三味線弾きの日常。

おもに津軽三味線弾き唄い。
ときどき地歌・上方唄。こっそり義太夫三味線。
三味の音を一人でも多くの人に届けたい。

未来のサムライミュージシャンズ発掘コンテスト 優秀賞受賞!

津軽三味線対決ライブ。

2015年07月27日 | ライヴ日記
はたこーじ、itaru、万響による
津軽三味線対決@天Q
終了しました。

それぞれのソロコーナーのあと、
ソロ回しセッション。



すごく面白かったです。

津軽三味線はレパートリーが少ないので、
当然のことながら曲がかぶっちゃうんですね。
でも、同じ曲をやることで、
たとえば「津軽アイヤ節」でも人によって全然違う、というのが
とてもよくわかる、なかなかないライブでした。

本当に三者三様、
でも、津軽三味線が好きな思いは同じ、
素敵な時間でした。
津軽三味線っていいなーと
なんだか改めて思いました。

こういうライブ、なかなかないと思うので、
三味線好きな方にはお薦めです!

次回の津軽対決は11月21日を予定しています。


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三味線は叩くのか弾くのか。

2015年07月25日 | 三味線のはなし
日付が変わって本日7月25日。
津軽三味線対決@天Qです。



◆津軽三味線対決◆

2015/7/25/sat
カフェ&バー天Q(京都・千本中立売)
start/19:30 投げ銭制
出演:はたこーじ,itaru,万響



本番までに、
津軽三味線のいろいろ、もっと書いておきたかったのですが、
思いのほか忙しいのと、
書き始めるともっときちんと書きたくなって
参考文献を漁り始めたりで、間に合わず。
これからもぼちぼち書きたいと思います。

で、本番までに、
これだけは書きたいこと。
津軽三味線は叩くのか弾くのか。

大多数の津軽三味線はいわゆる<叩き>三味線です。
でも、津軽三味線の始まりは、そうではなかった。
最初の門付けの系譜にあるのは<弾き>三味線。
今や少数派のこちらを代表するのが高橋竹山であり、
私が目指すところもこっち。

一方の<叩き>三味線が生まれたのは、
門付けをしていたボサマたちのような盲人ではなく、
晴眼者が祭や市の舞台で演奏するようになってから。
門付けではなく舞台の三味線だからこその派手さであり、
舞台映えするのは当然なのです。

門付けは時代とともになくなりました。
ボサマたちは好きで三味線で食べていく道を選んだのではなく、
他に選択肢はなかったから弾いて歩いたのであり、
差別されてもきたわけで、
門付けとともに、その芸は消えていくものでした。
ただ、高橋竹山の存在が、<弾き>三味線を生き残らせ、
洗練されたものに変えていったことで今に繋がっています。

<叩き>三味線は舞台で芸人たちが競い合って発展していき、
また、民謡酒場ブームによって東京にも進出し、
お稽古事としても広まっていきました。
今、<叩き>三味線が圧倒的多数派なのはそういう歴史があるからです。

どっちが正統であるとか、
津軽三味線はこうあるべきだ、とか
そんなことは言いたくない。
どっちが好きかは個人の嗜好の問題だし、
どっちも好きでもいいし、
どっちにもそれぞれの良さがある。

津軽三味線は個性を尊重するジャンル。
<叩き>も<弾き>もあっていい。
その豊かさが津軽三味線の魅力です。



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裏切らないもの。

2015年07月21日 | 三味線のはなし
百日紅は
冬の間にしっかり剪定しておかないと
花が咲かないんだそうです。

野生の百日紅はどうなってんの?
と思わないでもないですが、

手を掛けた分、きれいな花が咲いたり、
植木は裏切らないからハマるとか。

そんなの、植木だけではありません。
楽器だって、弾いた時間は裏切らないし、
放っておけば仕返しされます。
皮が破れたりしてねー。


ようやく曲作りが終わったので
ちょっと久しぶりにがっつり稽古。
思ったより早く復調できそう。
なんて、もう今週末が本番ですよ!




◆津軽三味線対決◆

2015/7/25/sat
カフェ&バー天Q(京都・千本中立売)
start/19:30 投げ銭制
出演:はたこーじ,itaru,万響


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1週間!

