安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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鉄道ジャーナル休刊へ WEB移行の予定もなく事実上の「廃刊」

2025-01-23 23:32:45 | 鉄道・公共交通/趣味の話題

鉄道ジャーナル休刊へ 58年の歴史に幕「好きだったな」「やはり…」(まいどなニュース)

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1967年創刊の老舗鉄道雑誌「鉄道ジャーナル」が休刊することが分かった。21日発売の2025年3月号誌面で休刊することを発表した。ウェブ版へ移行する予定はなく、4月発売の6月号で休刊する。

鉄道ジャーナルは鉄道ジャーナル社(東京都千代田区飯田橋)が編集、発行し、成美堂出版(東京都新宿区新小川町)が発売する月刊鉄道雑誌。鉄道ジャーナル社の会社概要によると、 会社の創立は1965年(当初は鉄道記録映画社)、同社の主な業務は「月刊『鉄道ジャーナル』をはじめとする雑誌・書籍の編集・出版、および映像・ビデオ作品、DVDの制作・販売」で、従業員は8人(いずれも2015年12月現在)。

同社はまいどなニュース編集部の取材に対し、「現状を取り巻く出版状況の厳しさも一因」と休刊理由を説明した。

休刊が告知された2025年3月号「氷雪の旅 思い出の夜汽車」について、同社ホームページでは「鉄道を使った旅行では季節を問わずそれぞれの楽しみがあると言えますが、冬はとくに列車が進むにつれて車窓の景色がダイナミックに移り変わる、その変化を目の当たりにするだけでも旅情が深まるのを覚えます。今月は、津軽鉄道のストーブ列車、冬の日本海を満喫できる五能線のほか、トロッコ列車に窓ガラスを嵌め、だるまストーブで暖を取ったりもできるユニークな『風っこ』冬バージョンを取り上げました」「ブルートレインが姿を消して久しく、もはや望むべくもない往年の冬の夜汽車の旅を過去の記事から再掲しました。懐かしい思い出がよみがえります。そのほかグリーン車連結で注目の中央線快速の歴史について前号に続いて後編としてまとめました」と紹介している。1月21日(火)発売で定価1200円(本体1091円)。 

SNS上では休刊に対して「表紙めくったら告知があった」「書店が激減する中で手にする機会も確かに減った」「ルポ系記事や事業者執筆の記事とか、好きだったなぁ」と惜しむ声が上がり、「昔の記事を再掲したり、ページ数減などこの1、2年の急激な劣化は目を覆うばかりでした」「昔に比べ紙質も落ち記事もスカスカだったので、やはり…という感想しか出ない」と近年の紙面の変化を指摘する声も上がっていました。

鉄道写真家の中井精也さんは「鉄道カメラマンとしての僕を育ててくれた雑誌だけにとても残念でなりません」とX(旧Twitter)にコメントしていました。

同社ではバックナンバーを販売しており、書店で取り寄せも可能。バックナンバーの注文、申し込み、問い合わせは鉄道ジャーナル社 営業部まで。

(まいどなニュース・伊藤 大介)

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このニュースを見たとき「ついに来るべき時が来たか」が率直な気持ちだった。ネット上の記事には「意外だ」という声もあるようだが、私はそうは思わない。誌面はもう何十年も前から精彩を欠いていたし、ここ数年はずっと買っていなかった。「鉄道ファン」「鉄道ピクトリアル」と合わせて「御三家」と呼ばれていたが、その中で最も破綻に近いのが「鉄道ジャーナル」であることは21世紀に入る頃からすでに囁かれていた。

最も痛いのは、種村直樹氏(故人)が離脱した後、専属のライターを育てられなかったことだ。鉄道ジャーナル専門で執筆活動をしているのは、事実上、宮原正和編集長1人だけ。それ以外はほとんど全員が他媒体との掛け持ち。しかも他媒体のほうがメインで「ジャーナル」にも「ついでに」書いている、というスタンスの人ばかりだった。

記事の内容も、ジャーナルでなければ読めないというクオリティの高いものは影を潜めていた。「鉄道の将来を考える専門情報誌」を標榜しながら、鉄道をめぐる諸問題をきちんと掘り下げたものは多くなく、近年は一般経済誌の鉄道特集記事のほうがはるかに面白いのだからどうしようもない。週刊「エコノミスト」で定期的に行われる特集記事は読み応えがあるし、東洋経済オンラインの鉄道コーナー「鉄道最前線」や朝日新聞の「テツの広場」には興味深い記事が多い(ちなみに、JR北海道の運賃値上げ公聴会や、北海道内のローカル線問題をめぐっては、この両媒体からは私も何度か取材を受けたことがある)。

