安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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原発は擁護し、原発批判した職員は辞めさせようとする犯罪官庁、経産省を解体せよ!

2011-06-29 23:32:24 | 原発問題/一般
経産省:古賀氏に退職打診 公務員制度改革などで民主批判(毎日新聞)

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 経済産業省は24日、民主党政権の公務員制度改革を批判してきた同省の古賀茂明氏(55)=大臣官房付=を退職させる方針を固め、同日午後、本人に打診した。古賀氏は東京電力福島第1原発事故を受け、電力会社が猛反発する「発送電分離」などの電力改革を唱えたほか、5月20日に出版した著書で、事故を巡る政府の対応を批判しており、現職官僚による「内部告発」が引き金となった可能性が濃厚だ。

 関係者によると、松永和夫経産事務次官が同日、古賀氏に7月15日付の退職を打診した。古賀氏は「あまりに性急だ」と回答を留保しているという。

 古賀氏は1980年、通商産業省(現経産省)に入省。経済産業政策課長などを歴任。政権交代前には国家公務員制度改革推進本部事務局の審議官として「天下り規制の強化」「事務次官廃止」などを提案したが、霞が関の猛反発で退けられ、2009年12月に待機ポストの現職に就いた。【三沢耕平】
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古賀氏の主張は公務員制度改革にしても、原発批判にしても至って正当なものだ。公務員制度改革問題で天下りを批判して以来、閑職に追いやられていたが、それでも職を奪われるということはなかった。このタイミングで古賀氏の職を奪おうとすること自体、原発批判への脅しであり、私たち反原発派に対する挑戦だ。

経産省が今やるべきことは、事故の収束と検証、そして東京電力の後始末を考えることだが、経産省にその仕事は無理だろう。この役所は旧通産省時代から、時代の節目節目でことごとく国民と労働者を裏切り、経団連の忠犬、財界のポチとして動いてきたからだ。

経産省は2010年、「地域生活インフラを支える流通のあり方研究会~地域社会とともに生きる流通~」という報告書を発表した。そこでは、「流通業のあり方が問われている」とし、解決策として「イノベーション(技術革新)による課題克服」「地方自治体等の多様な関係者の支援」「地域コミュニティとの連携」などと、ぬけぬけと述べている。そもそも地方は誰のせいでシャッター通りになったと思っているのか? 地方の中小小売業者を守る法律として機能してきた大店法を、アメリカの圧力に屈して撤廃したのは旧通産省ではないか。その結果、地方に大手ショッピングセンターが次々と立地し、駅前はシャッター通りとして寂れ、多くの小売店主が廃業に追い込まれたのである。

TPP参加によって日本の農業を焼け野原にしようとしたのも経産省だ。TPP参加となった場合、食糧自給率(カロリーベース)が現在の40%から14%に低下。関連産業を含めた実質GDPは1・6%(7・9兆円)、雇用は340万人も減少する、とした農水省の試算にあわてた経産省は、なんとかこれを否定するため「TPP参加でGDPは0.65%、3兆2000億円押し上げる」という試算を発表するなど、常に国民を無視して財界だけの利益を計ろうと見苦しい策動を続けてきた。

そして今回の原発だ。保安院と一体になって、国民ではなく原子力村を守り、批判した職員を退職に追い込もうと策動している経産省はもはや犯罪官庁だ。その存在自体が日本「復興」の障害になっている。保安院のみならず、いますぐ経産省そのものを解体しなければ日本の明日はない。

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2011年上半期 全線完乗達成状況

2011-06-26 21:19:21 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
当ブログ管理人は、現在、乗り鉄どころではない状況だが、それでも当ブログの恒例になっているので、上半期分を報告する。

結果は…ゼロである。

半年でゼロというのは、サイトを開設して以降は初めてではないか。過去に記憶は全くないが、東日本大震災、福島原発事故という状況である以上やむを得ないと思っている。

震災と原発事故により、当ブログ管理人は、今、大げさに言えば生き延びるので精一杯であり、鉄道以前に日本を危機に陥れている「原子力村」を叩き潰さなければならないと思っている。当ブログ管理人の姿勢は脱原発でなく反原発である。電気が足りる足りないとか環境に良い悪いとかいう議論には関心がない。電気が足りないなら足りるように知恵を出すのが政府の仕事だし、その仕事ができない政府なら解体すべきだという以外にコメントすることもない。あるのは「百害あって一利なし」の原発をいかにして1日も早く叩き潰すか、それだけである。

今年の新年に掲げた完乗の目標も棚上げする。このまま実績ゼロで今年は終わるかもしれないが仕方がない。仮にこのまま終わった場合、完乗達成後に延長開業した東北新幹線、九州新幹線、名古屋市営地下鉄桜通線が完乗から未乗に変わることになる。鉄道人生始まって以来の「完乗後退」で終わる可能性が高まっている。

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東日本大震災に思う~東北から見た首都圏の本質

2011-06-25 20:29:31 | 原発問題/一般
(当エントリは、当ブログ管理人が月刊誌に発表した原稿をそのまま掲載しています。)

 「東日本大震災は天罰だ。津波で我欲を洗い流す必要がある」…石原慎太郎・東京都知事が、それこそ天に唾するに等しい暴言を被災地に向かって投げつけたのは、震災から3日後の3月14日だった。苦しくなる一方の都民生活を顧みず五輪招致にうつつを抜かした挙げ句に失敗、家族の外国出張旅費まで公費で支出するなど乱脈の限りを尽くしてきたお前にだけは言われたくないと思うが、それはさておき、今回の震災で最も「我欲」にまみれていたのは誰だったかを雄弁に物語るエピソードがある。それらのエピソードを追っていくと、我先にと奪い合う東京と、お先にどうぞと譲り合った辛抱強い被災地の対照的な姿が見えてくる。

