安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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【福島原発刑事訴訟第1回公判】指定弁護士の冒頭陳述

2017-06-30 23:35:31 | 原発問題/福島原発事故刑事訴訟
福島事故で強制起訴、初公判 東電元会長ら無罪主張「予測は不可能」(東京)

今日、東京地裁で開かれた福島原発事故刑事訴訟で、勝俣恒久・東京電力元会長ら3被告は、全員が「予見可能性はなかった」として無罪を主張した。道義的責任は感じても、刑事責任は取らないという被告らの姿勢に、福島県民、被害者らは怒りを向けている。

なお、当ブログは、今日の公判で検察官役の指定弁護士が行った冒頭陳述書を入手した。これを見ると、今回の裁判で争点となっている内容が理解できると思う。こちらから見ることができる。

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【管理人よりお知らせ】安全問題研究会サイトに「九州新幹線西九州ルート問題の経緯と今後の予測及び北海道「維持困難線区」沿線との連携について」を緊急掲載しました

2017-06-29 21:19:47 | 鉄道・公共交通/交通政策
管理人よりお知らせです。

安全問題研究会サイトに「九州新幹線西九州ルート問題の経緯と今後の予測及び北海道「維持困難線区」沿線との連携について」を緊急掲載しました。

「順調に建設」されていたはずの九州新幹線西九州ルートで、重大問題が発生しています。新幹線と在来線を直通運転するために必要なフリーゲージトレイン(軌間可変式車両)の開発計画が頓挫し、JR九州が早ければ来月にも、フリーゲージトレイン実用化から手を引く見通しが強まっているためです。

このほか、西九州ルートに関しては、並行在来線が三セク転換されず、上下分離(下:沿線自治体、上:JR九州)となるため、JR貨物に国から貨物調整金は支給されず、沿線自治体による線路使用料引き上げ要請にJR貨物が応じない事態も予想されます。

いわば、JR北海道が求めている「市町村主体、貨物調整金も地方交付税による線路維持費補てんもなし」状態での上下分離を受け入れた場合に、沿線自治体でどのような事態が起きるかのモデルケースになる可能性があります。

こうしたことを念頭に、今後予想される事態について考察しています。こうした論考をしておくことは、北海道の沿線自治体にとっても、大いに頭の体操になると思います。

なお、この件に関するメディア報道は以下の通りです。

・長崎新幹線フリーゲージ断念の方向 安全性や費用ネック(2017.6.14「朝日」)
・新幹線長崎ルート FGT見送り案 県、戸惑い「断念ない」 フル規格化「負担できぬ」(2017.6.15「佐賀新聞」)

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<加計学園問題>獣医学部をめぐる「本当の問題」は何か

2017-06-28 22:08:15 | その他(国内)
(当エントリは、当ブログ管理人が月刊誌「地域と労働運動」2017年7月号に発表した原稿をそのまま掲載しています。)

 岡山県の学校法人「加計学園」が愛媛県今治市に開設を予定している獣医学部をめぐり、開設予定地の土地が加計学園に無償で払い下げられたとされる問題に関連して、獣医学部の現状を以下の通り述べておきたい。

1.現存する獣医学部

 まず、現在日本国内で獣医学に関連する学部学科を置いているのは以下の16校である。



2.獣医師をめぐる現状

 獣医師法を所管する農林水産省が公表している最新版(2014(平成26)年)のデータによると、現在、獣医師免許保有者は全国で約39,100人。その内訳は産業動物(牛・豚・鶏・馬・羊・山羊など)の診療業務をしている者が全体の11.0%、農水省、厚労省、保健所・家畜保健衛生所(各都道府県に設置)などの官公庁に勤務する公務員が24.2%、小動物診療(動物病院など)が38.9%、その他が14.2%。この他、獣医師免許を持ちながら獣医師業務に就いていない者(いわゆる「ペーパー獣医」)が11.6%となっている。

 注目すべきなのは、産業動物診療に従事している人よりもペーパー獣医の数の方が上回っていることである。この背景については3で考察する。


出典:「獣医事をめぐる情勢」(農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課、2016年)

