小学校六年生の頃、放送委員を務めていた。週に何回か校内放送で学校生活の注意事項などしゃべった記憶がある。優等生的なところがあって先生の覚えもよかったと思う。「6月10日は時の記念日です。皆さん時間を守って行動しましょう」のようなことを台本通りに話したと思う。もちろん時の記念日がどうしてその日なのか疑問に思うこともなく。
戦前生活改善運動として、時間を守り欧米並みに生活の改善、合理化を図ろうと制定されたらしい。今や日本人の時間規律は厳しく正確だと知られている。列車の運行時刻がよい例で、わずかな遅れでも許されない風潮だ。
由来は「日本書紀」天智天皇十四年(671)に記述に「漏刻ヲ新しき台に置く。始めて候時を打つ」とあるらしい。日本で初めて時計が打った日が6月10日であるとして記念日となった。漏刻とは水時計のことで昼夜を問わず、また天候に左右されず一日中時を知ることができたという。天智天皇は大化の改新で蘇我入鹿を討った中大兄皇子で、改新後永く摂政に留まり時を待って即位したという。
時間だけは誰にも平等に与えられ、二度と戻すことはできないという。校内放送で話した日から三十年以上たち、過ごした時間の長さをしみじみと感じている。