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<地方交通に未来を(21)>新幹線と原発の怪しい関係

2025-03-16 12:14:27 | 鉄道・公共交通/交通政策

(この記事は、当ブログ管理人が長野県大鹿村のリニア建設反対住民団体「大鹿の十年先を変える会」会報「越路」に発表した原稿をそのまま掲載しています。)

 この話はずっと前から当コラムに書きたくて仕方なかった。それができないでいたのは自分の中で確証が持てなかったからである。だが最近になって確証とは言えないまでも「状況証拠」はかなり揃ってきたように見える。ずばり、原発誘致や再稼働同意と引き替えに新幹線が「返礼品」として贈られているのではないかという「疑惑」についてである。

 整備新幹線は、1997年に開業した北陸新幹線東京~長野を皮切りに、順次延伸開業を続けてきた。だが、延伸した新幹線の路線図を見ていた私はあることに気づいた。延伸した新幹線がことごとく原発や原子力施設のすぐそばを通っているのだ。例えば、2010年に延長開業した八戸~新青森を見ると、七戸十和田駅から30km圏内に六ヶ所村の使用済み核燃料再処理施設がある。20世紀のうちに開業する約束だったのに、27回も完成が延期になり、つぎ込まれる税金は19兆円とされるいわくつきの施設だ。

 北海道新幹線も、現在の始終点である新函館北斗から札幌までは、特急「北斗」や貨物列車がひんぱんに走るメインルートの室蘭回りではなく、かつては急行「ニセコ」が走ったものの、単線で現在はメインルートを外れたはずの余市~小樽を経由する。その沿線にあるのは北海道電力泊原発だ。

 長野から先の北陸新幹線も、金沢開業を経て、2024年3月に現在の福井県・敦賀まで延伸している。ここが日本一の原発銀座であることは本会報読者には説明するまでもなかろう。稼働中のものだけでも関西電力美浜原発1基、高浜4基、大飯2基の計7基が集中する。この先、関西までのルートが決定していないことは、すでに当コラムで何度も述べているが、政府が目指しているのは福井県・小浜から京都を経由して新大阪に至るルート(小浜・京都ルート)だ。このルートになれば美浜原発のみならず、新たに高浜・大飯原発のすぐそばも新幹線が走行することになる。

 鉄道と原子力施設との歴史をひもとくと、1999年に茨城県東海村のJCO東海事業所で起きた臨界事故の際、すぐそばを通るJR常磐線が数日にわたり不通になった。常磐線の車両基地である勝田電車区がJCOから至近距離にあることを理由に、関係者の放射線被ばくを恐れたJR東日本が勝田電車区への社員の出勤を停止したためだ。

 福島第一原発事故でも、常磐線が津波に流された上、避難区域となった区間では復旧作業もできず、長期にわたって不通になった。いざ原子力施設で事故が起きればこのようなリスクがあることは過去の事例からはっきりしているのに、なぜわざわざ原子力施設のそばに新幹線を通す愚行をこの国の政府は繰り返すのか。私にはずっと疑問だった。

 特に、小浜・京都ルートに関しては、古都の水環境や自然を破壊する「千年の愚行」だとして京都仏教会が反対署名に乗り出す事態になっている。これほどの反対があるにもかかわらず、政府がなぜわざわざ7基の原発がある地域を走行するルートに固執し続けるのかという疑問について考える中で、私がたどり着いた推論こそ冒頭に書いた「原発立地地域に対する新幹線『返礼品』説」だった。

 最近、私のこの推論を裏付ける証言・証拠が複数の関係者から出てきている。北海道新幹線と北陸新幹線の延伸が決まったのは2012年6月29日。整備費用は、同時に着工が決まった九州新幹線西九州ルートと合わせて3兆400億円に上った。

 福島原発事故からわずか1年。原発ゼロが続いていた日本で、野田民主党政権が示した大飯原発再稼働方針に反対する首相官邸前の反原発デモが20万人に達した時期だった。野田政権は、このわずか13日前(2012年6月16日)に大飯再稼働を決定している。これを「偶然の時期の一致」と思うほど筆者はお人好しではない。

 2024年12月4日、「北陸新幹線の延伸に関する与党整備委員会」に出席した杉本達治福井県知事はあけすけにこう述べている。「原子力発電所の立地地域ということを申し上げた。50年以上も志を持って電力を供給し、関西・日本の発展のために尽くしてきた。原子力基本法にある『立地地域の振興』というものを、しっかりと国の責務として果たしていただきたい」。国の原子力政策に協力してきたのだから、立地地域振興のため「新幹線という返礼品をさっさとよこせ」というのだ。

 1987~2003年まで4期16年務めた栗田幸雄元福井県知事も重大な証言をしている。「当時の自民党は一層、原子力発電に力を入れていくということで、福井県が原子力発電へ積極的に協力してくれるならば、いわばその見返りとして新幹線を1日でも早く自民党として努力しましょうと言ってくれました」。歴代福井県知事の間で、新幹線=原発協力の見返りは公然の秘密だったのだ。

 1999年、地元選出の辻一彦衆院議員(社会党→民主党)が提出した「北陸新幹線若狭ルート堅持に関する質問主意書」はこう述べている。「福井県、特に若狭の住民は、この三十年近く「いつか新幹線が通る」という悲願で生きてきた。そのために原発銀座を許容するという苦渋の選択を受け入れてきたのである。日本一の原子力発電地域を国土の均衡ある発展から取り残すことのないようにするのは政治の責任である」。新幹線を原発受け入れの返礼品とみなす考え方は、自民党だけではなく、野党にまで広く浸透していたのだ。

 福井以外の地域の話もしておこう。本会報前号でも紹介した九州新幹線西九州ルートである。1973年、田中角栄首相が日本列島改造論を唱え、整備新幹線の根拠法である「全国新幹線鉄道整備法」を制定、5整備区間(北海道、東北、北陸、鹿児島、長崎)を決定した。だが、決定直後に石油危機が起き、5区間すべての計画が凍結される。この凍結は5年後の1978年に解除となるが、その際、5区間の中で最も優先順位が低いとみなされていたのが長崎新幹線だった。

 長崎新幹線が着工されるか危惧した久保勘一長崎県知事は、高田勇副知事を自民党本部に派遣。「長崎新幹線の工事着工は、他の四路線に遅れないこととする」との約束を自民党から取り付ける。当時の党3役――大平正芳幹事長、中曽根康弘総務会長、江崎真澄政調会長が直筆で署名した約束文書は、放射能漏れ事故を起こし、寄港先を失っていた原子力船「むつ」の修理を佐世保で受け入れる見返りとされた。この文書が後に「むつ念書」と呼ばれるようになったゆえんである。

 政府与党が頑ななまでに「小浜・京都ルート」にこだわる理由も、このように考えると見えてくる。同ルートを熱心に推進する西田昌司参院議員(自民党京都府連会長)は今夏の参院選で改選となるが、石破茂総裁のままでは選挙を戦えないとして辞任を要求するらしい。良い噂などひとつとして聞いたことのないあなたこそ、この際、潔く政界から引退されてはいかがだろうか。