 獣医師になるには、獣医学部・学科を卒業し、獣医師国家試験に合格、獣医師免許を受けることが必要である。獣医学部はかつては4年制であったが、1983(昭和58)年から医学部などと同様、6年制となった。獣医系学部学科を擁する大学は1で見たとおり、全国で16校ときわめて少なく、国立大学の募集定員は毎年30~40人程度のことがほとんどである。私立大学ではこれより多く、100名を超える獣医師希望者を入学させているところが多いが、獣医系学部学科を擁する私立大学は首都圏に集中しており、6年制であることとあいまって多額の学費がかかるため、首都圏の富裕層の学生以外にはほぼ門戸が閉ざされているのが現状である。

 獣医学部を卒業した者の就職先は、公務員(農水省、厚労省、地方自治体の保健所、家畜保健衛生所)、(2)産業動物診療(全国各地の家畜・畜産農協など)、(3)小動物診療(動物病院、動物園など)にほぼ限定されており、多額の学費を要する割には就職先が少ないのが実情である。近年、特に人気を集めているのが(3)の分野で、独立して動物病院を開業した獣医師の中には年収が3,000万円を超えるケースも見られる。

 ペットとして飼われている頭数(2015年現在)は犬が992万頭、猫が987万頭で計1,979万頭。一方、0~14歳の子どもの人口(2015年現在)は1,617万人。すでに日本は「14歳以下の子どもよりも犬・猫の方が多い」という状況に突入している。調べたわけではないが、この数字を見る限り、日本では小児科より動物病院の方が多くても別に不思議ではない。

 日本で、少子高齢化と空前のペットブームが同時進行していることが示されている。ペットのうち、犬は2008(平成20)年以降、頭数が急速に減少しているが、猫は横ばいか微増で推移。一方で子どもの人口が右肩下がりで減少しているため、このような状況が生まれている。高齢者が犬を引いて散歩している姿は今や日本の日常風景だ。


出典:左「獣医事をめぐる情勢」 右「我が国の子どもの数~こどもの日にちなんで~」(総務省統計局、2015年)

 獣医系学部学科を卒業後の獣医師の就職先は2で見たとおりである。このうち(1)公務員の年収は一般的な事務職公務員とほとんど変わらず、30~40代の中堅で500万円程度が相場だろう。仕事の内容は保健所での犬の予防接種や、道路で車にひかれた動物の死体の処理など、重要だが地味で目立たない仕事が多い。それほど高給でない代わりに、産業動物を扱う機会は多くなく、重労働でないため、安定志向の人には向いている。実際、獣医師の4分の1がこの分野への就職である。

 (2)産業動物診療は、最も人手不足に苦しんでいる分野である。就職先である家畜・畜産農協は小規模で経営が苦しいところが多い。扱うのは産業動物がほとんどで、重労働である割には待遇が低い(公務員以下のところが多い)ため、獣医師志望者には長く敬遠されてきた。

 獣医師志望の女子小学生が大人になって夢をかなえ、新潟県内の家畜農協で獣医師として活躍を始めるまでを描いたドキュメンタリー「夢は牛のお医者さん」(2014年、テレビ新潟制作)が日本獣医師会の推薦映画となり、全国で獣医師会による自主上映が開催されるなどの出来事もあった。最近の農水省による「産業獣医増加」キャンペーンもあってこの分野の仕事の重要性が認識され、徐々に志望者は増えつつある。それでも、この分野に進む獣医師は11.0%に過ぎず、「ペーパー獣医」さえ下回っている。

 (3)の小動物診療についてはすでに見たとおりであり、独立開業した動物病院経営者の中には年収が3,000万円を超えるケースもある。扱うのは犬、猫、小鳥などがほとんどで、重労働でない割には「実入り」がよいため、商才のある人を中心に、獣医師の4割がこの分野に進んでいる。

3.獣医師をめぐる「本当の問題」は何か

 以上、最近の獣医師と獣医系学部学科をめぐる情勢を見てきた。ここまでの考察で明らかになったとおり、日本の農業(畜産・酪農)の維持発展を図る上で最も重要な産業動物診療分野に進む獣医師志望者が極端に少なく、ペーパー獣医が産業動物診療分野への就職者を上回って全体の1割を超える点こそが、獣医師をめぐる最大の問題である。

