(NASA=アメリカ航空宇宙局)
フロリダの港オークランドから豆粒のように小さく見える、
ケープカナベラルのNASA航空宇宙局の四角な建物までは、
バスに乗って小一時間掛かる。
やがてにょきにょきとロケットが立っているところに近づき、
NASAに着いた実感が湧く。
バスの駐車場から航空宇宙局の中に入るのに、
入場料を払って、航空機に乗るようなチェックインが必要である。
一人一人手荷物から身体検査まで済ませる。
総勢20人ほどが終わるまで、待合室で待つと、
スクリーンにケネディ大統領が
ロケット発射成功の演説をしている場面が映し出される。
さすがケープカナベラルのケネディ・スペースセンターだと
感心している間に、
全員がチェックイン終了し、いよいよ見学と思いきや、
センター内でさらにバスに乗り換え、
さらに十数分走りやっと見学場所に到着。
何でも世界一が好きなアメリカ人、
周りにはいろんな形のロケットが横たわっている。
いろいろ教わるが、記憶に残ったのは
「ロケット打ち上げ仮想体験」であった。
(全員で沢山の椅子に座り、
持ち物が宙を舞うといけないというので、
ポケットの中身から手荷物まで全てを取り上げられる。
椅子に座って4点式シートベルトをすると、
目の前のスクリーンにロケット打ち上げのシーンが近づき、
発射までのカウントダウンが始まる。
背もたれが倒れ、
轟音と共にロケットが発射されると、
体は強烈な力で椅子に押さえつけられる。
顔が風に押される感じで、
頬が引きつれ猛烈な重力が掛かった感覚が強くなる。
ロケットが一段目が切り離され、
二段目が切り離され、
三段目になると頬に歯形が映し出されてれているのではないかと、
思われほどの力が掛かる。
やがて無重力の世界へ到着した感覚に襲われる。
そして重力を感じなくなったとき、この体験は終わる。)
体を見ると、最初に座ったときと同じ格好をしている。
身につけたものを取り上げ、轟音と、映像で、
錯覚を起こさせていると思われるが、
どのような仕組みになっているのか
解らずじまいであった。
(残念ながらカメラも取り上げられており、
仮想体験部分は撮影できていない。)
ロケット発射前の沢山の計器類がある部屋の前で、
スペースシャトルが飛び立つ映像が流れるが、
あたかも観覧者がロケットを打ち上げに参加しているような
臨場感たっぷりな映像であった。
この部分はマイビデオに収めて来たので、
帰宅後編集して孫たちに見せたが、大変好評であった。
NASA航空宇宙局からおよそ10km離れたところに、
ロケットの発射台が二基あり、
肉眼では米粒ほどにしか見えないが、
10km以内に立ち入ることは
メディア関係者といえども禁止であるという。
偶然とは言え、
見学に行った日にスペースシャトルが打ち上げ予定日になっていた。
もし打ち上げられれば、世界で、そして我が人生で、
二度とない宝くじに当たるより大きな幸運であったのに、
残念ながら、気象の関係で延期されることになり、
翌年1月4日に延期、がさらに延期された。
気象の関係だけではあるまいが、
ロケットは極めてデリケートな機械である。
説明では、過去100回以上打ち上げているが、
失敗はチャレンジャーとコロンビアの2機だけとのことで、
成功確立は高いと胸を張っていた。
皆さんにも、スペースシャトルを積んだロケットを
写真でご覧いただきたい。
世界に誇る、日本製のカメラで撮った映像は、
10km先とは言え、
見事にスペースシャトルを写し出している。
(ズーム前)
(少しづつズームする)
(ズームアウト)
航空宇宙局の博物館をその後見学、
延長200mに及ぶ実物のロケットはさすがに凄い。
当然とことであるが、格納している建物も相当広く、
言葉に表現のしようが無い。
なんでも世界一を誇るアメリカならではの展示である。
さて、昼食時にはスペースシャトルの乗組員だった
John M.Fabian氏との懇談会があり、
最後に質疑応答の時間が設けられていた。
その質問の途中で、
「日本の宇宙衛星(かぐや)が世界で始めて月の裏側を
ハイビジョン映像で映し出し、
世界中で話題になっていますが、
このニュースについてのご感想は?」と尋ねたところ、
以外や以外、
「そのニュースを知りません」と回答された。
このとき世界は(いや日本だけかもしれないが)
「かぐや」の美しい映像に
固唾をを呑んで注目していた時期であったのであるが・・・
宇宙に出て、帰還したクルーの方たちの中には、
世間を離れて孤独な生活を送っていらっしゃる方が結構いらっしゃる。
・宇宙を覗いてくると、人生観が変わってしまうのであろうか?
・宇宙へ行くという目標が達成でき、
その後の人生が空虚になってしまうのか?
・地球での人の生涯をどう感じているのだろうか?
・「大海にのみの小便」程に感じるのか?
・人は「大砂漠の中の一匹の蟻」のように感じてしまうのか?
この宇宙経験者も、世の中の出来事には、
もう興味は失せてしまったようであった。
そんなことを考えていたせいか、
どこと無く生気が感じられない宇宙からの帰還者に見えた。
NASA航空宇宙局博物館の出口には、
商魂たくましくお土産物コーナーがあり、
見学者を引き寄せている。
重力の無い世界の宇宙でも書くことが出来るボールペン。
(普通ボールペンは、
中のインクが引力に引かれて出てくることで書くことが出来る。
したがってペンを上に向けて書くと、
間もなく書くことができなくなる。)
しかしこのボールペンは無重力の世界でも書けるから、
上を向いても書くことが出来る。
想像ではあるが、インクに圧力がかかっていて、
インクが押し出されるようになっていると思われる。
もう一つのお土産が宇宙食。
宇宙食のアイスクリーム。
孫や子供たちに全部持っていかれてしまい、
食べることがかなわず、
未だに味がどんなものか書くことが出来ないでいる。
唯一ついえることは、
重量がほとんど感じられ無かったから、
アイスクリームから水分を取って、
乾燥させたもののように思われる。
想像するに、きっと粉ミルクと砂糖を混ぜ固めたもの、
そんな味であろう。
実際に食べられなかったのが、
返す返すも残念で心残りである。
何方かケネディ宇宙センターに行く予定のある方、
私に宇宙食のアイスクリームを
お土産に買ってきて頂けないでしょうか?
2021年も終わりが来ました、
この一年大変お世話になり、
有難うございました。
2022年が皆様にとって良い年となりますよう、
心からお祈りして居ります。