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アメフト観戦記や読書日記を綴っていましたが、最近は古墳(コフ)ニストとして覚醒中!横穴式石室をもつ古墳にハマっています。

古代国家の原像

2005-03-16 06:01:20 | 読書日記
 古代国家の原像 -東アジア史上の古墳時代-
 山尾 幸久著 学生社
 本書は、邪馬台国から律令体制の成立期までの流れを韓国の大学での講義をもとにまとめたものである。最初の方は、学説史中心であったが、途中倭の五王あたりから俄然自説を展開している。全体を通して貫いているのは、日本の古代史は日本の内的な要因だけで見るのではなく、朝鮮半島や中国などの東アジア史(著者は韓倭政治世界としている。)の中で検討していかないといけないということなのだろう。そして邪馬台国の3世紀後半から群集墳の7世紀初頭までを古墳時代として国家形成史を展開している。特に本書は国家とは何かを定義し、日本の国家は雄略期に成立したのだと述べている。案外歴史関係の書物で国家とはどういう状態になったとき成立したといえるのかということを明確に叙述しているのは案外少ないような気がする。中央と地方の関係が出来たとき国家が成立したのであり、その関係が出来たのは雄略期ではないかとしている。そして継体期には磐井の乱などを得て、さらに国家としての影響力を九州まで広げ、そして王族が形成されたのが欽明期だとする。最近の歴史書を読むと欽明期が一つ重要な位置をしめているような気がしますね。少なくとも王権を支えていた豪族層も変わっており大きな変動があったのは想定できる。こうなると林屋先生の継体・欽明期の内乱説を思い出しますね。もはや通説の位置にあるのかなと思ったりします。
 山尾先生の主張の中で常々思うのが、記紀にたいする史料批判が厳しいところである。記紀に書かれている事は、「神の帝国縁起」であり、編纂者の作為がこめられているとする。そしてそのことを政治的観念の歴史実体化認識は避けようと表現している。例えば考古学の発見でよく発見された遺物や遺跡が記紀の叙述を裏付けているとされることがあるが、無批判に記紀と関連付けることはかなり危険なことなのだろうと思う。例えば国造制について、中央と地方の関係が出来た=国造制が成立したとはかならずとも言えないということなのだろう。ただ本書では大学での講義録という性格上、細かい論証は省略されてはいますが・・・。(相変わらず社会史嫌いなのかそういう記述は全くないですね。)
 全体的に生硬な文体なので一般書的ではないですが、学問を読む楽しみというかそういうものを感じた本です。
 久し振りにこういう硬い歴史書をこの時期に読むと大学1回の春休み暇さえあれば岩波新書やら中公新書などの新書を手当たり次第、濫読していた時期を思い出しますね。
 
 
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