大伴旅人 ー人と作品ー
中西進編 祥伝社新書
この本は1998年におうふう社から出版された「大伴旅人 人と作品」を新書版として2019年に再刊された本である。ちょうど令和という年号が、大伴旅人が書いた「梅花の宴」の序をもとに制定されたという事をうけて出版されたものである。
意外と大伴旅人について触れた本というのは意外と少なく、息子の大伴家持のことを書いたものと言うのは結構あるのだが、 . . . 本文を読む
幻坂
有栖川有栖著 角川文庫
書店で大阪をテーマにした小説がないかなと思って、平棚を見て歩いていたときに、何となく目の飛び込んできた本。大阪の天王寺七坂を舞台にした連作小説というわけで、これは買って読まないとという訳で購入したのが、昨年の12月、それからしばらく本棚で熟成した後、今回読むこととなった。
小説の舞台となった天王寺七坂については、難波国の一宮生国魂神社から南にかけては、江戸時 . . . 本文を読む
「新装版 戦いすんで日が暮れて」
佐藤愛子著 講談社文庫
初めての佐藤愛子である。もともと北杜夫のファンであるので、お名前はずっと昔から知っていたのだが、あまり読むこともなく今に至っていたのだが、ぶらっと本屋に立ち寄った時、平積みになっていて、長谷川町子の表紙にも少し惹かれ、そういえば、北杜夫のエッセイなどにはよく登場していて、しかも、そういった作家の方々はそういったことから改めて読んだりし . . . 本文を読む
「プールサイド小景・静物」
庄野潤三著 新潮文庫
少し古い小説である。たまたま娘が通っていた学校と関係のある人で、そういった関係でちょっと興味があったので読んでみた。本書には、「舞踏」「プールサイド小景」「相客」「五人の男」「イタリア風」「蟹」「静物」の7編が収録されている。このうち、「プールサイド小景」で第32回芥川賞を受賞、「静物」で新潮社文学賞を受賞している。
作者については、安岡 . . . 本文を読む
カント先生の散歩
池内 紀著 潮文庫
ドイツ古典主義哲学の大家、イマヌエル・カントの生涯を描いた伝記風のエッセイである。カントについては、この本の初めの方に出てくるのだが、カント哲学を代表する著作として「純粋理性批判」「実践理性批判」「判断力批判」が三部作として著名であるものの、第1作目の「純粋理性批判」を読もうとして、最初の数ページで挫折する旧制高校生が多かったという話が出てくる。北杜夫 . . . 本文を読む
「仏果を得ず」
三浦しおん 著 双葉文庫
少し前に、ずっと本屋さんで「大阪の本屋さんがおすすめする本」ということで平積みになっていて気になっていた1冊。取り扱っている題材が文楽ということで、ちょっと躊躇しておりましたが、読んでみると結構、作品の世界にすっぽりとはまってしまった。
文楽については、高校の時に、日本橋にある国立文楽劇場に、高校の課外授業の一環で見にいったことがある。この本にも . . . 本文を読む
「龍馬を読む愉しさ ~再発見の手紙が語ること~」
宮川 禎一著 臨川書店
平成12年に京都国立博物館に送られた川原塚茂太郎宛の書簡の写真から、その書簡を読み解き、新たな龍馬像を浮かびあがらせた本である。本書は、この再発見の書簡を、全文紹介して、解読しているので、だいたいこういう書簡については、読むのが面倒なので読み飛ばすことが多いのだが、今回はちゃんと読みました。(まあ、読まないと本書を読 . . . 本文を読む
「古市古墳群をあるく ~巨大古墳・全案内~」
久世 仁士著 創元社
以前、「百舌鳥古墳群をあるく ~巨大古墳・全案内~」をこのブログで取り上げたが、本書はその姉妹編で古市古墳群を取り上げたものである。古市古墳群、百舌鳥古墳群共に世界遺産に登録しようかという著名な古墳群なのだが、古墳群について真正面から取り上げた本って意外と少ない。例えば、新泉社の「遺跡を学ぶ」シリーズでは、大仙古墳(タイト . . . 本文を読む
以前、このブログで、手塚治虫の「三つ目がとおる」に飛鳥を舞台にした話があるのだが、どの巻なのかわからないと書いたところ、先日、ジュンク堂書店でやっと見つけた。手塚治虫文庫全集の1巻に収録されてました。(たぶん他の「三つ目がとおる」にも収録されていると思うけど・・・。)しばらく、わからなくて悶々としていたのだけど、見つかってすっきりとした。
考えてみると、「三つ目がとおる」は、少年マガジンに連載 . . . 本文を読む
「81歳いまだまんが道を・・・」
藤子不二雄Ⓐ著 中公文庫
最近、奥さんに連れられて街に出ることが何度かあり、買い物の間、時間つぶしにジュンク堂書店に立ち寄ることが多く、そこで本を物色中に本書を発見!これは面白そうという訳でお買い上げとなった。僕自身は、小学館の学年誌をずっと買ってもらっていたこともあり、「ドラえもん」はずっと読んでいたなあ。ただ、単行本を集めるほどではなかったけ . . . 本文を読む
「笑う子規」
正岡子規著 天野祐吉編 南伸坊絵 ちくま文庫
最近、完全に自分の中でブームが来ているのが正岡子規である。前も書いたと思うが、著名な正岡子規の横顔の写真から覚えた興味が尽きない。というかかかわっていけばいくだけ、さらに興味が沸いてくることになっている。ただ、これも自分がある年齢に達したからということもできる。おそらく、20代、30代ではあまり興味が沸かなかったかもしれないな。
. . . 本文を読む
「船を編む」
三浦しおん 著 光文社文庫
2012年本屋大賞受賞作ということと、内容が辞書を作成する現場が舞台になっている、また映画も話題になったということでちょっと読んでみたいなあとかねてから思っていたところ、最近、文庫化。これは読まねばいけないということで早速近所の本屋さんで購入、これまた近所の皮膚科で診察を待っている間に読み始める。グッと本の世界に引きずり込まれてしまい、一瞬診察の順 . . . 本文を読む
「ノボさん ~小説正岡子規と夏目漱石~」
伊集院静 著 講談社
ここ数年、興味を持っている人物に正岡子規がいる。生まれてこの方ずっと興味を持つこともなく、ただ文学史上の人物で、明治時代の俳人、歌人で俳句や短歌の革新を訴えた人物で、「ホトトギス」という雑誌を創刊した人物とだけインプットされていた。それが、たぶん以前このブログでも書いたことがあるが、有名な子規の横顔の写真を見て、それが30代前 . . . 本文を読む
「白球残映」
赤瀬川 隼著 文春文庫
赤瀬川原平の著作をちょくちょく読んでいるうちに、お兄さんも作家なんだということに気付き、読んでみようと思い立ち、本書を読んでみることにした。
本書には、5編の短編が収録されている。
「ほとほとと・・・・・」
「夜行列車」
「陽炎球場」
「春の挽歌」
「消えたエース」
主人公が、中学生から始まり、青年期、壮年期と徐々に年齢層が上がっていく。 . . . 本文を読む
「陰陽師 ~酔月の巻~」
夢枕獏 著 文春文庫
陰陽師シリーズも12作目。第1作目が出版されたのが、1988年、もう、25年以上も続いているシリーズである。ストーリー展開が、だんだん水戸黄門見たく定番になりつつある。安倍晴明と源博雅の二人が、晴明の邸で酒を酌み交わしているところに、怪異な事件が持ち込まれる。そして、ホームズとワトソンのコンビのごとく、不思議な、怪異な事件の解決を行うというのが . . . 本文を読む