(役職はいずれも当時。2025年3月15日)

<参考記事>

北陸新幹線延伸「原発立地地域振興を」早期着工を要望 福井県知事(2024.12.5「朝日」)

「これで長崎は良くなる」 新幹線計画決定・むつ念書 見返りは空手形に 長崎新幹線の軌跡・1(2022.6.15「長崎新聞」)


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カテゴリー再編について(今後の予定など)

2025-03-15 19:06:34 | 運営方針・お知らせ

管理人より、カテゴリー再編についてのお知らせです。

・「共産趣味」カテゴリーを「共産趣味/労働問題(公共交通・原発除く)」に変更しました

便宜上の措置ですが、「その他社会・時事」カテゴリーに含めていた労働問題関係の記事をここに移動するため、カテゴリー名を変更しました。

もともと、当ブログが「観察対象」にしているのは、本気で経営側と闘って社会改革や問題提起につなげることを目的としている戦闘的労働組合やその周辺に関するものがほとんどであり、共産趣味の一環と捉えてもいいと考えたからです。

労働問題のうち公共交通に関するものは「鉄道・公共交通/交通政策」カテゴリで、原発に関するものは「原発問題/一般」カテゴリーで扱います。この2つは従来通りです。

この措置により「その他社会・時事」カテゴリーの記事数は200を割り、だいぶコントロールしやすくなりました。なお、どのような記事をどのカテゴリーで扱っているかについては、2013年4月1日付記事に掲載しています。

・「原発問題/福島原発事故刑事訴訟」カテゴリーの今後の取り扱いについて

2025年3月7日付記事「東電刑事裁判、経営陣2人を「無罪」とする不当判決が確定/福島原発告訴団等の声明」のとおり、最高裁が東京電力旧経営陣3被告のうち、途中で死去した1名を除く2被告に無罪判決をしたことにより、2012年の福島原発告訴団結成以来、12年半にわたった原発事故の刑事訴訟が終わりました。

今後、4月30日に無罪判決に抗議する集会が予定されているものの、それ以降、福島原発告訴団・福島原発刑事訴訟支援団をどのようにするかは決まっていません。

もし、福島原発告訴団・福島原発刑事訴訟支援団が活動を終える場合、当ブログのこのカテゴリについても更新することがなくなります。「原発問題/一般」カテゴリーと統合することもひとつの選択肢ですが、統合後のカテゴリーの記事数が500を超える規模になります。種々雑多な問題がひとまとめになっている「その他社会・時事」と異なり、特定問題の専門カテゴリーのためコントロールは効くと思いますが、この規模では過去記事の検索も難しくなります。

また、刑事裁判の過程で明らかになった証拠類を多く含むこのカテゴリーの記事は資料的価値が高く、独立したカテゴリーとして残し続ける意味もそれなりにあると思います。

4月30日以降も、当面、更新しないことを前提としてそのまま残しておき、その後の扱いは追って考えたいと思います。


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3.11 全交関電前プロジェクト 関電前行動へのメッセージ

2025-03-09 20:16:48 | 原発問題/一般

管理人よりお知らせです。

3月11日、関西電力本店前で「老朽原発うごかすな!上関に使用済み核燃料を押しつけるな!311関電本店抗議行動」が行われますので、お知らせします。この集会に向け、私から以下のとおりメッセージを出しましたのでご紹介します。

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 関電前行動に参加のみなさん、こんにちは。3.11福島原発事故当時、福島県西郷村に住んでいた元県民の1人としてメッセージを送ります。

 国が、2月に正式決定した新しいエネルギー基本計画で、「原発依存度をできる限り低減」するとの文言が削られ、原発「最大限活用」の方針に転換したことは、今なお続く原発被害も、事故の教訓そのものもなかったことにするものであり許すことはできません。国が何度口先だけの「反省」を基本計画に書き込んでも、心の痛みは消えることがありません。

 東京電力旧経営陣が強制起訴された「東電刑事裁判」で、3月5日、最高裁は武藤栄、武黒一郎の2人の元副社長を無罪とする決定をしました。日本の歴史上最大最悪となった原発事故でさえ、刑事責任を誰ひとり問われないことが確定したのです。もはや日本で企業犯罪の責任は、社会が滅亡してからでないと問えないとでもいうのでしょうか。苦痛の中で14年を過ごしてきた元福島県民として、認めることはできません。

 原発でいったん巨大な事故が起きると、国も原子力ムラも誰ひとり責任を取ることができないし、取る気もないという事実が改めて突きつけられています。刑事裁判の1審、東京地裁判決も旧経営陣を無罪にしましたが、一方で裁判長は「原発事故の安全対策に完全はない。事故を防止したいなら、その方法は原発停止しかない」とわざわざ判決文で言及しているのです。だったらみなさんの力で止めようではありませんか!

 福島原発告訴団を2012年6月に結成し、旧経営陣を刑事告発しました。強制起訴が決まったのが2015年7月。そこから10年近くにわたる長い刑事裁判は、多くの成果を残しました。(1)政府、国会、東電、民間の4つの事故調査委員会がまとめた報告書をすべて合わせたよりも多くの事実、証拠を明らかにできたこと、(2)「賠償金目当て」などとバッシングされることを恐れて、民事訴訟に踏み切れなかった多くの福島県民の共感も得て、政治的立場の違いを超えた大きな闘いとなったこと、(3)他の民事訴訟との共同を作り出す中から、最高裁の堕落・腐敗の実態を明らかにできたこと――などです。

 多くの最高裁判事が東京電力と密接な関係にあることが暴露され、最高裁の権威は完全に失墜しました。昨年の最高裁裁判官国民審査では、有権者から10%を超える罷免賛成率を突きつけられる裁判官が20年ぶりに出るなど、裁判所は市民の大きな不信を招いています。一方で、私たちが何も悪いことをしていないという事実は無罪判決であっても変わりません。旧経営陣を有罪にすることはできなかったため、勝利と評価するのは控えたいと思いますが、相対的には勝利と見ることもできるかもしれません。

 この3月、私の地元の「北海道新聞」は初めて原発事故と甲状腺がんの関係に言及する記事を掲載しました。歩みは遅くても、時代を進歩させるのは私たち市民の力です。それを信じて、脱原発社会の実現のために進んでいきましょう。


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【訃報】竹田とし子さん(「大間原発訴訟の会」代表)津軽海峡の「対岸」から大間原発反対運動を率いる

2025-03-08 23:56:03 | 原発問題/一般

青森・大間原発建設差し止め訴訟原告の竹田とし子さん死去 76歳(朝日)

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 建設中の大間原発(青森県大間町)の建設差し止めなどを求める訴訟を起こした北海道函館市の市民団体「大間原発訴訟の会」代表の竹田とし子さんが死去した。76歳だった。2011年の東京電力福島第一原発事故の前から「命を守れ」と声を上げ続けた半生だった。

