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鶏口となるも牛後となるなかれ~3度の「離脱」が教えたこと

2010-05-30 23:23:23 | その他社会・時事
社民、連立離脱を決定=地方組織大半が支持―辻元副大臣辞任へ・全国幹事長会議(時事通信) - goo ニュース

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 社民党は30日午後、都内のホテルで全国幹事長会議を開き、連立政権からの離脱を正式決定した。米軍普天間飛行場移設に関する対処方針に反対した福島瑞穂党首が閣僚を罷免されたことに対し、党内の反発は強く、地方組織の大半が離脱すべきだと主張した。社民党の辻元清美国土交通副大臣は前原誠司国交相に、31日に辞表を提出する意向を伝えた。

 昨年9月に発足した民主、社民、国民新3党の連立体制は8カ月半で崩れ、支持率下落が続く鳩山政権の弱体化に拍車が掛かるのは必至だ。参院選を控えて危機感を強める民主党内では、鳩山由紀夫首相の責任を問う声も広がり始めた。

 福島氏は全国幹事長会議後に記者会見し、「筋を通して良かったと皆から言われた。新しい政治を切り開くべく全力で頑張る」と強調。今後の党の対応については「法案によって是々非々でやっていく」と述べた。

 仮に首相が退陣した場合の連立復帰の可能性を問われたのに対し、福島氏は「(移設先を名護市)辺野古と決めた日米共同声明が生きているから関係ない」と否定した。

 民主、社民両党との参院選での選挙協力については、昨年9月に3党でまとめた連立の政策合意への対応を守るかどうかを確認した上で決める方針。重野安正幹事長は会見で「われわれは離脱するが、政党間の付き合いは粘り強く追求したい」と述べた。

 社民党は30日午前、常任幹事会で「鳩山内閣の退陣が受け入れられなければ、政権離脱の方向を確認する」との方針を文書にまとめ、執行部が全国幹事長会議でこれを提案。しかし、出席者から「分かりにくい」との声が相次いだため、常任幹事会を再度開いて「政権離脱を確認する」と文言を修正。新潟県連など一部から離脱に慎重な声も出たが、地方県連の大半が政権離脱を支持し、幹事長会議として了承した。
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社民党が、当ブログの希望通り連立離脱を決定した。普天間基地「移設」が県外や国外に決まるならともかく、沖縄県内に決まったのだから、これは避けられない運命でもあった。安全保障問題という、決定的な両党の対立項を棚上げにしたまま連立を組んだツケが回ったといえる。

くどいようだが、当ブログは改めて社民党の連立政権入りに最初から反対だったことを確認しておきたい。旧社会党時代から、細川~羽田政権、村山政権、そして今回と、社民党は3度政権入りしたが、すべて途中離脱という結果に終わった。

しかし、当ブログの考えでは、この結果は当然のことである。そもそも社民党は、旧社会党時代の1964年に採択された「日本における社会主義の道」と題する文書に、社会主義政党の基本のひとつであったプロレタリアート独裁を党の指導原理とする旨の内容を盛り込んでいた。この路線は、1986年に「日本社会党の新宣言」(新宣言)が採択されるまで放棄されることなく続いた。

一方、民主党は自民党の党内抗争がきっかけで離党した議員が中心になって結成した新生党~新進党を母体とする純然たる保守政党である。この両者が相容れない存在であることは、はじめからはっきりしていた。

自民党から分裂した保守政党と、かつてはプロレタリアート独裁を事実上の指導原理としていた社会主義政党。両者はその思想において両極に位置する。本来、手を組むなどあってはならないのである。もし、社民党がどうしても政権与党になりたければ、それは単独政権か、みずからが主導権を発揮できるような形での連立政権でなければならない。ドイツ社会民主党や、イギリス労働党、フランス社会党のように、みずからが小政党を指導する形での政権である。

「そんなことを言っていたら、社民党はいつまでたっても政権与党になれない」と考える社民党支持者もいるかもしれない。しかし、当ブログの考えでは、それでかまわない。野党でいいのである。

政権を目指してはいけないとか、与党になることが悪だなどと主張したいのではない。政権を目指したければ、与党を批判しながらみずからの主張への支持を訴える。主張が正しければ、支持は拡大し、少数党から多数党に立場が変わる。そして多数党となった政党は、それまでの多数党に代わって政権を担当する。政権とは、目指すべき目標であると同時に「多数党となったとき、結果としてついてくるもの」である。他党の尻にくっついて、こっそり隅っこに入れてもらうような性質のものでは決してないのだ。

当ブログは、ふらつく鳩山政権内部で筋を通して闘い抜き、そして散っていった福島党首の頑張りをある程度評価はする。しかし、こうした原則論的考察の後では、決して褒められたものでないこともおわかりいただけるだろう。自分たちが多数党になろうという努力もせず、誰かの後ろにくっついておこぼれにあずかるような敗北主義的、事大主義的な政党が、党勢を拡大することなど不可能である。ましてや、くっついていく相手が正反対の基本政策を持つ保守政党だというのだから、政権離脱というカードを切っても支持拡大につながらないのは当然である。

社民党が選挙協力すべき相手は民主党ではない。強いて相手を探すなら、それは日本共産党しかあり得ない。30年ほど前に言われていた「革新統一」(この言葉も死語に近いが)の道である。

今は昔と違って小選挙区制時代なのだから、そんな選挙協力は無駄だという声もあるかもしれない。しかし、小泉自民が圧勝した2005年の総選挙でさえ、社民・共産両党あわせて25%近い票を獲得している。その小泉自民がもたらした格差社会と、その背景に潜む新自由主義的経済政策への不満が爆発、2大政党がガタガタになり、みんなの党を除けばおしなべて「第3極」も掛け声倒れとなる中で、その間隙を縫って「革新統一」候補が当選できる新たな諸条件が生まれつつある。当面は、こうした「正しい選挙協力」によって護憲、反基地、雇用と労働者の待遇改善のために活動する議員を増やし、そして保守系の「第3極」や公明党とも連携しながら、最も非民主的選挙制度である小選挙区制から、少数意見が正しく反映される選挙制度(中選挙区制、比例代表制等)への改革を要求していく。そうした柔軟でしたたかな戦略と戦術の中から、政権への道もまた生まれてくるのである。

