人生チャレンジ20000km~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

ノーモア尼崎事故!生命と安全を守る集会開催~JR各社の安全崩壊明らかに

2020-07-25 20:36:06 | 鉄道・公共交通/安全問題
(この記事は、当ブログ管理人が月刊誌「地域と労働運動」2020年8月号に発表した原稿をそのまま掲載しています。なお、管理人の判断で「鉄道・公共交通/交通政策」カテゴリでの掲載としました。)

 「ノーモア尼崎事故! 生命と安全を守る集会」が7月4日、尼崎市内で開催された。例年であれば事故の起きた4月に合わせて開催されるが、今年は新型コロナの影響で延期。ソーシャルディスタンスの確保に配慮しながら、それでも例年の約半分の100人が集まった。例年行われるデモ、事故現場での献花も中止された。

 ●JR西日本・北海道~安全崩壊とデータ改ざんの実態報告

 集会では、「鉄道業務における業務外注化と労働問題」と題し、桐生隆文さん(JRに安全と人権を!株主・市民の会)が記念講演。JRが基幹業務の外注化を次々推し進めた結果、技術継承に失敗し、労働条件低下や技術不足、交通弱者へのしわ寄せ、偽装請負などの違法行為が続発している状況が報告された。

 JR現場からは、平田尚さん(国労西日本)がこの間、継続して取り組んでいる片町線・鴫野駅でのホームからの乗客転落事故について報告した。危険な急カーブ上のホームが設置された鴫野駅ではホーム要員が削減される一方、ホームドアなど安全設備の設置は進んでいない。だが全国から9294筆の署名を集めるなど粘り強い闘いで、JR西日本も転落事故の多さと対策の必要性を認めた。今年4月、衆院決算行政監視委員会でも取り上げられるなど、JRを追い詰めている。

 JR東日本では、鴫野駅と同じような構造を持つ駅として長年の懸案だった中央本線・飯田橋駅の大カーブ上のホームが直線上に移転されることで解消した。恥ずかしい話だが、かつて本稿筆者も懇親会後の飯田橋駅で、乗車中に足を踏み外し、停車中の列車とホームとの隙間に片足を落とした経験を持つ。このときは自力で乗車できたが、隙間の空いたホームを恨めしく思ったものだ。

 JR北海道に関しては、筆者もこの間の道内の動きと、2019年のレール検査データ改ざん問題の裁判について報告を行った。2013年、函館本線大沼駅で起きた貨物列車脱線事故をめぐって、保線管理労働者がレール検査データを改ざんしたのではなく、JR北海道が曲線半径を実際より大きく見せる改ざんを行っていたのではないかとの指摘に会場から驚きの声が上がった。

 その他、水道民営化反対の闘い、JAL争議団、全日建連帯関生支部から闘いの報告があった。「関生支部が600日を超える不当勾留から委員長、副委員長を取り戻せたのは一般市民が黒川検事長の定年延長を阻止する闘いに立ち上がったから。市民と労働組合の連帯が大切」との指摘は重要だ。「大阪府警から『お前らは国家権力と闘うんやろ。だからわしらもお前らには何をやってもいいんや』と言われた」と生々しい弾圧の実態が暴露されると、再び会場から驚きの声が上がった。

 ●リニア、計画とん挫

 一方、JR東海が2027年の開業を目指して工事を進めてきたリニア中央新幹線は、静岡県でのトンネル建設で大井川の流量が毎秒2トンも減少するとの試算がまとめられて以降、静岡県が工事を認めず暗礁に乗り上げている。

