三味線弾きの日常。

おもに津軽三味線弾き唄い。
ときどき地歌・上方唄。こっそり義太夫三味線。
三味の音を一人でも多くの人に届けたい。

未来のサムライミュージシャンズ発掘コンテスト 優秀賞受賞!

DULL-COLORED POP「2011年:語られたがる言葉たち」。

2019年09月05日 | 鑑賞
それほど演劇をよく観るというわけでもないのに
福島三部作を観ようと思ったのは、
作・演出の谷賢一氏のツイートを偶然見たのがきっかけ。

私自身、あの震災をどのように受け止めればいいのか、
被災地のために何かできることがあるのか、
被災した人たちとどのように接したらいいのか、
今もずっと考え続けている。
だから、震災に関するものは
本でも映画でも演劇でも、なるべく触れたいと思っている。
特に、この第三部は、福島出身の谷氏自身が
約三年をかけて取材して集めた言葉たちで構成されるというので
ぜひ観たいと思っていた。
「語られたがる言葉たち」というタイトルにも惹かれた。



第三部の主人公は、忠の弟・真。
第一部では3歳の子どもで、人形で登場していた彼も53歳、
福島のテレビ局で局長になっている。

原発事故後の福島をめぐって
福島の人たちに希望を与える番組を作りたいと考える真と
視聴率のために、わかりやすい悲劇や対立を求める東京キー局。
チームのメンバーの意見も一致しない。

取材で出会う避難者たちの声はさまざまだ。
放射能への不安、風評被害への憤り、
家族をなくした悲しみ、避難先での差別。
原発のある町と、原発から離れているのに
偶然の風向きで避難を余儀なくされた町と、
避難者同士での対立も生まれる。

その悲鳴のような声の、まだその奥に
また別の「語られたがる言葉たち」があるのでは、と真は考える。
その声について3分間考えよう、と真は言う。

そして、舞台も客席も、劇場全体に静寂が広がる1分少しの時間。

私たちは、語られたがる言葉たちに耳を澄まさなければならない。
その言葉が語られるときには真摯に耳を傾けなければならない。
その言葉はひとつひとつ特別で、
それを集めてひとつの物語を作り上げるようなものではない。

同時に、語られることのない言葉にも想像を広げなくてはいけない。
それは、死者たちの言葉。
第三部冒頭、地震の場面で口々に語られた言葉。
「私は死にたくなかった」。
私には、その言葉がいちばん突き刺さった。

この作品を観たからといって、
何か答えが示されるわけではない。
想像すること、耳を澄ますこと、忘れないこと、知ろうとすること。
大事にしたいのは、そういうことなのかな。

私ももうすぐまた被災地を訪ねる。



Shamisen + vocal 静月
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►演奏予定
9月13日(金) 三味線三昧
9月21日(土) パナクティで聴く娘義太夫
 詳しくはこちら

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