正直なところ、種村氏が離脱したときが「店じまい」のチャンスだったし、このときに余力を残した状態でWEB転換などに踏み切っていれば、その後の展開はまったく違ったかもしれない。近年は、枝久保達也氏、小林拓矢氏などの有力な若手も外部ライター陣に加わり、盛り返しのムードも見られただけに残念ではある。ローカル線問題に関しても「廃止ありき」ではなく、活用策を提唱するなど是々非々かつ複合的な論評活動ができるという意味で、私も枝久保氏や小林氏に対してはそれなりに評価もしている。

ただ、ここ数年は「鉄道ジャーナルがライター集めに苦労している」という話が漏れ伝わってきていた。「まいどなニュース」の取材に対するジャーナル社の回答は「現状を取り巻く出版状況の厳しさも一因」とのあいまいな理由だが、このようなライター集めの苦労に加えて、印刷費や輸送費の高騰などの様々な影響が少しずつ積み重なった結果としての休刊ということだろう。

「御三家」の書店での売れ行きはファン>ジャーナル>ピクトリアルの順で、決して売れていないわけではないと思うが、この中で真っ先に休刊になるとすれば「ジャーナル」だといわれ、実際にその通りの結果になったのは、結局は編集方針の中途半端さに尽きると思う。「ファン」は鉄道雑誌の最古参で発行部数1位であることに加え、「鉄道友の会」の会報的位置付けもあり今後も発行を続けなければならない動機がある。

「ピクトリアル」は「ジャーナル」ほどには売れていないと思うが、鉄道界の最新の動きを追うことに関してはWEBには敵わないと割り切り、特定鉄道会社や特定の車両形式を深く掘り下げるという、他にはなかなか真似のできない編集方針があり、資料的価値が高い。極端に言えば、ピクトリアルの記事は「今日読んでも、明日読んでも、10年後に読んでも資料的価値が変わらない」ことに強みがある。鉄道図書刊行会は「鉄道要覧」(国交省鉄道局監修・年1回)の発行なども請け負っており、ピクトリアル誌ももうしばらくは続くだろう。

コロナ禍以降、表面化したローカル線の危機は相変わらず続いているし、新幹線の開業も昔のように諸手を挙げて歓迎されるばかりでもなく、費用対効果や並行在来線など「負の側面」もクローズアップされる時代になった。鉄道そのものにいい話題がないことも鉄道雑誌を苦境に追い込んでいる理由だと思う。御三家の一角が崩れた後、二大誌となるファン、ピクトリアルが引き続き多くの人に読まれることを願っている。


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2025年 新年目標

2025-01-15 23:29:48 | 鉄道・公共交通/趣味の話題

さて、大変遅くなりましたが、2025年の新年目標を発表します。

いろいろ考えた結果、2025年も例年通り5線区以上の完乗達成を目標とします。大ジャンプをしても届かないような無理な目標では気持ちが萎えてしまう一方、努力しなくても達成できるような低レベルのものでは目標にする意味がありません。やはり5線区くらいがちょうどいいと思っています。

大阪メトロ中央線の夢洲延長開業がこの1月19日に予定されていますが、安全問題研究会は万博の意義自体に疑問な上、大阪万博会場が危険であることなどを理由に開催に反対なので、そもそもあまり行く気がしません。万博と関係ない時期に、こっそり行くかもしれません。

今年はこの他、新年あいさつにも書きましたが、1985年の日航機墜落事故から40年、2005年のJR福知山線脱線事故から20年と節目が続きます。すでに新年早々、講演依頼が1件入っています(概要は、近づきましたら改めてお知らせする……かもしれません)。公共交通関係では、安全問題研究会はかなり忙しくなることが確実なので、この「節目」をしっかりとやり切りたいと思います。

なお、お知らせです。昨年秋から当ブログの名称を開設当時の「人生チャレンジ20000km」に戻していましたが、年末から「安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)」に変更しています。新旧名称を併記する形ですが、上にも書いたとおり今年は「節目」なので、やはり安全問題研究会の名称にすることが欠かせないと考えたからです。

そんなわけで、今年も安全問題研究会をよろしくお願いします。


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2024年 鉄道全線完乗達成状況まとめ

2024-12-26 23:32:24 | 鉄道・公共交通/趣味の話題

2024年はまだ1週間残っているものの、この先、年内に遠征等の予定もなく、鉄道新規乗車もないので、少し早いが、ここで2024年の鉄道全線完乗達成状況をまとめる。

【4月】阪急京都本線、嵐山線、京福電鉄嵐山本線、北野線、京阪本線

【8月】北大阪急行 千里中央~箕面萱野〔奪還〕、神戸新交通 住吉~マリンパーク

【10月】西武新宿線

内訳は以下の通り。

【大手私鉄】3社4線(阪急京都本線、嵐山線、京阪本線、西武新宿線)

