WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

ウインターカップ2010雑感(男子)

2010年12月30日 | 籠球

 北陸が初優勝をとげた。万年ベスト4の印象が強かったが、優勝できて良かったですね。正直いって、以前から北陸はあまり好きなチームではなかった。長身の中国人留学生を中心とするオフェンスパターンのためだろうか、人もボールもあまり動きがなく、スタティックな印象を受けてしまうのである。また、奇抜でやや大きめのチームジャージやユニホームのせいだろうか、選手たちが全体的にだらしなく感じてしまうのだ。ただ、キャプテンの優勝インタビュー談話はしっかりしたものだったので、私の単なる偏見というべきだろう。中国人長身選手、⑨リュウの活躍は当然のことながら賞賛されるべきであろうが、もうひとりの長身選手⑩野本も、中間距離からの精度の高いシュートとしなやかさを備えており、将来楽しみな選手である。しかし、何といってもゲームの流れを変え、勝利に貢献したのは、④藤永、⑤田野というツーガードだったと思う。彼らの粘り強く、抜け目のないディフェンスは随所でチームを救い、特に隙あればボールを狙ってくるそのハンドワークは何度もターンオーバーを誘発して、ゲームの流れを決定付けた。

 準優勝の福岡第一は、昨年までのセネガル人選手を中心とした攻めから、ガード・フォワード中心の走るチームへと大きく変貌していた。正直いって、セネガル人選手が例年より見劣りする今年のチームがここまでやるとは思っていなかった。決勝では⑦長島エマニエル選手がやや不発だったのが残念だった。強豪中学から能力のある選手も来ているようだし、ここまでできるのなら、いっそのこと外国人なしで勝負したらどうだろう。もっと多くのファンが素直な気持ちで応援できると思うし、学校としてもイメージアップとなるのではないだろうか。福岡県予選の福岡大大濠との戦いはもっと熾烈なものになるだろうが……。

 3位に入った京北もなかなかよかった。しばらくぶりに、ランアンドガンの京北バスケを堪能させてもらった。ただ、やや選手の個人能力に頼りすぎる傾向があり、⑭田渡がボールをもつと、それまでよくまわっていたボールがとまってしまうことが気になった。それでも⑭田渡が好調の時はいいのだが、準決勝、3位決定戦では、田渡の不調、というかシュートが入らないことが明らかにチームが失速した原因となっており、彼のシュートミスから相手の速攻を許してしまうといったシーンが繰り返された。3位決定戦後の監督の談話によると、足の疲労骨折とアキレス腱の負傷を抱えての戦いだったようであり、その意味ではかわいそうだった。本来、⑭田渡は小柄ながら非常に能力の高い選手であることは衆目の一致するところであり、来年もまたがんばって欲しい。199cmの長身選手⑩皆川は将来が楽しみな選手である。長身ながら、走れる選手であり、しなやかさも兼ね備えている。北陸の野本もそうだが、将来Japanを支える選手になってほしい。⑩皆川が抜けた来年の京北は、はっきりいってやや苦しくなるだろう。

 4位の市立船橋は今回あまり注目してこなかったのだが、準決勝・3位決定戦の戦いは見事である。200cm級の選手をもたないこのチームがこの活躍をしたことは賞賛に値する。もっとこのチームに注目しておけばよかった。J-Sportsの再放送で、このチームを緒戦から視てみたい、と思わせるゲームはこびだった。3位決定戦では、リードを奪っておきながら、京北の怒涛の反撃、気迫のディフェンスの前に、やや選手たちが弱気になってしまい、チーム全体が混乱してしまったような印象だった。本当に残念なゲームだった。ただ、他のチームについてもいえることではあるが、眉毛を剃っている選手が若干多かったように思うのは気のせいだろうか。プレーには直接関係のないことかも知れないが、ファンとしては素直な気持ちで応援できなくなる。

 最後に、能代工、どうした。能代工がんばれ……!

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     →ウインターカップ2010雑感(女子)

     →ウインターカップ2010前半戦雑感(男子)