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原発推進、日の丸掲げる電力総連は労働者・市民の敵だ 脱原発も打ち出せない御用労組は今すぐ解散せよ

2016-11-25 22:32:42 | 原発問題/一般
(当エントリは、当ブログ管理人が月刊誌「地域と労働運動」2016年12月号に発表した原稿をそのまま掲載しています。)

 ●脱原発のうねり、地方から

 10月16日に投開票された新潟県知事選挙の結果に、私は大いに驚かされた。東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に否定的な考えを示していた医師・弁護士、米山隆一候補がよもやの当選を果たしたのである。

 柏崎刈羽の再稼働を巡っては、「福島第1原発事故の検証が先。それなくしての再稼働には応じられない」としていた泉田裕彦・前知事が不可解な不出馬表明をしたのが9月のことだった。県の第三セクター子会社が「日本海横断航路構想」で使用予定の船の購入契約を巡るトラブルで、地元紙「新潟日報」が県の主張を紙面に載せず、一方的な県政批判を繰り返している――というのが撤退理由だった。

 もし事故を起こせば北陸・信越地方全体が壊滅状態になりかねない柏崎刈羽原発の再稼働に比べれば、率直に言って「取るに足りない、ささいな問題」でしかない「船購入問題」での泉田知事の4選出馬撤退の背景に原発を巡る問題が潜んでいることを、泉田知事から言及がなくても誰もが感じ取っていた(余談だが、新潟日報を巡っては、2015年、水俣病訴訟弁護団長を務める高島章弁護士に対し、報道部長がツイッターで誹謗中傷を行い、処分を受ける事件もあった。企業や強者に優しく、弱者に冷たい新潟日報の体質が「泉田潰し」の背景にあると見られても仕方がない)。

 泉田撤退を受け、柏崎刈羽原発の再稼働を狙う自民・公明の与党は、森民夫・元長岡市長の擁立を早々と決定した。一方、脱原発県政の継続を願う市民団体などは「泉田後継」候補探しに動いたが難航。元経産官僚の古賀茂明氏らの名前が浮かんでは消えた。ようやく米山氏の擁立が決定したのは、告示6日前という慌ただしさだった。

 民進党新潟県第5区支部長だった米山氏を、民進党が次期衆院選の候補として予定していたという話もある。今回の知事選出馬に当たって、米山氏は自分が所属する民進党からの推薦が得られず、民進を離党して出馬。共産・社民・自由(旧生活の党)3党による変則的な野党共闘態勢となった。

 告示直後の与党陣営には森氏の楽勝ムードさえ漂っていた。米山氏の擁立決定は告示6日前、その上民進抜きによる「ミニ政党共闘」しか成立せず、自民~維新~民進と渡り歩いた米山氏には、当初「原子力賛成」などと発言していた過去もあったからだ(実際、2012年12月2日付の「しんぶん赤旗」は、こうした米山氏の発言を「無責任な弁明に終始」などとして手厳しく批判している。なお、こうした過去の発言について、米山氏は「私が間違っていた」として誤りを認めた)。

 選挙戦も終盤になって、独自調査で「米山氏が猛追」との結果を得た自民党は、二階俊博幹事長が泉田氏と会談、米山氏の応援に出向かないよう釘を刺すなど必死の巻き返し工作を行った。「共産党推薦の米山氏が知事になると県庁に赤旗が立つ」「中央との太いパイプを持つ森氏で新潟県の発展を」など、昭和の55年体制当時かと思うような下品な反共攻撃を法定ビラや新聞意見広告を通じて行った。

 だが、ふたを開けてみれば、結果は下馬評を覆す米山氏の勝利。しかも森氏に6万票もの予想外の大差をつける地滑り的勝利だった。自民党が本部主導で行った米山氏への古色蒼然とした反共攻撃はまったく効果がなかったどころか、新潟県旗がもともと赤色であることが地元関係者によって明らかにされるなど、森陣営が文字通り「赤」っ恥をかくだけの結果に終わった。「県知事選が事実上の“原発県民投票”になってしまった」と、ある新潟県の自民党関係者は肩を落としたという。

 福島第1原発事故直後から、即時脱原発を訴え講演活動を繰り返している小泉純一郎元首相は、鹿児島県知事選での三反園訓氏の当選に続き、知事選で相次いで脱原発派が当選する状況に、「地方からうねりが起き始めた」と述べたと伝えられる。小泉元首相が在任中に犯してきた様々な罪(格差拡大、郵政民営化、イラク戦争支持など)に対して、言いたいことは山ほどある。ただ、こと脱原発に限って言えば、小泉元首相の主張するとおり、地方から保守層も含めた幅広いうねりの兆候が、はっきり見え始めたのではないだろうか。

 ●原発推進、野党共闘破壊者としての連合

 それにしても、驚くのは連合の対応だ。民進党が米山氏を推薦しなかったのは、電力総連・東電労組を傘下に抱える連合新潟が反対したからである。連合新潟は、この選挙で森氏を推薦。原発再稼働に反対する市民の敵対者としてはっきり立ち現れるに至った。

 続いて10月23日に行われた衆院の2つの補選(東京10区、福岡6区)では、いずれも自民系候補が当選、「新潟ショック」の再現はならなかった。東京では、民進党推薦候補は小池百合子都知事直系の若狭勝候補に大差で敗北。福岡では、自民系候補が党本部推薦、県連推薦の2人に分裂したにもかかわらず、民進党候補は3位に沈んだ。

 東京10区補選では、共産党が候補者を擁立せず民進党候補に一本化こそしたものの、他党の推薦は受け付けないというのが民進党の姿勢だった。民進、共産、社民、自由の4野党幹部が並んだ合同演説会には、あろう事か候補者本人が姿を見せなかった。「原発反対の政党との同席は認めない」との方針で、連合東京が候補者を演説会に参加させなかったのだ。さらに、連合東京は民進党候補の選挙事務所から運動員を引き揚げることによって野党共闘を上から破壊した。

 福島第1原発事故後、市民の間で大きなうねりとなった脱原発の動きに、電力総連を傘下に抱える連合がたびたび抵抗するのは今に始まったことではない。2012年5月、「将来の原発ゼロ」方針を決めた当時の民主党政権に対し、東京電力労働組合の新井行夫委員長は「裏切った議員には報いを受けてもらう」と発言した。原発ゼロに賛同した民主党議員の選挙支援打ち切りを表明したのだ。

 原発事故が起きた福島でも事情は変わらない。事故直後の2011年10月に開催された定期大会で、連合福島は「原発の在り方に関する議論を中心に据えれば組織の分裂につながりかねない」と脱原発宣言はおろか、議論さえさせなかった。

 農業以外に目立った産業のない福島では、労働組合が組織されるような企業が少なく、官公労と並んで電力総連が連合の一大勢力だ。県内各地域の連合組織の多くは電力労働者が役員をしており、電力政策に物が言いにくい雰囲気は他の地域より強い。影山道幸・連合福島会長(当時)は「脱原発、原発推進という対立する議論をすべきではない」と発言したが、脱原発を今議論しなくていつするのだろうか。

 福島県議会で提案された、県内原発全基廃炉を求める決議案は、自民党も賛成して全会一致で採択された。2013年2月、原発立地道県議会議長を招き、自民党が党本部で開催したエネルギー戦略問題調査会では、再稼働一辺倒の議論に怒った斎藤健治・福島県議会議長が途中退席して抗議した。「福島第1原発はいまだに鉄骨むき出しで、3号機はいまだ高線量で近づくこともできない。原発はひとたび事故が起きれば収束まで何十年かかるかわからないというのに、一部の道県からは、今年の冬は寒く、電力需要が逼迫したから再稼働の道筋を示せなどの意見が出た。再稼働ありきの話し合いにはとてもついて行けない」と、斎藤議長は「怒りの退席」の理由を語っている。「震災直後、福島第1のある大熊町や周辺地域に何度も行った。何十頭もの牛が餌も与えられず、牛舎につながれたまま死んで腐敗していた。地獄だった。原発を推進してきたことを素直に反省せざるを得なかった」と、東日本大震災当日まで福島第1原発7、8号機の建設のために奔走していた自分自身に対する反省も口にした。脱原発を願う福島県民が、自民党県連とは手を結べるのに、連合福島とは手を結べないという奇妙な状況が生まれている。

 2014年4月には、北海道函館市が、対岸の青森県に建設が予定されている大間原発の工事差し止めを求める訴訟を、電源開発を相手取って起こした。地方自治体による初めての原発建設差し止め訴訟として注目を集めたが、ここでも連合・電力総連は原発推進の醜悪な姿をさらけ出した。函館市当局が市議会に提案した提訴承認を求める議案の採決で、北海道電力労組出身の1人を含む2人の市議が退席、賛成しなかったのだ。一方、函館市議会自民党はこの議案に賛成。市長記者会見に同席した松尾正寿市議会議長(自民、当時)も「市長をバックアップしていきたい」と訴訟支援を表明している。

 保守合同による55年体制成立以降、60年近くにわたって政権与党の座を独占してきた自民党は、良くも悪くも国民世論を読む能力に長けていて、時の国民の求めに応じて柔軟に政策を変更してきた。このことが自民党の強さの源泉でもあった。中央はともかく、地方では今なおそれなりに柔軟な自民党に対し、連合の硬直した姿勢を対置してみると、連合・民進党がいつまで経っても自民党に勝てない理由も見えてくる。脱原発を切実に願っている市民と労働者にとって、これではどちらが味方か敵かわからない。