「鶏口となるも牛後となるなかれ」という故事成語もある。政権離脱を機に、社民党は、誰かの後にくっついて政権のおこぼれにあずかるという事大主義を捨て、国民・労働者との共同の中から多数党へ向かって努力するという本来の道に立ち返らなければならない。

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10年続けた鉄道系メルマガ購読を…

2010-05-29 21:06:19 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
10年間続けてきた鉄道系メルマガ。2つのうち1つの購読をやめた。

メルマガの名称はあえて明かさないが、最近は元々大して有益な情報は載ってないし、何よりもこのメルマガの発行人が、新青森開業時の東北新幹線の愛称募集で「はつね」を1位にするための運動を行っていたことが判明したからだ。

1部の「初音ミク」ファンは喜ぶだろうが、そうでない一般の鉄道ファンの神経を逆なでするような「ネット政治運動」は勘弁してほしいと思う。

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さらば!鳩山政権

2010-05-28 23:33:20 | その他社会・時事
鳩山首相、福島消費者相を罷免(読売新聞) - goo ニュース

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 鳩山首相は28日夜、沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題で、同県名護市辺野古への移設を明記した政府の対処方針の閣議決定に反対した社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化相(54)を罷免した。

 後任の消費者・少子化相は当面、平野博文官房長官に兼務させる。首相は、社民党の別の議員を入閣させるなどして同党との連立政権を維持したい考えだが、社民党内では連立離脱論が強まっている。民主、社民、国民新の3党連立で昨年9月に発足した鳩山政権は、夏の参院選を前に危機的な状況を迎えた。

 首相は、対処方針を決める臨時閣議で「非常に残念だが、ここに至った。大変厳しい環境だが、一致団結して乗り越えられるよう頑張ろう」と述べ、政権運営への影響を回避するよう結束を求めた。

 福島氏は同夜、首相官邸で開かれた普天間問題に関する基本政策閣僚委員会で、辺野古移設の明記を理由に対処方針に反対し、閣議で署名を拒む考えを表明した。首相はこの後、福島氏と会談して説得したが福島氏は譲らず、臨時閣議を開いて福島氏の罷免を決めた。

 福島氏はこの後、党本部で記者会見し、対処方針について「辺野古から始まり、最終的に辺野古に戻ったことは激しく失望している」と語った。連立離脱の是非については、30日に常任幹事会、全国幹事長会議を開いて判断する考えを示した。

 社民党内では、参院選での民主党との選挙協力を重視し、連立の維持や協力関係の継続を主張する意見もある。しかし、「27日の常任幹事会で、辺野古移設を前提とした対処方針には反対すると正式に決めたのに、首相は福島氏の罷免を選択した。このまま連立にとどまるのは難しい」(幹部)との声も出ている。

 社民党は28日夜、福島氏の罷免について「連立政権のあり方について重大な決定をせざるを得ない」とする抗議声明を発表した。

 社民党の閣僚は福島氏1人だけだったが、辻元清美衆院議員が国土交通副大臣を務めており、辻元氏の進退も焦点となる。執行部は、30日の常任幹事会で辻元氏の意向を踏まえて判断する。

 国民新党代表の亀井金融相は28日夜、首相官邸で記者団に対し、「非常に残念だ。閣議決定を認めない以上、首相としてはやむを得ない」と語った。

 閣僚が罷免されるのは、2005年8月の郵政解散の際、小泉首相(当時)が衆院解散に反対した島村宜伸農相を罷免して以来で、戦後5人目となる。
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普天間基地「移設」問題は、ついに福島瑞穂・消費者・少子化担当相の罷免に発展、鳩山政権は社民党の連立離脱含みの緊迫した局面を迎えた。ちなみに、過去4回の罷免は、いずれも首相と同一政党に所属していた閣僚に対するものだ。選挙協力までした友党の党首である閣僚を罷免というのは戦後初の事態であり、これだけでも鳩山政権に与える打撃は計り知れない。「連立政権のあり方について重大な決定をせざるを得ない」とする社民党の抗議は当然だ。

政治論からいえば、すべての基本政策において完全な一致をみているなら、それはあえて別々の政党でなくてもよいということになるわけで、別々の政党である以上は基本政策の違いを当然の前提として連立を組むのである。政権維持・利益配分だけが目的の自民党と、「学会」のためだけに政権入りした公明党とが野合していた過去の政権とは、同じ連立でも全くその意味は違っている。

もっとも私は、社民党の政権入りにははじめから反対だった。水と油のように相容れない両党が一致点を見いだすことははじめから困難だと思えたし、数合わせのために利用された少数政党は、数合わせの必要がなくなると捨てられ、党勢が衰退していくのが常だったからである。社民党は、まさにみずからが社会党から社民党への党名変更を余儀なくされた90年代の自民党との野合の歴史から何を学習したのだろうか。

福島党首は、それでも90年代の「歴史」から正しく学習した数少ない社民党員であったと思う。根幹である安全保障政策で妥協すれば、党に明日はないと知っていたのだろう。だからこそ護憲平和政党としての矜持を守ることを最優先にしたのだ。

私は政権内部にあっての福島党首の頑張りを高く評価している。指導力も人望もなく、政治献金疑惑にまみれた「甘えん坊将軍」が県内、県外とふらふらし、結果的にほとんどすべての公約を投げ捨てていく中で、ぶれることなく「県外」を主張し続けた。私は、社民党に対しても言いたいことは山ほどあるが、沖縄と平和のために闘い、党のため、信ずる主義主張を貫き通して潔く散っていったその姿が、支持者に対してマイナスに作用することはないだろう。

