手、両方の1の指をを中央ドに置き、左右の手を対称に使っていくスタイルで始めています。それだと、小さい人でも広い音域の生き生きとしたメロディーを楽しむことができるのです。
保育園や幼稚園で習う歌って、特に日本の作曲家が作った歌って、意外に音域が広く芸術的なんですよね。
幼児向けだからって容赦なく、作曲家の気合が入っているのです(笑)
アメリカやイギリス、フランスやドイツなどの伝承童謡と比べてみると、その違いがわかります。
たとえば、「ちょうちょ」と「とんぼのめがね」。どちらも身近な虫の歌で、こどもたちもよく歌っていると思いますが、歌い比べてみると、メロディーやリズム、音域などのレベルの違いが歴然です。
「ちょうちょ」原曲はドイツ民謡ともスペイン民謡とも言われています。
一方の「とんぼのめがね」は、日本を代表する作曲家の一人、平井康三郎の作曲です。
「バイエル」方式で習ったこどもが「とんぼのめがね」などの歌を弾けるようになるまでには、かなりいろんなことを習わないといけないのですが、「中央ド」から左右対称に指を固定するスタイルだと、あら不思議。
習って数ヶ月の幼児でも、苦労なく「知っている歌」の数々を弾いて楽しむことが出来るのです。
知っている歌を弾くのは楽しいので、こどもたちが楽譜を読んで弾くことに意欲的になります。
先生が綺麗な伴奏をつけてあげれば、ただ音符をなぞるだけではない、豊かな音楽センスやリズム感が養われます。
また、この方法では、早いうちからト音記号とヘ音記号が一緒に書かれた「大譜表」を読む流れに移行するので、混乱も軽減でき、広い音域のビアニスティックな楽譜を読むことへも自然に入っていけます。
そんなこんなメリットがいっぱいの「中央ド方式」なので、ヒバリ教室ではこのスタイルを採用しているのです。