 大井川は1級河川であり、開発許可の権限は国にある。だが静岡県自然環境保全条例では、自然環境に重大な影響を与える事業が行われる場合、事業主体と県との間で自然環境保全協定を締結する必要があることを定めている。対象となる事業の選定権は知事にある。こうした県の権限を背景に、川勝平太静岡県知事は、中央リニア新幹線についても保全協定締結の対象になるとの考えを示してきている。6月中に静岡県内のトンネル工事の「準備工事」を始めなければ2027年の開業に間に合わないとして、金子慎JR東海社長が川勝知事に2人によるトップ会談を申し入れた。だが、6月26日の会談も物別れに終わった。川勝知事は「JR東海が行おうとしているのは本体工事と別個の準備工事ではなくトンネル本体工事そのもの」であり、認めることはできないとの考えを崩していない。

 あまり知られていない事実だが、静岡県の抵抗がなくてもリニア中央新幹線はもともと2027年の開業は絶望的な状況にあった。名古屋駅周辺地域ではいまだ用地買収すら終わっておらず、予定通りの開業が絶望的であることは関係者の間では公然の秘密だったが、JR東海による巧妙な情報操作で隠されてきた。今回、静岡県の抵抗でいよいよ隠しきれなくなり、メディアが一斉に報道する事態となったのだ。

 川勝知事は、トップ会談「決裂」後の記者会見で、静岡県内だけで事業が遅れているわけではないにもかかわらず「静岡県だけが悪者にされている」と不快感を示した。メディアが数字を取る(=視聴率を上げる)ためには、詳細を知らない視聴者にとってわかりやすい構図に落とし込む必要がある。「中央と静岡県の対立」という構図ならわかりやすく数字も取れる。旧国鉄職員局長として、国労組合員など1047名首切りに関与しながら、分割民営化後のJR東海に君臨、自分の存命中にリニア中央新幹線開業のテープカットを見ることだけを目的に老醜をさらし続ける「アベ友右翼」葛西敬之前代表取締役会長が6月の株主総会以降、代表権のない取締役名誉会長に退いたこと、安倍政権が新型コロナ対策で失態を繰り返し、レイムダック化しつつあることも見逃せない。

 静岡県では、1980年代にも中部電力による取水によって大井川が涸れるなどの被害を受け、県民による水返せ運動が闘われた歴史を持つ。島田市など大井川沿線10自治体も、水問題が解決しない状況での工事着工は認めない方針だ。

 静岡県民の6割が、水問題をめぐる県の方針を支持しているとの世論調査結果も出ている。静岡県内でほぼ唯一の水源である大井川の流量減少に対しては、住民のみならず医療機関、特産品であるお茶農家、ウナギ産業従事者など県内経済界にも懸念の声がある。政府が力任せに推進する国策に対し、不利益を押しつけられる地元が自治体、経済界、住民一体となって闘っている。当事者、関係者にとってはいささか失礼な表現になるが、沖縄の基地問題同様、事態は面白く、目が離せない状況になってきた。

(2020年7月25日 「地域と労働運動」第239号掲載)

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リニア中央新幹線「2027年開業、事実上の延期」報道について

2020-07-12 19:08:38 | 鉄道・公共交通/交通政策
JR東海、リニア延期事実上表明 静岡拒否「27年開業難しい」(共同)

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 JR東海は3日、静岡県との対立で準備工事着手が遅れているリニア中央新幹線について、県が着工を認めないとの見解を示したことを受け「残念ながら(東京・品川―名古屋間の)2027年開業は難しい」として、開業延期を事実上表明した。JR東海は今後、リニア計画を認可した国土交通省と協議し、計画見直しについて詳細を詰める方針だ。ただ県の同意を得るための期間は依然不透明で、計画は37年にも予定している大阪までの延伸を含め大幅に狂う可能性が出てきた。

 両者はリニアの南アルプストンネル建設を巡って、水資源の問題で意見が対立している。
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莫大な税金の無駄遣いであり、建設しても問題しか引き起こさないリニア中央新幹線について、安全問題研究会は事業認可以前から一貫して反対の立場をとり続けてきた。今回、大井川からの水問題が原因でJR東海が計画していた2027年の開業が絶望的になったことに関して、当研究会は歓迎を表明する。延期ではなく事業自体、ぜひ中止してもらいたい。