 重労働で、かつ有意義な仕事でありながら、その国民経済・社会に対して果たしている貢献・重要性が正当に評価されず、低待遇が放置された結果、有資格者が大量に眠ったまま出てこない状態が長期にわたって続いているという意味において、保育士・介護士などと同様の構造的問題がある。今、獣医師に対して早急に日本社会がなすべきことは、その仕事の重要性を正当に評価し、獣医師の待遇を引き上げ、即戦力でありながら眠ったままのペーパー獣医の獣医師業務への復帰を促すことである。

 この観点に立つならば、「重労働・低待遇」を放置したまま、単に獣医師への門戸を広げるだけでは問題解決にならないことが理解されるだろう。元々志望者が殺到する分野でない、特殊な世界であることは、全国16大学の獣医系学部学科の募集定員が年1,000人に満たないことからも明らかだ。1966(昭和41)年、北里大学が青森県に開設した獣医学部を最後に、半世紀以上にわたって国が獣医学部の新設を認めてこなかったのにはこのような理由がある。

 加計学園に獣医学部の設立を認める安倍政権の方針は、その意味でも唐突すぎるものであり、安倍首相直属案件として「オトモダチ」加計孝太郎理事長への便宜を図ろうとしたとの指摘は間違っていない。最近の「安倍1強」体制下での安倍政権の腐敗と公共領域の私物化は目に余る。本資料を安倍政権追及のための一助としていただければ幸いである。

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<安全問題研究会声明>JR西日本歴代3社長「無罪」判決を超えて~判決の評価と今後の闘いのために~

2017-06-27 22:09:06 | 鉄道・公共交通/安全問題
尼崎JR脱線事故 歴代3社長の無罪確定 異議申し立てなく(神戸新聞)

歴代3社長に刑事責任は問えず JR福知山線事故「無念」幕引き(サンデー毎日)

上記記事ですでに報じられているように、JR福知山線脱線事故をめぐり、1審神戸地裁、2審大阪高裁の無罪判決を不服として、検察官役の指定弁護士が行っていた上告が6月12日、最高裁に退けられた。これで、歴代3社長の無罪判決が確定する。

なお、この無罪判決確定を受け、安全問題研究会の声明を以下のとおり発表する。

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<安全問題研究会声明>JR西日本歴代3社長「無罪」判決を超えて~判決の評価と今後の闘いのために~

 2005年4月25日、JR福知山線で快速列車が脱線・転覆、107名が死亡した尼崎事故に関し、6月12日、最高裁は、業務上過失致死傷罪で強制起訴されていたJR西日本歴代3社長(井手正敬、南谷昌二郎、垣内剛の各被告)を無罪とした1、2審判決を支持し、検察官役の指定弁護士の上告を棄却する決定を行った。指定弁護士は異議を申し立てず、6月20日をもって無罪判決が確定。「これだけ多くの犠牲者を出しながら、なぜ誰ひとり責任を問われないのか」という遺族・被害者の疑問に司法は答えず、「日本企業犯罪無責任史」に新たな1ページを加えるだけに終わった。

 そもそも2015年3月の2審判決から2年もの間、1度の弁論も審理も開かず棚ざらしにしたまま、最高裁は何をしていたのか。司法の怠慢と言わざるを得ない。

 当研究会は、2010年の強制起訴以来7年にわたったこの裁判がまったくの無意味であったとは思わない。確かに判決結果だけを見る限り、事故の真相究明と責任追及の両面でこの裁判は大きな成果をあげることなく終わった。だが、史上初めて犯罪企業のトップを被告人として法廷に引きずり出し、被害者による直接尋問を実現させたこと、JR西日本が事故の大きな原因とされた日勤教育を廃止、ヒューマンエラー(人為ミス)を社内処分の対象から除外し、エラーの積極的な報告を求める姿勢に転換したことなどはこの裁判がもたらした大きな成果だ。裁判と直接の関係はないが、鉄道事業者の裁量に委ねられていた速度照査型ATS(自動列車停止装置)の設置がこの事故の直後に義務化されたことも、107名の貴い犠牲がもたらした確かな前進として評価すべきである。