 ●大会会場に日の丸掲げる右翼御用労組

 電力会社の労働者で組織する電力総連がどれほど醜悪な組織かについて、多くの説明は不要だろう。論より証拠、まずはこの写真をご覧いただこう。



 この写真は、今年9月7~8日にかけて行われた電力総連第36回定期全国大会のものだ。左上に注目いただくと、驚くことに日の丸が掲げられている。

 職場の労働組合から闘いの世界に入った筆者にとって、労働運動は人生で最も長く見続けてきた分野だが、これまで、大会会場に日の丸を掲げているのは、私の知る限り、電力総連のほか、JAL(日本航空)の多数派労組、JALFIOくらいだ。

 2010年、民主党政権下でJALが会社更生法適用を受け経営破たん。会社に批判的な日本航空乗員組合、日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)を中心に165名の労働者が整理解雇された。被解雇者の中には、病気休職中などの理由でJALFIOの組合員も含まれていたが、JALFIOはこれら労働者を助けるどころか、何もせず見殺しにした。「なぜ労働組合なのに、JALFIOは被解雇者を助けなかったのか」などという質問はするだけ野暮というものだ。彼らが顔を向けているのは組合員・労働者ではなく国家そして財界・自民党だからである。

 電力総連も同じだ。原発停止が長引き、そう遠くない将来、労働者の大規模なリストラが必要になるときが来るかもしれない。そのとき、電力総連が労働者に対してどのような態度をとるかは、同じ「日の丸御用労組」JALFIOを見れば想像できる。解雇されてゆく労働者を助けることもせず、むしろ会社と一体になって被解雇者を虫けらのように踏みつぶすだろう。

 大会会場に日の丸を掲げる労働組合など労働組合の名に値しない。心ある電力総連組合員は、今こそ国策と一体化して原発推進を続ける右翼御用執行部を打倒し、壇上の日の丸を引きずり下ろすべきだ。

 小泉元首相が、11月4日、新潟県内で開かれた講演会で、「(民進党は)不思議な組織だ。電力総連なんて、たかだか50万票程度だろう。そんな票にこだわって、なぜ脱原発を願う500万、5000万の市民の票を取りに行かないのか」と発言したと伝えられる。同感だ。今年7月に行われた参院選で、電力総連顧問の小林正夫候補は確かに民進党全国比例区のトップ当選を果たした。しかしその得票は小泉元首相の見立てた数字の約半分、27万票だ。電力総連組合員が約22万人であることを考えると、彼らが自分たちの家族の支持さえまともに獲得できていないことを示している。投票率が50%程度であることを考慮に入れても、電力総連組合員の配偶者や子どものうち、組織内候補に投票した人はせいぜい半分程度だろう。

 一方、今年6月に行われたAKB総選挙における1位の指原莉乃さんの得票は24万3千票。投票率も選挙制度も異なるため単純比較はできないが、電力総連の集票力などしょせんはAKBと同程度だ。民進党や連合が電力総連をなぜそれほどまでに恐れるのか、筆者はまるで理解できない。民進党と連合は、内部に巣食う原発推進の右翼御用労組を叩き出すべきだ。

 ●賃上げも36協定上限も安倍政権が実現?

 労働組合の「本来業務」である労働条件の維持改善に関しても、このところ連合はお株を奪われっぱなしだ。バブル崩壊以降の「失われた20年」の間、労働者の給与は右肩下がりが続いてきた。もちろん、20年間、一貫して労働者の給与が下がり続けたのは日本だけである。

 アベノミクスによる「景気回復」を受け、2015年の春闘では安倍政権が財界に異例の賃上げを要請。ごく一部の大企業に限られているが、久しぶりの賃上げが実現した。2016年春闘でも、引き続き安倍政権の要請を受け、2年連続の賃上げに踏み切った企業もわずかながら存在する。

 最近起きた電通での痛ましい若手女性労働者の過労自殺を受け、36協定に上限を設ける方向での議論も、安倍政権の主導で始まった。安倍政権が進める「働き方改革」には、残業代ゼロ法案など労働者にとって許しがたい改悪も含まれている。しかし、労働基準法では本来、残業は禁止であり、労使で労働基準法36条に基づく協定を結ぶことによってようやく認められている例外だ。その36協定に上限を設けようとする方向性それ自体は前進というべきだろう。

 労基法制定当時、36協定に上限が設けられなかった理由は、労働者の代表である労働組合が、よもや青天井に残業を許容するような36協定を会社側と結ぶことなど起こりえないという、立法者の純粋な思いがあったからだろう。

 だが、企業の「第2人事部」と化した御用組合によってこうした立法者意思はいとも簡単に破られ、36協定は残業規制としてまったく機能しなくなった。労働者の過労死、過労自殺は労働組合も共犯だ。しかも、36協定に上限を設けようと言い出したのが労働組合側でなく安倍自民党政権であったところに、私たちは、日本の御用組合の底なしの腐敗を見るのである。改めて問おう。日本の、とりわけ連合傘下の労働組合はいったい何をしているのか。それ以前に彼らは誰の味方なのかと。

 ●権力から「頬ずりしたい」と言われて四半世紀

 今年7月の参院選挙後、民進党に対し「左」からの風当たりが強まっている。ネット右翼など「右」からの批判は、民主党政権当時からの「風物詩」であり今に始まったことではないが、「左」からの批判は従来、それほど強くはなかった。

 民進党(旧民主党を含む)に対する「左」からの批判は厳然と存在していたが、それが顕在化しなかったのは、安倍1強に対する歯止め、そして改憲阻止という「最後の役割」が民進党に期待されていたからだろう。民進党内右派を中心に改憲派も多く存在することを根拠として、参院選前から改憲派の3分の2なんてとっくに突破されていた、と冷ややかに見る向きもある。しかし、日本の議会は国会、地方議会を問わず「党議拘束」という縛りがあり、改憲派議員であっても執行部が「改憲阻止」を掲げる以上、それにしたがって行動しなければ除名などの制裁を受ける恐れがある。したがって、一部に見られるそのような論評は、必ずしも正しいとはいえないのである。

 7月の参院選が、歴史の転換点ともいうべき重大な結果になったのは「党議拘束」による縛りを考慮してもなお、改憲派が衆参両院で3分の2を突破するという戦後初の事態を迎えたからである。そして、それを阻止できず「最後の役割」も果たせなかった民進党が、従来の「右」に加え、「左」からも「用済み」と判定されることになった。民進党が、ここに来て「野党共闘の破壊者」などとして「左」からの容赦ない批判にさらされることになった背景にこのような事情があることは間違いない。

 冒頭に取り上げた新潟県知事選、そして衆院東京10区、福岡6区の両補選の結果は、民進党の公認や推薦の看板が「付かなければ勝ち、付けば負ける」という、いわば「負のブランド化」状況にあることを示すものとなった。民主党政権崩壊以降、相変わらず党内対立が続き、主要政策に関して明確な見解を打ち出せない民進党への有権者の強烈な忌避感情は継続しており、安倍政権が安定的に存在していられるのもこの民進党への忌避感があるからである。逆説的に言えば、民進党こそが安倍政権を安定化させ、事実上、支えているのであり、安倍政権を倒すには民進党に解党してもらうのが最も早道ということになる。党内対立を恐れるあまり、まともな綱領ひとつ制定できない民進党はこのあたりで解党し、党内右派は自民党へ、左派は社民党へ再合流すべきだと考える。

 連合も同じ状況だ。野党とりわけ共産党との共闘に踏み切った民進党に反発する連合内部の右派労組の組合員からは、安倍政権による賃上げ以降「自民党に投票したい」との公然たる声が出ているという。すでに共産党との共闘に反発して化学総連が連合から脱退、JAM(ものづくり産業労働組合。旧機械金属)などの民間右派労組も続く構えを見せる。

 組織外部から連合を左右に引き裂く動きも強まっている。二階自民党幹事長が神津里季生(りきお)連合会長と会談、「今後も対話を継続していく」と秋波を送ったかと思えば、志位和夫共産党委員長も「共闘を継続するという公党間の約束は守られるべきだ」と民進党・連合を牽制する発言をしている。あちらを立てればこちらが立たず、内憂外患だらけの連合はもはや瓦解寸前だ。

 しかし、筆者はこの事態に至っても連合指導部への同情などまったく湧いてこない。それまでの総評、同盟を「発展的に統一」させる形で連合が発足したのは1987年のことだが、時の自民党政権の首相が「連合に頬ずりしたい」と発言したことを筆者は今も忘れない。共産党系の統一労組懇(後の全労連)が当時、連合発足を「労働戦線の右翼的再編」としたのはまったく正しい評価であった。

 それから約四半世紀――連合は「自民党、経団連に頬ずりされる労働運動」の構築を目指してきた。その「たゆみない努力」の結果、バブル崩壊以降の20年間、日本だけが世界で唯一、労働者の賃金が下がり続けた。若者は正規職にも就けず、運良く正規職に就いた若者は月100時間の残業を強いられたあげく、24歳で自死せざるを得なくなった。日常風景となった貧困は親から子へ、子から孫へ、世代を超えて連鎖するようになった。大会会場に恥ずかしげもなく日の丸を掲げ、政府・自民党・経団連と一体となって原発を推進し続けた右翼御用労組の「たゆみない努力」の結果は悲劇的な福島第1原発事故だった。小泉元首相でさえ脱原発に考えを改めたのに、連合傘下で考えを改めた労組があるとの声は、事故から5年半経った今なおまったく聞こえてこない。原発政策を巡って、連合・電力総連は自民党以下の醜態をさらし続けている。

