秋の夜長に読む本・・
熊野古道周辺の短編今昔物語
古代より歴史があって亡者が住み修験者やお遍路が行き交う土地
堅実で真面目な岩次郎は伝染病で3人の子供を一度に無くし
失意から酒に走り仕事も無くしてしまう
ようやく立ち直り郵便配達になる
配達する場所は魑魅魍魎の住み着く山の中
途中「亡者の辻」と呼ばれる場所があって亡くなった人と出会えると言う
ある日、岩次郎は亡くなった3人の子供をこの山の中で見かける
その他
初めて知ったんだけど‘狸の腹づつみ,と言う言葉があるが
ぽんぽこぽんとか言う音なんだけど
あれって狸が地中の餌を探すのに鼻息で落ち葉をどかす音なんだって
ぽんぽこぽんとか音が鳴るんやろか
江戸下町が舞台の人情噺短編六篇
一篇に前世に自分が生まれ育った家を訪ねると言う直木賞作家さんの有名な小説に類似する話が出てくる
たぶんこの手の話は直木賞作家さんのオリジナルじゃ無くて他にも昔からあったんだろう
最終章、隠善資正の娘・・
吟味方同心の隠善資正は16年前18歳の奉公人に乱暴の上妻を殺され
攫われたのか3歳の娘は行方不明になった
その後、後添いを貰い二人の子供を授かった
隠善が仕事絡みに知ったいかがわしい飲み屋に先の妻に顔が似通った娘がいた
その娘の事がどうしても気になり何度か店に通っているうちに
その娘が実の本当の娘だと言う事を確信する
最後はその娘を身請けして自宅に引き取るんだけど
娘が実の娘だと分かった時のやりとりが泣かせるんだ
蝮(斎藤道三)の孫(斎藤龍興)の話
美濃斎藤家の三代大名居城は稲葉山城14歳で家督を継ぐが放蕩に耽る
一時龍興の放蕩を諫めようとした竹中重治(半兵衛)らに稲葉山城を乗っ取られる
ここんとこの話はいろんな小説などに出てくるが
どうもあやしい
特に司馬遼太郎の功名が辻などにも出てくるけれど半兵衛が龍興を諫めんが為とか
好意的に書いているんだが
その頃の美濃国は小さな豪族や夜盗集団などが群雄闊歩していて
うかうかすると誰かに裏切られ寝首を搔かれる状況だった
そんな時に少数の仲間で稲葉山城を乗っ取った半兵衛は本当に城を龍興に返すつもりだったのか
この本にはそう言った好意的な史実に反して半兵衛が美濃国の支配が目的だったと書かれている
まあ本当はそう言った所だろう
大河ドラマに出てくる竹中半兵衛は役者さんも好人物が選ばれ綺麗事で演出されているが
この本の中では日頃から半兵衛に意地悪をする斎藤飛騨の守を半兵衛は残虐な方法で殺害している
結局半兵衛は人望や統率力が無くて稲葉山城の占拠を維持出来なかったんだ
秀吉の天下統一で軍師として重要な場面に登場する竹中半兵衛
後世に中国の諸葛孔明と並び称される軍師
それにしても半兵衛も半兵衛の子孫も結局は万石を超える大名には成れなかった
同時期の秀吉の枢要な家臣はほとんど大名に取り立てられている
だから秀吉軍団にとって半兵衛の働きやポジションはそれほど大きな物では無かったのでは
江戸時代の7つの島を題材に書かれた短編集が載っている
最終章の隠岐島
佐渡島の水呑百姓の娘に生まれて小娘のときから娼家に売られて苦労ばかりで
生まれて一度も良い思いをしたことが無いと言う娼婦のお町
元流人の亀次郎に死んでもいいから島を出て他所で暮らしてみたいと泣きつき
亀次郎と二人で娼家を足抜けして運良く廻船船に潜り込むが嵐にあって隠岐島に流れ着く
ひょんな事からお町は隠岐島の庄屋の従妹の本百姓の後添いになって居つく
薄幸に生まれた女性が小さな幸せをつかむ
ただこれだけの話なんだが
なんだかホッとする話だね
有名な零戦の初空戦に参加した13人の戦闘機パイロットのうち終戦まで生き残った方が書いた本
光人社の戦記物は小さい頃から愛読していてほとんど読んでいる
この本もずっと昔に読んだ記憶がある
この本が他者の書いた空戦記と違うところは嘘っぽく無い所だ
この方は飛行時間2200時間飛行回数3200回確実撃墜数15機不確実7機
自称撃墜王の方達の書いた本は景気良く随分と盛ってあるんで
僕は空戦物あまりは好きじゃ無い、第一ガンカメラの無かった日本軍機は嘘か本当か分からない
この本は結構正直に書かれている