 訴訟の会事務局長の中森司さん(76)によると、竹田さんは2月28日朝、市内の自宅で倒れ、くも膜下出血で亡くなった。

 北海道旭川市で生まれ、キリスト教を基盤に女性の社会参画、人権や健康や環境が守られる世界の実現を目指す国際NGO「YWCA」の活動に参加した。結婚して函館で暮らしはじめ、夫と食料品店を営んだ。1986年のチェルノブイリ事故を機に原発問題に取り組み、大間原発建設地の30キロ圏内にある函館で2006年に発足した訴訟の会の代表に推された。

 市民ら168人で訴訟を函館地裁に起こしたのは10年7月。原告総数は第9次訴訟までに1168人に上った。地裁は18年3月、住民側の請求を棄却。住民側が札幌高裁に控訴し、審理が続く。

 竹田さんは一審の第1回口頭弁論で意見陳述してから、昨年7月の控訴審第12回口頭弁論までに計6回、陳述に立ったという。

 4日夕、函館市内の寺で通夜・告別式が営まれた。大間原発の用地買収を拒み続けた故・熊谷あさ子さんの娘で原告の1人でもある厚子さん(70、大間町)は「とし子さんは母と一緒で、信念を持って原発をなんとかしようとがんばってきた。勝訴する前に亡くなったのが残念でならない」と声を詰まらせた。

 中森さんは「温厚で人の話をよく聞く人だった。危険な原発を造らせないという遺志を引き継ぎ、大間原発を建設中止に追い込みたい」と語った。

 訴訟の会は今後、お別れの会を開くという。

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すでに10日ほど経っているが、「大間原発訴訟の会」代表・武田とし子さんが2月末に急逝された。2月26日に開かれた青森県・東北電力大間原発差し止め訴訟の意見陳述に立つなど精力的に活動されていた。私は直接、面識はなかったが、連れ合いは札幌高裁での裁判傍聴の際、何度かお会いしたという。

大間原発は、青森県・下北半島に電源開発が建設中で、完成後は東北電力に引き渡される。本来なら青森県の地元住民が頑張らなければならないが、六ヶ所村に使用済み核燃料再処理施設を受け入れてしまっていることもあり、青森県内の原発反対運動は抑え込まれ、孤立させられている。代わって、津軽海峡の対岸にある函館が闘いを担ってきた。

函館市も、電源開発を相手に2014年に訴訟を起こしたが(参考:大間原発の建設凍結のための提訴について/函館市)、これには先行する「大間原発訴訟の会」の訴訟の存在も大きかったとされる。工藤寿樹・前函館市長が自民党を含む市議会全会派を説得して提訴にこぎ着けた。

行政、民間がそれぞれ大間原発建設の凍結を求めて提訴した背景には、函館市が対岸の大間原発から30km圏内にあるという事情が大きい。福島原発事故後、原発から半径30km圏内自治体は避難計画の策定を義務づけられたが、青森県外であるため原発の運転に対する同意権限も持たない函館市が、事故が起きれば甚大な被害を受けることに対する強烈な危機感があった。

函館市の危機感が単なる絵空事ではないことは、以下の写真を示せばご理解いただけるだろう。いずれも私が2016年4月9日~10日にかけて現地を訪問した際に撮影したものだ。

<写真1>大間フェリーターミナルから望遠(300mm)レンズを使って撮影した大間原発。目と鼻の先にある

<写真2>出港直前の船内客室から。青森県側の大間港に停泊中なのに、対岸・函館のテレビ放送がクリアに映る。電波が何ものにも遮られずに飛んでくるということは、いざというとき、放射線も飛んでくるということを意味する

<写真3>大間出港直後の青函フェリー船内から。すでに対岸の函館市街地がくっきり見える

このような状態で、福島の惨事を見せつけられた函館市の行政も市民も「次は自分たちの番かもしれない」と思うのは当然だろう。

大間原発訴訟の会で竹田さんは中心的存在だった。「竹田さんがいたから会がまとまってこられた」と話す関係者もいるほどだ。裁判そのものは会の他のメンバーが引き継ぐが、新しい幹部が竹田さんほどの求心力を持てるかどうかはわからない。

竹田さんを失ったことは、函館の反原発運動にとって痛手であることに間違いない。だが、対岸にあり地元である青森県内の運動が孤立させられている以上、引き続き函館での闘いが重要であることも事実だ。私も引き続き、この闘いを支援していきたい。


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東電刑事裁判、経営陣2人を「無罪」とする不当判決が確定/福島原発告訴団等の声明

2025-03-07 22:08:07 | 原発問題/福島原発事故刑事訴訟

東電強制起訴、旧経営陣の無罪確定へ 福島原発事故で最高裁上告棄却(毎日)

私自身も、福島県民に参加者を絞って、2012年6月に発足した福島原発告訴団発足から関わり、12年半にわたって支援を続けてきた福島原発事故刑事訴訟について、最高裁は3月5日付で、1~2審の無罪判決を不服として検察官役の指定弁護士が行った上告を棄却する決定をしました。日本の歴史上最大の被害を出した福島第1原発事故の刑事責任は、誰ひとり問われることなく終わることになります。

告訴・告発運動を担ってきた福島原発告訴団と、検察審査会による強制起訴以降の裁判支援運動を担ってきた福島原発刑事訴訟支援団は、この決定を受け、共同で声明を発表しました。福島原発刑事訴訟支援団ホームページから全文をご覧いただけますが、念のため、当ブログでも、全文をご紹介します。

印刷に適したPDF版をご希望の方は、福島原発事故刑事訴訟支援団ホームページからダウンロードできます。

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東電刑事裁判、最高裁の上告棄却決定に抗議する声明

被害者を踏みにじり、次の原発事故を準備する最高裁を許さない!

2025年3月6日

福島原発告訴団

福島原発刑事訴訟支援団

東京電力福島第一原発事故の刑事責任を問う東電刑事裁判において、最高裁判所第2小法廷(岡村和美裁判長)は3月5日付で、業務上過失致死傷罪で強制起訴された武黒一郎、武藤栄両被告について、検察官役の指定弁護士の上告を棄却し、1~2審の「無罪」の判決を維持する決定をしました。

最高裁第2小法廷は、三浦守裁判官を除く裁判官3人(岡村和美裁判長、草野耕一裁判官、尾島明裁判官)全員一致として「業務上過失致死罪の成立に必要な予見可能性があったものと認定できず」「発電所の運転停止措置を講じるべき業務上の注意義務が認められない」とし、被告人を無罪とした第1審判決を是認した原判決の判断は「不合理な点があるとはいえない」と最悪の決定をしました。

私たちは、東京電力との深い関係にある草野耕一裁判官が裁判の公正を妨げると考え、事件の回避を求めてきましたが、3月21日の定年退官の直前の判断に強い憤りを禁じえません。一方で、2022年、東電民事裁判の最高裁6.17判決で、少数意見を書いた三浦守裁判官が事件を回避したことにも驚きました。

