おととい夜中に雨が降った
ベッドの上で微睡んでいたらパラパラパラと音を立てて雨が降っていた
パラパラパラ
うつらうつら雨音を聞いていると過去のいろんな場面がうっすらと脳裏に浮かんできた
所々断片的な風景、光景、出来るだけ嫌な事は思い出したくないし
楽しかったことなんて皆、忘れてしまった
パラパラパラ
小刻みで心地よい雨の調べが続く
船に乗っている
神戸港
バッーン!バッーン!バンバン!
驚くほど大きなドラの音
ピッピッーピッー!
港に響き渡る甲高い警笛の音
宝石箱をひっくり返したような神戸港の夜景
乗船客はデッキで降りる順番を並んでいる
フェリーボートが寂しげな電燈の灯る真っ暗な岸壁に近付く
パラパラパラ
雨が屋根に降り注ぐ
乗客のまばらな終電間際の阪神電車
地下の駅
階段の上の阪急電車
茶色い車体と四条河原町行きのプレート
ガタンゴトンガタン
誰もいない小さな駅
寝静まった町
薄暗い部屋
湿気った万年床
遠くに聞こえる回送電車の警笛
パラパラパラ
雨の音が聞こえる