 ●帰宅難民を駅から締め出し、儲かる路線から復旧させるJR

 3月11日、震度5強の激しい揺れに見舞われた首都圏の鉄道各社では軒並み運転見合わせとなった。

 私鉄各社は、郊外から首都圏に通勤する労働者が帰宅難民となるのを避けるため、11日夜の運転再開を目指して線路や施設の安全確認を行っていた。一方、JR東日本は、安全確認に時間がかかることを理由に、午後6時20分、早々と終日運転見合わせを決定した。それどころか、新宿駅、渋谷駅など首都圏でも有数の大ターミナルを早々と閉鎖。大勢の労働者・利用客を寒空の下に放り出した(この日、東京の午後6時の気温は8度だった)。JR東日本のこの姿勢は利用者・国民の厳しい批判を浴び、清野智社長は4月5日の記者会見で謝罪に追い込まれた。

 一方、東北各地では、震災直後から深刻な物資やガソリンの不足に見舞われた。特に、ガソリン不足は4月中旬まで続き、市民生活の再建に大きな障害となった。

 ガソリン不足は、首都圏での精油所の火災や東北自動車道・常磐自動車道の通行止めなど複合的な要因で引き起こされたものだが、東北地方の鉄道各線が不通となったことも大きな要因である。

 貨物列車1編成でタンクローリー車40台分のガソリンを輸送できる鉄道は、輸送力の大きな交通機関だ。JRは磐越西線を使用してガソリン輸送を行ったが、単線のため輸送力には限界があり、ガソリン不足解消には東北本線の早期復旧が必要だった。

 これに対し、JR東日本が東北本線と並んで真っ先に復旧を進めたのは東北新幹線だった。新幹線は在来線と異なり、貨物輸送を行うことはできず、復旧させても物資不足の解消にはつながらない。大型連休を前に被災地の生活再建より観光輸送による利益を優先するJR東日本の姿勢がよく現れている。

 ●地域に奉仕する三陸鉄道、虐げられても首都圏を助けた新潟

 津波の被害が最も大きかった三陸地方では、三陸鉄道が震災から5日後には一部区間を復旧させた。3月までは運賃を無料とし、その後も地元住民のために割引運賃で運行を続けている。

 震災直後、「電力不足」を理由とした東京電力の計画停電により、首都圏の鉄道がマヒしたが、このときJR東日本の電力供給に協力したのが新潟県十日町市である。十日町市は、JR東日本信濃川発電所の発電量を増やせるよう、みずからJR東日本に申し出た。信濃川への放水量が一時的に減少することもやむを得ないと判断したという。

 三陸鉄道は、国鉄「改革」により特定地方交通線(廃止対象路線)に指定され、切り捨てられた久慈線、宮古線、盛線を転換した第三セクター鉄道である。また、信濃川発電所は、2009年、JR東日本による超過取水と取水量データ改ざんが発覚し、JR東日本が取水停止の行政処分を受けている。国鉄と、それを引き継いだJRから切り捨てられ、痛みを一方的に押しつけられてきた地方が、地域住民のため、あるいは首都圏の帰宅難民のため、利益を度外視して支援したのだ。

 ●放射線測定器も福島そっちのけで奪い合い

 福島原発事故が報道され始めた直後から、秋葉原では、放射線測定器が極端な品不足に陥っており、入荷してもすぐに東京在住者と見られる人に買い占められる状況が続いている。今、この状況で放射線測定器を最も必要としているのは福島県の人たちのはずだが、その福島の人たちに放射線測定器は全く渡っていない。なぜか、県外の人たちのほうが放射線測定器を持っており、放射線量を計測しに来た県外の人たちから自分の住む地域の高放射線量を知らされ、慌てふためくという状況が今なお続いている。福島では、放射線量に関するデータは行政が独占しており、福島の人たちは「行政の発表する数値を黙って信じるか、信じられずに苦悩するか」の二者択一を迫られている。

 もちろん、首都圏の人たちだって、自分が住む地域の危険度を自分の手で計測して知りたいという気持ちはあって当然だし、その気持ちはよくわかる。「政府・東電のウソを暴くためにやっている。この活動には公益性があるのだ」と反論されればその主張はよく理解できるし、「みんなのために労力を持ち出ししてまでやっているのになぜそんなことを言われなければならないのだ」と思う人がいるとしたら、筆者はその批判を甘受する。

 しかし、首都圏と福島ではそもそも汚染度が全く異なる。福島市や郡山市では、子どもの被ばく量はすでに限界を超えつつあり、未成年者はすぐに全員避難させるべきだと考える。避難させるかどうか議論する時間すら待てないほど事態は切迫しており、福島の親たちには真実を知る権利がある。行政・東電が情報隠しとごまかしに全エネルギーを注いでいる中で、福島の親たちこそ放射線測定器を持ち、事実を知らなければならないのだ。首都圏で放射線量を測定し、公表する活動がしたいと思って秋葉原で放射線測定器を待つ行列に並んでいる人がいるとしたら、その放射線測定器を福島の子どもを持つ親たちに譲ってほしいと思う。

 福島第1原発は東京電力の発電所であり、誤解を恐れず言えば、首都圏の人々が便利で贅沢な生活をするために福島に押しつけた発電所である。自分たちが使うわけでもない電気のために被ばくさせられ、事態に対処するための数少ない放射線測定器さえ首都圏の人に横取りされ入手できないとしたら、私たち福島は東京のために何回、犠牲にならなければならないのか。