さて、社民党の今後だが、基本政策で相容れないことが判明した(というより、はじめからわかっていた対立を隠しきれなくなった)今、潔く連立を離脱すべきだと当ブログは考える。影響力を維持し続けるためにも政権にとどまるべきだとの意見も党内にはあるようだが、数合わせのために利用される少数政党が影響力など発揮し得ないことは過去の経緯を見れば明らかだ。野にあっても、闘う方法はいくらでもある。

反対に民主党は今後、厳しい政権運営を強いられるだろう。事態は、社会党(当時)の政権離脱によって羽田内閣が倒れた1994年頃の状況に極めて似てきた。

社民党が政権を離脱しても、すでに参院では社民党抜きで与党は過半数を確保しており、7月の参院選までは何とか乗り切れるだろう。しかし、大惨敗が確実視される参院選以降の展望は全くない。社民党の協力がなければ衆院で3分の2に達しない鳩山政権は、安倍・福田・麻生内閣のように「3分の2再議決」による国会乗り切りもできず、参院で過半数を大幅に割り込む事態になれば早晩行き詰まる。鳩山政権はそのとき倒れ、衆院総選挙は早い時期(場合によっては年内)にあり得るのではないか。

社民党は今後も信ずる道を堂々と行けばよい。民主党には来るべき参院選で厳しい審判が下されるであろう。しかしそれは全てみずからがまいた種である。私は、あと数ヶ月のうちに政権から去るであろう民主党に対し、もはや挽歌さえ歌う気になれない。

沖縄を、社民党を、そして政権交代に期待した国民を徹底的に欺き通した民主党に、いま、声を上げて私は告げよう。「鳩山民主党政権よ、さらば!」と。

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貨物時刻表大人気?

2010-05-25 23:32:09 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
貨物時刻表、乗れなくても売れる 見て撮ってファン満足(朝日新聞)

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 一般客が利用できない貨物列車の時刻表が人気を集めている。ダイヤ改定にあわせて毎年発売される「JR貨物時刻表」で、3月に発行された創刊30周年記念号の約2万部は、6月にも売り切れる勢いという。背景には、小学生や若い女性にも広がる「貨物列車ファン」の根強い支持があるようだ。

 時刻表は、貨物輸送の調査研究などをする「社団法人・鉄道貨物協会」が1980年から、運送業者の便宜を図るために発行。91年に一般向けにも発売を始め、2004年ごろから鉄道ファンを中心に、口コミやネットで人気に火がついた。発行部数は当初5千部だったが、今年は2万500部に。全国19カ所の大型書店のほか、昨年からはネット販売も始めた。

 大阪府内で唯一、店頭に置いている旭屋書店本店(大阪市北区)では、3月以降に約1200部が売れ、同月の販売ランキングで1位を記録。4月も3位に入った。同店の担当者は「発売時には、いつも問い合わせが殺到する。鉄道関連の書籍ではダントツの売り上げです」という。

 価格は税込み2400円と、一般の時刻表よりやや割高。1日約400本の列車運行表のほか、貨物駅や路線の地図、機関車・貨車の形式、読者が撮影した貨物列車の写真も掲載されている。

 どんな目的で使うのか。貨物時刻表を毎年買う団体職員・熊博毅さん(54)=大阪府吹田市=に聞いてみた。付録の線で書かれた運行表「ダイヤグラム」を見て、停車時間や通過時刻を確認。カメラを手に全国を巡り、お目当ての貨物列車を撮影するという。「20両を超す長大編成の迫力はすごい。客を乗せる列車で味わうことができない」

 鉄道貨物協会によると、最近は成人男性の鉄道ファンだけでなく、小学生や20~30代の女性からの申し込みや問い合わせも増えているという。特に、貨物車両を牽引(けんいん)する電気機関車には「桃太郎」(EF210)や「金太郎」(EH500)といった愛称があり、子どもらの人気を集めている。

 同協会調査部の町田茂夫課長は「機関車が好きな子どもに見せるために買うお母さんも多い」と説明。貨物時刻表を買った母親らがブログなどに「通過時間が分かる」「子どもをつれて、貨物列車を見に行きたい」といった書き込みをする例もあるという。

 貨物鉄道は近年、トラックなどに比べて「環境にやさしい物流手段」として注目されている。JR貨物のコンテナ輸送量は、09年度で会社発足当初(87年)の約1.5倍、2035万トンに増えている。(宮崎勇作)
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この記事は、いわゆる「暇ネタ」(記事が埋まらないときのためにあらかじめ取材して書きためておいた記事)なんだろうと思うが、それにしても、貨物時刻表の人気なんて今に始まったことじゃあるまいに…と思ってしまう。単にこの記者が今まで知らなかっただけじゃないの?