【中小私鉄】3社4線(上記以外)

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※参考までに、鉄道ファンには説明するまでもないが、「大手私鉄」とは以下の16社である。

 関東(9社)・・・東武、西武、京成、京王、東急、小田急、京急、東京メトロ、相鉄

 関西(5社)・・・近鉄、南海、京阪、阪急、阪神

 中部(1社)・・・名鉄

 九州(1社)・・・西鉄

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当ブログの全線完乗記録では、全国の鉄道会社を「JR」「公営」「第三セクター」「大手私鉄」「中小私鉄」の5つに区分している。準大手は中小私鉄扱いとする。また、第三セクターは「旧国鉄特定地方交通線転換第三セクター」「整備新幹線開業時の並行在来線分離第三セクター」「国鉄再建法施行に伴う計画・建設凍結線のうち、第三セクターが開業させた路線(凍結解除線)」のみをこの区分とするのがルールである。ただし、当ブログ管理人はすでにこれら第三セクターの完乗を終えているため、将来、延長開業区間が発生して「奪還」に該当しない限り、第三セクターがこの欄に登場することはない。

この他、営業路線ではない区間を走行するもの(保存鉄道など)、通常は旅客列車が走行しない区間(貨物線など)を走行するイベント列車、鉄道事業法が適用されるが鉄道・軌道でないもの(ロープウェイ・ケーブルカーなど)の乗車を記録する場合は参考記録とし、正式記録には含めない。

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今年の完乗達成路線を現有路線・廃止予定線・新規開業線の別で見ると、全路線が現有路線またはその延長開業区間だった。北大阪急行は「奪還」(一度全線完乗を達成済みの路線で延長開業区間が発生した場合に、その延長区間の全部に乗車し再び全線完乗とすること)に該当するため、当ブログの長年のルールにより新規開業線には含めない。

結果として、今年は6社8線だった。2024年の新年目標(5路線)を4月に早々と達成し、もっと行けそうな気がして目標を10路線に上方修正したが、それには届かなかった。

当ブログでは、新年に立てた当初目標をクリアしていれば、その後に上方修正した目標には届かなくても達成とするルールなので、一応、2024年は目標を達成したことになる。7社13線(参考記録を含めると8社14線)と荒稼ぎをしまくった2023年には遠く及ばないものの、まずまずの結果といえる。目標達成も昨年から2年連続だ。

ただ、コロナ禍などの影響で新年目標を発表しなかった2020~2022年も全線乗車活動自体は続けており、特に2022年はJR2社、私鉄7社の計9社15線と、目標を立てなかったにもかかわらず今年より多く乗車している。

なお、8月26日付記事の中で「今年は超スローペースとなっており、未乗車路線の完全乗車は今回の2路線が初めて」「今年の新年目標は5路線だが、年内にあと3路線乗車できるかは微妙な状況」と書いているが、これは誤りだ。実際には4月28日付記事の通り、4月に3社5路線に乗車して新年目標を早々と達成していたのに、8月の時点でこのことを忘れていた。この点は読者のみなさんにお詫びしたい。

来年も、おそらく新年目標は何らかの形で発表することになると思う。ただ、来年--2025年は、JR福知山線脱線事故(2005年)から20年、日航123便墜落事故(1985年)から40年の節目の年になる。安全問題研究会の活動がかなり忙しくなる見込みなので、新年目標は控えめな内容にする可能性がある。


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GOOD LIFEフェア、ASIA DIVE EXPO JAPAN、BIOFACH JAPANと「山内若菜展」に参加~西武新宿線完乗達成

2024-10-28 22:11:11 | 鉄道・公共交通/趣味の話題

10月26日から27日にかけて都内のイベント参加のため上京している。

まず26日は、羽田空港からリムジンバスで東京ビッグサイトに直行。GOOD LIFEフェア、ASIA DIVE EXPO JAPAN、BIOFACH JAPANに参加した。

東京ビッグサイトに来るのもずいぶん久しぶりだ。コミケに最後に参加したのは、もう10年以上前。ビッグサイト自体もずいぶんご無沙汰していた。

名前のとおり、GOOD LIFEフェアASIA DIVE EXPO JAPAN、BIOFACH JAPANの3イベント合同開催。私が最も興味を惹かれたのは、オーガニック食品の展示が中心のBIOFACH JAPANだった。日本での開催は8年ぶりだという。

