三味線弾きの日常。

おもに津軽三味線弾き唄い。
ときどき地歌・上方唄。こっそり義太夫三味線。
三味の音を一人でも多くの人に届けたい。

『風の電話』。

2020年02月01日 | 鑑賞
岩手県大槌にある”天国につながる電話”をモチーフにした映画。


東日本大震災で家族を亡くした17歳のハルは広島で叔母と暮らしている。
ある日、その叔母が倒れて入院した。
ハルは衝動的に、故郷の大槌を目指す。


とても静かな作品だ。
ハルはとても無口で、話しかけられてもほとんどしゃべらない。
けれど、ハルと出会った人たちは、そんな彼女を問い詰めはしない。
今の彼女をそっと受け止め、見守ってくれる。
彼ら自身も多くを語らない。
誰もが痛みを抱えながら、それでも生きている。
生きているから、食べる。
一緒に食事をして、少しずつ言葉を交わす。
大切な思いはそれで伝わる。

広島の豪雨災害の被災地で認知症の母と暮らす公平。
母が抱える原爆の記憶。
ヒッチハイクするハルを乗せてくれた姉弟。
妊娠中の姉は、シングルマザーになる決心をしている。
不良少年に絡まれたハルを助けた森尾。
彼が探していたクルド人男性は
入管に収容され、いつ出られるかもわからない。
不安の中、彼を待つしかない家族。
森尾は震災当時、福島原発で働いていて
津波で家族を亡くし、今は車で寝泊まりする生活をしている。
今も福島で暮らす森尾の父は
失われたかつての福島について語り、静かに口ずさむ。新相馬節。
大槌で再会した、亡くなった同級生の母親はハルを抱きしめる。
ごめんなさい、と、ありがとう。
別れ際、ハルと握手を交わした森尾は言う。大丈夫。
そして、ハルは「風の電話」で家族に語りかける。

 
大切な人たちや、ふるさとを失くして
誰もが、簡単には癒えることのない痛みを抱えている。
日常の中でなんとか折り合いをつけている、
それがふとした瞬間に露わになる。
だからこそ、同じように傷ついている人にやさしく振る舞える。
私も、やさしくなりたい。

全編、ほぼ泣きどおし
観終わってからも、心にひたひたと満ちて揺れているものがある。
やさしくなりたい。


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►演奏予定
 2月2日(日) 邦楽の宴@天Q
 2月7日(金) 本気のグッドミュージック 各地の民謡の巻@西院GATTACA
 2月15日(土) 椿紅静月、津軽三味線の夕@Music Pub Siren
 詳しくはこちら
►演奏依頼 承ります
 ステージイベント、パーティ、ブライダル、レクチャーコンサート、
 ワークショップなど、三味線出張演奏いたします。
 小さな会場でも、ご予算が少なくても大丈夫。
 ブッキングライブ、コラボレーションなども歓迎。


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