 メディアをして「2015年安保闘争」と言わしめた昨年の「総がかり行動」は、市民の闘いの中から野党共闘を生み出した。従来の革新層だけでなく、心ある保守層から創価学会員までが街頭に繰り出した安保法制反対運動は、やや大げさに言えば現代日本における反ファシズム人民戦線といえよう。安保法や原発の廃止を目指す市民は、今こそ民進党と連合に踏み絵を迫るべきである。「来るべき総選挙で、連合は安倍ファシズム政権と人民戦線、原発推進と脱原発のどちらにつくのか」と。

 もし、連合がそれでも原発推進の旗を降ろさないなら、そのような反労働者的右翼御用労組の集合体、連合は解体すべきである。かつてと同じ形には戻れないとしても、心ある左翼的労組を結集し、第2の総評を結成する試みを、労働者の下からの運動によって今すぐ始めるべきである。もし新たな形で「第2の総評」が結成されたら、その新たなナショナルセンターは社民党を支持するとともに、社民党の再建を図るべきである。大会会場に日の丸を掲げることに疑問を持たない右翼御用労組は、新しい「第2の同盟」にでもなり、せいぜい政府・自民党・経団連に頬ずりしてもらえばよかろう。私たちがそんな連中の支援など必要としていないことは、新潟県知事選の結果が余すところなく示している。

 さらば連合、さらば民進党。彼らこそ日本を悪くした元凶だ。「卑怯者、去らば去れ。我ら共闘の旗守る」の精神で、私たちは連合と電力総連を乗り越え、労働者・市民のためになる新しい、真の労働運動を作りたいと思う。今日をそのスタートにしたい。

(黒鉄好・2016年11月6日)

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今朝5時59分に発生した福島県沖の地震について

2016-11-22 21:46:06 | 気象・地震
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について(第79報)-平成28年11月22日05時59分頃の福島県沖の地震-(気象庁報道発表)

今朝の最大震度5弱の大地震、当ブログ管理人の居住地ではまったく揺れを感じなかったが、スマホ・タブレットの地震速報アプリが鳴りっぱなしとなり、結局、普段より1時間以上も早く起き出すことになってしまった。

・・・が、テレビをつけて愕然とした。福島で最大震度5弱、津波警報発令(最大高さ3mの予報)と聞いて、5年前の3.11が頭をよぎったことは言うまでもない。ちなみに、津波の高さの3mは「大津波警報」と「津波警報」の境目で、これ以上津波の予測が高いと「大津波警報」になるところだった(大津波警報は、過去30年までさかのぼっても、東日本大震災と、1993年の北海道南西沖地震でしか出たことがない)。

実際には、仙台港で観測した1.4mが最大で、予測よりはるかに小さかったのは幸いだったと言えよう。

さて、報道発表を見ると、地震規模はM7.4(速報値の7.3から修正)で、これは阪神淡路大震災(M7.3)や、今年4月16日に発生した熊本地震の本震(M7.3)とほぼ同程度。震源地は福島県沖、震源深さは25㎞(速報値の10kmから修正)。発震機構(地震のメカニズム)は北西-南東方向に張力軸を持つ正断層型(速報)となっている。

注目すべきなのは震源深さと発震機構だ。2011年3月11日の震災は、震源深さが10kmだったが、今回の地震はやや深いところでの発生だ。発震機構も、北米プレートと太平洋プレートの境界より西側(北米プレート内部)の地震であるにもかかわらず、正断層型である点だろう。北米プレート内部で起きる東日本大震災の余震は、従来、逆断層型、震源深さ10kmのものがほとんどだったことを考えると、熊本地震、鳥取地震という2つの大きな地震を経て、東日本大震災の余震も、少しずつ発生の仕方が変わってきている印象を受ける。

とはいえ、気象庁がこの地震を東日本大震災の余震としている点について、当ブログは基本的に異論はない。北西-南東という張力軸の方向も、東日本大震災の圧力軸の方向(西北西-東南東方向)と近く、プレート境界の動きに引きずられた形での地震と考えられるし、今日の地震の9日前、11月13日にニュージーランドで地震が起こっていることも3.11と共通性がある。あのときも、2月下旬にニュージーランド地震が起きた後、ほぼ20日後に東日本大震災が起きている。ニュージーランドと三陸沖は、同じ環太平洋地震帯の上に位置しており、この2つが連動することは別に不思議ではない。と言うより、連動することがむしろ当然と考えておかなければならないのである。

注意しておかなければならないのは、比較的規模の大きい余震である。気象庁は、1週間程度、今回の地震と同程度の余震のおそれがあるとしている。だが、3.11の2日前――2011年3月9日にも、M7.3、つまり今日の地震と同規模の前震が発生している。M7.3といえば、当時としては阪神淡路大震災くらいしか前例がなく、よもや数日後にこれを上回る本震が来るなどと思っていなかった。だが、3月9日のM7.3で地殻のストレスがある程度放出されたはずなのに、その後も余震が収まらず、3.11につながっていった。

地震発生履歴を見ると、今朝のM7.3の後も福島県沖で活発な余震活動が続いており、嫌な感じがする。震源がプレート境界上ではなく、それよりやや西側の北米プレート内である点が3.11と違っており、内陸型地震ではM8を超えるものは想像しにくいが、それでも今年8月には、三陸沖のプレート境界で、M6.0規模の地震も起きている(参考)。プレート境界のずれを今朝の地震が誘発する可能性は否定しきれない。

そういうわけなので、今朝、強い揺れに見舞われた地域では、同程度の余震はもちろん、今後数日内にこれを上回る「本震」が発生する可能性も念頭に、厳重な警戒を続けてほしい。

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JR北海道の路線大幅見直しに関する声明/安全問題研究会

2016-11-20 19:06:50 | 鉄道・公共交通/交通政策
 JR北海道は、島田修社長が11月18日に記者会見し、宗谷本線名寄~稚内間など計13区間について、同社単独では「維持が困難」になったことを公表した。対象区間のうち3区間(輸送密度200人未満)はバス転換が適当とし、残る10区間(輸送密度200人以上2000人未満)についても、上下分離方式などの地元負担が必要としている。



 国鉄分割民営化を目前に控え、国鉄再建法(日本国有鉄道経営再建促進特別措置法)に基づいて特定地方交通線の整理が行われた際にも、廃止路線の多くは北海道と九州に集中した。札幌都市圏を除いて人口密集地域がほとんどない北海道は、このときにも多くのローカル線を失ったが、旧産炭地の路線や盲腸線が中心だった。今回の13区間には、根室線帯広~釧路~根室間、釧網線東釧路~網走間など、主要都市間輸送を担う基幹路線のほとんどが含まれており、営業キロで見てもJR北海道全体の半分に相当する。もしこのすべてが廃止や地元負担となった場合、地元の社会経済に与える打撃は壊滅的なものになるであろう。今回の発表を、当研究会はJR北海道の「破産宣言」と受け止める。

 当研究会などによるこの間の独自調査の結果は、JR北海道が今日に至る破たんへの下り坂を転がり落ち始めたきっかけが、バブル崩壊による低金利時代の到来に伴う、経営安定基金の運用益の減少にあることを明らかにした。2009年、高速道路1000円乗り放題政策で鉄道から自動車へ多くの旅客が転移したことが、JR北海道の「転落」を加速させた。JR北海道の経営を支えていた長距離旅客は、1000円高速政策が終了後も今なお鉄道に戻らないままである。

 長距離旅客減少による経営悪化は、初めに安全崩壊となって表面化した。2011年、石勝線トンネル内で起きた特急列車火災事故はJR北海道の終わりの始まりを告げるものであった。2013年、函館本線における貨物列車脱線事故と、その後のレール検査データの組織的な改ざんは、JR会社法に基づく初の監督命令の発出に加え、警察当局の強制捜査、起訴によって刑事事件に発展した。この間、2人の社長が自殺する事態まで起きた。

 JR北海道社内に設けられたJR北海道再生推進会議は、同社が民営化以降の30年にわたって、本来であれば安全投資に回すべき費用を、高速バスや航空機との競争の中で高速化に充てていたという驚くべき事実を告白している。2011~13年にかけ相次いだ事故やトラブルは、30年にわたった安全軽視と怠慢の明らかな帰結であった。再生推進会議は、こうしたJR北海道の安全軽視と怠慢を棚に上げ「安全か路線かの二者択一」を会社に迫る提言をまとめたが、地域公共交通、住民の足が守られるよう願う地元の意思を無視したこのような提言は一方的であり、断じて認めることはできない。

 国鉄分割民営化に当初から反対し、三島会社(北海道・四国・九州)と地方の切り捨て、国鉄労働組合(国労)など反対派組合への差別・選別などの実態を告発しながら、JR不採用者の職場復帰の支援を続けてきた当研究会にとって、JR北海道の経営の行き詰まりは「起きるかどうか」ではなく「いつ起きるか」の問題であった。民営化初年度(1987年度)決算で、JR7社の営業収入全体に占めるJR北海道の割合はわずかに2.5%、JR四国が1%、JR九州が3.6%に過ぎなかった。JR北海道全体の営業収入(919億円)は東京駅の収入(約1000億円)より少なく、JR東日本1社だけでJR7社の営業収入の43.1%を占めていた。経営格差は歴然としており、この決算を見た当時の運輸省幹部が「羊羹の切り方を間違えた」と発言したことが伝えられている。

 儲かる路線で儲からない路線を支えていた国鉄時代の内部補助制が分割で崩壊、儲かる路線の利益はJR本州3社の経営者が分捕り、北海道、四国、九州の損失は地元自治体・住民に押しつけられる――国鉄「改革」によって発足したJR体制とは最初から既にこのようなものであった。国鉄を葬った者、1047名の国鉄労働者を路頭に迷わせ、それ以外の多くの国鉄労働者を自殺に追い込んだ者、東京駅より少ない収入のJR北海道にできもしない「自立」を迫り、経営破たんに追い込んだ者の責任を追及しなければならない。