地方自治体の出展が多かった。特に、農水省が2021年に策定した「みどりの食料システム戦略」で、有機農業を大幅に拡大する政策が示されたのをきっかけに、いち早く有機食品を学校給食に取り入れた千葉県佐倉市の取り組みは、ぜひ見たいと思っていた。

結果的に、多くの地方自治体のブースは、地場産品をPRするアンテナショップのようなものが多かった。これでは浜松町の貿易センタービルに入居しているアンテナショップでいいのでは? と思う自治体が多かったことも事実だ。

BIOFACH JAPAN自体、日本での開催は8年ぶりだったこともあり、多くの自治体は何をどう出展すればいいのか手探りの部分もあったことは確かだろう。一方で、そもそも有機(オーガニック)食品に関心を持つような、いわゆる「意識高い」系の人たちの目は肥えている。実際、自治体ブースの中でも、「出張アンテナショップ」的な出展内容しか持たないところはあまり賑わっておらず、賑わっていたのは有機食品に本腰を入れて取り組んでいる民間企業のブースだった。

興味深いのは、この広い会場内のどこにもSDGsの文字が見当たらなかったことだ。この会場にわざわざ入場料まで払って来るような「意識高い」系消費者は、「SDGs=スーツの胸にカラフルなバッジを付けること」だと勘違いしているような「日本的大企業」などそもそも眼中にもないだろう。出展する側もSDGsがまやかしに過ぎないこと、ここに来場する客がSDGsなど見向きもしないことをよく理解していると思う(SDGsのDはDevelopment=開発で、ODA(政府開発援助)のDと同じである。日本語には持続可能な「開発」目標と訳されることが多く、D=開発の文字が入っている限り、それは資本主義の枠内での目標に過ぎない)。

結局、購入したのは、民間店舗ブースで売られていた有機食品数点と、ミャンマー産のコーヒーだった。

東京ビッグサイトを辞した後は、第五福竜丸展示館を目指す。場所は同じ湾岸地区にあり、それほど遠くない。国際展示場前からりんかい線に乗り、新木場で降りる。

第五福竜丸は、いうまでもなくビキニ島で行われた米国の水爆実験で被爆した漁船だ。第五福竜丸展示館にはその船体を展示しており、それを見ることももちろん目的ではあるが、今回はそれより大きな目的がある。「ふたつの太陽~山内若菜展」が開催中なのだ。

チラシにもあるように、第五福竜丸がビキニで被爆させられて70年を記念した展覧会だ。山内若菜さんとは以前から面識がある。福島原発事故後は、放射能被害に翻弄される生命をテーマにした作品を多く発表してきた。一般的な芸術作品よりも、メッセージ性を強く持つ作品だけに、これまでの展覧会は小規模なものが多いが、それでも地元・平塚市美術館で長期にわたる展覧会も実現するなど実績を残している。当ブログでも、2022年6月10日付記事で紹介している。ここで紹介した3作品も、第五福竜丸展示館で見ることができる。

この他、今回の展覧会に合わせた新作も展示されているが、それは第五福竜丸展示館にぜひ足を運び、見てほしいと思う。来年1月19日までのロングラン開催だ。

なお、第五福竜丸事件に関しては、今年9月15日に放送されたNHKスペシャル「スクープドキュメント 封じられた“第四の被曝”-なぜ夫は死んだのか-」が大変優れた内容だった。NHK公式Youtubeチャンネルで予告編が公開されているが、NHKオンデマンドで全編が見られる。私としては、福島原発事故をめぐる「被ばく・健康被害隠し」とも通じるものがあり、料金を払ってでも見てほしいと思う。

最近都内のホテル価格が「爆騰」しており、23区内ではカプセルホテルでも7~8千円という、考えられない状況になっている。泣く泣く、東村山市内のホテルに投宿。せっかくここまで来た以上、西武新宿線の未乗車区間に乗らない手はないと思い、本川越まで全線に乗る。

【完乗達成】西武新宿線

目標5路線に対し、3倍(15路線)の完乗を達成した昨年と打って変わり、今年はスローペースで、ようやく3路線。年初目標の5路線達成は、困難な状況になってきた。


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「浦河トロッコまつり」に参加

2024-10-01 17:32:09 | 鉄道・公共交通/趣味の話題

2021年に日高本線の一部区間(鵡川~様似、116.0km)が廃止となったが、浦河町内の旧JR浦河駅構内で行われた「浦河トロッコまつり」に参加してきました。

このトロッコまつりは、旧浦河駅から国道を挟んで反対側にある浦河町役場でこの日、行われた「産業まつり」に合わせて開催されたもので、かねてから廃線跡ウォークイベント「旧日高線を歩く会」などを開催してきた「浦河鉄路活用プロジェクト」が中心となって行われました。

