(8)ステロイドパルス療法について
月曜日に入院した。ステロイドパルス療法を行うための予定された入院である。前回の退院から18日間自宅で生活し、仕事にも復帰した。もう少し仕事が落ち着いてからと考えていたが、進行が速い気がするので、思い切って入院を決断した。7月末から、今回で3度目の入院である。
入院初日の月曜日には、胸部・腹部レントゲン、心電図、採決、採尿の検査があり、担当医師・看護師・薬剤師からそれぞれステロイドパルス療法についての方法や意義、副作用についての説明を受けた。ここではその概要を記す。
1)ステロイドパルス療法について
ステロイドパルス療法は、《ステロイド》という薬を大量に投与する治療である。ステロイドにはおおまかにいうと、
(a)炎症反応そのものを抑える、
(b)炎症を引き起こしている免疫異常を抑える
という作用があるそうだ。特に(a)の作用には大量のステロイド投与が必要になるという。
私の罹患しているIgA腎症は、本来自分を守るために身体の中に存在している抗体や白血球が自分の身体(腎臓)の組織を攻撃する自己免疫反応である。この異常な免疫をやっつけ、免疫反応を改善させる目的で、ステロイドパルス療法を行うという。
2)ステロイドパルス療法の実際
ステロイド剤の点滴を3日間連続で行い、その後経口ステロイド薬を4日間服用する。これを1クールとして、通常3回繰り返す。したがって、3週間必要となる。ただし、治療の効果や個人差により、1回クールのときもあれば、5クールのときもあるという。
3)ステロイドパルス療法の副作用
担当医師は、可能性のある大きな副作用として次のものを挙げた。
①感染症、
②胃潰瘍、
③糖尿病(高血糖)、
④血栓症、
⑤骨粗鬆症、
⑥白内障・緑内障、
⑦不眠症
対処法として、次のような説明を受けた。
①にはマスク、手洗い、うがいの励行、
②には毎朝食後に胃薬(オメプラゾール錠)の服用、
③には毎晩20:00血糖値測定(場合によってはインスリン投与)、
④には水分を多めに補給すること、
⑤には転倒などに気を付けること、
⑥には眼科の先生の尽力を得る、
⑦には睡眠薬を使うこともできる、
また、ステロイドパルス療法中に生じやすい症状として、次のようなものがあるとの説明を受けた。
●食欲増進、
●動悸、
●しゃっくり、
●イライラ、
●不眠、
●体重増加、
●顔が赤くなる
さらに、ステロイドパルス療法が終了してから生じやすい症状として、以下のことについて注意すべき点の説明を受けた。
●感染しやすい(風邪などをひきやすい)、
●ニキビがてきやすい、
●顔が丸くなる(ムーンフェイス)
●消化性潰瘍
●肥満
●高血糖
ステロイドパルス療法中の注意点ついて以下ような説明があった。
●通常2時間半~4時間程度かけて行うが、動悸の症状があるときはさらにゆっくり点滴する。
●入浴(シャワー)は、点滴開始前か点滴後2時間以上経過してからにすること。
●ほてり感があるときは、アイスノンを使用できる。
●ニキビは洗顔により清潔にすることが第一だが、ニキビの化膿を防ぐ効果のあるローションやクリームなどの塗り薬を処方も可能である。
●感染予防のためのマスク、うがい、手洗いを励行する。
●イライラや不眠があるときは、安定剤の処方を主治医が考える。
●パルス療法中は、プレドニン(ステロイド経口薬)は内服しない。
次回からは、私自身のステロイドパルス療法体験についてレポートする。
●IgA腎症と私① →こちら
●IgA腎症と私② →こちら
●IgA腎症と私③ →こちら
●IgA腎症と私④ →こちら
●IgA腎症と私⑤ →こちら
●IgA腎症と私⑥ →こちら
●IgA腎症と私⑦ →こちら