 同時に、緊急課題として、北海道の鉄道路線の廃止を阻止するためのあらゆる行動を起こすことが求められている。当研究会は、この間の歴史的経緯や、再国有化・上下分離の必要性などについての世論形成に資するため、地元で6回にわたってJR問題学習会の講師を務めるなどの行動を続けてきた。この9月には、JR北海道の自力再建はもはや不可能と判断し、独自のJR北海道組織体制改革私案も公表した(別紙資料参照)。この私案は、旧国鉄を継承した独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構に北海道内の線路・施設を保有させるもの、上下一体のままJR北海道を国鉄に戻すものなど、複数の案を併記する内容となっている。当研究会は、これまでの活動に加え、今後はこの改革私案を関係国会議員や国土交通省に示すなどの政治・行政対策を通じて、今日の事態を引き起こした原因である国鉄「改革」の抜本的検証と見直しを求めていく。

 この夏、北海道を相次いで襲った台風は、JR北海道にとってとどめの一撃となった。だがそれは同時に、首都圏を中心とした農産物の高騰を通じて、食糧供給拠点としての北海道の重要性を改めて浮き彫りにした。北海道で生産された農産物が、全国津々浦々に鉄路で運ばれ消費されていることは、いくら強調してもし過ぎることはない。北海道産農産物の鉄道輸送の陰には、保線や除雪などの莫大な経費を、北海道民が本州より高い運賃を通じて負担している事実がある。北海道民に一方的に負担を押しつけ、自分たちは「食べるだけ」でいいのか。道内外の市民ひとりひとりがこの事実と向き合うとともに、これを全員の問題として認識し、声を上げ、必要な行動を起こすよう、当研究会は改めて訴える。

 北海道内では、廃止阻止を掲げる勢力、バス転換やむなしとする勢力、中間的勢力が入り乱れ、すでに激しいせめぎ合いが始まっている。当研究会は地域、とりわけ高齢者や高校生など交通弱者の足を守ること、地域経済や社会的活動の崩壊を阻止すること、公共交通を中心とした地域の将来展望を示すことを軸に、引き続き路線廃止阻止を基本として行動を続ける。当事者能力を失ったJR北海道を清算し、地元の鉄路の維持発展に責任の持てる新たな事業体への再編が不可避との認識のもと、10年後、20年後を踏まえた大局的見地に立って、公共交通・鉄路の維持に全力を尽くす決意である。

 2016年11月20日
 安全問題研究会

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【書評】スターリン~「非道の独裁者」の実像(横手慎二・著、中公新書)

2016-11-13 15:38:23 | 書評・本の紹介
「ソ連崩壊後に公開された史料をもとに知られざる「素顔」に迫る~スターリンを知らずしてロシアは語れない」と、帯には大きく書いてある。著者・横手は慶大法学部教授。過去には在モスクワ日本大使館調査員として勤務経験を持つロシア専門家。

ロシア革命は1917年、ソ連邦の崩壊は1991年。ソ連が存在していた期間は74年間であった(実際にはソ連建国宣言は1922年に行われたが、本エントリではロシア革命をソ連時代の起点としている)。スターリンは1922年の共産党書記長就任から53年の死去まで、31年間もソ連の最高指導者として君臨した。ソ連時代の歴史の4割はスターリン時代だったことになる。その意味では、「スターリンを知らずしてロシアは語れない」というキャッチコピーは正しい。

スターリンと旧ソ連の実情を知らない読者のために概要を述べておくと、スターリンはロシア語で「鋼鉄の人」を意味する変名で、本名はヨシフ・ヴィッサリオーノビッチ・ジュガシビリである。ロシア語っぽくないのは彼がグルジア出身だからだ。この時代、君主制や右翼独裁政権と戦っていた革命政党の党員は、自分自身や組織を弾圧から防衛するため、本名ではなく変名を名乗ることが多かった。例えば、ロシア革命指導者のレーニンも変名で、本名はウラジミール・イリイチ・ウリヤノフ。スターリンの政敵であったトロツキーの本名はレフ・ダヴィデヴィチ・ブロンシテインという(ダヴィデヴィチはユダヤ教のダビデに由来しており、このミドルネームが示す通り、トロツキーはユダヤ人である)。トロツキーという変名は、彼が帝政ロシアで逮捕されていた時代の、収容所の看守の名前から取ったと言われる。

ロシア以外の国の革命政党も事情は同じであり、例えば日本共産党の不破哲三議長の本名は上田建二郎。本名で活動している上田耕一郎副委員長は実兄である。

また、ソ連の正式国名「ソビエト社会主義共和国連邦」の「連邦」に当たる部分はロシア語で「ソユーズ」である。この名前は、ソ連が打ち上げた宇宙船の名前にも使われていたが、「連邦」とも訳せるものの、本来のロシア語の語感としては「同盟」に近い。ソビエト(労働者階級代表による評議会)体制によって社会主義を目指す諸国の「同盟」という意味合いを込めてソユーズという単語が充てられた。ソ連の正式国名の英語表記も“The Union of Soviet Socialism Repubrics”であり、“Union”とは労働組合の「ユニオン」と語源が同じである。間違っても米国のような単なる“United States”(国家の連合体)とは異なり、当ブログの見解では「ソユーズ」はやはり連邦ではなく同盟と訳されるべきものである。

さて、前置きが長くなったが、本書はグルジアでの彼の生い立ちから幼少の神学校時代、そして神学校の不条理な現実を意識して革命運動と民族問題に関心を抱いていくスターリン(愛称ソソ)の様子から、死去するまでの彼の人生を丹念に追っている。この時代、多くのロシア社会民主労働党(ボルシェビキ~後のロシア共産党)党員たちは、民族問題を重要な問題だと考えていなかった。この分野で頭角を現したスターリンは、やがて民族問題に関する論文をレーニンに高く評価され、革命家の道を歩み始める。

多くのスターリン研究が明らかにしているとおり、本書もスターリンの能力が最大限に発揮されている分野は組織作りと実務能力であるとしている。特に、特定の問題に集中し、高い問題解決能力を示すスターリンは、理論・思想形成や革命などの激変期の対処には向かないが、平時における党・国家の実務や統治といった分野では優れた能力を示した。その意味では、スターリンを革命家に分類するのは正しい評価とはいえないような気がする。本書が示しているスターリンの実像をワンフレーズで表せ、と言われたら、当ブログは「党官僚」「党組織者」と答える。

トロツキーも、「裏切られた革命」の中で「もし、誰かが将来のスターリンの党書記長就任を予言したとしたら、そこに居合わせた全員が(スターリン自身を含め)彼らを悪質な中傷者と罵っただろう」「彼らでは革命は達成し得なかった」と述べている。スターリンに対する正しい評価だといえよう。

日本において、スターリンは「政敵を次々と粛清・処刑した残虐非道の独裁者」というイメージが定着している。ソ連をモデルに社会主義・共産主義革命を目指していたはずの新左翼政治党派の中でさえ、「スターリン主義」は党内分派・反対派弾圧とほぼ同義語として使われてきたし、「反帝・反スタ」のようにスターリン主義を帝国主義と同列に並べてその打倒を訴える党派も今なお存在する。

しかし、本書が示すスターリンの実像は、そうした残虐非道のイメージからはかけ離れている。実像としてのスターリンは、しばしば優柔不断で、状況対応的で、内外情勢の変動に合わせて政策をジグザグに変えてきたプラグマティストとして描かれている。しかし、こうした彼の柔軟さこそが31年もの長期政権を実現する原動力であった。また、食料生産の担い手である農民が飢餓に直面するほどの厳しい食料徴発政策を採ってまで、スターリンが重工業優先の経済建設を行ってきたことは、後の歴史家から「大量虐殺」と批判された。だがもしこれと正反対に、彼が農民を食べさせることを最優先にし、軽工業化政策を採っていたら、ソ連が「大祖国戦争」(独ソ戦)に勝つことはできなかったとする横手の見解に、当ブログは全面的に同意する。

民主主義擁護を使命としている当ブログにとって、このような横手の見解に同意することには苦痛を伴う。しかし、当時のソ連を取り巻く内外情勢を見ると、ナチス・ドイツと軍国日本によって東西から挟み撃ちされる恐怖に怯え、軍事上の保障を願っていた米英両国は当てにならず、独力で第2次大戦を戦わざるを得ないかもしれない――そう考えていたスターリンにとって、これ以外の選択があり得ただろうか。私はなかったと考えている。食料徴発による飢餓政策を「虐殺」とする歴史家の見解は、しょせんは「歴史の後知恵」に過ぎないのである。

当ブログとして、読者のために、どうしても言及しておかなければならないことがある。「誰がスターリンをこのような独裁者に育てたのか」という、当然出されるであろう疑問への見解である。本書を読む限り、しばしば優柔不断で、状況対応的で、内外情勢の変動に合わせて政策をジグザグに変えてきたプラグマティストのスターリンが、みずから独裁者になりたいと望んだ形跡は見当たらない。むしろそこに描かれている実像からは、周囲の取り巻きたちが勝手に彼を神格化し、祭り上げ、彼の権勢を利用して政敵を追い落としているうち、次第に彼が絶対不可侵の領域に置かれていく過程が垣間見える。その意味では、明確に目的を持って独裁への道をみずから望んだヒトラーとは実情が違うように思われる。

これに加え、要因を探るとすれば、彼が党組織化能力と実務能力に長けていたこと、帝国主義諸国によるソ連包囲が彼による状況対応的措置を正当化する力として働いたことが挙げられる。前者=党の組織化はそのまま党内権力の強化・再配分であり、後者=帝国主義諸国による包囲は軍事的かつ即時的対応を通じて権力の強化作用をもたらすからである。不幸だったのは、第2次大戦をバックとしたこの一連の強権発動装置としてのソ連型社会主義が、第2次大戦後の東ヨーロッパ諸国にそのまま持ち込まれ、社会主義のモデルとされたことにあると思う。