 一方、事故の予見可能性が最大の焦点となり、それが否定される形で3社長の無罪が確定した今回の結果は、今後の企業犯罪訴訟に大きな負の影響を及ぼすだろう。安全対策は企業・経営者が危険を予見することによって始まるものだからである。事故を予見できなかったことが無罪の根拠とされる一方、危険を予見してきちんと安全対策を講ずる事業者が予見可能であったが故に有罪に問われることになれば、まじめに安全対策を講ずる企業・経営者ほど損をすることになる。社会全体で安全対策が後退し、かえって危険な社会が到来する結果を招くことになりかねない。当研究会はこの点を強く危惧しており、事故の予見可能性が最大の焦点となる現在の企業犯罪訴訟の流れは変える必要がある。当面の闘いの方向性として、予見可能性の有無にかかわらず、事故がもたらした結果の重大性のみに着目して経営者の量刑を決めるよう司法に求めることが必要だ。

 「法人組織としてのJRの責任を問うのであれば(指定弁護士側の主張は)妥当する面がある」。2015年3月、大阪高裁での2審判決で裁判長がこのような異例の判示をしている。遺族の一部が求めている組織罰法制(企業に対する罰金刑を規定するもので、英国の「法人故殺法」の例がある)の必要性に司法みずから踏み込んだものであり、注目すべき内容だ。企業経営者個人の罪しか問えない現行刑法に対する問題意識が特定の一裁判官だけにとどまらず、司法内に広がりを見せていることを示している。

 組織罰法制を求める動きに対しては、「企業が証拠を隠す恐れがあり、真相究明につながらない」とする反対意見がある。これらの意見が、過去、公共交通の安全問題に真剣に取り組んできた専門家からも出されていることは残念だ。企業に無限の罰金刑を科することができる「法人故殺法」を制定した英国では、公共交通機関の事故が3割も減少したと評価されている。企業に安全対策を行わせることによって事故を未然に抑止することこそ組織罰法制の真の目的であり、反対している専門家はそれを理解していない。

 グローバル企業の手を縛り、あるべき責任を負わせていく組織罰法制の整備に向けた運動展開が今後の課題であり、そのために運動側の構想力、組織力、行動力が問われている。遺族からのこの問いに、私たちは全力で応える必要がある。

 安倍政権は、この問いに応えるどころか、犯罪企業を守るために、組織化されてもいない一般市民を処罰する「改正組織犯罪対策法」(共謀罪法)を強行採決した。私たちが望む法整備とは正反対の道を進み、立憲主義も法の支配も破壊する安倍政権に代わる、政治変革可能な勢力を生み育てることが、私たち市民にとってますます重要かつ喫緊の課題になっている。

 JR史上最悪の悲劇となった尼崎事故をめぐって、JR西日本歴代3社長の刑事裁判の結果が確定した今年は、奇しくも国鉄分割民営化から30年の節目の年でもある。国鉄労働者に不当な攻撃を浴びせ、国家的不当労働行為の露払い役を務めた挙げ句、汐留の旧国鉄用地を格安で払い下げられた大手メディアは、節目の年にも沈黙を守り、その負の歴史を伝えないことで「国鉄改革は大成功」と宣伝し続ける政府のお先棒を担いだ。ぼろ儲けの本州3社、上場を果たしたJR九州、バブル期以来の鉄道事業営業黒字に沸き立つJR貨物だけを見ていると、国鉄改革「大成功」の幻覚に目まいがしそうになる。

 だが、事実がすべてを語っている。実質的倒産状態となったJR北海道は全営業キロの半分を「JR単独では維持困難」として、地域社会を顧みない路線廃止を強行しようとしている。四国でも路線別の収支を公表する動きが出るなど、廃線危機が表面化する寸前だ。1047名の被解雇者、150人にも及ぶ事故犠牲者、そして「病院にも学校にも通えない」と悲鳴を上げる北海道の地域住民を切り捨てたまま、巨大なカネを持て余したJR東海はリニア建設へ突き進む。国鉄の線路を引き継いだ「兄弟会社」であるはずのJR北海道の危機を前に、国も、道も、他のJR各社のどこも救いの手を差し伸べない――まるで漫画のような巨大な悲劇が進行している。