 ●奪い合う東京、譲り合う被災地

 未曾有の大災害のときにこそ人々の本質がかいま見える。震災が明らかにしたのは、中央と地方との差別の構造そのものだ。

 阪神大震災では、発生の約3週間後から避難所の食事が順次、栄養バランスの取れた弁当方式に切り替えられたのに対し、今回、東北地方では、震災から2ヶ月経った5月の時点でも、避難所に届く食料品は缶詰などのレトルト食品が中心だった。提供量は1日平均1546キロカロリーで、厚生労働省の摂取目標(2000キロカロリー)の77.3%にとどまった。500人以上の大規模避難所では、半数近い45.5%の避難所で「1日2食」しか提供されなかった。地震、津波に加え、原発事故にも襲われた福島では、家族が別々の避難所に入った結果、今なお離散状態となっている家庭さえある。被災者のための仮設住宅の建設もほとんどが首都圏や関西の大手建設業者に発注され、地元業者への依頼はほとんどないと、地元メディアは憤りを露わにしている。

 食事もなければ家族の顔を見ることもできない。もちろん仕事もない。福島では原発事故が重なり、いつ帰れるかもわからない。それでも被災者が不平も言わずじっと堪え忍んでいるときに、首都圏では買い占めが起こり、スーパーやコンビニエンスストアの棚から物資が次々と消えていった。被災者に向かって「我欲を洗い流せ」などと寝言を言っている都知事は、一度でも東北の避難所に足を運んだのか。都民に無駄な買い占めをやめるよう一度でも呼びかけたのか。そして都民は、被災地が苦しんでいるさなかに行われた統一地方選挙で、このような不道徳きわまりない人物を、それと知りながらなぜ今回もまた知事に選んだのか。

 筆者は、この事態を招いたのは政府(原発事故に関しては東京電力も)であり、政府と東電を初めとする電力資本以外に攻撃を向けるのは間違いであるとの考えから、また事を東京と東北の地域対立にしたくないとの思いから、これまで東京・首都圏への批判は控えてきた。その私が今回、あえて首都圏に苦言を呈したのは、このような状況を招いた中央の責任を少しでも理解してほしいからである。

 もちろん筆者は、東京にも常に弱者に寄り添い、その日その日を精一杯闘いながら生きてきた多くの人たちがいることを知っている。本誌読者の大部分はそうした心ある人たちであると思っている。「復興」は、そうした人たちこそが中心的役割を担う形で進めなければならない。もとより復興を単なる復興に終わらせてはならない。あえて言えば、それは新たな社会の構築として始められなければならない。社会的弱者を含む全ての人たちが人間として尊重される全く新しい社会の構築として。

 東日本大震災は確かに大きな不幸だった。しかし、他人をあげつらう以前に自分自身が我欲そのものである見苦しい権力者や強欲な経営者たちを退場させる1000年に一度のチャンスでもある。そのための新たな一歩こそが今、私たちに求められている。

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岩手県沖で今朝発生した地震について

2011-06-23 23:07:43 | 気象・地震
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について(第48報)

緊急地震速報を聞いたのはずいぶん久しぶりの気がする。私の住む地域では大きな揺れはなかったが、震源に近い東北北部太平洋沿岸では震度5弱を記録した。

リンク先にあるとおり、発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型、つまり地殻同士が内側に押し合って発生したものである。東日本大震災の約20分後に連動して起きた地震の震央にきわめて近く、余震と見ていい。

3.11では岩手県沖、宮城県沖、茨城県沖のプレート境界が連続して滑った。リンク先PDFの4ページ、震央分布に関する資料を見ると、宮城県沖のアスペリティ(固着域)が14時46分にまず剥がれて滑り、岩手県沖では15時08分、茨城県沖では15時15分と、南北ほぼ同時に地震が発生した。宮城県沖で発生した固着域の剥がれによる滑りが南北に波及していったことが読み取れる。

この3つの震源のうち、宮城県沖では4月7日にM7.1の余震が発生した。4月11日に福島県浜通りでもM7.0の地震が発生しているが、この地域は3.11には揺れなかったので、この地震は3.11の余震でなく関連地震だと見るべきだろう。ただし、3.11による地殻の歪みは4.11である程度修正されたと考えられる。

そして今回、まだ余震が発生していなかった「北」と「南」の震源域のうち、「北」に当たる地域で余震が起きた。この地震により、この地域での地震活動が収束に向かうかどうかは今のところ何とも言えない。3.11の本震がM7.4だったことを考えると、今日の地震のM6.7というのは「余震は本震より一回り小さい」の法則通りであり、これで収束に向かうとする見方もあり得よう。しかし、3.11のプレート境界全体の滑り方から見ると、地震活動が収束するにはまだ不十分の見方もあり得る。場合によっては、ここ2~3日のうちに、再度同程度の地震の可能性もあり得ると思うので、十分注意してほしい。

そして怖いのが「南」、つまり茨城県沖だ。この地域は3.11以降、「本震より一回り小さい」規模の余震がまだ起きていない。本震がM7.7だったことから、これより一回り小さいM6規模の余震は十分起こりうる。こちらも十分注意が必要である。

なお、今朝の地震と直接関係はないが、3.11当時、震度観測点で停電や観測機器の故障のため欠測となっていた地域の震度データが集まり始めたらしく、気象庁から震度の訂正発表が行われている。驚いたことに、震度が訂正された全地点で震度が当初発表より大きい方に訂正されている。つまり、3.11当時の発表が過小発表だったことになる。未曾有の大地震であり、混乱の渦中だからやむを得ない部分があったことは事実だが、中には「東京都江東区枝川」のように、当初発表の震度3から5強と、一気に3段階も強い震度に訂正された場所もある。