日高本線・鵡川~様似間の廃線に最も強く反対していたのは、実は浦河町民でした。「浦河鉄路活用プロジェクト」には、廃線反対運動に参加していた人、廃線決定後に集まってきた人など様々な人がいます。

当日の模様を短い動画にまとめました。ぜひご覧ください。

2024.9.29 廃線から早2年……日高本線「夢の復活?!」浦河「トロッコまつり」でトロッコ走る


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関西地方2路線に乗車

2024-08-26 21:39:52 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
所要のため、8月24~25日の日程で関西方面に行ってきた。この際、以下の通り乗車。

【8月24日】北大阪急行 千里中央~箕面萱野〔奪還〕
【8月25日】神戸新交通 住吉~マリンパーク

昨年は、新年目標とした5路線を上半期で早々と達成し、かなりの超過達成が見えていたが、今年は超スローペースとなっており、未乗車路線の完全乗車は今回の2路線が初めてである。このうち、北大阪急行線は奪還(延長開業で失った完全乗車のタイトルを、延長区間に完全乗車して奪還すること)である。

今年の新年目標は5路線だが、年内にあと3路線乗車できるかは微妙な状況。

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ノーモア尼崎事故!生命と安全を守る4.27集会の帰途、関西各線に乗る

2024-04-28 21:19:41 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
「ノーモア尼崎事故!生命と安全を守る4.27集会」については、後日、当研究会会長の報告内容を掲載する予定だが、この集会の帰途、関西各線に乗車した。

【完乗達成】阪急京都本線、嵐山線、京福電鉄嵐山本線、北野線、京阪本線

この結果、今年新年に掲げた目標「5路線乗車」を一気に達成してしまった。今年はまだ8か月あるので、目標を10路線乗車に上方修正する。

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2023年 鉄道全線完乗達成状況まとめ

2023-12-30 22:04:12 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
年の瀬も押し詰まり、ここで2023年の鉄道全線完乗達成状況をまとめる。

【2月】関東鉄道竜ヶ崎線、常総線
【7月】富山地方鉄道不二越・上滝線、立山線、富山ライトレール(富山駅~岩瀬浜;奪還)、立山ケーブル富山地鉄本線、黒部峡谷鉄道、相鉄新横浜線、東急新横浜線、京急大師線、逗子線、本線
【10月】宇都宮ライトレール
【11月】福岡市営地下鉄七隈線(博多~天神南;奪還)

以上のとおり、7社13線(参考記録を含めると8社14線)となった。内訳は以下のとおり。

【大手私鉄】3社5線(相鉄新横浜線、東急新横浜線、京急大師線、逗子線、本線)
【中小私鉄】5社7線(関東鉄道竜ヶ崎線、常総線、富山地方鉄道不二越・上滝線、立山線、富山ライトレール、黒部峡谷鉄道、宇都宮ライトレール)
【公営】1社1線(福岡市営地下鉄七隈線)
【参考記録】立山ケーブル富山地鉄本線

また、現(奪還含む)/廃/新の別では、廃止予定線はなく、新規開業(開業日から1年以内)が相鉄新横浜線、東急新横浜線、宇都宮ライトレールの3社3線。現存路線のうち奪還(延長開業区間を全線乗車したことによる「完乗タイトル奪還」)が2社2線(富山ライトレール、福岡市営地下鉄七隈線)で、残りは現存路線の未乗車区間に乗車したものである。

立山ケーブル富山地鉄本線はケーブルカーで、鉄道事業法適用(索道事業)であるものの、鉄道にも軌道にも含まれないため、当ブログのルールでは参考記録として正式記録には含めないことにしているが、これを含めて8社14線にも上る。

2023年の新年目標は5路線乗車だったが、大幅に超過達成した7月に目標を15路線乗車まで大幅に上方修正した。上方修正後の目標にはわずか1路線及ばず達成できなかったが、年初に掲げた5路線は軽く達成した。

特に7月は、史上最悪レベルの猛暑の中、参考記録含めわずか1か月の間に7社10線に乗車しており、我ながら狂っているとしか言いようがない。ほとんど休みらしい休みは取っておらず、体調面でよく乗り切れたなぁと今振り返ってもつくづく思う。

2023年は自分で自分を褒めてあげたいと思う。そして、来年以降はもっと無理なく自分のペースで全線乗車活動をしていけたら、と思う。2024年の目標は年明けに発表予定である。

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第4回「全国未成線・廃線サミット」参加(2日目)~エクスカーションでトロッコ列車に乗り、紅葉真っ盛りの高千穂峡を巡る