最後に、スターリンの死因についても述べておきたい。彼の死に関しては、毒殺ではないかという疑惑が今もソ連史研究者の中に強くある。中でも、内務人民委員部(内務省に相当)で、事実上秘密警察のトップとして君臨してきたヤゴダ、エジョフなどの前任者が、スターリンによって用済みと見なされた後、銃殺に追い込まれていくのを見たベリヤが、「自分もいずれそうなる」と恐れ、スターリンに毒を盛ったとの説は広く信じられている(ちなみに、ベリヤはスターリンの死後、共産党第1書記に就任するニキータ・フルシチョフとの権力闘争に敗れ、結局は処刑で人生を終えている)。

しかし、本書が示す「実像」は、そうした毒殺説が否定されるべきであることを示唆している。すでに死の前年、1952年後半から、言動が支離滅裂で、彼の最大のよりどころであった集中力がなくなり、ミコヤンやモロトフなど、長く彼に仕えてきた側近さえ米国のスパイと疑って追放していくなど、本書は丹念にスターリンの「老化」「劣化」の過程を浮き彫りにしている。横手は、こうしたことを根拠に、ナチス・ドイツとの壮絶な戦争と、その後の米国との厳しい冷戦による重圧が、彼を死に導いたとしているが、この推測に大きな誤りはないように思う。死去時のスターリンは72歳であったが、当時のソ連の医療・保健水準を考えると、どこにでもある平均的な死であったと考えていいのではないだろうか。

いずれにしても、本書は「非道な独裁者」とされるスターリンの実像を明らかにした貴重な著書である。スターリンに興味を持つ人は日本ではごく限られており、本書を手に取る人は少ないと思う。だが、一定の諸条件(やりたいことへの強烈な政治的意思、周辺諸国からの戦争圧力、勝手に祭り上げ、権威化しようとする取り巻きの存在など)が重なれば、こんな凡庸な人物でも容易に独裁者に転化しうることを丹念に検証したという意味で、当ブログは本書を評価する。今、「中国の脅威」を振りまきながら、安倍首相が党規約を変えてまで自民党総裁に3選しようとしている姿や、頼まれもしないのに周囲が勝手に安倍首相の「自衛隊礼賛演説」にスタンディング・オベーションしているのを見ると、周囲の取り巻き連中によって独裁者への階段を押し上げられていったスターリンの軌跡と重なって見える。今こそ、「凡庸な人物」を独裁者へと押し上げていく「日常的な恐怖のシステム」に目を向けさせるとともに、それに対する政治的警戒を惹起するため、当ブログは本書がより多くの人に読まれることを願う。

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【書評】この経済政策が民主主義を救う~安倍政権に勝てる対案(松尾匡・著、大月書店)

2016-11-12 23:12:16 | 書評・本の紹介
当ブログが最近、すっかり書評ブログ化している気がする。それほどまでに現実の政治に展望がなく、ネットも絶望的につまらない。入院と、Win10の不具合によって約1ヶ月、ネットから遠ざかったが、ちっとも困らなかったという事情もあり、当ブログ管理人はネットから離れ、知識の吸収は本による「原点回帰」をしている。こんなにたくさん本を読んだのは学生時代以来だと思う。

さて、今回取り上げるのは、「この経済政策が民主主義を救う~安倍政権に勝てる対案」(松尾匡・著、大月書店)。出版している大月書店は、新日本出版社とともに、知る人ぞ知る日本共産党系列の出版社。「そっち系」の本は充実している。ただ、著者の松尾は、保守系のPHP出版等からも自著を出版しており、「そっち系」の人でないことは誤解のないようにしていただきたい。

そういうわけで、「そっち系」方面の一部だけで話題になっているが、なぜリベラルがいつまでも自民党に勝てないかを考察した上で、リベラル派は経済政策に難があるからだという問題意識が、本書の出発点になっている。選挙のたびに争点を尋ねるマスコミの世論調査では、いつも1位は「景気・雇用」で2位は「社会福祉」。反原発、基地反対、それ自体はとてもすばらしいことなのだけれども、これらはいわば「飯を食うことにつながらない」テーマ。どんなにすばらしいことを唱えても、腹が減っては戦はできないし、どんなすばらしい政策も、資本主義が資本主義である限り、お金がなくては始まらない。そのことを忘れて、原発をなくすため、基地をなくすためには空腹に耐えろ、では誰もついてこない。本書は、そんな「本音のお話」から始まっている。

とはいえ、経済学に関する知識は、大学で一応、経済学科を経験している私にとってはイロハのイに属するような、ごくごく基本的な話ばかり。中学校社会科の公民の授業のようで、「なめとんのか!」というのが正直なところ。ただし、経済学を専門に勉強した経験のない人には、参考になる内容ではある。

この本では、松尾の最も言いたいこと、すなわち結論は巻末の「むすびにかえて」ではなく、「はじめに」にいきなり書かれている。緊縮政策は左翼・リベラルにとって禁じ手であり、左翼・リベラルこそどんどんお札を刷り、政府支出を拡大して、その金で弱者を救済せよと説く。緊縮財政で社会が疲弊したギリシャで、いきなりSYLIZA(急進左翼連合)が政権を取ったりしているのは、こうした緊縮政策で結局、貧困層が苦しめられたことが背景にある。本書はそうした欧米諸国の動向も念頭に置いている。

当ブログの書評が「それまで自分の中で常識となっていたことを転換させてくれる本」「それまで地球の周りを太陽が回っていると思っていた人々に、実際に回っているのは太陽ではなく地球のほうなのだとわからせてくれる本」を「名著、好著」の基準としていることは、すでに過去ログでも述べている。そして、この基準に照らすなら、本書もまた名著、好著の部類に入る。なによりも、政府(特に財務省)による「国の借金1000兆円」との宣伝が行き届きすぎて、日本国民はもうかなり以前から「緊縮財政が当たり前」「金がないんだから、政府に何を言っても仕方ない。自分で解決するしかない」と信じ込まされている。自分で解決するしかないから、ある人は新自由主義に走り、別の人は差別排外主義に傾倒することで他人(特に外国人、マイノリティ、女性)のせいにし、そのどちらも選べない「優しい人たち」は静かに自分の命を絶っている。左翼・リベラルが政権を取ったとき、本書に書かれている政策を実行できるなら、多くの人を救うことができるだろう。安倍政権? そんなもの1秒で粉砕できる。

実は、当ブログ管理人はかなり以前から、「消費増税などせず、国債を発行して資金調達すればいいのでは?」と薄々思っていて、妻にだけは何度か話したことがある。1000兆円の借金を抱えている日本にとって、もう100兆や200兆くらい借金が増えたところで大勢に影響はないし、その国債の7~8割は日本国内で日本の金融機関、日銀、富裕層が保有しているのだから「外国に日本の命運が握られている」わけでもない。

そして、何より重要なことは、貧困層からも容赦なくむしり取る「逆進性」の象徴としての消費税などより、「買いたい人が買い、買いたくない人は買わなくてもよい」「買う能力のある人が買い、買う能力のない人は買わなくてよい」国債のほうが、よほど応能負担(能力に応じた負担)の原則にかなっており、その意味では公平な手法であるといえる。赤字国債は「財政法」で発行が原則、禁じられており、発行するには法改正が必要だが、国民の注目を集めやすく、与野党対決法案になりやすい税制改正法案と違い、特例公債法案(財政法で原則、禁止されている赤字国債の発行を、今年度に限って○○兆円まで認める、という内容の法案)は誰も注目せず、対決法案にならないから簡単に国会を通過する。

増税が難しい日本では、政府は赤字国債によって資金の調達を続けてきた。財務省は、国債の償還にいわゆる「60年ルール」を採用していて、例えば10年ものの国債を60兆円分発行した場合、10年後に実質的に返すのは6分の1の10兆円だけ。残り50兆円分は、新たに国債を発行して「借り換え」をする自転車操業でしのいでいる。10年ものの国債でも、6分の5は借り換えで済ませるこの手法では、本当に6分の6の全体が返されるのは60年後になる。60年ルールとはそういう意味である。つまり、富裕層(に別に限らないが)が買った国債は、60年後にならなければ全体が戻って来ない、事実上の「富裕層課税」として所得再分配の機能を果たしてきたのである。

加えて、松尾の掲げる政策――「左翼・リベラルこそどんどんお札を刷り、政府支出を拡大して、その金で弱者を救済せよ」が経済的に合理的なのは、「無駄な支出の削減」をめぐって「公共事業ムラ」と闘わなくてすむ点にある。民主党政権が3年ちょっとのわずかな期間で倒れてしまったのは、「コンクリートから人へ」のスローガンの下に、福祉・医療・教育に充てるための財源を、いきなり公共事業削減で捻出しようとして「公共事業ムラ」との全面戦争に発展したからである。コンクリートから人へのスローガン自体の正しさを、当ブログは疑わないが、日本の「公共事業ムラ」はあまりに強力すぎて、脆弱な政権なら一撃で倒してしまうほどの利権を持っている。政権基盤も十分に固められないうちから、「無駄な支出の削減」を通じて、日本で一番強力な敵にいきなり闘いを挑んだ民主党政権はあまりにやり方が無謀すぎ、倒れてしまった。

