●今日の一枚 427●
Ann Burton
Blue Burton
先日、スキーの話題を記したことがきっかけで昔よく行ったリゾートパーク・オニコウベ(オニコウベスキー場)のことが懐かしくなりwebで検索してみたのだが、なんとスキー場マップからテレキャビン(ゴンドラ)が消滅しているではないか。もう少し調べてみると、どうもテレキャビン自体がなくなったわけではなく、グリーンシーズンの休日祭日のみの営業で、ウインターシーズンは休業しているらしい。これではチロリアンロードやディアロードが滑れないではないか、などと思ったりもしたわけだが、よく考えてみると、スノーボードが主流となった(らしい)現在にしてみれば、超急斜面のディアロードや、連絡通路のように狭いチロリアンロードの利用者は少なかったのかもしれない。恐らくは採算が取れなかったのだ。時代の変化ということなのだろう。
時代が変わったといえば、渋谷の東急プラザが本日をもって閉店したようだ。学生時代、貧乏だった私は、お洒落な洋服屋やレストランにはあまり縁がなかったが、東急文化会館の三省堂と東急プラザの紀伊国屋には毎日のように立ち寄ったものだ。そういえば、もう長い間渋谷の街を歩いていない。渋谷の街もだいぶ変わってしまったに違いない。音楽館やジニアスはすでにないようだ。道頓堀劇場もかなり前に閉店したらしい。『なんとなくクリスタル』の註にもあげられたグランドファザーズや、ロック喫茶のBYGはまだあるのだろうか。伝説のラーメン屋といわれた「喜楽」はどうなったのだろう。
今日の一枚は、アン・バートンのデビュー作、1967年録音の『ブルー・バートン』である。アン・バートンはすごく好きだ。すごく好きなのだけれど、どこがいいのかと問われれば何となくいいのだとしか答えられない。ほどよいスウィング感、ほどよいブルージー感、ほどよいしっとり感。そういった、"ほどよい"の絶妙なバランスの上に成立した、最高の歌唱なのだと思う。その歌唱をベースが的確なアクセントでサポートし、ルイス・ヴァンダイクのデリケートなピアノが花を添える。時折顔をだすサックスもなかなかに美しい。ささやくようなボーカルとして高い評価を得るアン・バートンであるが、その演奏は意外に綿密に考え抜かれた構成的なもののようにも思える。