2023-11-26 23:17:39 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
高千穂町内のホテルで朝食。8時過ぎにチェックアウトするが、帰りのバスに乗るまで使うことのないキャリーバックをホテルで預かってもらう(宿泊客のこのような要望には、ほとんどのホテルは応じてくれる)。サミット2日目の「エクスカーション」参加者は、高千穂町武道館に朝9時に集合だ。交通機関がないことは前日に調査済みで、距離は約1kmと歩けない距離ではないため、歩いて向かう。

武道館に8:45頃到着すると、さすが地方は朝に強い。ほとんどの人が集まってきている。町のマイクロバスで旧高千穂駅に向かう。エクスカーションの最初は「高千穂あまてらす鉄道」のトロッコに乗車する。通常料金は1,800円だが、サミット参加者はエクスカーション参加費に含まれている。

駅に着くと、昨日のサミットで高千穂鉄道の復活を大まじめに語っていた齊藤拓由・同社副社長が待っている。実は齊藤さんは、廃止前の高千穂鉄道で運転士を務めていた。鉄橋に向かったトロッコが戻ってくるまでの間、動態保存のレールバスを駅構内で往復させるので、乗せてくれるという。早速乗り込む。

<動画>2023.11.26 旧高千穂鉄道保存レールバス 高千穂駅構内試運転



レールバスが往復して高千穂駅に戻った後、待つことしばし。トロッコが戻ってくるので、乗り込む。高千穂鉄橋は川の水面からの高さが105mもあり、東アジアで最も高い鉄道鉄橋だ。廃線でこのまま朽ちてしまうにはあまりにもったいない。トロッコ運転はもっと評価されるべきだろう。

2023.11.26 高千穂あまてらす鉄道トロッコ列車 高千穂駅から鉄橋まで



齊藤さんの説明に私は思わずのけぞった。高千穂あまてらす鉄道は法律上の鉄道ではない「遊具」扱いなので、鉄道のようなレールや枕木、駅舎、車両等の補修に対する補助は一切ない。傷んだ木製の枕木もすべて自社負担で交換しているが、なんと、交換後はコンクリート枕木にしているという。

確かに、コンクリート枕木は木製と比べ、傷みにくいため交換頻度を少なくできるメリットはある。しかしそれは長期間にわたって運転し続けなければならない通常鉄道の場合には考慮すべきことではあっても、いつまで続くかもわからない保存鉄道、それもトロッコ運転のためには過剰な投資ではないのか。現役の鉄道でも木製枕木のところがたくさんあるのに、トロッコしか走らない保存鉄道でコンクリート枕木なんて、鉄道の常識から考えれば「あり得ない」レベルの話である。齊藤さんの狙い通りに高千穂鉄道として復活後は貨物列車でも走らせるつもりなのか。

高千穂あまてらす鉄道乗車後は、「トンネルの駅 高千穂観光物産館」に行く。昨日の記事でも触れたとおり、旧高森線と高千穂線を連結する工事は凍結前に進められたが、異常湧水で中断、そのまま建設計画自体がなくなった。とはいえ、トンネルを何かに活用できないかと地元が思案した結果、気温は年間通じて7~17℃、湿度は70%でほぼ一定という「低温多湿」な特性を生かして、地元の酒造メーカー「神楽酒造」が焼酎の醸造をここで行っているという。

どんな方法で焼酎造りが行われているかは、以下の動画を参考にしてほしい。

2023.11.26 高千穂観光物産館 未成線トンネルを利用した焼酎熟成についての説明(by「神楽酒造」)



物産館の後はいよいよ高千穂峡だ。町のバスで移動する。観光客でごった返していた。

<写真>高千穂峡と言えばボート。絵はがきになりそうな写真が撮れた


<写真>標高が高い高千穂峡では、例年なら紅葉はすでに終わっているが、今年は記録的暑さだったためかなり遅れていて、今まさに見頃という


高千穂峡を30分ほど歩いてバスに戻る。今朝の出発地である高千穂町武道館で正午前、解散。1泊2日のサミットは全日程を終了した。

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帰りも宮崎~福岡で運行する高速バス「ごかせ号」を利用するが、高千穂バスターミナル発車は16:37で、なんと4時間以上もある。町内を歩いていると、「cafe terrace TAKACHIHOYA」なるギャラリー付きのカフェを発見。少し待って入る。地元産小麦にこだわったパンケーキを昼食とする。しばらく休んだり、ギャラリーの展示を見たりした後、午後3時半過ぎ、ホテルに預けていたキャリーバッグを回収。16:37発のごかせ号で20時過ぎ、博多駅バスターミナル着。一昨日と同じ場所に投宿し、帰途につく。

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第4回「全国未成線・廃線サミット」参加(1日目)~タレント六角精児さんのトークを聞く

