司馬遼太郎の小説「幕末」の3話「花屋町の襲撃」を読んだ。
題材は幕末、龍馬、慎太郎亡き跡の海援隊士、陸援隊士と新撰組が戦った「天満屋事件」
事件の概略は避けるが登場人物に陸奥宗光、三浦安、斎藤一などがいる
襲撃側の陸奥は後に外務大臣、襲撃された側の三浦は後に貴族院議員から東京府知事
二人は元紀州藩出身で陸奥の方が一回り以上年下だが議会なんかで顔を合わす事もあっただろうが心境的にはどうだったんだろう?
案外仲が良かったりして・・
新撰組を取り扱った映画やテレビドラマに必ずと言って登場する斎藤一
そしてこの事件で初めて歴史の表舞台?に登場する人物がいる
陸援隊士岩村精一郎だ
知る人は少ないと思うが岩村は戊辰戦争から明治維新にかけて歴史の重要場面で再三にわたって登場する
精一郎自身はそんなに有名じゃないが歴史上の有名人との大きな接点が多い
精一郎を調べると評価は低いと言うより明治維新の登場人物で一番の悪人かも知れない
これは文豪、司馬遼太郎の小説が寄与してる点が大きいだろう
文豪が自身の小説で悪い奴となったら後世の人間はそう受け止めてしまう
陸援隊に入隊したのは龍馬、慎太郎亡き後だ
天満屋事件の後すぐに高野山挙兵から戊辰戦争、北越戦争時は東山道先鋒総督府軍監その時、弱冠23歳
小千谷で河井継之助で会談するが会談は決裂
原因は若輩者の精一郎の横柄な態度などらしいが
確か司馬遼太郎の「峠」?か何かにこのシーンが書かれてあった。
精一郎の若さを別としても国を二分するかの戦の中で継之助が訴える長岡の中立が許されただろうか、論じ合う余裕など無かったのではないか
精一郎は戊辰の功で永世禄高200石を貰っているからそれだけの働きもあったんだろう
戊辰後、順当に出世して行き
次に歴史上の重大事件、江藤新平の佐賀の乱に登場する
大久保利通の内密を受けて鎮圧に乗り出すんだが、これもあたかも精一郎が引っ搔き回して止むなく江藤が内乱を起こしたかのようになっている
江藤はその後、打ち首
長岡だけじゃなく佐賀に置いても精一郎の悪名が残った
おまけに新撰組の近藤勇の処刑命令も精一郎が行ったとする記録もある
精一郎はその後貴族院議員から男爵
歴史上、精一郎の悪名だけが取りざたされているが果たしてそう言う人物だったんだろうか
功績や人物評価が高かった記録もあるがそれにも増して司馬遼太郎の小説の中のイメージが大きい
維新の重要場面にこれ程登場している精一郎だが彼自身は無名に近い
波乱に跳んだ精一郎の明治維新はこの天満屋から始まった
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