安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

公共交通と原発を中心に社会を幅広く考える。連帯を求めて孤立を恐れず、理想に近づくため毎日をより良く生きる。

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こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

みなさま、よいお年を!

2010-12-31 22:32:08 | 日記
2010年もあと数時間を残すのみとなりました。今年も大変お世話になりました。管理人より改めてお礼申し上げます。

今年は、宮崎県で発生した口蹄疫にからむ出張など色々なことがありました。また、親族の不幸と知人、知人の親族の不幸が4件、親族の入院が1件あり、個人的には忘れられない年であると同時に忘れたい1年でもありました。

最近は友人の結婚式などおめでたい席がなくなり、誰かが亡くなる話、病気の話ばかりになってきました。改めて自分も年をとったと感じさせられる1年でした。

写真は、実家に帰省する途中、小倉駅前で撮影したイルミネーションです。せめて最後くらいは美しい写真で締めたいと思います。

それでは、みなさまよいお年をお迎えください。

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2010年 当ブログ10大ニュース

2010-12-30 19:56:55 | その他社会・時事
さて、2010年も残すところあとわずかとなった。そこで、昨年に引き続き今年も「当ブログ版 2010年10大ニュース」を発表する。

選考基準は、2010年中に起きた出来事であること。当ブログで取り上げていないニュースも含むものとし、できる限り「日記」「運営方針・お知らせ」「原稿アーカイブ」以外の全カテゴリから選定するものとする。記事タイトルの後の< >内はカテゴリを示す。

1位  JR不採用問題、年金・解決金について23年ぶり政治和解<鉄道>
2位  日本航空、2兆円の負債を抱え経営破たん、170人整理解雇<航空問題・空の安全>
3位  尼崎事故でJR西日本歴代3社長の強制起訴決定、山崎前社長は初公判で無罪主張<鉄道>
4位  宮崎で口蹄疫、制圧に3ヶ月を要し家畜29万頭殺処分<農業・農政>
5位  東北新幹線八戸~新青森間開通、新幹線新時代へ<鉄道>
6位  検察証拠改ざんスキャンダルで特捜部長ら逮捕、検事総長引責辞任<社会・時事>
7位  成田スカイアクセス開通、160km/h運転で成田ぐっと近づく<鉄道>
8位  全国的に異常猛暑、過去110年間で最も暑い夏に<気象・地震>
9位  羽越線事故で山形地検、JR東列車司令員を不起訴処分<鉄道>
10位 大黒摩季、子宮疾患で活動休止<芸能・スポーツ>

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2010年 鉄道全線完乗達成状況まとめ

2010-12-29 18:03:18 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
さて、2010年もいよいよ残り数日となった。例年通り、今年の鉄道全線完乗達成状況をまとめよう。

【2月】越美北線
【4月】六甲摩耶鉄道(六甲ケーブル)
【5月】ひたちなか海浜鉄道
【6月】沖縄都市モノレール(ゆいレール)、宮崎空港線
【7月】北総鉄道(北総線)、成田高速鉄道アクセス線〔新規開業線〕
【9月】秋田内陸縦貫鉄道(阿仁合線、角館線、鷹角線)、津軽線

当サイトでは、国鉄~JR線の路線名については「日本国有鉄道経営再建促進特別措置法施行令別表第一」に基づいて整理することを原則としているので、秋田内陸縦貫鉄道は最終的に阿仁合線、角館線、鷹角線としてまとめることにした。この結果、全線完乗達成は合計11線となった。

内訳は、

【JR】3線(越美北線、宮崎空港線、津軽線)
【国鉄JR転換三セク】1社2線(秋田内陸縦貫鉄道阿仁合線、角館線)
【その他三セク】4社4線(ひたちなか海浜鉄道、沖縄都市モノレール、成田高速鉄道アクセス線、秋田内陸縦貫鉄道鷹角線)
【中小私鉄】2社2線(六甲摩耶鉄道、北総鉄道北総線)

6月の上半期まとめの際は中小私鉄に分類していたひたちなか海浜鉄道、ゆいレールは「その他三セク」で分類をやり直した。秋田内陸縦貫鉄道については、国鉄からの承継線である阿仁合線、角館線は当然ながら転換三セクに分類したが、国鉄再建法施行によって工事がいったん凍結され、三セク転換後に「復活開業」した鷹角線はその他三セクとした。これは、同様に「再建法凍結~三セク復活」組である阿佐海岸鉄道、土佐くろしお鉄道宿毛線、野岩鉄道について2008年にこのような整理をしたので、この前例にならったものだ。

