心臓と胃袋と大腸の三種類の検査をすることになった。
一つは心電図を二種類、いつものようにベッドに横たわって取るものものと、
もう一つは、24時間心電計を体に張り付けて、
どんな状態の時に心臓の動きに異常が発信されるか、
24時間分の心電図を取る。
心臓の不整脈は、平常でも時々起きているらしく、
それが、たまたま健康検査の時に起きていたのかも知れない、
と循環器専門の医師の話で、
「この不整脈が続けて起きると問題があるが、
ボクの場合、心臓に入って来る時の壁も、心臓から吐き出す時の壁も、
心臓の弁も正常に規則正しく動いて居る」と、
心臓が動いて居る動画を見せながら説明した。
不整脈の方は問題が見受けられなかった。
大腸がんの疑いは、二回に亘って採取した便に血が混じっていたからだ。
採取した便が黒い色をしていた記憶があると、
かかりつけ医に話したら血便は、
腸だけで無いかも知れないので、
胃袋も調べることになっていた。
つまり胃カメラと大腸内カメラで調査することになった。
上(口)からと下(穴)から、ボクの小指ほどの太さのケーブルの先に、
カメラを付けたものを入れて、消化器の内側の写真を撮りながら、
その映像をPCに取り込み肉眼で判断して行く。
当然正常な内臓を知って居なければ判断できない。
先ず胃カメラ。
20年前に胃カメラを飲んだことがあるが、
受付に数人の人が待って居て、
看護婦さんの説明では、
胃カメラがのどを通る時に、
喉にカメラの配線が触るので、
反吐を吐く時のようにゲボゲボになるので、
それを押さえるため喉を麻酔します。
麻酔薬を咥(くわ)えて下さい。
飲み込まないようにして麻酔薬を咥えていて下さい。
看護婦さんがやって来て ヘラで水あめのようなものを患者に与えている。
患者はそれを銜(くわ)えるや、口を結んで上を向いている。
何かと思ったら、水あめのようなものは喉を麻痺させるものだった。
水あめの様な麻酔薬を咥えて喉を麻酔するのだ。
以前、話には聞いて居た、
「胃カメラは苦しい、カメラの配線がのどを触り、
常時、吐き出しているような状態になる。
胃袋には何も入っていないから、
吐き出すものが無い、だから余計苦しい」と。
つまり水あめのような麻酔剤で咽喉が無感覚になるように、
この水あめを咽喉近くにとどめて置くことが肝心なようだ。
この時は事前に話に聞いて居たので、上手く終わった。
今回はどのようになるのだろう、少し不安であった。
更衣室で手術着に着替えて監査室に入ると、
「口を開けてぇ!」
「これは何ですか?」
「麻酔剤です」
口を開けると噴霧器(霧吹き)でシュッシュと咽喉に、
麻酔剤を振り掛けた。
これで麻酔は完了する、20年も前とは雲泥の差だ。
何分も麻酔薬を口の中に銜えている事もない。
口にマウスピースを咥えさせるや、
「よだれや鼻水が出ますが、こちらで処理して居ますので、
気にしないで、そのまま放置しておいてください」
と言って居る間に、カメラはどんどん胃の中へ入って来る。
胃袋が押される感じで何分か、
お腹がぐいぐい押される感じがして、
ちょっと苦しい・・・・。
その間看護師さんが背中をさすってくれ、
気持ちの上で非常に助かった。
そうこうして居る間、よだれだらだら、
鼻水だらだら流れるのが気になって居る間に、
胃袋から十二指腸まで検査して終わった。
(つづく)