そしてその民主党政権の失敗を通じて、リベラル層は「もう二度とこの国で政権交代はできない」とすっかりあきらめ、選挙に行くこと自体をやめてしまった。民主党に政権を奪われた2009年総選挙より、その後の総選挙での得票のほうが少ないにもかかわらず、安倍自民党政権はリベラル層のこの失望に支えられ、安定的に推移してきたのである。

誰かを助けるために誰かから金を奪うのではなく、ゼロから金を作るよう説く、松尾の本書における提言には価値がある。築地移転だ、オリンピックだ、リニアだと暴走の限りを尽くす公共事業ムラはいずれ倒さなければならないが、小泉政権でも民主党政権でも倒せなかった彼らと闘うのは得策とは思えない。衰えたりとはいえ、建設業界では未だに1000万人近い人が働いており、それは8000万人と言われる日本の労働力人口の8分の1にも達する。公共事業ムラを倒すということは、「日本の労働力人口の8人に1人が失業してもいい」という主張を認めることであり、あまりに犠牲が大きすぎるのである。どんな強力な政権でも公共事業ムラを倒せないのには、それなりの理由があるのだ。

それでも日本の土木・建設業界は徐々に縮小しており、ムラもそれによって縮小している。リニアなどの公共事業と闘ってきた当ブログとしても悔しいけれど、つける薬もない彼らのことは「自然死するまで放置」しか手がなく、彼らが浪費する国家予算は民主主義の必要経費と割り切るしかない。どうせ日本国債を買っているのは日本の富裕層と金融機関なのだ。利益を受け取る者が、内部で国債を買い、せっせと公共事業ムラを支えているだけの話だ。その国債の借り換えも実質的には彼らが行っているのだから、もう勝手にすればいい。彼らの動向と無関係に、こちらでも国債を発行し、どしどしお札を刷って、国民が本当に必要としている分野(医療・福祉・教育)に金を回す――松尾のこの手法でしか、「保育園落ちた」と泣いている母親を救う手はもうないと思う。

以上の理由から、当ブログは、一見、荒唐無稽に思えるが、実際には理にかなっている松尾の経済政策を支持するとともに、本書も推薦図書に指定する。

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【転載記事】米大統領選;トランプ氏の勝利を受けて~ヒラリー・クリントン候補の「敗北宣言」全文

2016-11-11 22:52:41 | その他社会・時事
昨日の「選挙に負けた今やるべき5つのこと」(マイケル・ムーア)に続いて、ヒラリー・クリントン候補の「敗北宣言」全文をご紹介する。

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●志を同じくする人々へ ── やり続けましょう

Last night, I congratulated Donald Trump and offered to work with him on behalf of our country. I hope that he will be a successful president for all Americans.

昨晩,わたしはドナルド・トランプに祝意を述べ,「これからも祖国のためにともに協力し合いましょう」と伝えました。彼がすべてのアメリカ人を成功に導く大統領となることを,わたしは願ってやみません。

This is not the outcome we wanted or we worked so hard for and I’m sorry that we did not win this election for the values we share and the vision we hold for our country.

これは,わたしたちの望んだ結果でも,わたしたちが目指し,努力してきた結果でもなく,わたしたちの祖国のために,わたしたちが掲げた共通の価値観やビジョンをもってしても,この選挙に勝てなかったことが,わたしは無念です。

But I feel pride and gratitude for this wonderful campaign that we built together, this vast, diverse, creative, unruly, energized campaign.

それでもわたしは,このすばらしい,広範囲で,多様で,創造的で,型破りで,そして活気に溢れた運動をみんなでつくりあげたことへの誇りと感謝の気持ちで一杯です。

You represent the best of America and being your candidate has been one of the greatest honors of my life.

みなさんは,もっともすばらしいアメリカの姿をみせてくれました。みなさんの候補として闘うことができたことを,わたしは生涯の誇りとすることでしょう。

I know how disappointed you feel because I feel it too, and so do tens of millions of Americans who invested their hopes and dreams in this effort. This is painful and it will be for a long time, but I want you to remember this.

みなさんがどれほど残念な思いであるかはよくわかります。わたしもそう感じるからです。そして,夢と希望のすべてをこの運動に注ぎ込んでくれた数百,数千万の人びともそうです。本当につらいです。このつらさは長く続くかもしれません。

でも,これだけは覚えておいてほしいのです。

Our campaign was never about one person or even one election, it was about the country we love and about building an America that’s hopeful, inclusive and big-hearted.

わたしたちの運動は,いち個人のためのものでも,いち選挙のためのものでもありませんでした。わたしたちは,愛する祖国のために,そして希望に満ちた,包摂的で,心の広いアメリカをつくるために,この運動に身を投じてきたのです。

We have seen that our nation is more deeply divided than we thought. But I still believe in America and I always will.

わたしたちは,アメリカに横たわる分断の溝が想像以上に深いことを知りました。しかし,私はアメリカを信じています。いまも,そしてこれからも。

And if you do, then we must accept this result and then look to the future. Donald Trump is going to be our president. We owe him an open mind and the chance to lead.

そして信じるならば,この結果を受け入れて,未来に目を向けなくてはなりません。ドナルド・トランプは,わたしたちの大統領になります。心を開き,彼にわたしたちを導く機会を与えなくてはなりません。

Our constitutional democracy enshrines the peaceful transfer of power and we don’t just respect that, we cherish it.

わたしたちの立憲民主制は,平和的な権力の移譲を保障しています。わたしたちはこれを単に尊重するだけでなく,大切に思う心を持っているはずです。

It also enshrines other things; the rule of law, the principle that we are all equal in rights and dignity, freedom of worship and expression.

立憲民主制が保障するのは,それだけではありません。

法の支配や,すべての個人が等しく権利を持ち尊厳を認められるという原則,そして信仰や表現の自由を保障しています。

We respect and cherish these values too and we must defend them.

これらの価値観を尊重し,大切に思うならば,守り抜かなければなりません。

Now - and let me add, our constitutional democracy demands our participation, not just every four years but all the time.

もうひとつ,立憲民主制がわたしたちに求めることがあります。

それは参加することです。4年ごとではありません。常にです。

So let’s do all we can to keep advancing the causes and values we all hold dear; making our economy work for everyone not just those at the top, protecting our country and protecting our planet and breaking down all the barriers that hold any American back from achieving their dreams.

だから,わたしたちが大切に思う価値や主張を推し進めるために必要なことをし続けましょう。富める人たちだけでなく,すべての人びとが経済の果実を味わえるように。わたしたちの国を,わたしたちの星を守るために。すべてのアメリカ人が夢を実現できるよう,妨げとなる障害を打ち破るために必要なことをし続けましょう。

We’ve spent a year and a half bringing together millions of people from every corner of our country to say with one voice that we believe that the American dream is big enough for everyone - for people of all races and religions, for men and women, for immigrants, for LGBT people, and people with disabilities. For everyone.

わたしたちは1年と半年をかけて,アメリカ中のあらゆる場所から数千万もの人びとを集めました。声をひとつにして,わたしたちの信じるアメリカンドリームは,すべての人びと──あらゆる人種,宗教,男女,移民の人びと,LGBTの人びと,障害を持つ人びと,すべての人びと──を幸福にすることができることを訴えるために。

So now, our responsibility as citizens is to keep doing our part to build that better, stronger, fairer America we seek. And I know you will.

だから,アメリカ市民としてのわたしたちの責務は,よりよく,強く,公平なアメリカを求め,わたしたちのできることをし続けていくことなのです。そしてわたしは信じています。

あなた方はやり続けると。

●支えたくれた人びとへ

I am so grateful to stand with all of you. I want to thank Tim Kaine and Anne Holton for being our partners on this journey.

いま,あなた方とここにいられることをありがたく思います。パートナーとして,この長い旅路に連れ添ってくれたティム・ケーンや,アン・ホールトンに,感謝したいと思います。

It has been a joy getting to know them better, and it gives me great hope and comfort to know that Tim will remain on the front lines of our democracy representing Virginia in the Senate.

彼らをより深く知ることができたのは,わたしの喜びでした。そしてティムが民主主義の最前線に立って,上院でバージニアを代表してくれることに,大いなる希望と安心を感じています。

To Barack and Michelle Obama, our country owes you an enormous debt of gratitude.

アメリカはバラック・オバマとミシェル・オバマを深い恩義と感謝の念で称えるべきです。

We - we thank you for your graceful, determined leadership that has meant so much to so many Americans and people across the world.

わたしたち──わたしたちは,あなた方の潔く,覚悟に満ちたリーダーシップに感謝します。それは多くのアメリカ人にとって,世界の人びとにとって,深い意味をもたらしたことでしょう。

And to Bill and Chelsea, Mark, Charlotte, Aidan, our brothers and our entire family, my love for you means more than I can ever express. You crisscrossed this country on our behalf and lifted me up when I needed it most - even four-month-old Aidan who traveled with his mom.

そしてビルやチェルシー,マーク,シャーロット,エイダン。わたしの兄弟たち,わたしの家族たち。いまあなたたちに感じているこの愛は,表現にすらできません。あなたたちは縦横無尽にこの国を駆け回ってくれて,わたしがもっとも必要とするときに,わたしを勇気づけてくれました。ママと一緒に旅してくれた,まだ4か月のエイダンすらも。

I will always be grateful to the creative, talented, dedicated men and women at our headquarters in Brooklyn and across our country.

ブルックリンの選対本部や全米各地の支部で働いてくれた,とてもクリエイティブで,才能溢れる,献身的な男女のみなさんには,いつまでも感謝の念を忘れないでしょう。

You poured your hearts into this campaign. For some of you who are veterans, it was a campaign after you had done other campaigns. Some of you, it was your first campaign. I want each of you to know that you were the best campaign anybody could have ever expected or wanted.