2023-11-25 22:33:34 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
第4回全国未成線・廃線サミットin高千穂 鉄道遺産からの挑戦」に参加するため、宮崎県高千穂町に来ている。高千穂町を走っていた高千穂鉄道は2005年の水害からの復旧を断念し廃止となったが、そのせいでただでさえ遠かった高千穂町はさらに遠くなった。北海道から宮崎空港への直行便などあろうはずがなく、羽田や成田からの乗り継ぎ便でも高い航空賃を払った上に前泊しなければならない。それなら、陸上を安く移動できる九州内の方がましなので、千歳~福岡便に乗ることにし、昨日から福岡市内の旅館に泊まることにした。

せっかくなので、今年3月に延伸した福岡市営地下鉄七隈線博多~天神南の区間に乗車することにする。天神南から終点・橋本までの区間は、開業初年、2005年の年末に乗車している(参考記事:当ブログ2006年1月21日付記事「福岡市営地下鉄七隈線、苦戦す。」)。天神南~橋本の開業から実に18年かかったわけだ。

〔完乗達成〕福岡市営地下鉄七隈線(奪還)

延伸区間を全区間乗車したため、七隈線を「奪還」した。博多~天神南は2023年3月に延長開業しており、1年以内の乗車だが、当ブログの全線乗車ルールでは「独立した名称を持つ線路の全区間に、その開業から1年以内に乗車した場合」のみを新規開業線の完乗として扱うことにしている。今回のように延長開業区間に1年以内に乗車して「奪還」をしても、新規開業線の完全乗車には含めないことになる。

2023年の完乗達成路線は、8社14線(参考記録を含めると9社15線)。7月に上方修正した今年の目標、15線にあと1線と迫った。参考記録を含めると15線に到達したが、これを目標達成に含めるかどうかは、初のケースなので年末に最終的に決めたい。

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博多駅バスターミナルを朝8:25に発車する高速バス「ごかせ号」で高千穂へ。熊本県内の一般道路が水害で崩壊しているため30分遅延と宮崎交通ホームページには書かれていたが、実際は高千穂バスターミナルに11:50着。40分も早着だ。予定通りの到着時間であれば到着後に昼食を取る時間はないと思い、博多発車前に買っておいたパンを食べながら、これならもっと町内の飲食店を回れたな、と思う。

ただ、最近はコロナで飲食業界を離れた人手が戻ってこず、飲食店はどこも人手不足。かき入れ時なのに人手不足で休業や時間短縮していたり、営業していてもなかなか注文すら取りに来ないことも経験している。次のスケジュールありきで動いている旅先で、そんな状態の飲食店に多くをゆだねるわけに行かず、コロナ明け後はパンや弁当を事前調達することが増えた。この傾向はしばらく続きそうな気がする。サミット会場の国民宿舎「ホテル高千穂」には正午すぎ到着。受付を済ませる。

午後1時。サミットが始まる。冒頭、高千穂の魅力を発信する地元ケーブルテレビ局「ケーブルメディアワイワイ」制作のオープニング映像が流れる。20分ほどの映像だが、地元の魅力を良くまとめており、この会場参加者限りで終わってしまうのは惜しい(1日目終了後、会場に来ていた「ケーブルメディアワイワイ」関係者に、DVD発売や配信の予定はないのか聞いたが、現時点では未定とのこと。ただし、全国のケーブルテレビ網で後日放送の可能性はあるという)。

開会式では、主催者を代表して甲斐宗之・高千穂町長が挨拶。参加者へのお礼やサミットの意義などが述べられたが、なんと言っても特徴的だったのは甲斐町長がこのように述べたことだ。「私は、高千穂鉄道の廃線は天災ではなく人災だと思っている。過疎化が進み、中山間地域に住んで山の手入れをする人がいなくなった。ローカル線ばかりが災害に襲われるようになった」。

地方に長く住んでいると、櫛の歯が抜けるように、1人、また1人と中山間地域から人が出ていく様子がわかるのだろう。北海道でもエゾシカが札幌の市街地に出没するようになって久しいが、最近はこれに加え、ヒグマまでが市街地に出てくるようになった。人獣の境界線であり、土砂崩れをせき止めていた防災の要衝でもある中山間地域を人が住めないようにし、崩壊させた。それがローカル線の相次ぐ被災や人間生活圏への野生動物出没などいろいろな弊害を生んでいる。ひとつひとつは別々に見える問題は水面下でつながっているのだ。

甲斐町長には行政トップとしてのお立場もあり、国に不満があっても言えないことも当然ある。これくらいの発言でも「行政トップとしては思い切った発言だな」と実感する。これ以上は町長の立場上、難しいだろうから、ここはそのぶん私がそうした地方の声をここに伝えておきたい。地方を衰退させた政府の責任を問わなければならない局面だ。