自慢するわけじゃないが、私なんか一般向け発売が始まった91年以降の全号をいまだ捨てずに持っている。インターネットがまだ普及していなかった当時は、毎年1月頃、発行元の鉄道貨物協会から予約申込の案内がハガキで来て、郵便局で代金を振り込んで予約すると発売と同時に送られてくる仕組みだった。インターネットで注文ができるようになった今でもこの方式は続いている。

3月に発売が始まった貨物時刻表が毎年5月~6月には売り切れてしまい、増刷もないまま入手が不可能になるという状況は一般発売が始まった90年代当初からすでに見られた。何も知らない朝日新聞記者には、昨日今日人気が出始めたわけではないと念を押しておこう。

むしろ、問題なのは、「鉄道は環境に優しい輸送機関」などと口先ではさんざんもてはやしておきながら、肝心の貨物時刻表のページが薄くなる一方だということだ。91年版と2010年版を比べると、肝心の時刻表ページは3分の2程度になっている気がする。その分を、JR貨物の輸送改善への取り組みだとか、時刻以外の記事で埋め合わせてなんとかページ数の減少ペースを鈍らせているという現状がある。私の本棚に並んでいる貨物時刻表を見ると、年が進むにつれ、どんどん薄くなっている。

むしろマスコミは、ろくな取材もせずに貨物時刻表人気でお茶を濁すのではなく、「なぜ貨物列車が減少の一途をたどっているのか」「なぜモーダルシフト(自動車から他の輸送機関への貨物の転移)が掛け声倒れに終わり、進まないのか」という本質的問題に目を向けてほしい。そうすることによって、過度の自動車優遇政策(高速道路無料化もこの延長線上にある)や並行在来線分離問題といった、鉄道貨物を取り巻く厳しい現実も見えてくると思うからだ。

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シリーズ「2010年代を展望する」~その2・時代錯誤の経産省を乗り越え、地域活性化を!

2010-05-25 22:50:30 | その他社会・時事
(当エントリは、当ブログ管理人が月刊誌に発表した原稿をそのまま掲載しています。)

 昨年頃から、商業メディアでも取り上げられるようになった買い物難民問題。公共交通がなく、自動車の運転免許もないため買い物にも出かけられない「買い物難民」の総数は600万人に上るとの試算がまとまった。その多くを地方在住の女性高齢者が占めるが、一部は高度成長期に開発が進められた大都市近郊の大規模団地にも広がり始めているという。これら女性高齢者の多くはパソコン利用もできないため、インターネット通販で買い物をすることもできず、対策は待ったなしといえる。

●経産省がまとめた研究会報告

 「地域生活インフラを支える流通のあり方研究会~地域社会とともに生きる流通~」という格調だけは高い題名がつけられた報告書は、買い物難民を「流通機能や交通網の弱体化とともに、食料品等の日常の買い物が困難な状況に置かれている人々」と定義し、その数が600万人(日本の人口の約5%)にも上ることを明らかにした上で、「徐々にその増加の兆候は高齢者が多く暮らす過疎地や高度成長期に建てられた大規模団地等で見られ始めている」と指摘する。

 そして、「流通業のあり方が問われている」と問題提起をし、流通業を持続的にするための3つのアプローチとして「イノベーション(技術革新)による課題克服」「地方自治体等の多様な関係者の支援」「地域コミュニティとの連携」を強調しながら、コミュニティバスや移動販売車による物品販売の促進などの先進事例を取り上げている。報告書からは、これらを今後のモデルケースにしようとする経産省の意図を読み取ることができる。

●そもそも地方を焼け野原にしたのは誰か

 しかし、この報告書の内容以前に、筆者は経産省に問わなければならないことがある。買い物難民を生み出すまでになった地方の疲弊をもたらしたのはそもそも誰なのかということだ。

 1973年に制定され、地域の中小小売店を守る法律として機能してきたのが「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律」(大規模小売店舗法、通称「大店法」)だった。大型店が出店しようとする際には、大店法に基づき「大規模小売店舗審議会」が開催され、店舗面積、休業日数、営業時間等が適正かどうか審議される。表向きは大型店の出店差し止めを行う権限は与えられていなかったが、大店法では、大型店の出店前に地元商工会議所の意見を聞くことが義務づけられており、商工会議所が意見を取りまとめるための協議機関として商業活動調整協議会(商調協)が設けられていた。このため、地元商店街の商店主らが結束して大型店の出店に反対すれば、商調協はいつまでもまとまらず、大型店の出店をいくらでも引き延ばすことができた。こうした反対運動の結果、大型店が出店を断念させられる例もあった。当時は地域エゴなどといわれ商店主らが非難されることも多かったが、結果的に、地方の商店街はこうした闘いの中で、大型店を全国展開する大資本による「食い荒らし」を阻止してきたのである。

 1989年から始まった「日米構造協議」で、米国は、こうした大型店に対する出店規制が、米国資本に対する出店規制になっているとして、大店法の廃止を要求してきた。日本政府は、米国のこの圧力に屈し、ついに1998年、大店法は廃止になった。これ以降、日本では大資本による大型店の出店が野放しになり、大型店によって中小小売店の客が根こそぎ奪われた。中小小売店は次々に消え、主要道路沿いに展開する大型店にクルマで乗り付けて買い物をする米国型の消費スタイルに変わっていった。駅前商店街の「シャッター通り化」と地方公共交通の苦境は、大店法廃止の明らかな帰結である。

 「流通業のあり方が問われている」? 経産省は、自分たちの過去の行動を棚に上げ、何を寝ぼけたことを言っているのか。こんなくだらない報告書を書く暇があるなら、地方をボロボロにしたみずからの責任について総括せよ。

●時代遅れで反労働者的存在の経産省は不要だ

 経産省は旧通産省時代から、他省庁の所管事項に横から割り込み、最終的には仕事を横取りしてしまうことから「ケンカ官庁」などと揶揄されることが多かった。高度成長期にはその名が商業新聞やテレビに出ない日のほうが珍しかった通産省も、経済界の規制緩和・自由化によってほとんど行政として介入できる分野がなくなり、最近では経産省の名がメディアを賑わすことはほとんどなくなってしまった。故・城山三郎さんの小説「官僚たちの夏」(2009年夏にはテレビドラマ化された)のモデルにもなり、正式名称の通商産業省をもじって「通常残業省」と呼ばれるほど忙しく日本の産業政策をリードしていた昔日の姿は、見る影もない。

