王様の耳はロバの耳

横浜在住の偏屈爺が世の出来事、時折の事件、日々の話、読書や映画等に感想をもらし心の憂さを晴らす場所です

原爆投下で「しょうがないな」発言 久間防衛相

2007-07-02 08:04:53 | 政治
原爆で終戦早まる、「しょうがないな」と久間防衛相(読売新聞) - goo ニュース

昨日のTVの討論は「久間発言」と「年金の問題」が盛んに議論された。
話は防衛相の久間氏による「原爆はしょうがないな」発言に絞る。

公平を期すため、あちこちの新聞記事を読んでみた。まづ久間氏の発言を爺なりに考えた:
「原爆の投下で終戦が早まった。間違えると(終戦の時期を遅くすればの意だろ)北海道もソ連に占領された。原爆を落とされた方は悲惨な目にあったが、(その犠牲のお陰で)戦争が終わった。(原爆被害のショックの故に)戦争が終わったと頭の整理をしておくしか方法がない(或いは--とあきらめる)」という事であろうか。

本人も「終戦が遅れれば北海道がソ連に占領される可能性を指摘しただけ」と釈明している。
今朝の報道では、1日久間氏は選挙区でもある長崎に飛び「原爆発言を陳謝」したそうだ。

それにしてもお粗末な発言である。市井の日本人の発言でも「この人一寸ーー」と思うしまして「防衛相」の要職にある方である。

昭和20年初頭、陸海軍首脳部はもはや米英中を相手に戦争の継続が不可能な事を判っていた。
海軍は昭和天皇の「海軍に艦艇はないのか?」とのご下問に恐れ入り「戦艦大和以下10隻の艦艇に航空兵力の護衛無しで沖縄に突入させる天1号作戦を4月早々発令する」 事実上の連合艦隊の葬送であった。国士が一人でも居れば「海軍はもはや戦えません」と陛下に申し上げ切腹するべきときであった。
陸軍はなおかつ強行で陸相阿南惟幾は降伏を肯んぜず、やがて「不可侵条約を破棄し満州に侵攻する」ソ連に和平の仲介を依頼する体たらくであった。

8月6日広島に原爆投下、8日深夜ソ連による9日よりの対日戦争の通告、9日長崎に原爆投下、同じくソ連の満州や樺太など侵攻
なお抵抗する陸相にたいし14日先帝昭和天皇の政治的英断によりポツダム宣言の受諾。15日天皇による「終戦」の詔勅放送となる。

久間氏は戦前の阿南陸相より強い立場である。仮にも先の戦争で亡くなった方、原爆で無くなり、或いは今も後遺症に悩む方々に思いを致すなら、「二度と国民の頭上に爆弾や原爆を落とさせない事又戦争そのものを起さないようあれこれと考える立場である」

又「当時の事情でもソ連による北海道占領は難しいかったろう」
意見その1:降伏が遅れたら「ソ連軍は樺太・千島列島の日本軍を一掃した後でしか北海道に到達できなかった」
意見その2:「日本陸軍の降伏法が国際基準を満たさず、下記の手続きさえ踏まず、自分からふんどし一丁になった」
つまり敗戦国の軍隊であっても「発砲停止」「占領地区の現状維持」「軍人(民間人が居れば民間人も)の身分保障」しかる後「武装解除」等当然知っていれば起きる筈も無い事である
その教育が欠けていたので「70万とも近頃では100万以上と言われる軍民がシベリアに抑留された」  しかし終戦後のソ連による侵攻を「占守島の守備隊の奮戦」の様に現地部隊の抗戦によりソ連の横暴を数日押し留めた事実を忘れてはいけない。彼等の行動は「只、降伏する」という上部軍組織の指導で無力化され9月2日のソ連軍による北方4島占領の完了にまでいたる。
更に付け加えれば、連合軍の命令は「(日本)本土の日本軍は米軍に降伏せよ」であった。南千島に於ける日ソの境界は穏やかな意見として「エトロフ島とウルップ島の間」である。
北海道方面を管轄する軍の参謀部が日ソの国境を認識し、エトロフ島以南の日本軍はソ連軍に降伏してはいけないと釘を刺しておけば済んだ話なのだ。

従って久間氏は「原爆による尊い犠牲を出す前に戦争を終わらす事が出来ず、なお、北方領土を守れなかった旧軍が情けない。旧軍の遺伝子を持つ防衛相として国民にお詫び申し上げる」
と謝罪して極まっとうな防衛大臣なのである。
  
不見識極まりない発言であるから「発言の撤回は当然であるが潔く防衛相を辞任して欲しい」

読売新聞:
久間防衛相は30日、千葉県柏市の麗沢大学で講演し、1945年8月に米国が広島と長崎に原子爆弾を投下したことで昭和戦争の終戦が早まったと指摘した上で、「間違えると北海道までソ連に占領されていた。原爆も落とされて長崎は本当に無数の人が悲惨な目にあったが、『あれで戦争が終わったんだ』という頭の整理でしょうがないなと思っている」と述べた。

 米国に対しては、「勝ち戦と分かっているときに原爆まで使う必要があったのかという思いがするが、アメリカは恨んでいない。国際情勢や占領状態からすると、そういうことも選択としてあり得る」と語った。

 久間氏は講演終了後、発言の真意について「当時の日本政府の判断が甘く、終戦が遅れるとソ連に占領されていた可能性があったことを指摘しただけだ。原爆を肯定したわけではない」と記者団に説明した。(引用終わり)

写真:儀杖兵の「気をつけ」の中、登庁する久間防衛相

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今年は「空梅雨」 | トップ | 父親 「子供3人殺し?」自殺? »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
引責辞任 (o_sole_mio)
2007-07-03 22:08:11
TBありがとうございました。

参議院選の前に、広島、長崎の両都市だけでなく多くの日本人の「心のひだ」に触れる発言は自民党にとっても痛手だったと思います。ついに本日引責辞任されましたね。論功行賞的人事が相次いで裏目に出ている形の安倍内閣ですが、後任の防衛大臣が小池さんとは、安倍さん、ブレていないといいますか、学習しないといいますか・・・。
返信する
詰め腹辞任 (浜の偏屈爺)
2007-07-04 08:58:20
o_sole_mio 様 お早う御座います
久間氏の言動は3日午前中と辞任後のそれは違って見えました。
違いは公明党による「辞任要求声明」だと思います
自公共闘でないと勝ち目の無い自民党は「総理によるキット叱り置き」で済んでいた久間氏に急遽「詰め腹」を切らせました。
公明党の方がまだ国民の不快感を察知する能力がマシという事でしょうか?
「敵の反撃能力を常に下目に読み、打つ手が遅れる旧軍の参謀みたいな秘書官が総理の周りを囲んでいるのでしょうか」
小池氏で交わせる問題でもなさそうです
しっかり小池氏の言動を見聞きしたいと思います
又お寄りください

返信する
Unknown (ima)
2007-07-08 11:37:28
貴方の[自己紹介]の言葉は お地蔵さんに向かって、つばを吐いているようなものですが お判りですか?
返信する
判りません (浜の偏屈爺)
2007-07-08 12:03:10
Ima 様 今日は お地蔵さんの絵まで見てくださっているので単に悪口とも思えません。しかし余に短すぎるコメントなので貴方のご趣旨が判りません
それとお地蔵さんは「つば位吐かれてもびくともしません」寛大なお心をお持ちの方ですからね
返信する

コメントを投稿

政治」カテゴリの最新記事