 日本の鉄道のために日夜、血と汗を涙を流してきた先人たちは、果たしてこんな姿を望んだだろうか。先人たちの幾多の犠牲は、こんな無残な姿の鉄道を生むためだったのだろうか。その答えは断じて否である。日本中にあらゆる悲劇をもたらし、破たんしたまやかしの国鉄「改革」は歴史のごみ箱に捨てられるべきである。

 鉄道国有化を公約に掲げた英労働党は堂々と闘い前進した。大義は私たちの側にある。当研究会は、すべての鉄道労働者、地域住民、貴い犠牲を払ったすべての事故遺族が報われる真の鉄道改革、制度疲労が露わになった民営JR7社体制の抜本的な見直しを強く求め、今後もあらゆる行動を続ける。

 2017年6月27日
 安全問題研究会

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今朝の長野県南部の地震について

2017-06-25 21:45:25 | 気象・地震
平成29年6月25日07時02分頃の長野県南部の地震について(気象庁報道発表)

日曜朝、遅い時間まで寝ていようと思っていたのに、早朝、タブレット端末の地震速報で叩き起こされた。震源は長野県南部。最初は驚いたものの、その驚きはすぐに解消した。長年にわたって地震観測・分析を続けてきた当ブログにとって、思い当たることの多い場所だからだ。

まず、震度5強を記録した王滝村という地名に覚えがあった。古い話になるが、1984(昭和59)年9月に起きた長野県西部地震で大きな被害を受け、当時、大々的に報道された場所だ。平成の大合併も行わず、王滝村の地名が今なお残っていることは知っていた。

その長野県西部地震と今回の地震を比較してみて、震源地が非常に近いことに驚いた。気象庁の報道発表の6ページにも記載されているが、位置関係を示すと以下の通り。



さらに、2014年に大噴火を起こした御嶽山からも非常に近いことがわかる。気象庁は火山噴火と地震が「連動」するとの説に対し、公式には否定的な姿勢だが、木村政昭・琉球大名誉教授のようにかねてから地震・噴火連動説を採る学者も存在する。御嶽山噴火と今回の地震が連動しているとの考え方も一定の説得力を持っている。

長野県西部地震から起算して、御嶽山噴火は30年後、今回の地震は33年後であり、これも関連は薄いように思われる。しかし、70億年といわれる地球の「一生」の中で30年はわずかな誤差の範囲内であり、これも関連している可能性を見ておくべきだろう。

気になるのは、今回の地震の規模、震度のいずれも長野県西部地震と比べて小さいことだ。長野県西部地震では、王滝村で震度6(烈震)を記録したのに対し、今回はやはり最大震度を記録した王滝村でも震度5強だ。1984年当時の震度は1~7の7段階制で、王滝村の震度6は上から2番目だった。現在は震度1~7までで一見、当時と変わらないように見えるが、震度5と6に「強」「弱」の区別があるため9段階制で、今回の地震における王滝村の震度5強は上から4番目に過ぎない。

地震の規模で見ても、長野県西部地震がM6.8であるのに対し、今回の地震はM5.6とかなり小さい。マグニチュードが1小さいと地震のエネルギーは約32分の1であり、この意味からも今回の地震は長野県西部地震のレベルにはまったく達していない。

今回の地震が最終的に長野県西部地震並みの活動規模になるかどうかはわからないが、仮にそうなるとすれば、もう1段大きな「本震」がこの後にあるかもしれない。長野県西部地震で被害の大きかった地域を中心に、震源に近い地域では十分な警戒をしてほしい。

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平成29年6月20日23時27分頃の豊後水道の地震について

2017-06-21 23:59:44 | 気象・地震
平成29年6月20日23時27分頃の豊後水道の地震について(気象庁報道発表)

昨夜起きた地震では、久しぶりに携帯アプリの地震速報を聞いた。この地震速報が作動したのは、2月28日の茨城県沖地震以来、3ヶ月半ぶりだ。ようやく熊本地震の余震活動も収まってきたと思っていたところだけ、不意を突かれた。