そもそも、第1審判決は、地震本部の長期評価に基づいて東電設計が算出した15.7メートルの津波高をもとに、東京電力が常務会で津波対策を承認していながら武藤らによって先送りした事実が公判で明らかになり、予見可能性は十分立証されたにもかかわらず、東京地裁永渕健一裁判長が握り潰した不当判決でした。

この最高裁の決定は、本件の双葉病院から避難の途中で亡くなった被害者とその遺族をはじめ、万余の人々の生活と人生を壊した、日本最大の公害事件である福島第一原発事故の全ての被害者と被災者を踏みにじるものです。

さらに、人災事故を引き起こし、国民の生命と財産を窮地に陥れ、甚大な被害をもたらしながら、原子力発電事業者は何らの責任も問われず免責されるという法的前例をつくり、むしろ、新たな原発事故を準備するものです。

決して許されるものではありません。満腔の怒りをもって抗議するものです。

私たちは、2012年、福島原発告訴団を結成し福島地検に告訴して以来、事件が移送された東京地検における不起訴処分と検察審査会の起訴議決を経て、市民の力で強制起訴を勝ち取り、2016年の福島原発刑事訴訟支援団結成、2017年から東京地裁の37回の公判の中で多くの真実を明らかにしました。2019年東京地裁の不当判決。2021年からの控訴審と23年の控訴審判決、さらに23年から24年にかけての最高裁で上告審と13年にわたる道のりでした。

私たちは、改めて無念の死を遂げた被害者、その遺族、そして被災者の14年の想い、これまでの道のりの中で鬼籍に入られた多くの方々の想いを、決して忘れることはできません。

私たちは、兄弟姉妹関係の東電株主代表訴訟はじめ、全国で裁判を続ける仲間の皆さん、各地に生きる原発事故被災者の皆さんと共に、今も続く過酷な福島原発事故の被害に真摯に向き合い、原子力行政におもねる司法をも変えるためにも、これからもあきらめずに活動を継続して参ります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(関連資料)

最高裁決定

最高裁決定に対する指定弁護士のコメント(PDF版のみ)

東電刑事裁判の歩み

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3月6日に開かれた福島原発刑事訴訟支援団・福島原発告訴団の記者会見、及び検察官役の指定弁護士の記者会見の動画がyoutubeで公開されました。

東電刑事訴訟指定代理人記者会見

東電刑事訴訟支援団、東電告訴団記者会見


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【週刊 本の発見】『3.11 大津波の対策を邪魔した男たち』

2025-03-06 20:02:09 | 書評・本の紹介

(この記事は、当ブログ管理人が「レイバーネット日本」の書評コーナー「週刊 本の発見」に寄稿した内容をそのまま転載したものです。)

無視された警告〜そして事故は起きた

『3.11 大津波の対策を邪魔した男たち』(島崎邦彦 著、青志社、本体1,400円、2023年3月)評者:黒鉄好

 私は、本書の著者・島崎邦彦さんの講演を、福島原発刑事訴訟支援団の集会で一度、聞いたことがある。穏やかな学究肌で組織内政治や権謀術数とはおよそ無縁の人である。その穏やかな人柄を象徴するような優しい筆致で書かれているが、内容は辛辣だ。自身が再三にわたって発してきた警告を無視した者に対する告発の書である。

 島崎さんは福島第1原発事故後、原発政策立案と規制の分離を目的として発足した原子力規制委員会の委員長代理を務めた人物として知られる。一方、1995年から2012年まで17年もの長きにわたり、政府の地震調査研究推進本部(地震本部)長期評価部会長の任にあったことはあまり知られていないかもしれない。実際には、島崎さんの功績はこの地震本部時代のほうが大きい。東京電力以外の電力会社は、島崎さんの下で2002年7月に公表された三陸沖地震に関する長期評価を津波対策に取り入れるよう求めた旧原子力安全・保安院の行政指導を受け入れ、津波対策を実施した結果、事故を免れたからである。

 「長期評価」は、津波地震の影響範囲を極めて広く設定したこともあり、公表に当たって政府筋から様々な圧力を受けたと島崎さんは明かす。首相が議長を務める中央防災会議からの圧力によって、長期評価に限界があるかのような奇妙な前文が島崎さんたちに相談もなく付け加えられた。政府機関であるはずの地震本部が公表した長期評価の価値、影響力を低め、貶めるような策動がこの間、政権中枢によって絶え間なく続けられた。

 本書では、長期評価の過小評価の一方で、土木学会が取りまとめ公表した「津波評価技術」なる著書が過大評価されていく過程を描き出す。土木学会という名称からアカデミックなイメージを描く人が多いかもしれないが、現実には電力会社やJR各社など大規模インフラ事業を担う企業の関係者がメンバーの多くを占める。資金もこれら業界から提供されており「日本土木業協会」とでも呼ぶほうがふさわしい。インフラ事業者が費用対効果の範囲内で安全対策をそこそこやろうね、という枠組みに過ぎない業界団体のマニュアルが政府機関の報告より上位に置かれる。司法もそれを追認し、東電経営陣に1、2審とも無罪の判決を出す。本書を通じて見えてくるのは日本の厳しく悲しい現実だ。

 2018年5月9日、東電刑事裁判第11回公判に証人出廷した島崎さんは「長期評価に従って防災を進めておけば、原発事故も起きなかった」と重大な証言をしている。長期評価の「生みの親」として、貶められた「我が子」の名誉を命あるうちに回復したい――今年79歳となる島崎さんの決意を私は本書の中に見た。私もその決意に応え、東電経営陣を告発した被害者の1人として、最高裁で逆転有罪を勝ち取らなければならない。

 司法が原発事故被害者の切り捨てをこれ以上続けるなら私にも覚悟がある。さしあたり、先の大戦で誰ひとり責任を取った者がいないのが裁判所と医学界だということははっきりさせておきたい。法衣の下に東電のユニフォームを隠し着て原発事故の責任を免罪し続ける裁判官たちと、通常の1000倍も甲状腺がんが過剰発生しているのに原発事故と無関係だと言い張り続ける医者たち。戦後80年の今年、この2つと徹底的に闘争し、戦争責任からきちんと取らせる――本書を読んで改めて固めた2025年の私の大目標である。


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冬来たりなば春遠からじというけれど・・・人手不足の春、来たる

2025-03-01 22:09:42 | 日記

3月に入った。

4月人事の公表は3月中旬でまだ明らかではないが、うっすらとわかっているのは、どうやら「サプライズ人事」はなさそうだということ。そしてはっきりとわかっているのは私自身にはこの春も異動はないということである。2013年4月から続く北海道生活は、丸12年を超え、13年目に入る。こんなに長く続くと思っていなかった(最近は毎年同じことを言っている気がするが)。個人的には、ここの生活はかなり気に入っているので、役職定年となる60歳まで、もうこのままでもいいと思っている。

一時は停滞気味だった私の精神状態は、当ブログ昨年10月12日付記事「天高く、復調の秋」で書いたとおり、かなり復調してきている。いったん休筆宣言した後「以前と同じペースでの執筆はできないとの条件で復帰」した「ある媒体」に関しても、結局、以前と同じペース(週1本程度)での執筆に戻りつつある。

