遠雷

ようやく仕事が終わった

遠くから雷の音がゴロゴロと

遠雷って奴か

遠雷を聞くと夏の日の思い出が浮かぶな

あの日も遠雷が鳴っていたな

あの日わしは買いたての新品、コンバーチブルの真っ赤なコルベットに彼女を乗せて湘南にいたっけ

そして白い砂浜に焼けるような太陽

そして眩しいようなビキニの彼女

そこに遠雷が

彼女が

「キャーッ怖い」

とか何とか言うもんやから

「ちょっと休んでかない」

とか言っちゃって

そして

海辺のちっちゃな白いホテルで

「もう怖くないからさ」

とか何とかかんとか

そいでもって

・・・

わしもこんな思い出の一つや二つ欲しかったのぅ～

わしゃほんとの夏の日の思い出ちゅうたら

パチンコ屋で熱うなって
パチンコ台睨んでいるおのれの姿しか思い浮かばんもんな

悲しい青春じゃ