2015年07月17日 | 三味線のはなし
曲作りにかかりきりで
ブログ更新する余裕がなくなってきました…。
津軽三味線の話、いっぱい語りたいことはあるのですが、
津軽三味線対決まで1週間!
とても語り尽くせないので、長期的に続けることにして、
大事なところだけ、あと2回くらい更新して本番に臨みたいと思います。


日々いろんなことがあって
その話も追々に書きたいのですが。


学生時代のバンド仲間と数年ぶりにランチしたり

来月のスペシャルライブに向けて始動したり↓



師匠の退院後、最初のお稽古に行ったり

超かっこいいドラマーに出会ってしまったり↓



危うく一年ぶりくらいでのお稽古復帰したり


いろいろですが。


まずは来週!!


◆津軽三味線対決◆

2015/7/25/sat
カフェ&バー天Q(京都・千本中立売)
start/19:30 投げ銭制
出演:はたこーじ,itaru,万響



宜しくお願いします!



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歴史的音源。

2015年07月11日 | 三味線のはなし
私は学生時代に津軽三味線の歴史を勉強し始めましたが、
参考文献や先行研究のほとんどない中で、
大條和雄さんの著書はとても貴重なのですが、
読んでいるとやっぱり音源があればーーと思うこと頻り。
もちろん、録音などありえない時代のものもあるのですが、
本の中にキングレコードの津軽三味線全集とかいうのが何度か出てきて
どうやらそこにはレアな録音が収録されていたようす。
ただ、今はもう廃盤。で悔しい思いをしていたのですが。

国立国会図書館が数年前から始めた歴史的音源の配信。
ここに、梅田豊月の演奏が入ってるんですね!!
ずっと聴いてみたかった演奏。
大阪だと府立や大阪市立図書館で聴けるという。もちろん無料。

梅田豊月は大條先生の本にも出てくる津軽三味線を発展させた重要人物のひとりですが、
竹山さんの自伝にも名前が出てくる名人です。

国会図書館グッジョブ!!

他にも、いろんな演奏がヒットしてきたので、
ヘビーユーザーになるくらい図書館通いしたいところです。


◆津軽三味線対決◆

2015/7/25/sat
カフェ&バー天Q(京都・千本中立売)
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鈴木主水。

2015年07月10日 | 三味線のはなし
更新が滞っているのはネタ切れではなく
単にちょっと忙しいだけなんです。

さて。

門付けの続き。

今の津軽三味線は、門付けで演奏されていたものとはまったく違います。
まぁ、考えてみていただければいいのですが、
門付けです。
共同体のルールとして認められた生業だけれど、
別段歓迎されるわけでなく、
お互いに素晴らしい演奏を期待している関係ではない。
そんなところでは、今の津軽のような、
我の三味線聴いてくれーーというノリは生まれません。

そもそも、
門付けでは重い太棹は使わない。
最初の、津軽三味線の定義からは外れていますが、
まだ「津軽三味線」なんて呼び名もなかった頃の三味線は
今とは在り方がまったく違ったのです。

津軽三味線 高橋竹山の世界 (CD5枚組)
高橋竹山
Sony Records


ここに収録されている「口説節」は、門付けに近いものだそうです。
単調な節の語りに、三味線は合いの手のようにジャンジャンと入る位。

これが、わずか数十年で
津軽三味線曲弾きに進化するって、
すごいことだなと改めて感じるのでした。


◆津軽三味線対決◆

2015/7/25/sat
カフェ&バー天Q(京都・千本中立売)
start/19:30 投げ銭制
出演:はたこーじ,itaru,万響



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門付けを誤解していませんか。

2015年07月07日 | 三味線のはなし
さて。前回からの続きです。

津軽三味線の創始者、仁太坊もボサマと呼ばれた門付け芸人でした。

まず、
津軽三味線が門付け芸から始まった、ということは
ぜひ知っておいていただきたい大事なポイントですが、
あの東北の深い雪の中を三味線抱えて門付けしてたんだね、、
というのは間違いです。