最大震度は佐伯市で5強とかなり大きかったが、地震の規模自体は大きくなく、M5.0。日本付近では月に1~2度は起きている規模である。震源が陸地に近かったことが大きな揺れにつながった。

プレス発表を見ると、発震機構(地震のメカニズム)は北西-南東方向に張力軸を持つ型(速報)で、張力軸の方向は昨年4月の熊本地震と同じ(熊本地震は横ずれ断層型と発表されている)。震源地も熊本地震とその余震域を北東に延長した先にある。中央構造線からはわずかに南にずれているがきわめて近い(武蔵野学院大の島村英紀特任教授のように、中央構造線の上で起きた地震と明快に言い切っている学者もいる~参考記事)。

気象庁は今回の地震を「熊本地震とは別」としているが、完全に別と言い切るのは危険な気がする。熊本地震の余震活動でないとしても、熊本地震に誘発されて起きた関連地震のひとつに位置づけていいのではないだろうか。

不気味なのは、熊本地震発生以降、中央構造線に沿って震源域が徐々に北東に移動していることだ。今回の震源地が今後、さらに北東に移動すれば、その先には伊方原発がある。国民の意見にまったく聞く耳を持たない安倍政権には、何億回言ってもおそらく無駄だろうが、この状況はかなり危険だと思う。原発を止めさせるために、今すぐ安倍政権を打倒しなければならないと思う。


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【転載記事】『常陽』の近くの施設で作業員被ばく事故 背景には『常陽』再稼働へむけての動きがある

2017-06-08 21:57:16 | 原発問題/一般
6日に発生した原子力機構大洗研究開発センター事故の背景に「常陽」の再稼働問題があるとの情報が入ってきた。反原発運動に古くから取り組んでいる「たんぽぽ舎」メールマガジンから、この事故に関する記事を転載する。

なお、この記事を執筆した相沢一正さんは、日本の「原子力誕生の地」東海村で長く反原発運動に携わってきた。茨城県東海村の反原発運動は、この人を抜きにしては語れないというくらい、重要な役割を果たしてきた方である。

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『常陽』の近くの施設で作業員被ばく事故 5人のプルトニウム・ウラン粉末被ばく事故がおきた 背景には『常陽』再稼働へむけての動きがある-阻止しよう

相沢一正(脱原発とうかい塾)

 「安心も安全もないままに、また1基、原発が動き出」したと評される(東京新聞6/7)、関西電力高浜原発3号機の再稼働が強行された同じ日(6/6)、茨城県大洗町の原子力機構大洗研究開発センターの施設で作業員5人のプルトニウム・ウラン粉末被ばく事故が起こった。

 高浜原発3号機はプルトニウム活用のMOXを一部挿入している原子炉だ。溜まってしまったプルトニウムの見せかけの活用という、危険な実験も兼ねた許しがたい再稼働だが、この施設での事故もプルトニウム利用に関わるのである。

 被ばく事故を起こした施設の傍には、2009年以来止まっている『常陽』がある。この原子炉は高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の廃止措置が決まった後で、何ら成算のない増殖炉路線をやみくもに進めてきた国と原子力機構のメンツにかけて、不死鳥のように甦らせられようとしている、プルトニウム活用の施設だ。

 原子力機構は今年3月30日、高速原子炉『常陽』として、新規制基準に基づく適合性審査を申請した。失敗した「もんじゅ」に代わって、高速炉開発に向かって進みだしたのである。「もんじゅ」失敗の総括も責任の所在も明らかにしないままの、再びの見切り発車に強引なスイッチを入れたのだ。

 プルトニウムとウラン粉末を保管する金属容器を包むビニール袋が破裂して被ばくしたとされる今回の事故は、『常陽』用の貯蔵核燃料の整理にかかる作業の中で起こったものと考えられるが、背景には以上のような『常陽』再稼働へむけての動きがあることを指摘しておかなければならない。

 「原型炉」を飛ばして一気に「実証炉」に向かうという、無謀な高速炉計画のストップと『常陽』の再稼働阻止に向けての対策が準備されなければならないことをこの被ばく事故は明らかにしたと言えよう。

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【速報】日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター事故「国内最悪の内部被曝」健康被害の可能性認める