みんな,この運動に心血を注いでくれました。ベテランの方々にとっては,ひとつの運動を終えた後に回ってきた仕事でした。ほかの人にとっては,はじめての運動でした。でもみんなに知ってもらいたい。あなた方は,これ以上何も期待したり,望めないほどの,最高の運動スタッフだったと。

And to the millions of volunteers, community leaders, activists and union organizers who knocked on doors, talked to neighbors, posted on Facebook, even in secret, private Facebook sites…

そして,ひとつひとつ家々を回ってくれたり,隣人と話してくれたり,Facebookにポストしてくれたり,個人の,ひみつのFacebookグループでも頑張ってくれたりしてくれた,数百万にも及ぶボランティアの方々,コミュニティリーダーの方々,活動家や,労働団体のオーガナイザーの方々。

… I want everybody coming out from behind that and make sure your voices are heard going forward.

そうして裏方として働いてくれたすべてのみなさんも,一歩前に出て,みんなと一緒に声をあげられるようにしたいと思います。

To everyone who sent in contributions as small at $5 and kept us going, thank you. Thank you from all of us.

そして少ない時には5ドルでも,寄付金を送ってくださり,わたしたちが運動を続けられるようにしてくれた方々に,一堂感謝したいと思います。

And to the young people in particular, I hope you will hear this.

そしてみなさんに,とくに若い人たちに伝えたいことがあります。よければ聞いてください。

I have, as Tim said, spent my entire adult life fighting for what I believe in. I’ve had successes and I’ve had setbacks. Sometimes, really painful ones.

ティムが話したように,わたしは,自分が信じるもののために,半生をかけて闘ってきました。成功も挫折も経験してきました。ときには、とてもつらい思いをしたこともありました。

Many of you are at the beginning of your professional public and political careers. You will have successes and setbacks, too.

あなた方の多くは、まさにこれから、政治や公務の世界に踏み込もうとしています。あなたたちも、これから成功や挫折を経験することでしょう。

This loss hurts, but please never stop believing that fighting for what’s right is worth it.

挫折はつらいものです。

でも、正しいことのために闘うことには価値があるのだと,信じ続けてください。

It is - it is worth it.

そうです、価値のあることなんです。

闘う価値のあることなんです。

And so we need - we need you to keep up these fights now and for the rest of your lives.

だから,この価値ある闘いを,ずっと,生涯,続けてほしいのです。

And to all the women, and especially the young women, who put their faith in this campaign and in me, I want you to know that nothing has made me prouder than to be your champion.

●女性や若者たち,子どもたちへ

そして女性のみなさん。とくに,この運動を,わたしを信じてくださった若い女性のみなさん。あなた方の代表として担がれたことほどわたしに誇りを抱かせるものはありません。

Now, I - I know - I know we have still not shattered that highest and hardest glass ceiling, but some day someone will and hopefully sooner than we might think right now.

わたしたちは,あの一番高いところにある,もっとも硬い『ガラス天井』を打ち破るに至りませんでした。それは認めるしかありません。でも,いつか誰かが打ち破ります。

その時は,わたしたちが考えるよりも早いことを願います。

And - and to all the little girls who are watching this, never doubt that you are valuable and powerful and deserving of every chance and opportunity in the world to pursue and achieve your own dreams.

そしてこれを観ているすべての小さな女の子たちにも伝えたい。「あなたたちがいかにかけがえのない,力溢れる存在で,どんな時でも,自分の夢を目指して,実現する機会がそこにあるのだということを,けっして忘れないで」と。

●最後に・・・

Finally, I am so grateful for our country and for all it has given to me. I count my blessings every single day that I am an American. And I still believe as deeply as I ever have that if we stand together and work together with respect for our differences, strength in our convictions and love for this nation, our best days are still ahead of us.

最後に,わたしに多くを与えてくれた祖国に感謝したいと思います。わたしは毎日,自分がアメリカ人であることを幸運に感じています。そしていまでも,これまで感じた以上に,わたしたちは互いの違いや,確信の強さや,祖国に対する愛を尊重しながら,ともに立ち,ともに取り組むことでよりよい明日をつくれるのだということを確信しています。

Because, you know - you know, I believe we are stronger together and we will go forward together. And you should never, ever regret fighting for that. You know, scripture tells us, “Let us not grow weary in doing good, for in due season, we shall reap if we do not lose heart.”

なぜなら,みなさんがご存知のように,わたしたちはともにあることで,より強くなれるからです。ともにあることで,前に進めるからです。そしてそのために闘うことを後悔することは,けっして,けっしてあってはなりません。聖書にはこうあります。

“Let us not grow weary in doing good, for in due season, we shall reap if we do not lose heart.”

「善を行なうのに飽いてはいけません。失望せずにいれば、時期が来て、刈り取ることになります。」※

So my friends, let us have faith in each other, let us not grow weary, let us not lose heart, for there are more seasons to come. And there is more work to do.

だから,親愛なるみなさん。お互いを信じ続けましょう。善を行うのに飽くことなく,失望せずに,続けましょう。時期はまだまだ到来し続けます。それに,まだまだやることがあるのです。

I am incredibly honored and grateful to have had this chance to represent all of you in this consequential election.

この必然的に重要な選挙で,みなさんを代表して闘うことができたことを,わたしはとてつもなく光栄に思い,深く感謝しています。

May God bless you and may God bless the United States of America.

みなさんに神のご加護を。そしてアメリカに神のご加護あらんことを。

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※実際の聖書には,「わたしたちは、善を行うことに、うみ疲れてはならない。たゆまないでいると、時が来れば刈り取るようになる。」と記される。

(参照) ガラテヤ人への手紙 6:9より

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【転載記事】米大統領選;トランプ氏の勝利を受けて~マイケル・ムーアが投稿した「選挙に負けた今やるべき5つのこと」

2016-11-10 23:42:01 | その他社会・時事
米大統領選は、大方の希望(予想ではない)を覆し、共和党の実業家ドナルド・トランプ氏が当選した。これを受けた海外からの声明などをご紹介する。

まず、社会を風刺する映画を制作してきた米国の映画監督、マイケル・ムーア氏が発表した「選挙に負けた今やるべき5つのこと」を紹介したい。これを読むと、エスタブリッシュメントが主導する既成政治が、いかに民意をすくい上げられていないか、という日本と同じ課題が米国にもあることが理解できる。

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マイケル・ムーアが投稿した「選挙に負けた今やるべき5つのこと」(ハフィントン・ポスト)

「一夜明けた朝のToDoリスト」

1. 民主党を乗っ取ろう。そして人々の手に戻すんだ。民主党の奴らは、我々の期待に情けないほど応えられていない。

2. 評論家や予想屋、世論調査員、その他メディアの中で、自分の考えを変えず、実際に起こっていることに目を向けようとしない奴らを首にしよう。偉そうに話をしていた奴らが今、「分裂した国を癒そう」とか「一つになろう」と俺たちに言うんだ。そんなクソ発言を、奴らはこれからもずっと言い続けるだろう。黙らせよう。

3. この8年間、オバマ大統領と闘い、抵抗し、闘ってきた共和党議員のように、これから闘う気概を持って今朝目覚めなかった民主党の国会議員は出ていけ。そのかわりに、これから始まる野蛮や狂気を止められる術を知っている奴らを、俺たちのリーダーにするんだ。

4. 「驚愕の結果だ」とか「ショックだ」と嘆くのをやめよう。そんな風に言ったって、自分の世界に閉じこもって、他のアメリカ人や彼らの絶望に目を向けていないだけだ。民主党・共和党の両方に無視された人たちの、既存のシステムに対する復讐心や怒りが大きくなっている。そこに現れたのが、両方の党をぶちこわして「お前はクビだ」というテレビスターだ。トランプが勝ったのは驚きじゃない。奴はただのジョークじゃなかったんだ。そして、支持を得て強くなっている。メディアに住む生き物で、メディアが作り上げた生き物だ。メディアは決してそれを認めないだろうが。

5. 今日会う人全員に、こう言わなきゃいけない。「得票数は、ヒラリー・クリントンの方が多かったんだ!」過半数のアメリカ人は、ドナルド・トランプじゃなくてヒラリー・クリントンを選んだ。以上。それが事実だ。今朝目覚めて「自分は最低の国に住んでいる」と思ったのであれば、それは間違いだ。過半数のアメリカ人は、ヒラリーの方が良かったんだ。トランプじゃない。彼が大統領になった、ただ一つの理由は、18世紀に作られた、難解でおかしな「選挙人団」と呼ばれるシステムだ。これを変えない限り、自分が選んでない、望んでもいない奴が大統領になる。この国に住んでいる人の多数が、気候変動を信じ、女性は男性と同じ賃金を払われるべきだと考え、借金をせずに大学に行くこと、他の国に武力侵攻しないこと、最低賃金を上げること、国民皆保険に賛成している。それは何一つ変わっていない。我々は、多数が“リベラル”な考えを支持する国に住んでいる。ただ、それを実現させるリベラルなリーダーがいないのだ(#1に戻って欲しい)。

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【書評】あの日(小保方晴子・著、講談社)

2016-11-05 13:48:05 | 書評・本の紹介
ご存じ、「STAP細胞」騒動で日本中を混乱の渦に巻き込んだ、元理化学研究所研究員・ユニットリーダー。「リケジョの星」と持てはやされながら、科学界から「追放」された「元」科学者による著作。あえてジャンル分けすれば「暴露本」の一種と考えていいだろう。話題をさらった著書として、Amazonではベストセラー1位が今なお続いており、購入も考えたが、結局は図書館で借りて読んだ。