未成線・廃線を抱える地域の「活動事例発表」では、島根大学大学院自然科学研究科環境システム科学専攻の平川真衣さんが「鉄道遺産『未成線』における活用実態とその課題」として全国の鉄道遺産の活用の実態やその課題等を報告した。私は、平川さんに直接お願いして報告スライド資料を入手したが、大変よくまとまっている。未成線跡・廃線跡の活用とはいえ、やはりそこで何かをやるには行政の資金面での支援が重要であることなどが明らかにされた。「どのようにすれば鉄道遺産の活用が軌道に乗るか」を明らかにしたという意味で大変有意義な発表だと思う。

この他、岩日線(未成線)を抱える山口県岩国市、南阿蘇鉄道(旧国鉄高森線)と高千穂鉄道(旧国鉄高千穂線)を結ぶ予定だった未成線トンネル工事が異常湧水で中止となった熊本県高森町、宮崎県日之影町、高千穂鉄道が2005年の大雨災害から復旧しないまま廃線の憂き目に遭った地元高千穂町からの報告が続いた。

高千穂鉄道に関しては、再開発された延岡市内の一部区間及び被災した区間を除き、線路や駅はほぼ完全に残されている。現役当時のレールバスも動態保存されており、いつでも動かすことができる。廃線跡の一部区間(高千穂駅~高千穂鉄橋)でトロッコ列車を運行するため、廃線後「高千穂あまてらす鉄道」が設立されたが、同社副社長の齊藤拓由さんは「いつの日か、高千穂鉄道を復活させるため、当時使われていたものはすべて残している」のだと、大まじめに話していた。私は、高千穂鉄道沿線が割と本気で復活を目指していることを伝え聞いてはいたが、ここまで本気とは思っていなかった。

ただ、終了後の質疑応答で、参加者から「復活までの具体的なプランはあるのか」と尋ねられた齊藤さんは「ありません」と答えていた。今のところは熱意だけのようだが、高千穂鉄道が廃線となった2005年当時、地域公共交通活性化再生法はまだなかった(制定は2007年)。今は法制度が変わっているため、当時はできなかった新たな枠組みがあり得るかもしれない。

延岡市内の線路は再開発でなくなっているが、7月に訪れた富山ライトレールのように、市街地区間のみLRTにする手もある(直通運転でなくても良い)。富山市や宇都宮ライトレールが画期的なのは、「在来線鉄道は廃止されるためにある」と思っていた日本人の後ろ向きなマインドを、いくばくかでも転換させるとともに、行政が本気になればいろいろなことができると市民に理解させたことにあると思っている。

休憩を挟んだ後半はいよいよ今日のメインであるトークイベントだ。NHK「呑み鉄本線・日本旅」でおなじみのタレント六角精児さんと、地元で活躍するフリーアナウンサー(鉄アナ)の田代剛さんが約1時間にわたって軽妙なトークを繰り広げる。

意外だったのは、六角精児さんが子どもの頃から鉄だったわけではないとわかったことだ。「元々はギャンブルにのめり込んでいて、このままでは身を持ち崩すと思った。ギャンブルからフェードアウトするために、他に熱中できる何かが必要だった。タレントとして、ロケなどで鉄道で移動しているうちに、あ、鉄道っていいなと思ったのがこの道に進むきっかけだった」(本人談)。

「未成線・廃線サミット」参加自治体が西日本に偏っており、東日本への展開を考える必要があることなど、お二人の指摘はきわめて適切だった。「今後、廃線が増えることが見込まれる中で、未成線・廃線跡を抱える地域が全国的に連携し、盛り上げていく上でどんなことができるか」との田代アナの質問に対し、六角精児さんは「交通機関として現役で走っている鉄道と違い、廃線跡活用は観光客だけに頼らなければならないため独特の難しさがある」とした上で、「いろいろ難しいとは思うけど、全国の未成線・廃線を抱える地域がスタンプラリーなどで盛り上げていってはどうか」と提案した。これなら大きな予算も必要ないし、今すぐ全国化は無理でも、参加できる地域から順に広げていく方法もある。現状ではベストでなくとも、ベターなアイデアだと私には思えた。

トークイベント後、売れっ子の六角さんが退場。第5回サミットの開催地である岩国市副市長に、甲斐町長から引き継ぎを行い、サミットは無事終了した。

<参考>国鉄時代の高森線(現・南阿蘇鉄道)の日常を記録した貴重な映画「鉄路の昭和史ー朝日ニュース「ある生活.赤字路線の駅を守って」」

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