人生チャレンジ20000km~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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核のない未来を願って 松井英介遺稿・追悼集(緑風出版)

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こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

安全問題研究会、JR北海道の運賃値上げ公聴会で反対公述 変化の兆し出始めた世論

2019-07-27 00:33:53 | 鉄道・公共交通/交通政策
(この記事は、当ブログ管理人が月刊誌「地域と労働運動」2019年8月号に発表した原稿をそのまま掲載しています。なお、管理人の判断で「鉄道・公共交通/交通政策」カテゴリでの掲載としました。)

 JR北海道が5月に行った平均11%、最大3割にも及ぶ鉄道旅客運賃・料金の上限変更認可申請に関し、国土交通省運輸審議会が7月1日に実施した公聴会で、安全問題研究会代表が一般公述人の1人として反対の公述を行った。公述内容は、本誌前号に掲載した公述書のとおりであり、当研究会代表は、JRグループ各社間に巨大な格差が存在し、その格差が拡大するままに放置され、何らの是正措置も講じられないまま北海道民だけに負担が押しつけられようとしていること、北海道産農産物の輸送に鉄道が大きな役割を果たしていることを中心に現状のままの値上げは認められないことを表明した。他に2名の一般公述人も値上げ反対を表明。公述人全員が値上げに反対する異例の事態となった。

 ●「鉄道再生のための改革」と強弁する島田社長

「JR北海道の経営が苦境に追い込まれた根本原因は、そもそも旧国鉄を地域ごとのJRグループ各社に分割した際の切り分け方にある。JRグループ各社の企業努力を超える格差が厳然と存在し、またその拡大が続いているこの間の社会経済情勢の変化を踏まえると、企業努力の範囲を超える格差に関してはその是正のための制度を導入することこそ国として、今行うべき政策である」とした当研究会代表の公述に対し、島田社長は「国鉄という全国1社の巨大組織が非効率を生み経営破綻につながった。適正な経営規模の下、地域ごとの自立的経営を行い、鉄道の再生をめざすのが国鉄改革の精神だった」と色をなして反論してきた。しかし、島田社長のこの苦し紛れの強弁にこそ国とJR北海道の最大の弱点が現れている。国鉄改革の失敗を指摘されることを彼らは何よりも恐れているのだ。

 32年前に国民の強い反対を受けながら、分割民営化推進派が根拠なく繰り返してきた空虚な主張を一字一句なぞっただけの強弁で、JR北海道は実際、この日の会場を埋め尽くした報道関係者や傍聴者を納得させることができなかった。ほとんどの報道機関が公聴会後、値上げに対し批判的な論調だったことは、当研究会の主張の正しさを裏付けるとともに公述の成功を物語っている。

 32年の時を経て、JRグループをめぐる情勢は根本的に変化している。新幹線が新潟、盛岡、博多までしか走っていなかった時代の認識のまま、JR北海道の危機をその場しのぎの対処で乗り切ることなど不可能だ。実際、新幹線のダイヤに余裕のある北海道・九州でほぼ同時に「貨物新幹線」の運転構想が表面化した。既存のJR旅客6社+貨物という枠組みの中では対応が難しく、JR再編の呼び水になりそうな動きも出始めている。

 日本の鉄道の歴史を俯瞰すると、見えてくる事実がある。1872年、資本家が資金を集め、民間主導で開通した日本の鉄道は、1906年に国有化。戦後に入り、1949年に公共企業体(国鉄)となり、1987年に現在のJRグループとして民営化した。民間による開業から国有化までが34年、国有化から公共企業体化するまでが43年、公共企業体化から民営化までに38年。おおむね35~40年で経営形態を変えている。制度を小幅に手直ししながら、鉄道の経営形態を維持できる期間としてはこのくらいが限界なのだろう。JRグループも発足から32年を迎え、そろそろこの限界に差し掛かりつつある。JRグループも経営形態の変更を議論すべき時期に来ている。その議論は分割された会社の統一が中心となるべきだ。

 ところが、こうしたJR再編の主張に対し、反対している人物がいる。葛西敬之JR東海会長だ。1年近く前になるが、「日経ビジネス」誌でのインタビューで葛西会長は「日本中に道路ができた今、鉄道を道路に転換しなければならない」と廃線を公然と容認。「経済原則に反するから全国を1本に戻そうということにはならない」とし、北海道を救済しないのかとする同誌記者の質問を「愚問」と決めつけた。