津軽の雪は地吹雪といわれ、前も後ろも上も下も真っ白の世界。
門付けなどできるものではありません。
門付けは一年中行われていたわけではないのです。


世の中は感動を求めがちですが、
何でも美談にしてはいけない。

自伝 津軽三味線ひとり旅
高橋 竹山
新書館


実際に門付けをして歩いていた初代竹山の自伝。

言葉の一つ一つがとても重いです。
読み返すたびに打ちのめされます。
でも、大切なことを忘れそうになるときには、ちゃんと立ち返るべき一冊。





◆津軽三味線対決◆

2015/7/25/sat
カフェ&バー天Q(京都・千本中立売)
start/19:30 投げ銭制
出演:はたこーじ,itaru,万響

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大事なことは書いておいてください。

2015年07月06日 | 鑑賞
今日は津軽三味線のお話はお休みです。

なぜなら。
テレビで観始めてしまったこれ、
やめられるはずもなく2時間釘付け。

必殺仕掛人 春雪仕掛針 [DVD]
松竹ホームビデオ


必殺仕掛人 春雪仕掛針。

主演は緒形拳さん。
めちゃ若い!かっこいい!

でも、ここまでならまだ引き返せた(と思う)。

問題は仕掛の相手。
畜生働きの盗賊の女首領お千代が、岩下志麻さん。
美しい。惚れ惚れする。悪女の色気。
もう目が離せない。
梅安先生が昔惚れた女、という因縁があったりで、
そりゃまぁただの悪党で終わらないでしょうよ。
鬼平劇場版でも、鬼平の昔の女で今は盗賊のお頭、とかいう役でしたね。志麻様。

志麻さんが出てる、という大事な情報は
ちゃんと新聞のテレビ欄に載せといてくれなきゃ。
知ってたら録画スタンバイするのに
知らずに観ちゃったらやめられないでしょー!




◆津軽三味線対決◆

2015/7/25/sat
カフェ&バー天Q(京都・千本中立売)
start/19:30 投げ銭制
出演:はたこーじ,itaru,万響


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津軽三味線の始まり。

2015年07月05日 | 三味線のはなし
昨日は、即興と定型なんてマニアな話に突入してしまったので、
改めて仕切り直し。


三味線という楽器は400年の歴史があります。
琉球の三線(さんしん)が大阪の堺に伝わり、
琵琶法師たちによって、三味線という形に作り変えられていったそうです。
三線に比べて撥が大きくなったのも、その影響によるといわれます。

その後、三味線には、
地歌、義太夫、常磐津、清本、長唄、端唄、小唄など
様々なジャンル、流派が生まれ、
あるものは消え、あるものは現在にまで伝わっていくのですが、
津軽三味線が生まれたのは、ほんの百年ほど前の事。

そして、今のようなスタイルで演奏されるようになったのは、
さらに後のことで、せいぜい数十年の歴史しかない、
「伝統芸能」というには些か新しすぎるくらいのジャンルなのです。


本日の参考文献
大條和雄『絃魂津軽三味線』合同出版 1984


津軽三味線の創始者は「仁太坊」とされています。
「ボサマ」と呼ばれた盲目の門付け芸人の一人。
その歴史を明らかにしたのが、この本。

著者は、かつてボサマだった人たちを訪ね歩き、
彼らの話から、津軽三味線草創期の姿を描き出します。
創始者の仁太坊は故人であり、遺されたものは何もなく、
著者の想像による部分もあるでしょうが、
(初代竹山は仁太坊創始者説に疑問を呈していたようです)
ボサマの証言を集めた意義ある一冊。
民謡でもそうですが、
庶民の生活に息づいた芸能というのは記録に残りにくい。
気づいたときには、もう消えかけている。
著者自身が言うように、最後のギリギリのタイミングで
集めることができた貴重な証言です。

大切なことは、誰が始めたということではなく、
ボサマたちが弾いていたものだということ。
彼らの過酷な生き方を思うこと。
彼らのおかげで、今、私たちは津軽三味線に出逢うことができるということ。
それを忘れないこと。


この本は絶版のようですが、
図書館では読めると思います。
津軽三味線の歴史に興味がなくても、
音楽をやる人は読んだらいいと思う。
命がけで音楽をやるということ、仁太坊の生きざまに
私は、圧倒されて、ちょっと悔しくて、泣いた。



◆津軽三味線対決◆

2015/7/25/sat
カフェ&バー天Q(京都・千本中立売)
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出演:はたこーじ,itaru,万響


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即興≠行き当たりばったり。

2015年07月04日 | 三味線のはなし
即興とは何だろうか。

というのは、「RIN-輪-」とかやってると、
響喜の中でも話題になります。
ゆんぴとの深夜トークなんかで特に。

即興だから、常に出たとこ勝負、
予定調和ではないということなのかと思う一方で、
こんな文章もある。

初代竹山師が演奏する「三味線じょんから」「三味線よされ」について・・・


(以下引用)