逆に、当初発表より小さい震度に訂正された地点は1カ所もなく、パニックを抑えるため、3.11当日に過小発表したのではないかという疑惑が拭えない。

震度5弱が、3.11当日に3と発表されていた地域がこのほかにもある。市民が適時適切な対策を取れるよう、気象庁には早い段階で正確な震度発表をするよう期待したい。

気象庁がもし、正確な震度を発表して市民がパニックを起こすかもしれないなどと考えているとしたら、そのような心配は無用である。政府が考えているよりこの国の国民はずっと賢明だし、一部で買い占めなどの騒ぎはあったものの、地震や津波からの避難に伴うパニックは全くと言っていいほど起こらなかった。

むしろ、(特に原発事故に関して)正確な情報を隠すことに汲々としているうちに、自分でも何が真実なのかわからなくなってひとりで混乱しているのは政府のほうではないのか。そうしたばかげた政府を国民はとっくに冷めた目で見て、頼りにならないと判断し、自分の頭で考えて行動し始めている。この期に及んでもなお「この国の愚民どもは簡単に騙せる」と思っているとしたら、今こそ政府は頭を切り換え、賢明な国民から広く復興のための知恵を求めるという方向に転換してもらいたい。

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【警告】NZで余震、日本も発生迫る?

2011-06-20 23:55:10 | 気象・地震
NZのクライストチャーチ近郊で強い地震、被害も(CNNニュース)

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(CNN) 米地質調査所(USGS)によると、ニュージーランド南島のクライストチャーチ近郊で13日、マグニチュード(M)5.2と(M)6.0の地震が相次いで発生した。

1回目の地震は震源がクライストチャーチの東南東約8キロ、震源の深さは約11キロ。2回目の震源は同市の北北東約13キロだったとみられる。

地元警察幹部がCNNに語ったところによると、1回目の地震で一部の建物が損壊し、数人が負傷したが命に別条はなかった。

今年2月には同じ地域でM6.3の地震があり、その影響で150人以上が死亡している。
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東日本大震災に先だって、2月に大地震が発生したニュージーランドで、余震と見られる強い地震があった。2月の地震では、語学学校の建物が倒壊し、日本人留学生が大勢亡くなったので、ご記憶の方も多いだろう。

死者が出なかったこともあり、国内メディアはほぼ黙殺に近かったが、この地震は、日本にとって重大な「警告」として受け止めなければならない。

さらに、大地震が近づくと急激に増えるとされる「宏観異常現象」と呼ぶべき動物の異常行動に関するニュースが、このところ増えてきている。三陸沖でマダイが異常なほどの豊漁というニュースもそのひとつだ。

我が家でも、東日本大震災の前に現れた室内でのアリの大量発生がまた始まっており、室内に侵入するアリ対策に苦労している。先日は、白河に住むようになってから全くお目にかからなかったゴキブリが立て続けに2回も出現し、驚かされた。そのゴキブリは、まるで何かに追われているかのように、秒速30センチはあるのではないかと思われるほどの猛スピードで走り去った。

小動物は、地殻が発する微弱震動や電磁波にきわめて敏感といわれる。ニュージーランドで大規模な余震が起き、身の回りでも短期間にこうしたことが続くと、当ブログ管理人は背筋が凍る思いがする。このようなことをブログに書くのははっきり言って賭けに近いが、それでも「あのとき危険を知らせておけばよかった」と後悔しないために、私はあえて書く。

東日本大震災の大規模余震は近いうちに起こる、と。

規模は本震よりマグニチュードで1程度小さいと言われることから、M7~8クラスになるかもしれない。

この当ブログ管理人の説を信じるかどうかはもちろん読者の皆さまの自由である。だが、当ブログ管理人は本気である。今週のうちに、もう一度、次のことを確認、実行しておくことにする。

・車のガソリンの満タン補給(&ガソリン携行缶にも補給)
・非常持ち出し品の再確認
・交通機関が止まり、原発に破局が訪れた場合の避難手段、経路の決定
・妻と別の場所にいるときに地震が発生し、連絡手段が途絶えた場合の伝言預け先の確認

最も怖いのは、倒壊寸前となっている福島原発4号機の耐震補強が間に合わず、巨大余震で4号機が倒壊した場合である。1~3号機の合計に匹敵するか、あるいは上回る量の核燃料が4号機プールには納められている。倒壊という事態になったら、もはや何をしても無駄かもしれない。しかし、とりあえず西へ向かえるなら向かう、という方針で臨む。

「現在の状況は3~4月とは異なる。今度巨大な余震が来て原発に破局的事態が起き、避難することになったら、ここには二度と戻れないと覚悟してくれ」と私は先ほど、妻に告げた。妻も「その覚悟はしておく」とのことだった。

過去の例から見ても、このクラスの巨大地震が余震もなく収束するとはとても思えない。今はただ、私のこの予測が杞憂で終わることを願っているが、もし巨大余震で原発が爆発、倒壊等の事態になれば、3.11でさえ悲劇の入口でしかなかったというほどの巨大な悲劇的事態が待ち受けているだろう。いざその時に何ができるかは、その時になったら何も考えられないに決まっているから今から考えておかなければならない。

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南会津~すぐそこにある「夢の世界」へ

2011-06-12 22:38:10 | 原発問題/一般
3.11以降、私たちは人類史上類例のない異常事態の中を生きている。雨が降るたびに怯えなければならない。子どもは外で遊ぶことさえできない。それ以前に外で思いっきり深呼吸することさえ死の覚悟なしにはできない。映画「風の谷のナウシカ」の中だけだと思っていた異常な世界が現実になってしまったのだ。