報道では、静岡県が水問題で反対し続けていることが延期理由であるかの如く報道され、静岡県が一方的に「悪者」に仕立てられようとしている。しかし実際はそうではなく、2027年の開業を危ぶむ声は2018年頃から徐々に出始めていた(参考記事:リニア新幹線「2027年開業」が難しすぎる理由/東洋経済オンライン)。静岡工区だけでなく、あらゆる工区が問題だらけのプロジェクトなのである。

JR東海もそのことに気付いていたが、問題を隠し続けてきた。今回、JR東海も隠しきれない形で問題が顕在化したに過ぎない。その上、リニア開通で駅ができるわけでもなく、水問題という不利益だけを押しつけられる静岡県の存在が、「中央対地方」というメディア的にわかりやすい構図に落とし込まれたことで、報道しやすくなったのだ。

静岡工区だけが問題なのではないことは、この問題を一貫して追及してきたジャーナリスト樫田秀樹さん(「悪夢の超特急 リニア中央新幹線」著者)が、最新の記事で次のように伝えている。

リニア、川勝平太静岡県知事と金子慎JR東海社長の対談が実現。知事は「準備工事再開」を認めず。でも、それに関係なく、すでにリニアの2027年開通は無理なことは判っている。(樫田秀樹さんのブログ「記事の裏だって伝えたい」)

リニア中央新幹線が事業認可された直後の2014年10月、樫田さんが都内で講演した際の音声もYoutube「安全問題研究会チャンネル」にアップしているので、ぜひ聴いてほしい。(「本当に建設でいいの?危なすぎるリニア新幹線ホントの話/ジャーナリスト樫田秀樹さん」、2014年10月25日)

また、6月27日のTBS「報道特集」がこの問題の経緯や、静岡県民が過去、水涸れと闘ってきた歴史を持つことなど詳細に伝えている。当ブログ管理人も視聴した環境保護団体「FoE Japan」の公開オンラインセミナー「リニアは止められる? 大井川をめぐる静岡県とJR東海の対立とは」でもこの問題を伝えている。こうした報道を見れば、静岡県が一方的に「ごねている」わけではないことが理解できるだろう。

国策のために、「ごく一部」の住民の命や生活くらい奪われてもいいという時代は、すでに昭和とともに終わっている。沖縄の基地問題も、福島の原発事故も、住民の闘いは決して「ごく一部」なのではない。「ごねている」「カネをもらっているくせに」などと主張している連中は恥を知るべきだし、せめて自分がそう主張できるのは犠牲を押しつける「強者」の側にいるからだという自覚くらいは持ってもらいたいと思う。

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【管理人よりお知らせ】ノーモア尼崎事故!生命と安全を守る7.4集会での当研究会報告資料をアップしました

2020-07-11 23:39:22 | 鉄道・公共交通/安全問題
管理人よりお知らせです。

新型コロナウィルス感染拡大の影響で、毎年4月に開催されている「ノーモア尼崎事故!生命と安全を守る集会」は延期されていましたが、コロナウィルスの影響が小さくなってきたことを受けて、7月4日に尼崎市内で開催されました。

例年より会場の収容人員を少なくし、感染拡大のおそれがあるデモ、事故現場への献花行動が中止となりましたが、それでも例年以上に有意義な集会となりました。

安全問題研究会からは、ここ数年取り組んできたローカル線問題には大きな進展がなかったこともあり、今年は2014年以来久しぶりに安全問題に焦点を当てたJR北海道問題な報告を行いました。

その際に使用した報告資料を公式サイトにアップしました。以下のリンクから見ることができます。

~JR北海道~リンクする安全と経営問題(追補 ポスト・コロナの新しい鉄道像をも見据えて)

PDF版配付資料版も合わせて掲載しています。

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