安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

公共交通と原発を中心に社会を幅広く考える。連帯を求めて孤立を恐れず、理想に近づくため毎日をより良く生きる。

心ある首都圏住民に告ぐ~2021年、地方移住の勧め

2021-01-03 10:26:06 | その他社会・時事
当ブログ管理人は、この年末年始、帰省もせず、道内の自宅でゆっくりと過ごした。とはいえ、まったく外出しないのも身体に良くないので、気分転換を兼ねて散歩程度の外出はしている。だがそこは全国一人口密度が低い北海道だ。札幌市内を除けば、道内には「密」になるような場所はほとんどないため、感染拡大の心配はする必要がない。

とはいえ、この間、各地を回ってみて新年早々がっかりした。安倍前政権が提唱した「働き方改革」の下、昨年までは低賃金長時間労働が常態化したサービス業を中心に「働き方を変えよう」「せめてお正月くらいは休業しよう」と一丸となって努力していたのに、あれは何だったのか。「働き方改革」などウソのように、どこもここも、揃いもそろって元日から初売りだ。

新型コロナウィルス感染の拡大が止まらない今年のお正月こそ「密」を作り出さないため、休業が最も効果的なはずだ。だが、サービス産業のほとんどは「今日稼いだ資金で明日の開店準備をする」という究極的日銭商売、自転車操業だから、緊急事態宣言以降の営業短縮で経営が悪化し、もはや休んでいる余裕もないのだろう。新年早々、働き方改革もどこへやら、わざわざ開店して作り出す必要もない「密」を自分から作り出している。

日本人、そして日本企業の「思考停止病」「変わりたくない病」は、ある意味では新型コロナなんかよりよほど深刻で、日本の製薬業界はコロナワクチンより「変わりたくない病」治療薬の開発の方が先ではないか。新年早々、そんな嫌みのひとつも言いたくなる。

首都圏1都3県の知事が、深刻な医療崩壊の危険を察知して、政府に緊急事態宣言の再発令を求めているのに、政府は相変わらず経済を優先したいらしく、発言に慎重な姿勢を崩さない。当ブログは、罰則付き緊急事態宣言の再発令もやむなしの立場だが、仮に再発令しても「もうこれ以上何を自粛しろというのか」という人と「自分には関係ない。自粛するくらいなら逮捕されてもいい」とあくまで反自粛を貫く人に二極化、分断していて、もう効果はないだろう。残念ながら、1月から2月にかけ、首都圏1都3県の医療崩壊は事実上、確定したと言っていい。

とはいえ当ブログ管理人に驚きはない。むしろここまでの展開は当ブログの予想通りに進んでいる。政府がこれまでに取ってきた対応は、10年前の原発事故の時とそっくりだ。あのときも政府はあくまで「経済」「復興」(=ゼネコンボロ儲けの「ハコモノ乱造」)が最優先。民主党政権当時「コンクリートから人へ」のスローガンの下で虐げられてきたゼネコン業界の「逆襲」ともいうようなすさまじい「ハコモノ・トンカチ行政」が続けられた。「福島復興」と東京五輪のおかげで日本に20社近くある大手・準大手・中堅ゼネコン全社が戦後最高の増収増益。高度成長期でもあり得ないようなでたらめぶりだった。

一方、高い放射線量下で鼻血が止まらないなどの身体症状がひどく、福島からの自主避難を考え、実行した人もいる。その数は約4万人。人口200万人の福島県民の2%、実に50人に1人が自主避難の道を選んだ。学校1クラスに1人、いるかいないか。それほど多くの福島県民が当時、自主避難の道を選んだ。

政府は当時、自主避難を選ぶ人たちを「神経過敏」「鼻血もストレスが原因」など意味不明の反科学的言説で攻撃し、孤立させる作戦を採った。この年末も、福島県庁の「バカ役人」どもがわざわざ福島県内に残っている自主避難者の家族を戸別訪問(「三密」回避なのに!)してまで「家族としても避難者の住居からの退去に協力をお願いしたい」と避難者「叩き出し」策動を続けている。反科学的で、どんなエビデンスを突きつけられても命より経済が優先なのは、福島原発事故の時に嫌というほど見せつけられた。当ブログにはその「原体験」があるから、どうせコロナでも同じ対応になるだろうと、自民党には期待しないどころか「逆の意味で期待」している。どこまで人命を切り捨てて経済最優先を貫けるか、という「期待」(もちろん皮肉)である。

自民党は「経団連党」なので、国民の命よりゼネコンの利益のほうが優先なのは当然だろう。今さらそんなこともわからない人は、一体何年日本人をやっているのか、と思ってしまう。問題はそんな党が選挙で勝ち続けていることにあるのだが、それは選挙に行かない有権者が半分近くいるからだ。とはいえ、「聖人君子」が出馬しない限り投票所には行かないと固く決意している「純朴な無党派層」に何度「選挙に行け」と言ってももはや理解はしてもらえなさそうなので、今後も自民党政権はたぶん安泰だろう。

では、どうすればいいのか。この出口なき八方塞がり状態に、打開策はあるのか。ひとつだけだが、ある。その答えは、10年前に2%の福島県民が教えてくれている。どこに行っても「密」だらけでもはや手の打ちようのない東京から、1人でも多くの人が地方に避難、移住することだ。

特に、若い頃、地方から進学や就職のため東京に出てきて、引退後もそのまま東京に住んでいるが、出身地には今でも実家があるという人。年金暮らしをしているけれど、現在の自宅が持ち家ではなく賃貸や「サ高住」(サービス付き高齢者住宅)で、いつでも引き払えるという人。地方に別荘があり、別荘を本拠地にしてもいいな、と思っている人。東京と地方の2地域居住を始めていたり、興味を持って情報収集をしている人。まずは高齢者の中のそんな人たちからでいい。年明け、社会活動が再開したらすぐにでも、地方に移住すべきだろう。

地方では、車を持っていないと移動に大きな制約がある点が心配だと思うが、比較的公共交通機関が整っている県庁所在地や政令指定都市の郊外がお勧めだ。年金の支給額は全国どこに住んでいても同じなので、家賃の安い地方のほうが生活水準を上げることができる。「密」を避けられ、コロナに怯えなくてすむ。県庁所在地や政令指定都市なら適度に都会なので、いかにも「ムラ社会」にありがちな排他的人間関係に苦しむ心配もそれほどない。賃金は高くないけれど、年金の足りない額を補う程度の収入でいいなら、地方にもサービス業を中心にシルバー世代向けの仕事はある。経験値の低い若者より、社会経験を積んできたシルバー世代のほうが安心して雇える、という企業も地方にたくさんある。老後の「第2の人生」を考える上からも、悪くない選択なのではないか。

当ブログ管理人は、今年で50歳になる。この間、東京一極集中問題は議論されており、私が子どもの頃も「多極分散型国土形成」がスローガンだったが実現しなかった。半世紀、実現できなかったことが、コロナ禍で無能をさらしている今の政府や自治体にできるはずもない。であるなら、国民みずから率先して首都圏を出て行き、地方に活路を求めるしかない。

原発事故当時、自主避難した人たちに対するあの殺されるかと思うほどの壮絶なバッシングを思うと、目立たず静かにやる方がいい。親しい人だけにきちんと挨拶し、住み慣れた首都圏を出て、地方に第2の人生の拠点を定める。コロナに収束のめどが見えない2021年から数年先の日本社会は、おそらくそんな姿になるのではないか、という気がする。

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