こんなとき、既存のマニュアルなど何の役にも立たないし、歴史上の偉人たちがどのように生きたかもエピソード的な意味しか持たない。ましてや、政府が私たちのために何かしてくれるなどと思ってはならないし、「自称専門家」が私たちのために有益な情報を提供してくれるなどと考えてはならない。

この異常事態を引き起こしたのは他でもない彼らなのだから、その彼らが私たちを助けてくれる可能性は、ミミズが2本足で歩くよりも低いだろう。今、この状態で彼らを信じるというのは、みずから泥棒を家に招き入れておいて「この人ならきっと盗まないに違いない」と信じるようなものだ。

このような異常事態に私たちは何をすべきか。みずからの頭で考え、みずからが正しいと信じた道を歩むしかない。厳しい言い方かもしれないが、この期に及んで無邪気に政府や「自称専門家」を信じている人、みずからの頭で考える訓練をしていない人、それ故に何もできず、信じられず、途方に暮れている人たちは、間違いなく彼らによって殺されるだろう。何も信じられなければ自分を信じればいい。自分は決して裏切ることはないからだ。

低線量被曝はかえって身体にいいなどという「自称専門家」の寝言、戯言など受け流しておけばいい。被曝は低線量でもするよりしない方がいいに決まっている。地球上の生命体は、人工放射線のような未知の存在に対していきなり防護力を発揮できるほど完全に造られていないからだ。もし地球上の生命体にそんな能力が備わっているなら、今頃人類からあらゆる病気は消滅し、医師は失業し、人間の死因は老衰だけになっているだろう。

それに、もし核物質が「直ちに健康に影響がなく」、年100ミリシーベルト(それは被爆量10シーベルトといわれる広島原爆の100分の1にも当たる)もの放射線を浴びせられて平気でいられるなら、そもそもなぜ各国は競って核を兵器にしようとしてきたのだろうか。人体に悪影響がないのなら、それは兵器としてなんの役にも立たないではないか。

御用学者のいうことを信じると、その程度のことさえわからなくなる。当然だろう。彼らは意図的に善良な市民を混乱させようとしているのだから。

福島に生活するようになって4年が過ぎ、5回目の初夏を迎えた。望みをかけていたこの春の人事異動もなく、数ヶ月のうちにここから転居できる可能性も遠のいた。場合によっては管理区域レベルの放射線との付き合いがあと数年、続くことになるかもしれない。

そのような生活が続く以上、無用な外出は避け、仕事のない週末は少しでも空間線量の少ない地域に行く方が身体にいい。そのように考えた私は、気分転換も兼ねて南会津(下郷町、田島町)に出向いた。ここは空間線量が0.08~0.12μSv/h。県が実施した小中学校の土壌調査で、基準値を上回る放射性物質が検出された場所がひとつもなかった唯一の地域である。福島県ということで危険地帯のように扱われているが、放射線量だけで見れば首都圏よりむしろ安全といえる。

国道289号線を走り、久しぶりに甲子峠を越えた。念のため持参した線量計で放射線量を測定すると、軒並みどこも0.1μSv/hを下回る水準だ。危険のない水準だと判断したので、車の窓を開け、車内の淀んだ空気を新鮮な外気と入れ替える。マスクをせずに外で深呼吸したのはいつ以来だろうか。

南会津に来ると、会いたくなる人…ではなく、猫がいる。会津鉄道、芦ノ牧温泉駅の「駅長」を務める「ばす」である。政府や専門家どころか、今や人間そのものが信じられない私にとって、動物こそ気の置けない友達だ。実際、GWは南紀白浜アドベンチャーワールドにパンダを見に行ったし、原発事故以来、動物にばかり会いに行っているような気がする。自分の行動を振り返ってみると、自分の人間不信が救いがたいレベルになっているのがよくわかる。

久しぶりに会った「ばす」は、人間に餌を与えられすぎているのか、前回よりさらに太っていた。このままでは成人病、いや成「猫」病で死んでしまいかねない。そして、今日はご機嫌斜めらしく、駅の隅に隠れて来客にそっぽを向いたまま「ばす~」という駅員の呼びかけにも答えない。

「少しの時間でいいのでしたら、まもなくトロッコ列車が来ますよ。湯野上温泉で折り返せば30分後の15時01分には戻ってこれるので、乗りませんか?」と駅員に誘われ、誘惑に負けてしまう。

トロッコ列車はゆっくり走り出した。その瞬間、涙が出そうな不思議な感覚に襲われた。言葉でうまく表現できないが、壊れた幸せを修理しているような感覚、とでも表現すればわかってもらえるだろうか。3.11以来、久しく忘れていた感覚だ。このことだけでも来て良かったと思える。

空腹を覚えた私たちは、国道121号線沿いにある食堂でこれも3.11以来初めての外食をした。何しろここの汚染度は首都圏以下なのだ。毎日外食することはお勧めできないとしても、大人がたまにする程度であれば問題ないといっていい。

食事を終えると夕方になった。残念ながら「腐海」(「風の谷のナウシカ」で、ナウシカが自分たちの住む世界をこう呼んだ)へと戻らなければならない。夜0時を過ぎたら馬車に乗れなくなってしまうシンデレラのように、私たちは、マスクなしで深呼吸ができる「夢の世界」を後にした。

このような残酷な世界が一体いつまで続くのか考えただけで気が滅入りそうになる。しかし、「腐海」のすぐそばに夢の世界は確かに存在していた。この2つの運命を分けたものがなんだったのか今さら考えても始まらない。確実に言えることは、予定のない週末だけでもここに来る方が身体にいいということだ。