 2008年秋の「リーマン・ショック」から、全国に衝撃を与えた「年越し派遣村」を経て、「大企業は内部留保を取り崩して、その原資で非正規切りをやめるべきだ」という主張が盛り上がりを見せていた2009年1月頃、経産省はまたも不穏な動きをした。雇用問題に関する国会での政府答弁は、通常であれば厚生労働省が準備するが、「厚労省には弱者救済策はできても、雇用創出策を練る能力がない。雇用創出なくして、雇用情勢の好転は望めない。ならば、産業政策とセットの雇用創出策はわれわれにやらせてもらう」と、経産省がしゃしゃり出てきたのだ。そして、経産省は、本来の所管である厚労省を差し置いて、このような趣旨の政府答弁「原案」を用意したのである。

 『内部留保は、過去の利益の蓄積であり、その多くは生産設備などに再投資されている。これを使うには、設備を売却し現金化する必要がある。仮に工場を売却するならば、そこで働く従業員をクビ切りしなければならず、逆に雇用を不安定化させる』――

 「なぜ、経産省が雇用問題にしゃしゃり出てくるのだ」と、ある厚労省幹部は苛立ちを露わにしたという。労働者派遣法の改悪を狙う厚労省に経産省を批判する資格があると筆者は思わないが、そもそも、最も過酷な派遣切りをしてきたのは、自動車・電機など経産省が所管している業界である。経産省は厚労省に横やりを入れる前に、みずからが所管している業界に対して派遣切りをやめるよう指導するほうが先ではないのか。

 こうした動きを見ていて思うのは、過去の遺物と化した経産省の醜悪さである。みずからが思いのままに業界を支配してきた過去の成功体験から脱却できず、他省庁にケンカを仕掛けてはかき回し、挙げ句の果てに経済界だけが得をする。今こそ筆者ははっきり言わせてもらう。「時代遅れで反労働者的存在の経産省など不要。大店法廃止の総括をしたら即刻解体せよ」と。

●「新しい公共」の担い手に正当な資金援助を

 今回の経産省研究会報告について報じた5月12日付け「毎日新聞」の記事は、しかし、浮かれるのではなく冷静に事態を見ている。『報告書で紹介される先進事例は、全国的に見ると一部にとどまり、「住民頼み」のケースも目立つ。高齢化とともに「買い物弱者」は今後も増加するとみられ、取り組みを加速することが必要になる。このためには財政的な支援も欠かせないが、報告書は具体策には踏み込まない。景気低迷で税収が大幅に落ち込み、政府や自治体の財政が厳しい現状では、「買い物弱者」対策の充実に向けたハードルは高い』という指摘は、現状の最大の問題点を誤りなく言い当てている。

 筆者が当誌2010年3月号で取り上げた新しい取り組みも、広がりを作りきれないでいる。何をするにも必要なのは人とカネだが、国・自治体などの公共セクターはカネも人もアイデアもなく、青息吐息なのが実情だ。

 NPO、NGOには社会的意識の高い若者が集まってきているが、ここも資金不足にあえいでいる。筆者は、鉄道完乗などで地域を旅することも多く、こうした先進的取り組みをしている人と接することもあるが、そうした人たちの中には宝箱のような数多くのアイデアと、地域を何とかしたいという純真な思いが詰まっている。自己保身と内部抗争に明け暮れる国や自治体など足下にも及ばないような優秀な人たちが「資金さえあれば、もっといろいろなことができるのだが…」というケースは全国各地に転がっている。日本では「NPOやNGOなんてボランティアにでも任せておけばいい」という認識がむしろ多数派のようだが、こうした認識はそろそろ全面的に改める時期に来ている。

 将来「新しい公共」を中心となって担うことになる、こうした良質な個人・団体に潤沢な資金を援助できるような制度設計も今すぐに必要である。そうした制度設計に当たって、過去の行政に見られたような「国のガイドラインや指示に従う個人・団体だけに補助金を支給する」という狭くてケチな了見ではダメなことはもちろんである。

 ひとつの提案だが、市民や有識者で構成される補助金審査機関――例えば「補助事業審査委員会」のようなもの――を、どの省庁にも所属しない独立委員会として設け、優れた地域の担い手に対する資金援助のための審査をこの独立委員会に担当させるような制度を設けてはどうだろうか。成功すれば、いずれは地域再生にとどまらず、苦境にあえいでいる医療機関や福祉施設への補助金審査にもこの手法を広げる。新たな国民負担を求めることなく、ハコモノ行政や天下り「私益法人」に垂れ流されている補助金を省庁から引き剥がして有効活用する道が開かれる。多様性、自発性、独自性を持った個人・団体に対して正当な財政基盤を保障するこうした制度設計こそが、2010年代の展望を切り開く――筆者はいま、そのように考えている。

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<JR不採用問題>原告904人 解決案承諾書を提出

2010-05-18 23:27:52 | 鉄道・公共交通/交通政策
<JR不採用問題>原告904人 解決案承諾書を提出(毎日新聞)

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 87年の国鉄分割・民営化に伴う国鉄労働組合(国労)の組合員らのJR不採用問題で、前原誠司国土交通相は18日の会見で、係争中の原告904人から解決案の承諾書が与党など4党を通じて提出されたことを明らかにした。前原国交相は同日、旧国鉄清算事業団の業務を引き継いだ独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」に、裁判の和解協議に入るよう指示した。

 和解対象は当初、910人だったが、6人が訴訟継続を希望し、応じなかった。原告団は今月中にも最高裁に和解申立書を提出する。政府は和解成立後、JR各社に対し雇用を申し入れる予定。【平井桂月】
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当ブログ管理人は、長くこの問題をウォッチしてきた経緯から、和解を拒否したメンバーも、おおよその察しがついている。

それにしても、23年前、所属組合を理由に選別解雇しておきながら、今またこんな踏み絵を踏ませるとは、国土交通省はどこまで卑劣なのだろう。

筋論から言えば、裁判を受けることは、日本国憲法で定められた国民の権利であり、その権利は誰も剥奪することはできない。承諾書を出そうが出すまいが取り下げなければ裁判は続けられる。そのことは確認しておかなければならない。

