三味線弾きの日常。

おもに津軽三味線弾き唄い。
ときどき地歌・上方唄。こっそり義太夫三味線。
三味の音を一人でも多くの人に届けたい。

「音楽の力」ということば。

2020年02月04日 | つれづれ
2月2日の朝日新聞に

「音楽の力」は恥ずべき言葉
「癒やしてやろう」の姿勢 おこがましい

という見出しで、坂本龍一の発言が掲載されており
twitterで賛否両論が起こっている。


とくに東日本大震災以後、
「音楽の力」とか「音楽に何ができるか」といった言説を
よく見かけるようになった。
(あるいは、私自身の意識に変化が起きたせいで
 目につくようになったのかもしれない)

そのたびに、違和感を覚えてきた。
「音楽の力」がないとはいわない。
でも、それはとても個人的なことなんじゃないかと思う。
あるとき、私に力をくれた歌は確かにある。
でも、それは他の誰かと共有できる体験ではないし、
その歌は他の人には何の影響も与えないのかもしれないし
作った人/演奏した人の思いとも関係ないことだ。

 音楽の感動というのは「基本的に個人個人の誤解だ」

という坂本龍一の言葉には、とても共感する。

基本的に、私は自分も音楽を演奏するくせに
「音楽の力」というものには懐疑的だ。
そんな大層なものじゃないだろうと思うし、
ある音楽を聞いて、誰もが同じように感動するなんて有り得ない。


 好きだからやっているだけ。

 極端に言えば、1人きりでもやっている。


これが、いちばんベースにあることなんじゃないのかなぁ。


 感動するかしないかは、勝手なこと。

 音楽を作る側がそういう力を及ぼしてやろうと思って作るのは、
 言語道断でおこがましい


正しいと思う。
今、世の中、音楽に限らず、
たとえばオリンピックに向けて一致団結、みたいな
気持ち悪い感じもあるけど、
そういう感動の押し売りのようなものに
音楽を利用する/利用されることは避けたいと思う。
きっと、坂本龍一は「音楽の力」というものをよくわかっていて
ときに危険なものになりうるからこそ、
強い言葉で語っているのだろうと思う。


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►演奏予定
 2月7日(金) 本気のグッドミュージック 各地の民謡の巻@西院GATTACA
 2月15日(土) 椿紅静月、津軽三味線の夕@Music Pub Siren
 詳しくはこちら
►演奏依頼 承ります
 ステージイベント、パーティ、ブライダル、レクチャーコンサート、
 ワークショップなど、三味線出張演奏いたします。
 小さな会場でも、ご予算が少なくても大丈夫。
 ブッキングライブ、コラボレーションなども歓迎。

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