HIROZOU

おっさんの夜明け

銀杏並木

2019-11-26 09:01:56 | メモリー

18歳の秋、御堂筋を歩いていた

革ジャンもどきのジャンパーに安物の黒いジーンズ

肩を落として歩く街は黄色い銀杏の葉が舞っていた

その頃、阪急高速降り口近くの浪速予備校に通っていたが

予備校より阪急東通り商店街のパチンコ屋への出席率の方が高かった

華やかな阪急三番街のショーウィンドウがオケラの身につまされた

阪急ホテル前の高い天井を見上げたらアホツラにツーと鼻水がたれた

地蔵横丁の紀伊国屋から松山千春の旅立ちが聞こえてた

19歳の秋、四条河原町を歩いていた

比叡おろしが吹きすさび銀杏の葉を舞い上げた

ミカドと言う名のパチンコ屋に入れあげて帰りの電車賃までつぎ込んだ

八坂の森に向かってふらふらと歩き出す

四条大橋から鴨川をのぞき込んだら川面にまぬけ面が映った

花見小路の石畳を建仁寺に向かうと途中場外馬券場があった

馬券買いのおっさん達に交じって

ふーっ!とタバコを一服したら自分の居場所を発見したようですごくその場に和んだ

20歳の秋、青山通りを歩いていた

赤いスタジャンにバスケットシューズ

その頃、赤坂見附のパチンコ屋に嵌っていた、

渋谷のアパートまで歩いて帰ると

青山一丁目から神宮外苑、表参道、街は銀杏の紅葉を魅了された人でいっぱいだ

オケラの僕は銀杏を愛でる気にならなかった

原宿の同潤会アパート前の歩道橋の上から

「ケッ!あほんだら」

とつぶやいた



コメント
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