福島原発にさらなる爆発、倒壊などの破局的事態が起こらない限り、南会津地方は「夢の世界」であり続けるだろう。少し気が早いが、原発事故をきっかけに実家とも関係が断絶してしまった私にとって、南会津は年末年始の滞在先の最有力候補地でもある。この夢の世界へ来ることができる機会を可能な限り増やしたいと思っている。

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結局、放射線測定器を買うことになってしまった

2011-06-11 23:58:25 | 原発問題/一般
いろいろ考えた結果、放射線測定器を買うことにし、予約した。福島原発事故の現状を鑑みるにやむを得ないと思う。

これまで、外国から寄贈された500台もの線量計が税関で差し止められているとか(孫正義・ソフトバンク社長の参議院行政監視委での証言)、数万台の線量計が成田空港に保管されたままになっているという情報があった。ネット上では、現政権が国民によほど真実を知られたくないので出荷停止を指示したのだろうという観測が3月末からあったが、こうした実情が明らかになってみると、あながち嘘とばかりも言えないようだ。

当ブログで既報の通り、仏製2万円放射線測定器の発売が誤報と判明した。5月末になり、菅政権崩壊が近いとみた財務省が輸入線量計の国内販売差し止めを解除するという情報が一部ツイッター上に流れた。これが市場に出れば、通常時にはあり得ない高額で出品されている外国製放射線測定器の価格も少しは下がってくるかと思われた。しかし、いっこうに価格低下の兆しは見えないまま、原価から見て考えられない高騰が今なお続いている。

そうした中、東京で下水道の汚泥から高濃度の放射性セシウムが検出されたとのニュースを聞いた妻から、「やっぱりこの状況では東京でも需要は高まる一方だと思う。今後、値上がりはあっても値下がりはないと思うから、欲しいならそろそろ決断すべき」と言われ、踏ん切りをつけることにした。

原価1万円程度といわれる中国製輸入線量計を8~9万円も払って買うのは、必要とはいえあまりにばかげている。どうせ高値で買わなければならないなら、価格に見合う性能のものを見極めるべきだと思っていたら、東京在住のある仲間から、国産の放射線検知器で9万円のものがある、との情報提供があった。

性能的には価格に見合うだけのものはありそうだし、何よりも国産なので予約することにした。納期は2~3ヶ月後。それまでは借りている中国製線量計での計測を続けながら気長に待つことにする。

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JR不採用訴訟、最高裁でも「不当労働行為」認定

2011-06-10 23:08:54 | 鉄道・公共交通/交通政策
組合差別認めた判決確定(NHKニュース)

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国鉄の分割民営化に反対した労働組合の組合員たちが、JRに採用されなかったことを巡る裁判で、不当な差別があったことを認めて賠償を命じた判決が最高裁判所で確定しました。

昭和62年の国鉄の分割民営化を巡っては、JRに採用されなかった労働組合の組合員900人余りが国鉄の業務を引き継いだ「鉄道・運輸機構」に賠償などを求める裁判を起こしました。このうち国労=国鉄労働組合の裁判で、1審と2審は「国労を脱退したかどうかで採用率に極端な差が出ている」として不当な差別があったことを認め、1人当たり550万円の賠償を命じました。その後、去年6月、「鉄道・運輸機構」が組合員1人当たり、平均でおよそ2200万円、総額およそ200億円の和解金を支払うことでほとんどの組合員との間で和解が成立しましたが、一部の組合員は和解に同意せず、裁判を続けてきました。このうち組合員3人の裁判について最高裁判所第3小法廷の那須弘平裁判長は8日までに組合員側と機構側の上告を退ける決定をし、不当な差別を認めて賠償を命じた判決が確定しました。
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1990年以来、国と国労組合員との間で争われ、10年近い裁判闘争が続いてきたJR不採用問題は、被解雇者と鉄道・運輸機構双方が行っていた上告がいずれも退けられた。「地位確認」(=JR職場への復帰)を求めた被解雇者、「賠償」への不服を訴えた鉄道・運輸機構(旧国鉄清算事業団)のどちらの上告も退けられたということである。これで、JR不採用を巡る訴訟は、(1)国鉄当局が国労組合員らを挑発し、暴行するよう仕向けながら、暴力を振るったとして彼らを不採用にした事件を巡る訴訟(「横浜人活事件」訴訟)、(2)動労千葉被解雇者の訴訟(動労千葉鉄建公団訴訟)…の2つだけが残ることになる。いずれも重要だが厳しい闘いを強いられている。

一部のメディアの中に(悲しいことに、労働運動メディアの中にも)「和解解決組が1人あたり2200万円も獲得できたのだから、その半額以下の賠償しか出てこない訴訟を続けるのは得策でない」という意見があるが、適切だとは思わない。職場復帰できなくてもよいから長引いた闘いの代償として取れるものは取って闘いを終結させたいという人がいても構わないが、一方、法廷の場できちんと名誉回復できるまで闘いたいという人たちの闘いもまた重要だというのが当ブログの現在の立場である。震災の陰で忘れられそうになっているが、この先には日本航空の165名解雇問題があり、またJR北海道ではいくつもの大事故も起きている。当ブログでは何度も繰り返してきたが、発言する労働者を排除する企業と、安全が崩壊する企業とは根底でつながっているのだ。

JR北海道で大事故が続いているのは偶然ではないと当ブログは考える。これだけの大事故が相次いでいるのに、JR北海道労働組合のサイトでは事故に言及すらされていない。JR北海道の経営陣は誰からの監視も受けず弛緩しきっている。このような事態を招いた労働組合の責任も大きい。そして、こういう事態だからこそ、国鉄時代に安全の砦だった国労組合員にはひとりでも多く職場復帰し、現場から安全を再点検してほしいと当ブログは思うのだ。

