テレビに濁流の桂川が映し出されてた
初めて嵐山に行ったのはもう遠い昔、10代最後の初冬
アルバイト先の玩具の配送途中で桂川の土手を走った
道沿いにポツンと今はもう無い、嵐山博物館があった
その日、生まれて初めて降り積もる雪を見たんだ
高速道路の確か琵琶湖バレーの看板が見えた辺り
大阪で暮らした、2年間で見た最初で最後の雪
3度目の受験を間近に控えて、それでももうどうしようもなくお金が無くて
雪が降ったんだからたぶんもう12月頃か・・
こんな事、しちゃいられないんだけどアルバイトに行ったんだ
玩具問屋の倉庫番
友達でぬけさくのシゲルといっしょに
シゲルとはぬけさくコンビだった
倉庫番にはよう肥えた‘とろい,おばはんと
ハゲ頭でひたすら俺らの仕事の見張りをしているじじぃの2人がいた
おばはんとじじぃはひたすらここの倉庫番にしがみ付くしか無い生活を送っていた
おばはんは玩具屋の社員にからかわれながらもただ
「えへへ」と笑っていた
ある日、肥えたおばはんが僕らに言った
「あんたら、うちと一緒やな、社員さんがあんたら2人の事‘とろい,言うとったでぇ~」
社員は倉庫にほとんどいないんだがいちいち見張りのじじぃが報告していた
ある日、社員のえらいさんに・・
「ちゃ~でも飲みに行こか」
とシゲルと2人誘われた
その時、喫茶店でえらいさんにこう言われた
「お前ら将来ろくなもんにならんな」
・・・
あくる年、大阪を脱出した
たぶん、‘とろい,僕は大阪では生きて行けなかったと思う
東京はちょっとだけ・・
ちょろかった?
わはは