ほんまにこりゃハンパや無い暑さだな・・・
まだ小さかった昔、夏の夕暮れ時になると年寄りが表の道路に縁台やボンボンベッド?を持ち出して
夕涼みをしていた。
じぃさんは半そでシャツに腹巻、ステテコ姿
ばぁさんはアッパッパ?を着て
うちわを扇ぎながら
「今日も暑かったのぅ~」とか言いながら
その頃の夏はせいぜい30℃前後だったろうから
こんな酷暑の時代に夕方、縁台出して夕涼みなんかしてたら・・
死ぬな
昔、夕涼みの年寄の周りには小さい子らが集まって
よく年寄りの‘おばけ話,なんかを聞いていた
漁師町だったから海の幽霊が多かったな
「夜、漁しよったら幽霊が出て来て‘柄杓,くれ言うんじゃ」
「ほいたら底の抜けた‘柄杓,渡さないかん」
「底が抜けとらん‘柄杓,渡した船が沈むんじゃ」
幽霊以外では圧倒的に狸の話が多かったな
「川遊びに夢中になって気が付いたら日が暮れてしもうた」
「ほいたところが川の上から屋形船が来るんじゃ」
「よう見たら、船に乗っとる船頭もお客も皆、たぬきなんじゃ」
子供らそんな話を聞きながら
「ほぅ~」
とか口を開いて
「トメさんが日の暮れの岬の突堤に突っ立って今しも身投げしようとしとってな」
「それを見た、皆がトメさんに飛び込むな!と叫ぶんやが」
「トメさんの後ろの暗闇から狸の奴が」
「飛び込め~飛び込め~とけしかけるんじゃ」
「それでとうとうトメさんは身投げしよってな」
「あんな時は反対に‘飛び込め~,と叫ばんといかん」
「たぬきっちゅーもんは人と反対の事をするんや」
そんな話を聞きながら
将来、たぬきに騙されようとした時は反対の事を言わないかんなと
子供心に思ったな
なかなか含蓄のあるじぃさんの喩えやったな