ある空戦時、こりゃ戦っても落とされるだけと判断した時
戦場離脱と称して低空で様子を伺っていたりする
下手な勇気は死に繋がる
こんなところがこの方を終戦時まで生き残りさせた要因かな
玉岡かおるさんの本
2代将軍秀忠の娘で豊臣秀頼に嫁いだ千姫の話
まだ半分ほどしか読んで無いんだが話の中に秀頼の娘で千姫に命を助けられた天秀尼の事が出てくる
大坂の陣で豊家が滅亡し秀頼自害後、秀頼と側室の間の子男子の国松は処刑されたが
娘の天秀尼は千姫の助命嘆願により仏門に入る事で死を報われ鎌倉の東慶寺に入山した
東慶寺にはいろんな伝説が残されていて有名な甲斐姫伝説などがあって
どれも天秀尼にまつわる話なんだ
僕も東慶寺には東慶寺には何度か行って調べてみたりしたけれど
天秀尼さんのお墓の隣に別のお墓が並んで立っていてその墓が甲斐姫さんのお墓らしいと言う事なんだけど
この玉岡かおるさんの小説の中では天秀尼さんの実の母親つまり秀頼の側室だった人の墓と書かれている
それと言うのも二つのお墓に書かれてある命日は半年しか違わず
娘の死を悲しんだ母親が後を追って半年後に自害して果てたと言う事だ
う~~ん
どっちか分からんけれど全然関係の無い人の墓だったりして
このお墓は東慶寺の鬱蒼とした山道の途中に苔むして残っていて説明文も何も無い
参拝者の誰もがありふれた墓として見過ごして立ち去るんだけれど
お墓の下には本当のところ誰が眠っているんだろう
終戦時に満州と北朝鮮北部から日本に引き揚げて来た二家族のそれぞれの話
大陸から引き揚げて来た悲惨な逃避行はいろんな本が出されているがこの二冊の本は結構有名みたい
流れる星は・・・の作者は有名作家新田次郎氏の奥様
竹林はるか・・の作者は戦後アメリカ人と結婚してアメリカ在住の方
竹林はるか・・はアメリカの中学校の副読本に取り上げられたんだけれど出版後20年も経過した
ある時期に〇国系のアメリカ人団体の発売禁止運動に発展した
作者はアメリカ在住で原書も英語なんだけど日本でこの本が日本語で出版されたのも20年も後なんだ
反戦の話として良い作品でけっして〇国の事も悪く書かれて無いんだけど
一カ所日本人の女性が逃避行中に〇国の男性にレイプされるシーンが記述されていて
その個所が〇国の方を貶めていると言うんだね
だけど戦争に綺麗事ばかりじゃ通じないよ
報道は日本人ばかりを悪者扱いしているけれどそれは違うよ
言っちゃいけないと言うなら一時のジャニーズと一緒だね
今日もいつもの様に仕事が暇なので
仕事中に図書館で借りた本をベッドに寝転んでのんべんだらりと読んでいる
藤田まことさんの自伝のような本
藤田さんって結構仕事に対してシビアで芝居に対して自分の意見を言っている
ボーと読んでいて・・・これは!と言う箇所があった
時代劇の祭りの縁日で侍同士が肩がぶつかった事から決闘になるんだけど
この場面、台本通りにいくらやってもおもしろくない
それもこの場面がこの話のオープニングなんだ
侍の二人が肩がぶつかったからと言って決闘する
これだけじゃ演じる二人の役者に真実味が無くて観る人に理解できない
それで簡単な背景を作った
一人の侍は薩摩藩出の浪人者、江戸の仕官先を探したが断られた
それで浪人役の役者には九州弁を使わせた
たったこれだけの事を演技に付け加えた事で芝居も生き生きとしてきたそうだ
この場面に色を付けたと言うか嵩上げしたと言うか
藤田さんのおっしゃる‘感性,なんだそうです。
感性・・・
感性って大事なんだね
特に商売人には絶対必要条件ですね
繁盛する商売人ってけっこう感性が豊かなんですね
仕事をただ単に惰性で流れ作業の様にする人
何の変化も持たせないでずっと同じベルトコンベアー作業の様に
こう言う商売をする人は大成しないし、お客様に飽きられ結局破局しますね
(まるで僕の様に)
感性豊かな人って他の人と差別化出来て出世しますね、お大臣ですよ
大きな人は
ニトリさんやジャパネットさんにユニクロさんとか
彼らも元を質せば小さな洋服やにカメラや家具屋だ
僕は元を質さないまでもずっと貧乏自営業のままだ
結局、僕に向いている仕事って
乞食ですよ
乞食