(生活)
高速道路の両側には、
モダンな三階建ての一戸建て住居が並ぶのが目に付く。
中国の農家の住居である。
前回訪問したときは、
毛沢東時代の古い五階建てのマンションが沢山建っており、
エレベーターはなく、足ベーターで階段を登っていた。
日本でも五階建て以下は、
エレベーターを設置する義務がないそうだから
同じ状況である。
トイレは、水洗でなくおまるを使っていた。
用がすんだ後どのように処理していたのかは知らない。
今でこそ、観光客は西洋式の水洗トイレで用を足せるが、
少し前までは、ドアーもないトイレであったと友人から聞いた。
そんな時、回りの中国人が(日本人が用を足している)とばかりに
ワーッと集まって覗きに来たという。
なんだか、戦時中の日本における、
天皇がお手洗いに入ったとびっくりしている様子に良く似ている。
中国のトイレは、
日本の和式便器に似ているが、
キン隠しがない。
だから、ドアーから入って奥を向いて用を足すのか、
あるいはドアー側を向いて用を足すのか、
どちらを向いて用を足すのか解らない。
和式では、ドアーを開けて奥を向いて用を足すが、
ガイドさんに聞いてみると、
中国では、ドアー側を向いて用を足すそうである。
その昔、ドアーのないトイレの名残りでその習慣が付いているのであろうか。
そのせいか、中国の公衆トイレは、
入り口のドアーの鍵がかからないトイレが多かったが、
用を足している最中に前面から覗かれても陰部を見せない、
あるいは用を足している無防備な状態で、
後ろから襲われないためなのかも知れない。
中国人はつい最近まで、
前面ドアーがないトイレを使用していたから平気であるが
(もっともいつも鍵をしないボクも平気であるが)
通常の日本人は気になるところではある。
田舎へ行けば隣りとの仕切りのないトイレもあるようだが、
ボクはこのトイレにまだ出くわしていない。
しかし、生活は大都市と田舎とはそれなりの格差があるようだ。
北京上海など大都会では、
電気も煌々とついているが、
一歩田舎に入ると、電柱すらなく、
電気のない家庭が沢山ある。
これはインドでもアフリカでも同じであった。
それに比べると日本はお金持ちの国に見えるに違いない。
どんな田舎に行っても、
電灯がついていないところはないからだ。
日本ではどんなに貧乏でも、
アジア地域に出て行けば、豊かな生活が出来る。
日本では、老後を年金では生活に足りない額でも、
アジア地域では、お金持ちの生活が出来るという。
たとえば、広大な敷地に一軒家を借りて、
ドライバー二名、ハウスキーパー二名を雇って、
タイでは、一ヶ月22万円の生活費ですむという。
東京の生活費の80%で、
カナダ、ニュージーランド、オーストラリアの生活ができる。
また、友人がスペインへ移住して12年経つが、
年金で十分まかなっている。
市長さんあげて大歓迎とのことだ。
中国では、大都市で生活しても、
東京の生活費の20%もあれば、十分やっていける。
いや、豊かな生活が出来ること請け合いだ。
ただ、発展のスピードが生半可ではないから、
生活水準があっという間に変わって、
こんなはずではなかったと後悔する日が来ることは、
意外に早いかもしれない。
定年になって昨年で10年になるが、
53カ国を旅して、物価が高いと感じたのは、
シンガポールぐらいのものだから、
東京で豊かな生活をしている人たちは、
ロンドンだろうと、パリだろうと十分生活できる。
物価高の点では日本は他の国に負けることはない。