ここ最近は、自分自身の停滞を象徴するような「おかしな夢」も見なくなったが、これには「悟りを開いた」ことが大きいだろう。今年1月12日付記事「日本社会の縮図だった同窓会と、私の「これから」」に書いたとおり、経営層や管理職、花形部署で看板業務をしている人たちが思う存分手腕を発揮できるよう、「評価対象にならなくても、職場・社会のために誰かがやらなければならない仕事」を引き受けることが私の今後の役割なのだ。

とはいえ、この4月以降、しばらく苦しくなることがはっきりしている。私の向かい側の席の人が、昨年10月以降、今年5月いっぱいまで育休に入っている。その代替要員を11月から採用し、5月いっぱいまで雇用を続けることになっていたのだが、結局、3月までで退職することになってしまったからだ。

育休者の代替要員としての雇用だったはずなのに、その人にも1歳児がいることを採用後に知らされた。上層部は、面接で事前に知った上で採用したとのことだが、実質的には短時間勤務に近く、代替要員としての意味は、振り返ってみるとほとんどなかったように思う。

少子化の進む日本にとって、子育てはある意味、仕事よりはるかに重要な国家的ミッションであり、それだけなら問題にするほどでもなかっただろう。だが、2月に入って以降、「今後、この仕事を続けていく自信がない」などの発言が出るようになり、突発的に休むことが増えた。様子がおかしいことは明らかだったが、先日、その理由が判明した。彼女が精神障害者保健福祉手帳を所持していること、それをカミングアウトせずに健常者として面接を受け採用に至っていたこと、等々である。

私はこれまで誰よりも長く労働組合役員を務めてきたし、連れ合いはケアマネージャー(介護支援専門員)の資格を持つプロの福祉職である。当ブログ昨年3月30日付記事「路傍の雪が溶け、他人の幸せを祝う春」でも書いているように、地域ユニオン(自由加盟の労働組合)に駆け込んできた26歳の若者の生活保護受給支援などの活動も続けてきた。少なくとも、障害者への差別意識は持っていないつもりだ。

この若者を就労支援施設にあっせんする過程で、最近の障害者の就労支援に関する状況も知ることができた。「障害者であることをカミングアウトすることは、就職活動上の義務ではない。障害者としての自己認識の結果、初めから障害者雇用一本に絞り込むことによって自分の可能性を狭めてしまうのではなく、カミングアウトせずに健常者と同じ雇用形態で自分の可能性を試したいと思っているなら、挑戦してかまわない」とアドバイスしている就労支援事業所が多いことを知ったのは、この活動を通じてである。

1歳児がいることは承知の上で採用を決めた上司も、精神障害者保健福祉手帳所持者であることは知らなかったという。彼女もまたカミングアウトせずに健常者と同じ雇用形態で自分の可能性を試したいと思って私の職場の採用試験に応募したのだろう。

ただ、1歳児の育児をしながらフルタイムの雇用形態で働くことは、健常者でも難しい。精神障害者保健福祉手帳を所持する人にとって、無謀な挑戦だったように私には思える。さすがに、彼女自身もそのことを悟ったようで、4月から採用される新しい職場では障害者雇用枠での扱いになるという。

本人にそのことを告げられたとき、課長は驚いて頭を抱えたというが、私は驚きながらもこのような結末になるのではないかという予感は、2月に入る頃からあった。さすがに「カミングアウトしていない精神障害者」という展開は予測できなかったものの、不安定な出勤状況や「今後、この仕事を続けていく自信がない」等の発言から、4月以降はどうなるかわからないな、という予感めいたものは薄々出てきていたのも事実だ。

本人には「自分に合った働き方を見つけたのであれば、それはいいこと。新しい職場で、自分の心身の状態と、今後の社会人としての未来、可能性とのバランスを上手く取りながら、進んでほしい」と無難にアドバイスした。

結果的に、4~5月の間、期待していた彼女は去り、育休中の社員も復帰しないまま、最も忙しい新年度を欠員で迎えることになる。現場業務を行う別の課でも、3月いっぱいで辞める臨時社員の後任者をハローワークで募集しているが、現在まで応募がないまま。こちらも欠員のまま4月を迎える公算が強まっている。

ここ数年、日本社会全体で人手不足が報道されてきた。私自身はこれまで他人事だと思っている部分もあったが、いよいよ私とその周辺にも影響が及んできたことになる。当ブログをいつも見に来てくれる非正規労働者の方のように、雇用形態としては本来、不安定な非正規であっても、ある程度長期間(数年以上)勤務し、業務にも熟練しているため代替が難しく、経営側が容易に解雇できない状況になっている労働者を、期間の定めのない正社員とまとめて「長期安定雇用グループ」に含めると、ここ数年来の日本の雇用状況は「長期安定雇用グループ」と、主婦・学生・シニアを中心とした「スキマバイト」「スポットワーク」と呼ばれる超短期間雇用に二極化しつつあるように思える。

両者のちょうど中間に位置し、これまで経営者から「雇用の調整弁」として扱われてきた数か月から数年単位での労働者を確保することが、著しく困難になってきている。「冬季だけの除雪作業員」「夏場だけの観光地での接客業務」「育休、病休者の代替要員」(数か月~1年程度)といった求人への応募が極端に少なくなっており、ここを埋めてくれる人材は、彼女のような精神障害者に至るまで奪い合いの状況になっている。

逆に「イベント期間中、3日間だけの応援」とか「クリスマス期間中だけの臨時菓子店員」といったスキマバイト、スポットワークには応募が殺到している現実もあるのだ。

4~5月の2か月だけ要員を採用する手もないわけでもないが、そんな短期間の求人に応募する人材が現れるとは思えないし、たとえ採用できても業務を教える間もなく終わってしまう。どう見ても「欠員のまま、残った人が残業で回す」以上の妙案は思い浮かばず、150%そうなるだろう。考えるだけで憂鬱な春である。

ここ数年は、向かい側の席に座っている社員が、アルコール依存でたびたび欠勤する人だったり、彼女のようにやる気はあってもメンタルがついて来ず、やはり休みがちだったりと安定しない状況が続いている。優秀な人事評価を得られているわけでもなく、普通に過ぎない自分自身を、私はこれまでたいしたことがないとずっと思っていた。だが、このような状況が長く続くと事態は根本的に変わる。「毎日きちんと定時出社して退社時間まで勤務を続けられる」「ルーチンワークを問題なくこなせる」という当たり前のことが価値を持つようになるのだ。少なくとも、私が上層部、管理職の立場であれば、働きぶりは人並みに過ぎなくても「先の見通しが立てやすい」社員に対しては、それだけでありがたいと思うだろう。

正直、5年くらい前までの私は、「偉くもなれず、若くもない」自分のような社員は、真っ先に早期退職制度(45歳以上が対象)の適用対象者になるのでは・・・という不安が頭から離れなかった。だが今の私にそのような不安はない。同期はみんな管理職昇任しているとはいえ、「歩のない将棋は負け将棋」(「歩」北島三郎)という昔の歌にあるように、どんな組織も兵隊がいなければ戦えないし、周囲の状況を見ていると、私は「歩」「兵隊」としてはかなり強い位置にいる。