2017-06-07 15:30:14 | 原発問題/一般
作業員1人肺から2万2千ベクレル 国内最悪の内部被曝(朝日)

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 茨城県大洗町の日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターで、ウランとプルトニウムが入った保管容器から放射性物質が漏れて作業員5人が被曝(ひばく)した事故で、原子力機構は7日、このうちの1人で50代の男性職員の肺から、2万2千ベクレルのプルトニウムが検出されたと発表した。暫定で1年間に1・2シーベルト、50年で12シーベルトの内部被曝をする値で、過去にこれほどの内部被曝をした例は、国内ではないという。原子力機構は「急性の放射線障害が出るほどではない」としている。

 原子力機構によると、残る4人からはプルトニウムは検出されなかったが、この男性を含む3人から最大220ベクレルのアメリシウムも検出された。5人は体内に入った放射性物質の排出を促す薬剤を注射する処置を受け、7日午前に千葉県の放射線医学総合研究所に搬送された。
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3作業員内部被曝、健康被害の恐れ…原子力機構(読売)

 この職員は放射性物質入りの容器を開けた際、鼻からプルトニウムなどの粉末を吸い込んだとみられる。同機構によると、これらが体内にとどまった場合、最初の1年間で1・2シーベルト(1200ミリ・シーベルト)、今後50年の合計で12シーベルト(1万2000ミリ・シーベルト)の内部被曝が懸念されるという。

 現時点では5人の中に体調不良を訴えた人はいないが、5人は体内からの放射性物質の排せつを促進する薬剤の投与を受け、7日午前、放射線医学総合研究所(千葉市)に搬送された。原子力機構は「健康への影響が出る可能性がある」としている
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茨城県大洗町の日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターで起きた作業員被曝事故は、当初報道されていたよりもはるかに深刻なものとなった。日本国内で、原子力推進側の組織が「健康への影響が出る可能性」を認めたのは、広島・長崎への原爆投下、JCO東海事業所で起きた臨界事故の過去2例しかない。何しろ、チェルノブイリに並ぶ史上最悪の「レベル7」が認定された福島第1原発事故でさえ、政府も原子力ムラも未だに健康被害を認めていないのだ。朝日新聞の報道(太字部分の強調は当ブログ)も、「急性の放射線障害」を否定しているだけで、「慢性の放射線障害」が起きる可能性を否定していない。

(それにしても、放射性物質による健康被害に関しては、朝日新聞の報道は本当にひどい。福島第1原発事故でも、子どもたちの甲状腺がんなどに関する記事は間違いだらけの上、今回の事故でも「急性の放射線障害が出るほどではない」という原子力推進側の主張を垂れ流しているだけ。読売新聞は、メディアでありながら社主の正力松太郎みずから日本への原発導入を推進した許しがたい過去があるものの、「健康への影響が出る可能性がある」との原子力機構のコメントを率直に報じている分だけ、今回の事故に関しては朝日よりはマシだと思う。)

当ブログは、インターネット上に多く書き込まれている「福島第1原発事故で奇形児が生まれた」など、出所不明で根拠のない健康被害の情報とは一線を画し、拡散しない姿勢を続けてきた。だが、今回の事故で22000ベクレルの被曝をした作業員は、おそらくそう遠くない将来、肺がんなどで死亡する可能性がある。原子力機構に対し、今後も必要な情報公開を強く求めていくべきだろう。そうでなくとも、原子力機構の前身に当たる組織、動燃(動力炉・核燃料開発事業団)は高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故(1995年)の際、「事故映像ビデオ隠し」を行い、原子力機構になってからも、原子力規制委員会に指摘されるまで「もんじゅ」での1万件の整備不良を隠した事実があるからだ。

日本政府・原子力ムラは、昨年秋の「もんじゅ」廃炉と引き替えに、今年で設置後40年を迎える老朽高速炉「常陽」の再稼働を企ててきた。「常陽」を管轄する原子力機構は、「もんじゅ」での1万件の整備不良放置に続く今回の事故で、核物質の取扱事業者として不適格であることをまたも露呈させた。これによって「常陽」再稼働計画は完全に命脈を絶たれ、今度こそ本当に核燃料サイクルは終わることになろう。

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