ただ、裁判が権利だとは言っても、和解で一定の解決水準が確保できるなら、和解に応じることもまた選択肢である。

記事によれば、政府はJR各社に雇用を申し入れるとされているが、申し入れという形ではなく、政府持株会社である三島(北海道、四国、九州)プラス貨物には、ぜひ採用「命令」を出し、責任を持った解決を行うよう望む。

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安全性高めた? 225系公開

2010-05-17 23:53:21 | 鉄道・公共交通/安全問題
JR西 新型車両を公開 尼崎脱線教訓に安全性高め(毎日新聞)

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 JR福知山線脱線事故(05年4月)を受け、事故時の衝撃を減らすなど安全性を高めた新型車両「225系」が完成し、JR西日本が17日、東大阪市内で報道陣に公開した。試験運転などを経て、今年度中に京阪神エリアの在来線で運行を始める。

 JR西によると、225系は先頭車両の前面と床部分を強化。踏切で車と衝突するなどした場合、衝撃を上部に逃がす構造で、乗客にかかる負担を従来の半分にできるという。側面の接合部なども強化した。また、つり手の数をこれまでの車両の約1.5倍に増やし、目立つオレンジ色で形状も大きくした。東海道線や山陽線の新快速電車などに導入される予定で、計226両、製造される。車両を企画したJR西の牧原弘・車両部担当部長は「事故を起こした企業の社員として、安全性向上を第一に考え、現在の技術でできる限りの対策を取った。これで終わりではなく、技術の進歩に合わせてより安全性を追求していきたい」と話した。【牧野宏美】
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この車両については、2009年9月17日付記事で言及したとおり、「何もやらないより幾分まし」という評価であり、現在もその評価を変える必要はないと思っている。

正直、車両前面だけの強化で効果があるのは踏切事故くらいではないだろうか。とはいえ、制作費は一般車両より数百万円高いという程度だろうから、JR西日本としては、「以前より安全対策に本腰を入れるようになった我が社」をPRするための宣伝費という位置づけなのかもしれない。

それより、JR西日本にはもっとやるべきことがある。報告書漏えい問題に見られるような「己に甘く、社員にだけは厳しい」官僚的思考法を打破することである。いくら車両だけに投資をしたとしても、そこが改善されない限り、真の安全は確立されないだろう。

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怒りの中で迎えた復帰の日

2010-05-15 22:59:33 | その他社会・時事
<沖縄の日>怒りの3800人 本土復帰38年の集いで(毎日新聞)

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 沖縄の本土復帰38年を迎えた15日、米軍普天間飛行場がある沖縄県宜野湾市で「平和とくらしを守る県民大会」があり、県内外から約3800人(主催者発表)が参加した。政権交代で普天間の県外移設への期待が高まった沖縄だが、鳩山由紀夫首相は県内移設への方針転換を言明。大会会場では、38年たっても変わらない基地負担と、政権の裏切りへの怒りが「沖縄差別」との言葉で次々に飛び出し、悲憤が渦巻いた。

 大会あいさつに立った社民党の照屋寛徳国対委員長(衆院沖縄2区選出)は県外からの参加者に対し「みなさんには沖縄を差別する側に立たないでほしい。沖縄の基地問題を解決するため一緒に闘ってほしい」と呼びかけた。

 宜野湾市の伊波洋一市長は「復帰後もますます基地が強化され、日本政府は県民の苦しみに無関心で、これ以上許すことはできない。普天間を閉鎖させ、新たな基地はつくらせない」と叫んだ。

 最後に「県内でのたらい回しを断念し、普天間閉鎖の対米交渉を開始せよ」とする宣言文を採択した。【井本義親】
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基地の重圧に苦しむ沖縄は、過去幾度となく基地への怒りを表明してきた。そして今、沸き立つ怒りの中で、沖縄は復帰の日を迎えた。

率直に言おう。鳩山政権のやり方は詐欺とも言うべき裏切りであり、自民党政権より悪い。少なくとも自民党政権は、できないことをできるとは言わなかったし(やらないと言っておいてやる、やると言っておいてやらない、ということはあったが)、沖縄に基地が必要なら必要と説明してきた。少なくともここ最近の政権は言行は一致していたから、当ブログも賛成なら賛成、反対なら反対ときちんと姿勢を打ち出すことができた。

宜野湾市役所ホームページが、基地問題をコンパクトに、かつわかりやすくまとめている。世間で宣伝されてきた「海兵隊の司令部機能のみを米軍がグアムへ移したがっている」というのはウソであり、実際には沖縄海兵隊の主要部隊を一体的にグアムへ移転させるのが米軍の従来からの計画であることが、ここを読むと理解できる。

つまり、実際には米国は、世界一危険な上老朽化も激しい普天間を閉鎖したがっているのだが、「安上がりな防衛力」として日本政府のほうが米軍基地を欲しているのである。しかも、海兵隊というのは防衛のための部隊ではなく、先制攻撃のための部隊である。ぐるりと回ってニャン子の目の後に鳩山首相から出た「抑止力」という議論も、完全に間違っている。

沖縄の海兵隊は、イラクやアフガニスタンに出撃し、イラク・ファルージャでの「掃討作戦」(という名の一般市民大虐殺)に関わった。そのことだけでも許し難いし、日本の領土を発進拠点としてこうした作戦が行われ続けることは私にとって苦痛ですらある。基地とは本質において非生産的、破壊的な迷惑施設に過ぎない。沖縄県内でなければいいとか、日本国内でなければいいとかいう問題ではない。廃止、閉鎖をめざさなければならない。

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信楽高原鉄道事故から19年

2010-05-14 22:46:43 | 鉄道・公共交通/安全問題
信楽高原鉄道事故:発生から19年 「悲しみ変わらず」 犠牲者の冥福祈る(毎日新聞滋賀版)

