JR西日本で株主総会 歴代4社長起訴されて初(神戸新聞)
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JR西日本は23日、定時株主総会を大阪市内のホテルで開いた。2005年4月の尼崎JR脱線事故で、歴代4社長が業務上過失致死傷罪で起訴されてから初の総会で、午前10時現在、株主1052人が出席。冒頭で事故の犠牲者に黙とうをささげた後、佐々木隆之社長(63)が事故についてあらためて謝罪した。起訴については「事実を真摯に受け止め、被害者に誠心誠意と受け止められる取り組みを推進する」などと述べた。
脱線事故をめぐっては山崎正夫前社長(67)が昨年7月に神戸地検に在宅起訴され、井手正敬元会長(75)ら歴代3社長が神戸第1検察審査会の起訴議決に伴い、今年4月に強制起訴された。また昨秋には、事故調査情報を事前に入手するなどした漏えい問題が発覚した。
佐々木社長は、漏えい問題を「多大な不信の念を与え、心情を害した」と陳謝。起訴についての見解を問う株主の質問には、真鍋精志副社長(56)が「事故がいかに重大だったか痛感しており、誠実に対処する」と述べた。
(足立 聡)
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当ブログ管理人は、昨年秋、JR東日本、西日本両社の株式を取得、株主となった。当然、株主総会への参加権、発言権があるわけだが、総会への出席は、仕事の都合もあり、見送った。
JR西日本の株主総会では、株主提案で佐々木社長の解任決議が提出されたが、否決された。信頼できる筋からの情報によれば、この解任決議案は、JR西労(JR総連系)が提案したものとのことだ。当ブログ管理人は、JR総連に対しても、いろいろと思うところはあるが、今回は、尼崎事故の責任を問う立場から、会社提案には反対、株主提案の社長解任決議には賛成の意思表示をしておいた。
当ブログ管理人は、JR東海の株は所有していないが、知り合いの株主に依頼して、名松線廃止問題を質してもらった。参考までに、私が託した質問と、会社からの回答を紹介する。
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質問:名松線廃止問題について
2009年10月8日の台風によって「寸断」された名松線(三重県、松阪~伊勢奥津)について、JR東海は2009年10月22日、復旧が不可能として一部区間(家城~伊勢奥津)の廃止を表明しました。しかし、JR東海が公表した被害状況を見る限りでは、1990年7月から1年3ヶ月間にわたって不通となったJR豊肥本線(熊本~大分)の水害よりはるかにその被害は軽微なものに過ぎません。また、津市が調査を依頼した酒井俊典・三重大教授も「治水対策は有効に機能しており、復旧は可能」との結果を公表しています。
名松線は、JR東海では最も営業成績の悪い路線のひとつであり、「手際の良い廃止表明」はあらかじめ準備された「はじめに結論ありき」のものといわざるを得ません。
JR東海は、東海道新幹線という旧国鉄の最も優良な資産を引き継ぎ、安定した財務・経営基盤を有する企業です。そのJR東海が、リニア新幹線の建設費(4~5兆円と推定)を自力で調達すると表明しながら、名松線を復旧へ向けた努力さえせず廃止しようとすることは、公益企業としての責任放棄であり、国民の公共交通であった国鉄を引き継ぐ企業として許されないといわざるを得ないものです。
JR東海は、公共交通、地域輸送に責任を持つ企業として、名松線の廃止を取りやめるべきであると考えます。
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会社の回答(要旨)
地元自治体、住民の皆様に話しをしながら、代行バスの運転で、なんら遅れも出ておらず問題はない。
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質問した株主は、「代行バスを運転していて、運行に支障がないから、名松線の一部を廃止しても良いという論理はあまりにも身勝手」「バス代行が公共交通・地域輸送に責任を持つことだとは考えない。地域住民・地方自治体からの要望を聞くことが地域輸送に責任を持つことである」との感想を寄せているが、当ブログ管理人も全く同感だ。JR東海は、相変わらず名松線廃止の方針を変えようとしていないが、当ブログは重ねて、強く撤回を求める。
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【株主総会ライブ】JR西(3)歴代4社長の公判費用「個人の裁判であり、負担せず」(産経ビジネス)
株主「4人の歴代社長が起訴された。佐々木社長は『道義的責任はある』とおっしゃったと聞いている。道義的責任とは何か。今後、始まる公判で歴代社長の弁護費を会社として負担するのか」
真鍋精志副社長「取り返しのつかない重大事故を引き起こしてしまったことで株主の皆様に大変な心配をおかけしていることにおわび申し上げます。4人の歴代社長の起訴は、引き起こした福知山線の事故がいかに重大だったかを改めて痛感しているところ。法的な責任問題は別にして事故の重みを受け止め、誠実に受け止めるという意味で道義的責任という言葉を使っている。公判費用については、あくまで個人の裁判なので会社の費用負担はない。裁判の進捗(しんちょく)に伴って裁判所や弁護士などからさまざな要請があれば、きちっと対応しなければいけないと思っている」
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神戸地検から在宅起訴された山崎正夫・前社長、検察審査会から2度の「起訴相当」議決を受け、強制起訴された歴代3社長の公判費用を、JR西日本が負担しないと聞いて驚き、そして呆れた。この裁判で裁かれようとしているのは社長個人の罪ではなく、JR西日本の企業犯罪なのだ。その訴訟費用を、JR西日本が負担しない?
もちろん、遺族は個人の立場、個人の財産で闘っているのに、歴代社長側は会社組織に丸抱えしてもらうとはけしからん、個人の立場で個人の資産を持ち出して闘え、と考える人もいるだろう。その感覚は、それはそれで健全といえるものだが、しかし、彼ら4社長が、JR西日本という組織に所属していなければ、これらの罪を決して犯し得なかったことも事実なのである。そのように考えると、やはりこの訴訟を、歴代社長個人対遺族個人の闘いにしてはならないと考える。大上段に構えて言えば、不法犯罪企業対公共交通の安全を目指す市民の闘いにしなければならないのである。
もしJR西日本が、被告人となった歴代4社長を、もう会社と縁が切れたのだから関係ないと思っているなら大きな誤りである。そう考えること自体、組織としてのJR西日本が事故を自分自身の問題と捉えていないことの表れに他ならないし、百歩譲ったとしても、歴代4社長と現経営陣は同じではない、歴代4社長のせいにして現経営陣は何とか生き残りたい、と思っていることの表れに過ぎない。
JR西日本の株主総会に当たり、株主提案(JR総連系のJR西労が提案したと見られる)の社長解任決議に対して、どのような意思表示をしようか最後まで迷ったが、最終的に株主提案に賛成の投票をした自分の判断は正しかったと確信した。現経営陣は、一時は歴代4社長と共に、株主総会で同じひな壇に上がっていた仲間ではなかったのか。歴代社長らに責任追及の手が及ぶと、彼らを切り捨て、自分たちだけ生き残ろうとするのは醜悪な官僚主義の最たるものだ。やはり、このような経営陣では遺族の望む形での補償、解決など不可能だろう。
報道によれば、JR西日本はJR不採用者1047名の再雇用を拒む意向を示しているというが、不都合なことが起きれば歴代4社長に罪をなすりつけ、自分たちだけ生き残りを図ろうとする見苦しい連中に、不採用者のことをとやかく言う資格などあるわけがない。
当ブログは、改めてJR西日本経営陣に対し、総退陣と被解雇者の再雇用を要求する。自己保身にまみれた経営陣こそ会社から去るべきだ。