現・廃・新の別は以下のとおり。

【廃止(予定)線】なし
【新規開業線】1線
【その他】10線

今年も廃止線乗車がなく、静かな1年だったといえる。

なお、今年は東北新幹線八戸~新青森間が延長開業したことに伴い、当ブログ管理人は東北新幹線の全線完乗の記録を喪失した(八戸~新青森間未乗車)。

2010年中に新たな完乗の予定はないので、事実上これで確定となる。新年目標は「JR3線区、その他5線区」だったが、控えめな目標だったこともあり、結果としては新幹線延長に伴う完乗喪失分を差し引いても超過達成となった。

最後に、完乗絡みで触れておかなければならないのがJR西日本の全線完乗を達成したこと。JRでは東海に次ぎ2社目である。また、鉄道と無関係だが、沖縄県を初めて訪問し、47都道府県すべてに足跡を記したことも今年の大きな成果となった。

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日本航空整理解雇問題まとめ記事

2010-12-28 22:24:15 | 鉄道・公共交通/交通政策
12月23日付け記事の最後で「この日本航空の整理解雇問題については、現在、問題の論点を整理した拙稿を月刊誌に寄稿している。早ければ年内にも「原稿アーカイブ」にアップする予定」と予告していたが、アップする準備が整ったので、以下にご紹介する。当ブログとしては長文ではないが、コンパクトに論点をまとめた。

(当エントリは、当ブログ管理人が月刊誌に発表した原稿をそのまま掲載しています。)

 再建中の日本航空と管財人・企業再生支援機構は11月15日、各労働組合の強い反対を押し切って、250人を対象とする整理解雇を決定した。しかしこの整理解雇は全く道理のない不当なものだ。

●国鉄と同じ差別と見せしめ

 日本航空で行われていることは、23年前、国鉄で行われたのと同じ差別と見せしめの労務政策だ。

 差別の多くは、闘う労働組合である「日本航空キャビンクルーユニオン」(CCU)に向けられている。CCUは856人の小さな組織だが、50歳以上の組合員140人が退職強要を受けている。一方、多数派の「御用組合」では、50歳以上の多くが管理職になっており、整理対象者はほとんどいない。

 パイロットの整理対象者に対しても、白紙のフライトスケジュールと退職に向けた面談の通知書が渡されるなどの嫌がらせが始まった。高年齢者を中心に「残っても仕事はない」「整理解雇になったら、高齢のあなたは一番」「お客様が、年齢が高い人にサービスを受けたいと思いますか?」などと、年齢を理由とした露骨な人権侵害まで行われている。

 こうした差別と嫌がらせは、国労など国鉄「改革」に反対する労働組合員が、乗務を外され、人材「活用」センターで草むしりなどの懲罰的労働に従事させられたのと重なる。

●目標達成でも首切りと恫喝

 さらに問題なのは、希望退職者が目標を達成したにもかかわらず、闘う労働組合を狙い打ちにした整理解雇を会社が続けていることだ。

 CCU組合員が多い客室乗務員では、660人の削減目標に対して733人の応募があり、73人も超過達成している。他の職種を合わせても、すでに目標とする1500人を上回っているにもかかわらず、会社はなお整理解雇を続けている。

 会社は、希望退職の募集中に、突然「稼働ベース」という基準を持ち出し、人員整理を強化した。休職中の労働者の応募は0人、育児・介護中で部分就労の労働者の応募は0・5人などと数える。会社が役に立たないとみなした労働者は、希望退職に応じても実績にもならない。

こうした人員整理のやり方は、「人員整理の必要性」「解雇回避努力」「被解雇者選定の合理性」「手続の妥当性」からなる整理解雇の4要件をひとつも満たしていない。明確な不当労働行為である。

 企業再生支援機構は、スト権投票を実施中のCCUなど複数の労働組合に対し、「スト権が確立した場合は再建のための出資を行わない」と恫喝している。会社更生法の適用を受けた日本航空では、管財人こそ実質的な経営支配者であり、こうした行為が労働組合法の禁ずる労働組合への不当な支配介入に当たることは明らかだ。

 23年前の国鉄でも、人員削減が目標を上回っていたにもかかわらず、国労を解体するため、希望退職の募集が続けられた。当時、国鉄職員局で人員整理を担当した葛西敬之は、その狙いをこう語る。「(3万人の希望退職目標に対し、応募者が)5・2万人に達しても、それは新事業体(筆者注・JR各社)の人件費を削減することになるのだから歓迎である」「地方鉄道管理局サイドからは、(国・地方自治体などの)公的部門に転出していった者たちとの公平感のためにも、最小限度の選別はやらせて欲しいという要請がしきりだった」(葛西著「国鉄改革の真実」)。