裁判は終結しても闘いの大義は決して死なない。それに裁判だけが闘いでもない。「やるやる詐欺」「マニフェスト詐欺」「最低でも県外・国外はウソでした詐欺」の上に「根拠もなく原発は安全です詐欺」を上塗りしてきた恥ずべき民主党政権が完全に死んでしまう前に、「(被解雇者の)雇用について最大限、努力する」との約束を守らせる仕事がまだ、被解雇者には残っている。少なくとも、闘いの旗を降ろすのはそれからでも遅くない。

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発展途上国に没落する日本

2011-06-10 21:16:35 | 原発問題/一般
世界の情報孤児になる日本:上杉 隆(ジャーナリスト)(Voice) - goo ニュース

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女性と子供の安全を守ろうとしない国

日本の信頼が揺らいでいる。このままでは近い将来、先進国の地位から脱落するかもしれない。そんな不安さえ頭をよぎるほど、日本はいまピンチに直面している。いったいどのような理由で、日本は世界中からの不信を買おうとしているのか。それは説明が要らないほど明白である。

3月の東京電力福島第一原発の事故以来、日本は、放射能を地球全体にばらまき続けている。にもかかわらず、その事実を重視せず、逆に、情報を隠蔽しようとしてきた。結論からいえば、日本への信頼低下は、それがすべてである。

「被災地で救援活動を行っていた民間団体『フメディカ』の救援チーム5人は14日、急きょ帰国した。広報担当者のシュテフェン・リヒター氏は地元メディアに対し、『日本政府は事実を隠蔽し、過小評価している。チェルノブイリ(原発事故)を思い出させる』と早期帰国の理由を語った。

メルケル首相も記者会見で『日本からの情報は矛盾している』と繰り返した。ザイベルト政府報道官は、『大変な事態に直面していることは理解している。日本政府を批判しているわけではない』と定例記者会見で釈明したが、ドイツ政府が日本政府の対応にいらだちを強めていることは間違いない」(『読売新聞』2011年3月16日付)

これは2カ月前の記事である。地震発生直後に掲載されたこの記事は、その後の日本政府の事故対応を象徴するものとなった。

なにもドイツの不信感が特別なのではない。その直前には、クリントン米国務長官も自身の記者会見で、日本政府は情報をきちんと出していない、と不満を爆発させている。

この2カ月間、放射能漏れを隠し、海洋汚染を隠し、事故を隠し続けてきた日本に対して、同情的な見方をする国は多くない。むしろ先進国であるにもかかわらず、責任逃れに終始し、にわかには信じ難い情報隠蔽を行なう信用のならない国というレッテルを貼られている。

それは、次の3つの「事件」で明らかだ。

5月、WHO(世界保健機関)総会に出席していた大塚耕平厚生労働副大臣は次のように謝罪した。

「大気・海洋中に大量の放射性物質を放出したことを、国際社会の一員としてお詫びしたい」

だが、世界の反応は冷たい。それも当然だろう。日本はこれまで、WHOの求める子供と妊婦に対しての対応を、事実上、無視し続けてきたのだ。

子供が放射能を浴びると甲状腺など、その体内に取り込みやすい。また、胎児の場合は死亡や奇形などといった、より重い障害を発生する可能性が増す。

記者クラブによって情報統制がされている日本では国民の意識が薄いが、放射能事故に関する世界の見方はきわめて厳しい。とくに子供と女性の安全を守ろうとしない日本政府に対しては、世界中の科学者たちのあいだから怒りの声すら発せられている。

あまりに馬鹿げた安全性のアピール

二つ目はIAEA(国際原子力機関)に対する姿勢だ。IAEAの調査に対しても日本政府は、一貫して拒否する姿勢をとってきた。

3月、原発周辺の立ち入りを許可しなかったのを皮切りに、福島県飯舘村の放射線環境基準値のレベルが上がり、IAEAから避難要請が出されても、なお日本政府はそれを事実上、放置してきた。

それが5月半ばに突如、受け入れを表明する。そのあまりに唐突すぎるタイミングに、6月からウィーンで開かれるIAEAの閣僚級会議をにらんでの動きではないかと欧州諸国からみられている。

なにしろ、過去にIAEAの「査察」を断ったのは、北朝鮮、リビア、イランくらいだ。原子力の扱いに関して、日本はそうした国々と同列で扱われてもおかしくない振る舞いを繰り返してきたのだ。

そして三つ目として、4月以来、国際環境保護NGOグリーンピースによる海洋調査を拒否しているのも、世界の海洋学者からの不信を買っている。

グリーンピースによる海洋調査は、国連を含め、世界中で認められたものである。少なくとも日本政府によるお手盛りの調査よりは数倍、信頼度が高い。にもかかわらず、いまなおグリーンピースによる調査は拒否されている。その代わりに日本政府は、魚の「頭」と「内臓」と「骨」を除くという、世界でも例のない調査方法によって、無意味な安全性をアピールしている。

このあまりに馬鹿げている振る舞いで、世界の信用を得ることは不可能だろう。いうまでもなく、さらに日本政府への不信感が倍増しているのが現状だ。

日本はどこに向かうのか。記者クラブ制度に守られているがゆえ、三つの国際機関に歯向かった現実さえ国民は知らないだろう。もはや日本は、世界の情報孤児になりつつあるのだ。
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当ブログは、上杉さんの心配と懸念を共有する数少ない(?)サイトである。上杉さんは「このままでは近い将来、先進国の地位から脱落するかもしれない」と心配しているが、当ブログは上杉さんよりももっと厳しい認識を持っている。誤解を恐れず言えば、3.11で先進国としての日本は終わったと思う。