4~5月は例年と比べ、3人いるはずの課を2人で回さなければならないのだから、忙しさ1.5倍の状況になること必至だが、このような全体状況と自分の立ち位置を考えると、まぁ良しとしよう。上層部、管理職にとって私が「先の見通しが立つ、使いやすくてそれなりに強い兵隊」としての価値を持っているならば、当面はそのような形で使われておくのが最も適切な生き残り策であることは間違いないのだ。

そういうわけで、北海道からの発信13年目になる当ブログに、引き続きご助言、ご鞭撻をお願いしたい。

歩/北島三郎


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【転載記事】関生支部・湯川裕司委員長に完全無罪判決!―懲役10年の求刑を打ち破る

2025-02-27 21:37:28 | 共産趣味/労働問題(公共交通・原発除く)

レイバーネット日本からの転載です。

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2月26日 京都3事件 関生支部・湯川裕司委員長に完全無罪判決!―懲役10年の求刑を打ち破る/愛知連帯ユニオン

この日、京都地裁には、ベストライナー・近畿生コン・加茂生コンの京都3事件の判決があり、全国の支援300名、韓国オプティカルハイテクの仲間が駆けつけて早朝より集会を行いました。経営側(大阪生コン広域協組/写真下)も250名が傍聴抽選に並びました。10時に開廷した法廷では、懲役10年の求刑を受けていた湯川裕司委員長に3事件すべてに無罪の判決があり、2時間に渡って判決が読み上げられました。

ベストライナー事件は、2014年からの生コン輸送会社の解散争議で、労働組合が経営者団体である京都生コン協同組合に1億5000万円の解決金を支払わせたことが恐喝とされた事件です。


近畿生コン事件は、近畿生コンの廃業に伴い、協同組合が労働組合に6000万円の清算金を支払ったことが恐喝とされた事件です。
加茂生コン事件は、(1)就労証明書の発行、あるいは(2)廃業に当たってプラントの解体とミキサー車の引き渡しを求めたことの共謀が問われた事件です。
いずれも元々、犯罪等とされる筋合いのない「事件」でした。

ストライキ通告は恐喝には当たらない

判決は、生コン業界では過当競争の抑制が必要とされ、通産省も共販を奨励していて、京都協同組合でもアウト業者による廉売対策が課題であったという背景を認定、他方、関生支部のストライキは、時に就労してない者も動員し、車両の前に立ちはだかる等して出荷を止めるようなこともあったが、事業者側が出荷を自粛する、あるいはアウト対策としてコンプライアンス活動を行う等というものでもあったと認定しました。

そして、京都3事件以前の10年間は直接出荷を止めるようなストライキがない等、生コンの価格維持に共同して取り組んでいた京都協組と関生支部の具体的関係に踏まえ、検察の「関生支部が京都協組を畏怖させ、思いのままに支配していた」という主張を退けて、恐喝行為を認めませんでした。

「争議行為が生産の一定の阻害を想定している」ことからして、労働問題の解決を目的にした関生支部のベストライナー事件におけるストライキの通告を「害悪の告知」による脅迫とすることはできないとしました。また、京都協組側が争議の金銭解決を提案し、関生支部側がそれに加えて7人の組合員の雇用保障を求めたという組合側の主張を信用できるとしました。

近畿生コン事件においては、京都協組内の人事交替で労働組合と協調路線に転換しており、アウト業者に転売されないよう労組がプラントを占拠した費用を京都協組が負担したことに恐喝は存在しないと認定しました。

加茂生コン事件では現場の概要の認識はあっても、現場での詳細なやり取りにまで被告たちが関与したとは言えず、あるいは、プラントの解体要求は労組以上に協組の利益となるものであり、協組の独自の利害から出た言動と考えられるとしました。

15時から弁護士会館で湯川委員長と5人の弁護士による報告集会

報告集会には100名の支援が参加、湯川委員長からは支援へのお礼が述べられ、「弾圧以降は最悪の事態を想定した組織運営をしてきたが、今日は裁判官の顔が穏やかで、もしや、無罪かと解った。2019年に当時大津事件で勾留されていたが、京都事件で京都に移送され、その後、3回逮捕された。それから6年、労働法学者先生の証言が採用され、私たちの産別運動が労働組合活動として認められたのが嬉しい。権力と一体化した使用者側には運動で返していく。今日は仲間と労をねぎらいながら飯を食べるのが楽しみです」と喜びを語りました。その後、事件を担当した5人の弁護士から判決の解説があり、保釈請求の準備をしたこと等のエピソードも語られました。

闘いが報われた日

2018年以来、81名の組合員が逮捕され、湯川委員長(写真左)は644日も勾留された「戦後最大の刑事弾圧」(労働法学者声明)。その中でも最後に最も重い罪に問われた京都事件で無罪判決が出されたことは、関生弾圧が不当弾圧であったことを白日の下に明らかにしました。

関生支部は京都事件について、京都、名古屋、東京、沖縄などでシンポジウムを開催、大手メディアが沈黙する中、良心的なジャーナリストたちの力を借りつつ地道な発信を続けて来ました。これからも困難な闘いの日々が続きますが、この日は大勝利の1日となりました。全国の支援の皆さん、本当にありがとうございました。

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恐喝罪など問われた関西生コン幹部ら2人に無罪判決 京都地裁(NHK京都)

関西の生コンクリート業界の労働組合の幹部ら2人が、京都府内の生コンクリート製造販売会社で作る協同組合の理事らを恐喝し1億5000万円を支払わせたなどとされた事件の裁判で、京都地方裁判所は2人に無罪の判決を言い渡しました。

無罪が言い渡されたのは、関西の生コンクリート業界の労働組合、「全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部」の武健一元執行委員長(83)と湯川裕司執行委員長(52)です。

2人は、2013年から2014年にかけて、生コンクリートの輸送会社の倒産をめぐり、製造販売会社で作る協同組合の理事らに対し、組合員の退職金などを名目に解決金の支払いを要求し、出荷を妨害するなどして1億5000万円を支払わせたなどとして、恐喝などの罪に問われていました。

26日の判決で、京都地方裁判所の川上宏裁判長は、「ストライキをはじめとする争議行為はその性質上、労働組合が使用者に一定の圧力をかけ主張を貫徹することを目的とする行為で、業務の正常な運営を阻害することはもともと当然に予定されているものだ」と指摘したうえで、「要求行為が脅迫に該当するとはいえず、犯罪の証明がない」などとして、無罪を言い渡しました。

判決について、京都地方検察庁の石井壮治次席検事は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントしています。

 
 
 

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【管理人よりお知らせ】京都仏教会「北陸新幹線延伸計画の見直しを求めます」署名にご協力ください!