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 旧信楽町(現甲賀市信楽町)で起きた信楽高原鉄道(SKR)とJR西日本の列車衝突事故から14日で19年。事故現場で営まれた追悼法要では、遺族や鉄道関係者ら約100人が犠牲者の冥福を祈り、会場はしめやかな空気に包まれた。

 黙とうに続き、SKRの今井恵之助社長、JR西の佐々木隆之社長らが献花。読経が流れた後、発生時刻の午前10時35分をはさんで参列者が次々と焼香した。あいさつした遺族代表の吉崎俊三さん(76)は、JR西の福知山線脱線事故の報告書漏えい問題について「01年に事故調ができて喜んでいたのに、裏切られた思いだ」と批判した。

 事故で姉(当時26歳)を失った京都市右京区の会社員、臼井慈華子(しげこ)さん(39)は「悲しみは何年たとうが変わらない」と沈痛な面持ちで語った。ここ数年参列している「明石歩道橋犠牲者の会」の下村誠治会長(51)は「JR西の社長が昨年交代したが、頭が変わるだけでなく中身も変わってほしい」と注文を付けた。

 事故後、補償交渉に携わってきた福山勝久・SKR総務部次長(51)は「二度と事故を繰り返さないよう安全運行に努めていきたい」と話し、慰霊碑に向かって手を合わせた。【柴崎達矢、後藤由耶】
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19年…あの日の悲惨さ忘れず 信楽鉄道事故の追悼法要(京都新聞)

 42人が死亡した1991年の信楽高原鉄道(SKR)とJR西日本の列車衝突事故から19年たった14日、滋賀県甲賀市信楽町黄瀬の事故現場近くの慰霊碑前で、犠牲者追悼法要が営まれた。遺族やSKR、JR西の社員ら約百人が参列し、犠牲者の冥福を祈った。

 法要は午前10時20分から始まり、参列者全員が黙とうした。SKRの今井恵之助社長やJR西の佐々木隆之社長らが慰霊碑に花を供え、参列者が次々と焼香して手を合わせた。今井社長は「『二度と事故を起こさない、起こしてはならない』。この取り組みこそがお亡くなりになった諸霊とご遺族へ報いる唯一の道である」と誓った。

 読経が響く中、慰霊碑のそばをSKRの列車が走った。遺族を代表し、事故で妻が犠牲になった吉崎俊三さん(76)=兵庫県宝塚市=が「19年耐え忍んできたが、あの悲惨な事故は何年経っても脳裏から離れない」と述べ、悲しみを新たにしていた。
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もうこの事故から19年も経ったのかと、改めて思う。あの時の衝撃的な事故現場の風景は、今も目に焼き付いて離れない。

事故以来、毎年行われている慰霊祭も、尼崎事故を巡って井手元社長らの強制起訴が決まった今年は、昨年までと違って見える。JR西日本という、学習しない巨象と闘い続けてきた遺族たちの行動が、真相究明に向けた扉をこじ開けつつあるように感じるからだ。

もちろん、そうした強制起訴に至る長い道のりの初めに、信楽高原鉄道事故があることは疑いがない。吉崎さん初め、多くの遺族の献身的な活動が鉄道安全推進会議(TASK)を生みだし、市民が鉄道の安全を監視する活動の嚆矢となったことは、大きな財産である。

当ブログがそうした活動の一端を担うことができるなら、大きな喜びである。当ブログは引き続き、42人の犠牲を胸に、公共交通の安全のための提言を続けていきたい。

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買い物難民対策にいよいよ本腰を入れた取り組みを!

2010-05-12 23:01:25 | 鉄道・公共交通/交通政策
<買い物弱者>全国600万人 路線バス廃止、相次ぐ閉店で(毎日新聞)

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 高齢者を中心に食料品などの日常の買い物が困難な「買い物弱者」が全国で約600万人に上るとの推計を経済産業省がまとめた。外出が不自由な高齢者が増えていることに加え、商店街の相次ぐ閉店による「シャッター通り化」や、バスなど公共交通機関の廃止が買い物から足を遠ざけている。経産省の研究会は14日、「深刻な地域問題」と指摘して、支援例も盛り込んだ報告書を公表するが、高齢化が急ピッチで進む中、政府や自治体も本格的な対策を迫られそうだ。【立山清也】

 「1人だとキャベツ1個は食べきれないから、半分に切ってあげるね」。70歳以上が25%超を占める横浜市栄区の公田町(くでんちょう)団地に設けられた食品販売所で、NPO(特定非営利活動法人)の女性メンバーが買い物に来た高齢女性に声をかけた。販売所は住民が2年前から始めた買い物弱者対策だ。

 64年に入居が始まった団地は、丘の上に33棟・1160戸が連なる。食品販売所の敷地には90年代後半までスーパーがあったが、住民の高齢化で売り上げが少なくなり撤退。約500メートル下ると、別のスーパーがあるが、坂の上り下りがあり、不便を訴える高齢者が増え始めた。そこで50~60代の住民が中心となってNPOを組織し、毎週火曜に買い出しした野菜やそうざいの販売を始めた。毎回80人前後が利用し、商品を自宅に運ぶサービスも行い、安否確認の場にもなっている。

 販売所を訪れた女性(90)は「荷物を持って運ぶのがきつい。ここなら近いし、運んでくれるからありがたい」と笑顔を浮かべた。別の女性(86)も「ひざが悪く買い物に行けない。顔見知りも多く、楽しい」と話した。

 NPO理事長の大野省治さん(79)は「買い物弱者は団地全体の問題。最近は行政も理解して補助金などで支えてくれるようになったが、まずは住民の力でできることをやるしかない」と語った。