確かにこの震災の規模は1000年に1回クラスの桁外れのものには違いない。だが、それにしても「3ヶ月経っても避難所がレトルト食品ばかりで、それさえ1日3食が確保できないことがある」「新鮮な空気も水もない」「電気も不足」「女性と子どもが生命の危機に直面」なんて一体どこの途上国の話かと思ったら、ほかでもない、私たちの住むこの国のことらしいのだ。

今回の震災で日本の国際的信用は大きく傷ついた。地震そのものでも津波でも気仙沼で起きた大火災でもなく、原発事故によって。「国際社会の協力を拒むばかりか、平気で国際社会に向けて嘘をつき、情報を隠し、平然と女性と子どもを命の危険にさらす犯罪国家、日本」との評価が国際社会で定着することが子どもや孫の世代にどれだけ大きな災いをもたらすかは、当ブログの読者の皆さんであればもはや説明を要しないだろう。そして、それ以上に深刻なのは、そうした信用失墜がもたらす政治的、経済的なダメージに、この国の支配層の誰ひとりとして気づいていないことである。その被害は放射能汚染よりも大きなものになるに違いない。

あるいは――日本国を構成している列島は世界地図の上に残るとしても、「日本国」という国名表記は世界地図の上から消滅することになるかもしれない。そしてそれは決して杞憂ではない――現実に、チェルノブイリ原発事故から5年後、「ソビエト社会主義共和国連邦」の国名は世界地図の上から消滅したのだ!

私たちの子どもや孫の世代は、今の支配層たちがついた嘘とごまかしのため、さらに大きな代償を支払うことになる。だが、決して希望を捨ててはならない。歴史書をもう一度、紐解いてみよう――猿から進化した最初の人類は、国家などなくても生きていたのだ。国家とは、せいぜい市民がこれ以上不幸にならないようにするための必要悪でしかない。大切なのは国家にすがることではない。地球上を生きるすべての「いのち」にとって有害なものしか生み出さない「国家」ならば、それは現在、そして未来の人類の名において葬り去るべきものである。

この国の支配層は、当ブログの見るところ、他のどの社会の支配層よりも無能である。私たちは、私たちの頭上にそびえる支配層よりはるかに有能であり、はるかに賢明であり、未来の女性や子どもたちにとって有益な決定を行うことができる。だから今こそ私たちは派閥争いと作為的無作為と利権にまみれた支配層に別れを告げるときだ。「日本国」がもし、核とともにしか生きられない社会と国家を表現した名称に過ぎないのであれば、そのような国家は原子力もろとも歴史のゴミ箱に放り込まなければならない。

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東海地震予知に道? 「前兆すべり」観測か

2011-06-08 20:57:02 | 気象・地震
3・11数日前、宮城県沖の海底が沈下していた(読売新聞) - goo ニュース

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 東日本大震災の2日前から、震源近くの宮城県沖の海底が1日に数センチの速度で沈み込んでいたことが、東北大地震・噴火予知研究観測センターの調査でわかった。

 海底の沈下を常時キャッチできれば、予想される東南海地震など巨大地震の予測につながる可能性もあるという。

 同センターは昨年6月、同県沖約80キロの海底に水圧計2台を設置し、先月下旬に回収した。

 装置には3月11日の大震災や、その2日前の9日に同県沖で起きた地震に伴う海底の動きが記録されており、これを分析した結果、9日の地震では10~15センチ、11日の大震災では90センチ~1メートル、それぞれ海底が沈んだことが確認された。

 また、9日の地震後も24時間あたり2~3センチのペースで沈下が進んでいたこともわかった。
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3月14日付記事でも触れておいたが、当ブログは、3月9日に起きた地震が東日本大震災の前震であり、プレート境界型大規模地震の際、観測されるといわれる「プレスリップ」(前兆すべり)の一環ではないかと考えてきた。三陸沖の地震は、東海地震と異なり大規模地震対策特別措置法(大震法)で監視すべき地震に位置づけられていないため、東海地域のような体積ひずみ計などは設置されておらず、9日の地震がプレスリップによるものかどうかを確認するのは困難とみられていた。しかし、今回のこの調査結果は、9日の地震が東日本大震災に至るプレスリップにより引き起こされたのではないかとの当ブログの見解を補強してくれるものとなった。

今回の調査結果は、いつ起きてもおかしくないといわれる東海地震の予知にとって大きな前進となるものだ。このようなプレスリップを、本震発生の2~3日前に捉え、適切に「警戒宣言」が出せるなら、被害を最小限に抑えることができるだろう。

ただ、「これで東海地震は予知できる」と手放しで喜ぶのは早計だ。今回、東日本大震災で宮城県沖、福島県沖、茨城県沖の3地震が連動したように、来るべき東海地震も東南海、南海地震との連動地震となる恐れがある。その際、初めに東海地震が起き、東南海、南海へと連動するような形であればともかく、逆に南海・東南海地震から東海地震へと連動した場合、プレスリップが観測されず、警戒宣言も出せないまま本震に突入という事態も十分予想される。結局のところ、東海地震に関して大震法に基づく手厚い観測態勢が取られているといっても、予知ができるかどうかは東海地震の起こり方次第の部分が強く、確定的に言えないのが現状なのである。

ともかくも良かったのは、当ブログが再三にわたって要求してきた浜岡原発の停止が、菅政権からの「要請」という形であれ実現したことだ。しかし、福島原発の事故を見ても明らかなように、原発は「止めたから安心」ではない。冷却機能の喪失や放射性物質の封じ込め失敗によって「第2の福島」は浜岡でも依然として起こり得る。停止した浜岡原発の核燃料をどうするかは、東海地震がやってくる前に解決しておかなければならない課題である。

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