 そこには、闘う労働組合への嫌悪と、その解体に向けた経営の強い意思が見える。先に首を切った者との間で不公平だから、残った者も首を切る。このような人員削減の再来を許してはならない。

●「高給批判」は誤り

 商業メディアは、パイロットの「年収2千万円」が経営破綻の原因であるかのような報道を続けているが、これは全くの誤りだ。

 航空労働者の業務は過酷だ。変則勤務であり、拘束時間は長い。操縦方法は機種ごとに大きく異なる。しかも、いったん離陸してしまったら、故障・トラブルが起きても地上からの支援は一切受けられない。陸上交通機関のように、一時停止して点検することもできない。千人もの乗客の命を預かり、すべての故障・トラブルに乗務員だけで対処しなければならないのである。航空労働者に、こうした職務に応じた待遇が保障されるのは当然だ。

●安全低下は必至

 繰り返しておかなければならないが、日本航空破綻の原因は労働者ではなく、会社を食い物にした航空行政と自民党政権、経営陣にある。1991年、日本航空は和歌山市内の社宅用地を想定の3倍もの価格で購入させられたが、この土地の所有者は二階俊博元運輸相(自民党)の後援会幹部だった(2010年10月27日付け「朝日」)。このような腐敗はあちこちに存在している。

 退職強要を受けた50代後半のある女性労働者は、1985年のジャンボ機墜落事故後、現場の御巣鷹山に登り、墓標に手を合わせる遺族の背を見て安全を誓ったという。

 安全は人間、労働者が作り出すものだ。このような安全意識の高い社員を大量に退職に追い込めば、日本航空の安全は崩壊する。

●腐敗する御用組合

 日本航空のすべての労働組合が連帯して整理解雇反対の声を上げる必要があるが、JAL労働組合(御用組合)は、解雇撤回の闘いどころか、逆にCCU組合員らの思想、病歴、性格、容姿等を記載した個人ファイルを無断で作成したとして、CCU組合員らに提訴され敗訴するなど腐敗の限りを尽くしている。経営者による不当な首切りは、差別政策に協力する御用組合があって初めて成功することを、私たちはすでに国鉄での経験で知っている。

 CCU組合員らは、ベテランの大量退職で9月以降、職場のモチベーションが急速に下がっていると訴えている。人員削減を放置すれば、行き着く先は安全崩壊だ。

 私たちはこの問題に無関心であってはならない。首切りと闘う航空労働者と連帯し、解雇撤回の声を上げよう。

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突然の大雪に会津地方大混乱

2010-12-27 22:01:38 | 気象・地震
豪雪、300台が一夜明かす 西会津ー坂下の49号国道(福島民報)

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 会津地方を中心とした大雪の影響で、49号国道の会津坂下町-西会津町間が25日夜から26日にかけて通行止めとなり、乗用車など約300台が立ち往生した。26日、除雪作業が行われたが難航し、佐藤雄平知事は同日午後4時、自衛隊法に基づき陸上自衛隊郡山駐屯地第六特科連隊に災害派遣を要請した。隊員125人が除雪作業に当たった。猪苗代町-会津若松市間でも数十台が立ち往生した。高速道路の通行止めや列車の運休、停電なども相次いだ。

 国土交通省郡山国道事務所によると、49号国道の会津坂下町-西会津町間は大型トラックが西会津町の上り坂でスリップし、道路をふさいだため、25日午後9時35分から通行止めとなった。大型トラックや乗用車など約300台が動けなくなった。

 同事務所は除雪車が不足し、作業が進まないことから、26日午前5時に「非常体制」に移行し、福島河川、磐城両国道事務所に除雪車の応援を要請。除雪車26台で除雪に当たるとともに、立ち往生したドライバーに職員らが食料やガソリンを配った。しかし、除雪作業は難航し、東北地方整備局は知事に自衛隊の派遣を要請するよう求めた。知事の自衛隊派遣要請は平成18年1月に雪崩防止のため、金山町に派遣を要請して以来。

 東日本高速道路東北支社は26日午後5時半から同国道が復旧するまで磐越自動車道の会津坂下-西会津両インターチェンジ(IC)間を無料とする対応を講じた。

 49号国道猪苗代町-会津若松市間でも通行止めで数十台が立ち往生した。

 県警高速隊などによると、磐越自動車道は猪苗代高原から新潟県境の津川両IC間、猪苗代-会津若松IC間、会津若松-津川IC間が通行止めとなった。東北自動車道では福島西-本宮IC間が通行止めとなった。