2025-02-22 16:30:40 | 鉄道・公共交通/交通政策

管理人よりお知らせです。

現在、敦賀(福井県)まで開業している北陸新幹線をめぐっては、現在、敦賀から先のルート選定作業が難航しており、建設のめどがまったく立っていません。政府与党が目指しているのは、敦賀から小浜市、京都市を経由して、新大阪に至るルート(小浜・京都ルート)です。

これに対し、地元、京都を中心に「古都の環境が破壊される」などとして根強い反対論があります。こうした反対論を背景に、かつて、一度検討されながら採用されなかった「米原ルート」への変更を求める声があります。

今回、京都仏教会が、「小浜・京都ルート」の撤回を求めてオンライン署名運動を始めました(オンライン署名:「京都が京都でなくなる」北陸新幹線延伸計画の見直しを求めます/京都仏教会)。また、この署名について朝日新聞が報じています(参考記事:北陸新幹線延伸「京都を台無し」 京都仏教会が撤回求め署名活動開始/2025年2月21日付「朝日新聞」)。

安全問題研究会としても、今回、この署名に協力を呼びかけます。1人でも多くの方にご賛同していただけるよう望みます。京都仏教会ホームページに、同会が京都府知事宛に行った申入書の内容が公開されています。以下、その全文をご紹介します。

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京都府知事
西脇 隆俊 殿

申入書

 現在問題になっております北陸新幹線延伸事業の「小浜・京都ルート」は、丹波山地を貫く長大な山岳トンネルと京都市内および新大阪駅までのやはり長大な大深度地下トンネルで構成される予定であり、北山・東山ならびに西山では水枯れが、市内では地下水位低下や地下水脈の途絶、地盤沈下・陥没が予想されます。また、膨⼤なトンネル残⼟にはヒ素が含まれている可能性があり、地下⽔汚染も大いに危惧されることと存じます。

 全体の80%がトンネルとなる小浜・京都ルート(敦賀-小浜-京都-京田辺-新大阪)は、豊かな水の恵みによって成り立っている京都が京都でなくなる計画であります。トンネルの耐用年数はたかだか数十年。そのトンネルによって京都の1200年の歴史と未来が揺らごうとしていると当会では考えます。

 北陸新幹線は1960 年代に構想されました。当初は米原ルートが想定されていましたが、当時の福井県知事が原発増設許可と引き換えに小浜ルートを国から引き出したと言われています。まさに「我田引鉄」です。その後、米原ルートの再浮上もありましたが、2016年に与党PTの検討委員会はJR西日本が提案した京都市街地を通る「小浜・京都ルート」(小浜ルートの修正案)に決定したと聞き及んでおります。

 しかし、今も工事着工の目処が立っておりません。これは、国土交通省も認めるように、このルートがあまりにも多くの難問を抱えているからであり、遅れの最大の原因は小浜・京都ルート計画そのものにあると言っても過言ではありません。しかも、開通は人口減少がさらに進む30年後と言われています。

 この計画にはいくつもの大きな問題があります。決定権限を与えられた与党PTは、小浜・京都ルートを推す福井県選出議員によって主要ポストが占められ、その決定が国の最終決定になります。これでは「我田引鉄」に対するチェック機能は働かず、地元の府県民や市民の意見は計画に反映されません。そんな意思決定に正当性があるのかという疑問が残ります。

 JR西日本の建設事業費の過小負担と府県民・市民負担の大きさも問題です。事業費は国と地方自治体が負担し、JRは「貸付料」を支払うだけです。JR西日本には、JR東海との路線共有がなく旅客需要の大きい小浜・京都ルートがベストであり、事業費が5兆円超という巨額になろうと、地盤沈下などで補償問題が紛糾しようと、そして地下水や環境への影響が増大しようと、JR西日本は負担が増えるわけでもなく、また責任を負うこともありません。当初予定よりも膨らんだ建設事業費は、結局、国民全体と府県民・市民の税負担や行政サービスの削減などによって賄われます。ある試算によれば、事業費が5兆円の場合、京都府と京都市の実質負担額はそれぞれ6120億円と374億円となっています。これを、子どもを含めた一人当たりに換算すると、それぞれ府民13万円と市民2万5千円となり、京都市民は一人当たり合計15万5千円の大きな負担となります。

 小浜・京都ルートは、大規模災害時の迂回路として重要であり、「国策」事業として絶対に建設が必要であるとの意見もありますが、南海トラフ大地震発生時に小浜・京都ルートの長大トンネルが抱えるリスクは途方もなく大きくなります(停電による車両への乗客の閉じ込め、トンネル火災、津波・洪水による大規模浸水、大地震によるトンネルの破断など)。これでは迂回路として機能しません。現在、東京—大阪間のルートの多重化は高速道路網によってすでに実現しています。

 そして、最も大きな問題が、京都の地下水への悪影響(水位低下、枯渇、汚染・汚濁)です。はじめにも述べたように京都は水の恵みによって生かされている町です。京都の名水は伏見の酒造りや豆腐、和菓子作り、京料理などに活かされています。東京や大阪などの巨大都市の水とは異なり、まさに京都の水は「生かされ生きる水」なのです。

 現在、さまざまな問題を抱える小浜・京都ルートに対して距離、建設期間、事業費などで優位な米原ルートの復活を求める声が大きくなっています。しかし、両者を、さらには舞鶴ルートなどを比較する際に基準とされてきたのは、事業費や費用便益比という経済的視点や乗り換えや乗り入れなどの技術的視点が中心であり、京都の地下水問題、地盤沈下や陥没の危険性、大量のトンネル残土やそのヒ素汚染などといった市民生活を脅かす問題への視点はあまりにも軽視されているといわざるを得ません。

 さらに、京都市内では、京都の名刹の真下を通るルートが設定されており、国宝、重要文化財への影響も大いに危惧され、京都仏教会として到底看過できるものではありません。

 これらのいずれの視点から見ても、長大な山岳トンネルと大深度地下トンネルで構成される小浜・京都ルートは最悪のルートであると言わざるを得ず、ルートの見直しが是が非でも必要です。

 また、技術的視点について言えば、JR各社が運行システムの相違などを理由に相互乗り入れの可能性を否定するならば、それは大災害時に全国を網羅しているはずの新幹線網が実は役に立たないと宣言しているに等しいことになります。

 尊い自然は決して人の支配の対象ではなく、本来は敬いながら共存すべきであるという仏教の教えにも著しく遊離するこの計画は「千年の愚行」であり、京都仏教会は本申入書をもって断固たる決意の下に計画の再考を強く求めるものであります。

令和6年12月19日 

一般財団法人京都仏教会
理事長 有馬 賴底


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令和の米騒動は必ず再発する! しかも、それは早ければ4月には始まる

2025-02-19 22:37:14 | 農業・農政

これを書くのは正直、怖い気もしますが、国民的関心事なので思い切って書くことにします。

農水省が毎月、公表している「民間在庫の推移(速報)」を見て、私は愕然としました。連日、米不足問題が報道されていますが、事態はそれよりもずっと深刻です。

この数字を見た上で、私は今後の展開を以下の通りになると予測します。

・スーパー、米穀店の店頭で「お1人様5kg1袋限り」等の購入数量制限が始まる時期・・・早ければ4月上旬、遅くとも4月中
・店頭からお米が消え始める時期・・・早ければ大型連休前、遅くとも5月中
・お米が完全に姿を消す時期・・・早ければ5月末、遅くとも6月中