 しかし考えてみれば、この曲自体、だれか個人が作曲したものでなく、明治、大正にかけて多くの弾き手が、それぞれにいい手をあみだし、多くの聴き手の耳のふるいにかけられ、そのもっともすぐれたものが定型化されたものであって、いわば即興演奏の産物なのである。即興演奏が津軽三味線の本領だということから、勝手になんでもかんでもつくりかえ、わけのわからぬ安っぽいものにしている風潮のなかで、ひとり竹山のとっているこのような態度は立派というしかない。


「息づく旋律の流れ―原型の確かさと新鮮さ」東奥日報1974年9月6日(「津軽三味線―高橋竹山の世界」(Sony Music House Inc.3FZ3Z 1361)別冊解説書より)



即興の中から定型が生まれる、という考え方が
なんだか新鮮。

いつも違うもの、新しいものを弾くことだけが
すべてではない。

常々語り続けてますが、
よされ節は絶対に絶対に竹山流です。
本当にすばらしい曲。
私ごときの演奏でどれほど伝えられるかわかりませんが、
でも、やらなきゃ誰にも伝わらない。


・・・津軽三味線のいろいろを、と言いながら、
竹山布教活動みたいになっています。毎度のことながら。
この情熱、修論の頃から変わらないのね――。



◆津軽三味線対決◆

2015/7/25/sat
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津軽三味線の定義。

2015年07月03日 | 三味線のはなし
津軽三味線とは太棹の三味線で曲弾きを即興で弾くこと。

とは
津軽三味線研究家の大條和雄さんによる定義。

ポイントは
即興というところにあると
大條先生は言っています。


では、即興とは何か。
これ、私の卒論のテーマ。
という話はどうでもいいんですが、
即興の定義、これは難しい。
音楽事典のグローブでは、ジャンルによって即興の定義は違う、となっていて、
さすが天下のグローブは違う、と西洋音楽史のO先生は頷いていました。

では、津軽三味線における即興とは?

私の答えは、
パターンの組合せによるもの。
何種類かの短いパターンを
どう組み合わせるか、どう繋ぐか、
その中に、オリジナルのパーツを組み込んでいく、
というのが即興の実際ではないかなと。


ただ、この即興についても、
初代竹山師が大変興味深いことを語っているので、
その話は今度。



【参考文献】

津軽三味線の歴史
大條和雄
文芸津軽社 1993


手製本みたいな、相当レアな本だと思います。
学生時代に東京で津軽三味線のイベントがあって
その会場で販売されていたのを
お宝発見!の勢いで買った思い出があります。




◆津軽三味線対決◆

2015/7/25/sat
カフェ&バー天Q(京都・千本中立売)
start/19:30 投げ銭制
出演:はたこーじ,itaru,万響

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これを聴いてほしい津軽三味線。

2015年07月02日 | 三味線のはなし
津軽三味線対決@天Qに向けて

津軽三味線のいろいろ、書いていこうと思います。


まずは何はなくとも聴いていただきたいのが此方。







世は“叩き”三味線全盛。
でも、私が憧れる音は此処にある。
死んでも辿りつけない処だとは分かっているけれど、
きっと生まれて初めて、こんな風に弾けるようになりたい、と思った演奏家です。




◆津軽三味線対決◆

2015/7/25/sat

カフェ&バー天Q(京都・千本中立売)

start/19:30 投げ銭制

出演:はたこーじ,itaru,万響


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津軽三味線対決やります。

2015年07月01日 | お知らせ
7月になりました。

一年の折り返し。
なんとなく一年で一番イヤな日。
もう半年終わっちゃった!という焦りばかり。。


今月は、25日に京都・天Qにて「津軽三味線対決」に参加します。




私以外のお二人は“叩き”三味線。

私の三味線を津軽三味線のスタンダードと思っておられる方、
 あるいは
津軽三味線といえば叩きでしょ!と思っておられる方、
 どちら様も
ちょっとしたカルチャーショックを味わえる一夜となる筈です。



天Qホームページでは阪急沿線からのアクセスが載ってませんが、
四条大宮からバスで千本中立売まで行くのが近いですよ。

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