(小渕山観音院の楼門)
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(春日部宿 3)
国道四号線に合流してしばらく進むと、
左側に年代ものの古い木造の、
いかにも古色蒼然とした山門が見える。
小渕山観音院と言う。
古びた門の左右には、阿吽(あうん)の仁王像がこれまた古いものらしく、
今にも崩れ落ちそうな木造であるが、
仁王様らしく鋭い目つきは、きっと名のある彫刻家が刻んだものであろう。
通り過ぎようとする参拝客を睨みつけている。
(左側の吽形の仁王像)
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(右側の阿形の仁王像)
楼門は、先の3・11の東北大震災の影響で、
今にも崩れそうなため危険で、周りを縄で囲み、
「仁王門の中を通り抜けないでください」と注意書きがあった。
門の横を恐る恐る通り抜けて本堂に向うと、
「仁王門改修のお知らせ」があって、
(この仁王門は、元禄二年(1689)建立で,三間一戸楼門形式と言い、
向って右側に「阿形(あぎょう)」左に「吽形(うんぎょう)」の金剛力士像が安置されており、
春日部市唯一の仁王門として文化財に指定されています。
2014年1月から改修工事を実施します。
歴史ある文化財の復興事業故に当院のみで行える規模ではありません。
被災文化財の救援と修理・保存に向けて、
多くの方々からご厚志を賜りたく存じます。)とあった。
つまり災害復興事業の寄付金・義捐金のお願いであったが、
確かに、早く復興するように願って賽銭をいつもより多く収めてきた。
今この道を通って、いずれ震災の福島、仙台、石巻を通過するであろうに、
これから被害でまだ復興がままならない場所を目にすることであろう。
(本堂)
小淵山観音院については、埼玉県、春日部市の両著で案内があるので、
紹介しておきたい。
(小淵山観音院は、新編武蔵風土記稿の小渕村、観音院の項に
「本山派修験、京都聖護院末、安永二年(1773)正年行事職を許される。
小渕山正賢寺と号す。本尊正観音、応安二年(1369)住持玄通が書きし
縁起有に拠れば、古き像なるべし。
中興開山は尊慶と言い、年代を知らず。」と記されている由緒ある古刹である。
この寺は、この地方の観音信仰の霊場としても有名で、
家内安全、商売繁盛のほか、いぼ、こぶ、あざにご利益があると言われる。
毎年八月十日には、この日参拝すると四万六千日分のご利益が授けられる
と言われる四万六千日祭りがあり、県内の山伏が参集して護摩修行を行い、
近隣の善男善女が枝豆を奉納し参集する祭礼がある。
また三月には、かって馬寄席祭りがあり、
農耕に従事した牛馬がいろいろな飾りをつけて安全を祈願する祭りがあった。
本堂内には、木造の白馬が安置されている。
本尊「正観音像」には、その昔、洪水でこの地に流れ着き、
一度は元の寺に返したが、その後洪水で再びこの寺に漂着したので、
お堂を建てて安置したものと言われる伝説がある。
本堂の格天井には、花鳥の彩色が施され、
格縁ごとに大勢の粕壁宿の商店主の名前が記されており、
外壁には、多数の絵馬のほか、
八丁目の和算士 原伝三郎が奉納した算額が掲げられている。
また寺には「毛もいへば 唇さむし 秋の風」と詠まれた芭蕉の句碑、
市内随一の楼門(仁王門)七体の円空仏がある。)とある。
(木造の白馬の像)
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(残念ながら格天井は暗くて写っていない。正観世音の提灯)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/92/5418fb8232ed4efbcf509ed3853f77f8.jpg)
(芭蕉句碑)
・ ものいえへば 唇さむし 秋の風 はせお
と刻まれているのが、やっと読める句碑であった。
なお、外壁の掲げられていると言う算額は、
風雨にさらされ文字や描かれた画は消えて板の木目のみになったいたので、
天井のみを写真に収めた。
(本道の天井部分)