 葛西会長は、安倍首相と昵懇の関係で知られる「アベ友」だ。国から3兆円もの資金援助を受け、環境破壊、税金垂れ流しのリニア新幹線を推進しながら、JR北海道はおろか、自社の在来線すら「お荷物」扱いし見向きもしない。

 JR北海道の鉄道を廃線から守るためには葛西社長の打倒が必要だ。それは、1人もJR職場に戻れなかった被解雇者1047名への責任を果たすことでもある。

 ●変化の兆し出始めた世論

 当研究会は、JR北海道による「維持困難線区」公表後も、ぶれることなく一貫してJRグループの再編を訴えてきた。国鉄「改革」で3分の1の路線を失った北海道が、このまま何の手も打たれずさらに半分の路線を失うことなど断じてあってはならない。その信念の下、5線区(廃止対象)に位置づけられた日高本線沿線を中心に講演回数は8回に及んだ。国土交通省、総務省に対する要請・申し入れ3回、国会議員を通じた質問主意書提出3回に加え、「JR日高線を守る会」「JR問題を考える苫小牧の会」などと連携した署名や駅清掃、キャラバンなどあらゆる行動を続けてきた。この春からは、代表のメディア出演(インターネットラジオ、コミュニティFM放送)によって市民に直接政策を訴える活動も行った。

 当研究会代表を初めとする一般公述人の奮闘によって、次第に世論の風向きにも変化が現れ始めた。野放図な廃線・値上げ容認論はなお残るものの一時の勢いを失い、新自由主義者らは焦りを深めつつある。代わって国鉄分割の不当性や北海道単独での経営の困難さを指摘し、JR再編や再国有化、上下分離の導入を求める声が強まっている。巨大な利益を上げながら人員削減を強行し、年末年始や大型連休など繁忙期のたびにトラブルを引き起こすJR東日本、新幹線車内で犯罪が相次いでいるのに抜本的な対策もしないままリニア建設に突き進むJR東海、尼崎事故現場を一般市民の目から隠しつつ、加害の歴史を抹殺するJR西日本――彼らにこれ以上私たちの公共交通を委ね続けることはもはやできない。

 当研究会は、国鉄改革の失敗を認め、直ちにJR再編に着手するよう、国に対して強く求める。粘り強くあるべき交通政策を訴え続け、いよいよ世論を動かし始めたみずからの活動に自信を持ち、公共交通の復権というあるべき道を、ぶれることなく、まっしぐらに進む決意をこの機に改めて表明する。

(黒鉄好・2019年7月21日)

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【金曜恒例】反原発北海道庁前行動(通算345回目)でのスピーチ/刑事訴訟の短編映画と自主避難者追い出し問題

2019-07-13 21:33:43 | 原発問題/一般
 皆さんお疲れさまです。今日は、福島に関して重要なことをお知らせしなければなりません。

 1つ目は、また映画の話になりますが、福島原発事故の刑事裁判を描いた映画「東電刑事裁判 動かぬ証拠と原発事故」が完成したというお知らせです。「日本と原発」という映画を、私財をなげうって制作した河井弘之弁護士らの「Kプロジェクト」によるもので、26分の短編映画です。すでにYouTubeでも公開されており、見ることができます。今年3月まで9ヶ月間にわたって東京地裁で集中的に行われてきた東電経営陣の刑事裁判について、要点と経過をまとめたものです。この裁判を通じて初めて明らかになった事実も、証拠を添えてまとめられています。非常に貴重な映画です。刑事裁判の意義を26分間で改めて確認できるので、上映会を開くにもちょうどいい長さだと思います。ぜひ、各地で上映運動を広げていく必要があると思います。

短編映画「東電刑事裁判 動かぬ証拠と原発事故」Youtubeで公開!