結論から言うと、外部から細胞に刺激を加えた場合、細胞が初期化し、緑色に光るSTAP「現象」は確認されたものの、得られた初期化細胞は脆弱で生命力に欠けており、これを再生医療の現場で実用化するためには、まず移植が可能なように生命力を持たせたまま、初期化した細胞を維持しなければならない。だが、その第1ステージさえ突破できないまま、研究中止を余儀なくされた――そんな印象だ。

とはいえ、中学・高校の理科で生物を選択していた私にとって、細胞核とか細胞膜、アデノシン三リン酸なんて用語はとても懐かしく、一生懸命中間・期末試験に向けて生物関係の勉強をしていた青春時代を思い出させてくれる。中学・高校の理科で生物を選択している生徒であれば理解可能な程度に、小保方さんが自分のしていた研究内容をわかりやすく説明した前半部分は楽しく読めた。米国ボストンで過ごしたバカンティ研究室留学時代の話もうらやましく、小保方さんが、このまま成功の階段を着実に上っていくように思われた。

小保方さんの研究生活が「暗転」したのは、なんと言っても理研に移ってからだろう。特に、若山輝彦・山梨大教授との出会いが彼女の人生を大きく狂わせた。小保方さんの「転落」の軌跡が示された後半部分は、若山教授にいかにして研究生活と人生を狂わせられたかの告発に費やされている。

あ然としたのは、小保方さんが早稲田大学に博士論文を提出するとき、指導教員の添削を受けた後の完成版ではなく、添削前の未完成版を誤って提出してしまったと述べている点だ。そのことに気づかず博士号を認定、未完成版の論文をそのまま国立国会図書館に納本した早稲田も、今回の騒動が起きるまで気付かなかった小保方さんも、あまりにずさんだ。

未明までの論文執筆で時間的に追い詰められていたとはいえ、こうした当たり前のことを当たり前にできない小保方さんの「詰めの甘さ」が、結局は魑魅魍魎が跋扈する理研で、名誉欲の塊の研究者たちに利用され、陥れられることにつながっていったのだと思う。加えて言えば、東京女子大の研究者に誘われたから同大へ、バカンティ教授に誘われたからバカンティ研究室へ、理研に誘われたから理研へ、と二転三転する小保方さんの軌跡を見ていると、あまりに自分の運命を他人に委ねすぎで、研究者として自分がどこで何をしたいのか、という主体性がまったく見えてこない。ちやほやしてくれる周囲に流されているだけのように見え、このことも、彼女が陥れられることにつながっていったように思われる。小保方さんは、「生まれ変わってもまた研究者になりない」などと書いているが、もっと主体性を持ち、当たり前のことを当たり前にこなせるようにならない限り、難しいだろう。

Amazonのレビューでは、この本を高く評価する一般読者と、否定的に評価する研究者に真っ二つに割れていることも興味深い。こうした事実こそ、日本の科学界が「ムラ」化し、一般国民の常識とかけ離れていることを示している。「言いたいことがあるなら論文で反論すればいい」と評している「科学者」も見受けられるが、すでに理研の職も早稲田の博士号も失い、科学界を「追放」となった小保方さんに対して、それは酷な要求というものだろう。私は、科学界を追放された以上、小保方さんの身分は一般人であり、「一般人枠」の中で科学界批判の著書を出すことには問題はないと考える。

「この本に書かれていることは本当なのか」と疑う声も、ブックレビューに多く出されているが、私はおおむね事実という印象を受ける。嘘やでっち上げでここまで具体的で整合性のとれた記述は不可能と思われるし、STAP騒動勃発後の理研の対応についての記述が支離滅裂なのも、理研の対応そのものが支離滅裂なのだから致し方ないところだ。実験を繰り返しても自分の望む現象が再現できなかったことや、論文を投稿しても「不採用」になったことなど、自分の失敗も隠すことなく告白している。そして何よりも、理研の職から博士号に至るまですべてを失い、文字通り「命以外に何も失うものがない」状況に至った小保方さんにとって、こんなところで嘘をつく実益がないからだ。

この本の中で、自己の名誉欲と権力を満たすためなら何でもする、手段を選ばない人物と言わんばかりに徹底的に批判された若山教授は、ここまで言われた以上、何らかの見解を表明することがあっていいのではないか。無視し続けることで嵐が過ぎるのを待っているのかもしれない。だが、このまま反論せず沈黙を続ければ、この本に書かれたことを事実として認めたことになる。「笹井―小保方ライン」を潰し、笹井氏は自殺にまで追い込まれた。このことに、若山氏は良心の呵責を感じないのか。もし、感じないとしたら、日本の科学界の腐敗ももはや御しがたいように思う。

当ブログは、2014年6月18日付け記事「STAP細胞、そして「美味しんぼ」~信じたいものだけを信じ、科学と強弁する自称科学者たちへの最後通告」の末尾でこう記した。『めまいがするほどあまたの堕落、腐敗、利権、打算と野望にまみれた師弟関係、そして何より真理も事実も否定して、自分の信じたいものだけを信じ「科学」と強弁する「ムラ」住人たち――もう日本の科学に未来はない』。本書を読んだ限りでは、日本の科学界に対するこの評価を、変える必要はないように思う。

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【管理人よりお知らせ】PCからのネット接続を再開しました&今後のネット活動の方針

2016-11-04 22:54:02 | 運営方針・お知らせ
管理人よりお知らせです。

10月20日より休止していたPCからのネット接続を再開しました。

この間、管理人は自分のPCのWin10のリカバリーに踏み切りました。まだWin10にアップグレードする以前の、Win7時代から、もう2年近くPCのリカバリーをしないまま、不具合が増えていくのを座して見ていられなかったからです。

結果的に、Win7時代からHDD内に溜まりに溜まっていた不要ファイルも一掃でき、HDD容量にかなりの余裕が生まれました。リカバリー前の半分のHDD消費量で収まっています。

リカバリー後、Win10を起動、モバイルルーターのアクセスポイントを有効にし、アクセスポイントの表示画面をクリックすると「プロパティ」なる表示が出ます。この「プロパティ」内で「従量制課金接続として設定する」をオンにすると、この設定をしたアクセスポイントに接続しているときは更新プログラムの自動ダウンロードが行われなくなります。パケット通信容量が無制限でない方は、是非このやり方をお試しください。

なお、これを機に、ネットに全面復帰する予定でしたが、今後はよほどのことがない限り、当ブログ及び2つの親サイト(「罪団法人 汽車旅と温泉を愛する会」と「安全問題研究会」)以外のネット媒体に管理人が何かを書き込むことはありません。以前は実生活に影響が出るほど、ネット媒体にいろいろなことを書き込んでいた時期もありましたが、当サイト管理人の現在の執筆活動はほとんどが紙媒体でのものであり、ネット媒体への原稿の提供は、ほぼ行っていない状況です。

日本のネットは、もうかなり以前から、政治的には右翼に占拠されてしまっています。私のような者のいる場所ではないという思いを、もうかなり前から抱いています。安倍政権になってからは、ネット言論が現実政治に影響を与えているという「達成感」も持てずにいます。何を書いても批判されるネットはかなり息苦しい空間ですし、「対案も出さずに与党に反対ばかりしている二重国籍の野党第1党党首」に朝から晩まで粘着し攻撃しているような、暇とエネルギーが有り余っているネトウヨ諸氏の相手をするほど暇も体力もありません。彼らの目に触れることのない紙媒体の方がはるかに言論は自由な状況です。

ネットは政治を変えません。政治を変えるには、ひとりひとりと実際に会い、対話し、働きかけ、組織化し、仲間を増やす地道な取り組み以外にありません。これができている共産党が選挙のたびに前進し、できていない民進党が選挙のたびに後退しているのは当然です。

加えて、8月後半の半月間の入院、そして、その後10月に入ってから約半月間におけるPCからのネット接続の中断という事態により、当サイト管理人は約1ヶ月もの間、ネットと断絶される生活を送りましたが、大して不自由も感じませんでした。むしろ、ばかげたネトウヨ言論に惑わされることなく、読書によって新たな知的刺激を与えられたことで、当ブログ管理人の精神衛生上、ネット断絶はかえってプラスだったように思います。こうした経験もあって、『ネットから「降りる」か「残る」か』という、ふじいりょうさんが立てている問題提起に沿って言えば、当サイト管理人の気持ちはかなりの部分、「降りる」方向に傾いています。

そういうわけですので、今後、当ブログ管理人のネットでの活動は、当ブログ含めた上記3サイトにほぼ、限定されることになると思います。ただ、社会的弱者のために権力と戦うという初心だけは忘れないように、今後も活動は続けていきたいと思います。よろしくお願い致します。

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【管理人よりお知らせ】当研究会の新たな講演資料などを掲載しました

2016-11-03 22:35:17 | 鉄道・公共交通/交通政策
管理人よりお知らせです。

1.当ブログ管理人が行った新たな講演資料を掲載しました。

当ブログ管理人が、10月22日、浦河青年会議所の例会で行った講演資料「日高本線の現状~もし、鉄路がなくなったら~」を安全問題研究会サイトに掲載しました。今回は紙のレジュメからパワーポイントに変更しています。こちらから行くことができます。パワーポイントの資料を直接見たい方はこちら。また、配付資料版はこちらです。

2.JR北海道の組織体制改革私案を発表しました。

もうJR北海道は単独では生き残れないと思います。北海道の鉄路を残すため、早急に、JR北海道の組織体制を見直す必要があります。当研究会が考えた組織体制改革私案を安全問題研究会サイトで発表しました。こちらから行くことができます。

資料を直接見たい方は、JR北海道の組織体制改革案をご覧ください。なお、参考資料として、旧国鉄の組織がどのように変わってきたかの変遷を表した資料も作成、掲載しています。直接行くには、こちらからです。

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