 三重県四日市市の「生活バスよっかいち」。路線バス廃止に伴い、「買い物や通院ができなくなる」との声が上がり、住民で設立したNPO法人が03年から運行を開始した。地元の駅からスーパーまでの約9.5キロを結び、住宅街を縫うように走る。1日の利用者は約100人で、多くが車を持たない70歳以上の高齢者だ。

 しかし、運行には悩みも抱える。市の補助金や沿線のスーパーなどの協賛金、運賃収入で費用をまかなうが、不況のあおりで協賛企業は減り、最近は赤字が続く。NPO理事長の西脇良孝さん(69)は「行政も財政的に厳しい。今後も継続したいが、資金的に苦しいのが現状」と明かす。

 ◇高齢化、都市近郊でも増加 経産省調査

 経産省の「地域生活インフラを支える流通のあり方研究会」(座長・上原征彦明治大大学院教授)は、内閣府が全国の60歳以上の3000人を対象にした調査で「買い物に困っている」と答えた割合をベースに「買い物弱者」を推計した。

 研究会の14日の報告書は「買い物弱者はもともと高齢者の多い過疎地だけでなく、都市郊外の団地などでも問題化している」と問題の広がりを指摘する。さらに「医療や介護に比べ、生命に直結する深刻な問題ととらえにくく公的な支援制度も整備されていない」と社会的な対応の遅れにも言及する。

 スーパーなどはインターネットで注文を受けた生鮮食品などの宅配も展開しているが、ネットを利用できない高齢者も多い。このため、報告書は「宅配サービスの充実や移動販売車の活用、コミュニティーバスなど移動手段の確保などによる買い物支援が重要」とも指摘する。

 さらに、報告書は「民間事業者や住民だけの対応では限界がある」として、自治体が補助金を出すなど官民連携の必要性を強調。具体的な先進事例として、移動販売車の購入費補助や高齢者の買い物代行への補助などを通じて支援に取り組んでいるケースを紹介する。

 だが、報告書で紹介される先進事例は、全国的に見ると一部にとどまり、「住民頼み」のケースも目立つ。高齢化とともに「買い物弱者」は今後も増加するとみられ、取り組みを加速することが必要になる。このためには財政的な支援も欠かせないが、報告書は具体策には踏み込まない。景気低迷で税収が大幅に落ち込み、政府や自治体の財政が厳しい現状では、「買い物弱者」対策の充実に向けたハードルは高い。
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提言自体はいいことだと思うが、本題に入る前に、(1)なぜ経済産業省なのか、(2)大店法を廃止し、商店街のシャッター通り化を推し進めたのはそもそも旧通産省ではないのか、の2点について、当ブログは問いたい。

まず(1)。当ブログは以前、貧困問題について、労働界が「企業は内部留保を取り崩し、賃金に充てよ」として経済界を攻撃したことに関連して、「内部留保は現金資産として積み立てられたものばかりではないため、取り崩し不可能」という回答を経済産業省が準備した際、経済産業省を攻撃した(2009年3月5日付記事「時代遅れの経産省は解体せよ」)。経産省という役所は、いつも他省庁の所管事項に横から割り込み、最終的には横取りしてしまうお行儀の悪さで「ケンカ官庁」などと揶揄されているが、その行儀悪さは今回も健在のようだ。国土交通省がいつまでも対策に乗り出さないから、このような事態を招いたとも言える。

次に(2)。今回、経済産業省がまとめた報告書は「シャッター通り化」を深刻な地域問題と指摘している。その認識自体は間違いではないが、そもそもその原因を作ったのは、大規模小売店舗法(大店法)を廃止し、大手資本による大規模商店の出店を野放しにした経産省自身ではないか。報告書を書くなら、経産省はまず自分たちの過去の政策を検証し、反省すべきだ。

引用した毎日新聞の記事は、しかし、浮かれるのではなく冷静に事態を見ている。『だが、報告書で紹介される先進事例は、全国的に見ると一部にとどまり、「住民頼み」のケースも目立つ。高齢化とともに「買い物弱者」は今後も増加するとみられ、取り組みを加速することが必要になる。このためには財政的な支援も欠かせないが、報告書は具体策には踏み込まない。景気低迷で税収が大幅に落ち込み、政府や自治体の財政が厳しい現状では、「買い物弱者」対策の充実に向けたハードルは高い』という指摘は、現状の最大の問題点を誤りなく言い当てている。

当ブログが2010年2月25日付の記事で指摘した新しい取り組みも広がりを作りきれないでいる。何をするにも必要なのは人とカネだが、国・自治体などの公共セクターはカネも人もなく、青息吐息なのが実情だ。NPO、NGOには社会的意識の高い若者が集まってきているが、ここも資金不足にあえいでいる。日本では、「NPOやNGOなんてボランティアがやるものだ」という認識がむしろ多数派だが、本来は、こうしたところにこそ潤沢な資金を流し込まなければならない。そのためには、天下り官僚のために設立された「官益法人」「私益法人」などリストラしてかまわないと思う。

当ブログ管理人は、鉄道完乗などで地域を旅することも多く、こうした先進的取り組みをしている人と接することもあるが、そうした人たちの中には宝箱のような数多くのアイデアと、地域を何とかしたいという純真な思いが詰まっている。自己保身と内部抗争に明け暮れる国や自治体など足下にも及ばないような優秀な人たちが「資金さえあれば、もっといろいろなことができるのだが…」というケースは日本中に転がっている。

「新しい公共」は、おそらくこうした人たちが中心になって担うことになる。国や自治体は、こうした優秀な地域の担い手たちに、いかに政策的・効果的に資金と人材を配置するかを考えることに特化してもよいように思われる。もちろん、今までの凡庸な「役人」が考えるような、「国のガイドラインや指示に従う個人・団体だけに補助金を支給する」という狭い了見ではダメなことはいうまでもない。

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