 2つ目は、福島県から自主避難し、東京都内などで公務員住宅に住んでいる人たちに対し、県が家賃の2倍に当たる損害金を請求する方針を決め、自主避難者に請求書を送る動きが始まったことです。

 2017年3月までは住宅無償提供制度がありました。それが打ち切られた代わりに、家賃補助制度が設けられてきましたが、この家賃補助制度も何度も打ち切りが狙われてきました。運動の力でこれまでなんとか続けられてきたこの家賃補助制度が2019年3月までで打ち切られることになった結果、期限までに公務員宿舎を退去できなかった人たちが「不法滞在」として損害金を請求されています。

 これらの公務員住宅は、セーフティーネット契約という制度に基づき、自主避難者に貸し出されてきました。これは公務員宿舎を自治体(福島県など)が財務省から有償で借り上げ、これを避難者に有償で「又貸し」する制度です。3月末限りで立ち退くよう求めたのに、それに「違反」したとして県がこの宿舎料を2倍にすると通告してきたのが事の発端です。

 セーフティネット制度自体は、原発避難者のためにできたものではありません。これは元々、2008年のリーマンショックの際に、仕事と家を一度に失ったため、再就職にも生活保護申請にも行き詰まった人に一時的に生活拠点を与える目的で、財務省が通達を出して、空いている公務員住宅を失業者に有償で貸せる制度を創設したものです。財務省が自治体に有償で公務員宿舎を貸し、自治体が有償で失業者に「又貸し」する。この制度が原発避難者に適用されてきました。

 現在、公務員宿舎を退去できず、2倍の請求を通告されても残っている人は、精神面で問題を抱えているなど「再就職して出て行け」といわれても就職も困難で、行く先もない人たちです。精神面を病んでいる人も多いだけに自殺者を出しかねないという状況に置かれています。そのような人たちに、ろくな説明もせず2倍の請求書を送りつける非人道的なやり方が、福島県の行政の名で行われているのです。

 この間、原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)などの団体は、無償提供の時代から追い出し中止、無償提供を続けるよう何度も要請してきました。無償提供が家賃補助に変わってからも、補助を打ち切らないよう繰り返し要請してきました。何度も、ではなく何十回も、と言ったほうがより正確だと思います。しかしそれらはすべて県と内堀雅雄知事によって完全に無視されてきました。昨日まで同じ釜の飯を食い、苦楽を共にしてきた隣人であっても、県を捨てて勝手に出て行ったものはどれだけ残酷にいじめても、踏みにじってもいいという統一見解でも出されているのではないかと思うほど、県はこの間、自主避難者を追い詰める政策だけを一貫して追求してきました。政経東北という地元メディアから「避難者に冷たい内堀県政」とこの間、何度も書かれましたが一向に政策が変わる気配がありません。福島県産農産品の「風評被害」解消のためなら宇宙の果てまででも出掛けていく内堀知事が、県庁に自主避難者が話し合いを求めて並んでいても、誰もいないかのように無視して通りすぎていくのです。内堀知事は、自分の政策を支持してくれる人の姿しか見えないという特殊能力の持ち主なのでしょう。

 そもそも公務員宿舎は余っていて、財務省が公務員を相手に入居者を募集しているという話も聞こえてきます。もちろん宿舎は公務員のためのもので避難者向けのものではありません。しかし、公務員宿舎が余っているにもかかわらず、行き場もない人を無理矢理追い出すのが行政のやることだとは思いません。今回の選挙で公的住宅の整備を公約に掲げている政党もあります。公務員宿舎が余っているなら公的住宅として有効活用するのも立派な社会政策だと私は思います。

 この問題をめぐっては、財務省は必ずしも追い出しにはこだわっていませんでした。入居者がいて宿舎料収入を徴収できるのは悪い話ではないからです。むしろ、避難者の存在をこの間徹底的に消し去ろうとしてきたのは福島県です。県を徹底的に批判し県政を変える必要があります。

 再来週、26日の金曜日、私はこの道庁前をお休みし、東京に行きます。東京で、原発政策をめぐって原子力規制庁と申し入れ交渉を行うことになっており、そこでもこの住宅問題を取り上げる予定です。自主避難者の公務員宿舎からの追い出しをやめさせましょう。

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<安全問題研究会声明>当研究会代表、運輸審議会公聴会で堂々意見公述~国は今こそ国鉄改革の失敗認め、JR再編に着手せよ~

2019-07-10 21:32:51 | 鉄道・公共交通/交通政策
<安全問題研究会声明>当研究会代表、運輸審議会公聴会で堂々意見公述~国は今こそ国鉄改革の失敗認め、JR再編に着手せよ~