8月になって騒ぎが始まった昨年より1か月半程度早く、今年は事態が進行すると予測します。このように考える根拠は、以下の通りです。

●上記「民間在庫の推移(速報)」から見えることは・・・

そもそも、農業問題に少しでも知識がある人であれば、往時より少なくなったとはいえ、現在も年に700万トン程度、米が獲れているという基本的数字が頭に入っていると思います。この収穫量からすると、収穫直後の11~12月でも民間在庫が300万トン程度というのは、半分弱にしか過ぎません。私が最初この数字を見たとき、あまりに少なすぎて何を意味しているのかわかりませんでした。

しかし、表の欄外に「注」として「2 出荷段階は、全農、道県経済連、県単一農協、道県出荷団体(年間の玄米仕入数量が5,000トン以上)、出荷業者(年間の玄米仕入量が500トン以上)である」「3 販売段階は、米穀の販売の事業を行う者(年間の玄米仕入量が4,000トン以上)である」と記載されているのを見たとき、すべての謎が解けました。

この表に掲載されているのは、平たくいえば、食糧管理制度(食管制度)があった時代(1995年以前)に、正規米である「自主流通米」の政府指定集荷団体として認められていた2団体--「農協」と「全集連」(全国主食集荷協同組合連合会及びその加盟集荷業者)が集荷できた量だけです。逆に言えば、農協・全集連を通すことなく出荷された米は、この表には含まれていないということです。

食管制度解体から今年でちょうど30年になりますが、農協・全集連が集荷できているのは、全収穫量の半分弱に過ぎないということが、このデータから見えてきます。

日本の米の年間収穫量は、上でも述べたとおり、ここ数年は700万トン程度で、需給はほぼ均衡しており、いわれているほどの「米余り」は実際には起きていませんでした。計算の便宜上、年720万トン収穫できているとすると、1か月に60万トン消費されていることになります。

つまり、上記「民間在庫の推移(速報)」は、流通量だけでなく、消費量の面でも実勢の半分しか反映していないことになります。農協、全集連が集荷できた年300万トンの米が、月に20万~30万トン程度消費されているということを示した表に過ぎません。

残りの半分は、大きく分けると大口需要者(外食産業など)による直接買い付け、農協・全集連以外の流通業者による集荷分、そして産直などの小口需要ということになります。これら(産直除く)は外食産業に回るほか、病院・学校給食や、いわゆる「中食(なかしょく)」にも回ります。

中食とは、外食と家庭「内食」の中間的形態で、具体的には弁当・総菜を指します。作って食べるまですべてが家庭内である「内食」と、作って食べるまですべてが家庭外である「外食」の中間的形態(作るのは「外」、食べるのは「中」)なので、このように呼ばれるわけです。

これら外食・中食によって米の半分が消費されており、実は、この分野が伸びているため、お米の消費量は言われているほど減っていません。減っているのは家庭で炊飯器で炊いて食べる米だけですが、この分は農協・全集連が多くを扱ってきたため、上記「民間在庫の推移(速報)」では減っているように見えるのです。

●日本では、ウクライナ戦争開始後、農協・全集連が集荷量を大きく減らした

上記「民間在庫の推移(速報)」資料から、クリアに見える点がもう1つあります。近年、秋の収穫期直後の11~12月時点で、おおむね300万トン台で安定していた流通量が、令和4/5年度(2022~2023年度)を境に大きく減少していることです。

この年に起きた大きな出来事といえば、ウクライナ戦争です。同時に、燃料費、資材費の大幅な値上がりが始まりました。この値上がりに耐えきれず、多くの農家が離農したことが、この表から見えてきます。

米生産量全体としても、670~680万トン程度に減っていますが、この減少分(マイナス30~40万トン)が、「民間在庫の推移(速報)」における減少幅とほぼ一致しています。「民間在庫の推移(速報)」は農協、全集連が集荷した米だけを対象にした統計なので、「ウクライナ戦争後の燃料・資材費の値上がりに耐えきれずに離農した農家のほとんどが、農協・全集連に出荷していた農家だった」ことが見えてきます。

●結論=ウクライナ戦争を契機に起きた農協の集荷力の低下が「一般家庭」を直撃した

離農した農家のほとんどが農協・全集連に出荷していた農家に集中していたという私の推測通りだとすると、次のような結論が導き出されます。つまり、ウクライナ戦争後に急騰した燃料・資材費の価格転嫁を、農協・全集連が認めなかったのに対し、それ以外の流通業者は認めた可能性が高いということです。

この結果、農協・全集連に出荷していた農家の多くが農業に希望を失って離農するか、「燃料・資材費の値上がりを加味して買い取り価格を上げてやるから、うちに売ってくれないか」と囁く農協・全集連以外の流通業者に出荷先を切り替えるかのいずれかを選んだと考えられます。こうして、流通量減少の影響が外食、中食には及ばず、農協・全集連が集荷した米を取り扱っているスーパー・米穀店だけを直撃したのです。

元々このような状態がベースにあるところに、「民間在庫の推移(速報)」に戻ると、令和6~7年(2024~2025年)は、令和5~6年(2023~2024年)に比べて、前年同月時点での流通量が、さらに39~50万トンも少なく推移しています。1か月の米消費量が60万トン(うち、一般家庭消費分が半分の30万トン)であることを考えると、平均で1.5か月分に相当します。つまり、昨年は8月に始まった米騒動は、今年は1か月半早まり、6月中旬には始まることになります。

一般家庭で消費されている米(=外食、中食除く)が月に30万トンであることから考えると、21万トンの備蓄米放出くらいではまったく足りません。「令和の米騒動第2弾」の始まる時期を、半月~20日程度遅らせるのが精いっぱいでしょう。備蓄米21万トンを放出しても、令和の米騒動第2弾は、7月上旬までには始まると考えられます。

今後、「米を隠し、売り惜しむ米穀業者」というストーリーで、マスコミによる米穀業者バッシングが激化すると思います。ですが、彼らの名誉のために述べておくと、米穀業者が保管している米は、外食産業など「すでに買い手がついている、売約済のもの」がほとんどであり、いわゆる「売り惜しみ」ではありません。もちろん売約済ですので、外食産業には契約通りの価格で出荷されることになるでしょう。

石破政権は、参院選後まで米不足を繰り延べできるとの腹づもりのようですが、おそらくその当ては外れます。参院選がまさに公示され、運動期間に入る頃に米が完全に消えるという、石破政権的には最悪のシナリオになる可能性が強まってきました。

米不足が原因で、この夏、自公政権が倒れることになるかもしれません。野党もまとまれずバラバラですが、「バラバラなりに非自民政権が成立」した1993年の再来は、十分あり得ます。思えばこのときも、時期を同じくして「平成の米騒動」がありました。やはり歴史は繰り返しているというのが、私の感想です。


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