 JR北海道が5月に行った平均11%、最大3割にも及ぶ鉄道旅客運賃・料金の上限変更認可申請に関し、国土交通省運輸審議会が7月1日に実施した公聴会で、当研究会代表が一般公述人の1人として反対の公述を行った。その内容は公述書のとおりであり、当研究会代表は、JRグループ各社間に巨大な格差が存在し、その格差が拡大するままに放置され、何らの是正措置も講じられないまま北海道民だけに負担が押しつけられようとしていること、北海道産農産物の輸送に鉄道が大きな役割を果たしていることを中心に現状のままの値上げは認められないことを表明した。当研究会代表の他に2名の一般公述人が公述を行ったが、そのいずれも値上げ反対を表明しており、公述人全員が値上げに反対する異例の事態となった。

 「JR北海道の経営が苦境に追い込まれた根本原因は、そもそも旧国鉄を地域ごとのJRグループ各社に分割した際の切り分け方にある。JRグループ各社の企業努力を超える格差が厳然と存在し、またその拡大が続いているこの間の社会経済情勢の変化を踏まえると、企業努力の範囲を超える格差に関してはその是正のための制度を導入することこそ国として、今行うべき政策である」とした当研究会代表の公述に対し、島田社長は「国鉄という全国1社の巨大組織が非効率を生み経営破綻につながった。適正な経営規模の下、地域ごとの自立的経営を行い、鉄道の再生をめざすのが国鉄改革の精神だった」と色をなして反論してきた。しかし、島田社長のこの苦し紛れの強弁にこそ国とJR北海道の最大の弱点が現れている。国鉄改革の失敗を指摘されることを彼らは何よりも恐れているのだ。

 32年前に国民の強い反対を受けながら、分割民営化推進派が根拠なく繰り返してきた空虚な主張を一字一句なぞっただけの強弁で、JR北海道は実際、この日の会場を埋め尽くした報道関係者や傍聴者を納得させることができなかった。ほとんどの報道機関が公聴会後、値上げに対し批判的な論調だったことは、当研究会の主張の正しさを裏付けるとともに公述の成功を物語っている。

 32年の時を経て、JRグループをめぐる情勢は根本的に変化している。新幹線が新潟、盛岡、博多までしか走っていなかった時代の認識のまま、JR北海道の危機をその場しのぎの対処で乗り切ることなど不可能であると知らなければならない。

 当研究会は、JR北海道による「維持困難線区」公表後も、ぶれることなく一貫してJRグループの再編を訴えてきた。国鉄「改革」で3分の1の路線を失った北海道が、このまま何の手も打たれずさらに半分の路線を失うことなど断じてあってはならない。その信念の下、5線区(廃止対象)に位置づけられた日高本線沿線を中心に講演回数は8回に及んだ。国土交通省、総務省に対する要請・申し入れ3回、国会議員を通じた質問主意書提出3回に加え、「JR日高線を守る会」「JR問題を考える苫小牧の会」などと連携した署名や駅清掃、キャラバンなどあらゆる行動を続けてきた。この春からは、代表のメディア出演(インターネットラジオ、コミュニティFM放送)によって市民に直接政策を訴える活動も行った。

 当研究会代表を初めとする一般公述人の奮闘によって、次第に世論の風向きにも変化が現れ始めた。野放図な廃線・値上げ容認論はなお残るものの一時の勢いを失い、新自由主義者らは焦りを深めつつある。代わって国鉄分割の不当性や北海道単独での経営の困難さを指摘し、JR再編や再国有化、上下分離の導入を求める声が強まっている。巨大な利益を上げながら人員削減を強行し、年末年始や大型連休など繁忙期のたびにトラブルを引き起こすJR東日本、新幹線車内で犯罪が相次いでいるのに抜本的な対策もしないままリニア建設に突き進むJR東海、尼崎事故現場を一般市民の目から隠しつつ、加害の歴史を抹殺するJR西日本――彼らにこれ以上私たちの公共交通を委ね続けることはもはやできない。

 当研究会は、国鉄改革の失敗を認め、直ちにJR再編に着手するよう、国に対して強く求める。粘り強くあるべき交通政策を訴え続け、いよいよ世論を動かし始めたみずからの活動に自信を持ち、公共交通の復権というあるべき道を、ぶれることなく、まっしぐらに進む決意をこの機に改めて表明する。

 2019年7月10日
 安全問題研究会

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