 鉄道はJR只見線が26日終日全線で運休し、約470人に影響が出た。JR磐越西線や会津鉄道も、終日運転を見合わせた。

 東北電力福島支店によると、26日午後7時現在、会津若松、猪苗代、柳津など延べ14市町村で1万2465世帯が一時停電。昭和村では約730の全世帯で停電した。

 会津坂下町では、パイプハウス57棟が全半壊した。会津若松市では、転倒するなどし男女各1人が軽傷を負った他、床下浸水の被害も出た。
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突然のドカ雪に、会津地方が大混乱に陥った。会津地方では一晩で50cm程度の雪が積もることは一冬に何度かあり、珍しいことではないが、これまで暖冬でほとんど雪がなかったため、混乱したのだろう。雪国であっても、こうした「不意打ち」的豪雪がじゅうぶん社会の混乱要因になることが示された。

それにしても、同じ福島県内なのに、ここ白河は積雪どころか降雪さえなかった。12月15日に、大幅に遅い初雪を記録したものの、よく見ないとわからないほどの小さな雪しか降らなかった。いわきや福島などに比べて標高が高く、どちらかといえば会津地方の一部であるかのような天候だった白河で、会津とここまで天候が違っていることは逆に珍しいと言える。

そう言えば昨日(26日)、妻の福岡の親戚(大野城市在住)から雪が積もったと連絡があった。ここ白河ではこの冬、まだ一度も積雪がない。3ヶ月予報を見る限りでは、東に行くほど平年より暖かい「暖冬」予報が出されており、この予報通り進んでいるといえるが、ここ白河は曲がりなりにも東北の山間部である。それが、初積雪で九州の平野部より遅いなんて…

異常気象はまだまだ続いている。いったいいつまで続くのか。

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JAL、解雇攻撃の裏で自民党に政治献金~こんな連中に解雇されてたまるか!

2010-12-26 23:56:27 | 鉄道・公共交通/交通政策
当ブログで最近、JAL問題を集中的に追及しているせいか、同じく整理解雇に疑問を持っているあるブログ主さんから情報提供があった。何の因果かわからないが、ネットで公共交通問題や安全問題に関する情報発信をしていて最も嬉しいのはこんなときだ。

それはともかく、驚くべき内容なので、まずはご覧いただこう。

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日航側、経営危機でも献金 2250万円自民に 07~09年(しんぶん赤旗)

 「整理解雇」の強行を計画する日本航空(会社更生手続き中)の子会社が経営不振にもかかわらず、2007年~09年に、自民党の政治資金団体「国民政治協会」(国政協)に計2250万円の献金を行っていたことが2日までに明らかになりました。09年分の献金は、日本政策投資銀行(政投銀)が日航に670億円の融資を決定した直後に行われました。融資にからんで、当時の自公政権が「支援宣言」を行った経緯があり、献金との関係が注目されます。

 国政協に献金をしていたのは、日航の子会社「ジャルセールス」(東京都品川区、資本金4億6000万円)です。同社は献金額上限の750万円を07年からの3年間、毎年献金していました。

 この時期の日航は08年2月に発表した「再生中期プラン」で4000人規模の人員削減を打ち出すなど、経営悪化に直面していました。

 09年6月には、自公政権の関係閣僚が日航の再建策を協議。日航が政投銀などに要請していた2千億円規模の資金のうち計1千億円を同月に調達していました。

 国政協への献金は、融資決定直後の6月30日に行われました。

 当時の金子一義国交相が「しっかり指導・監督していく」と支援を表明して、調達にこぎつけました。

 しかし日航は今年1月に経営破たん。このうち、政府が債務保証した政投銀の焦げ付きのうち、469億円が、国民負担となっています。

 日航は「担当者不在で答えられない」と回答しました。
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経営再建で青息吐息のはずが、半世紀近くにわたって自分たちを食い物にしてきたはずの自民党にしっかり政治献金をしていたというのだから呆れる。自民党に便宜を図る見返りに、瀕死の状態になったら支援してもらうという度し難い癒着の構図だ。こうなると、経営危機という前提条件そのものも怪しくなってくる。当ブログ管理人は当事者ではないが、こんな連中に解雇されてたまるかという思いが募る。

JALには、客室乗務員らの整理解雇以前にやるべきことがある。自分たちを半世紀近くにわたって食い物にしてきた自民党に対し、政治献金の返還請求書を送りつけることだ。

これだけでは仕方ないので、今日は、副操縦士の解雇問題について話をしよう。

あまり知られていないが、航空機の操縦には機種ごとに操縦免許が必要だ(この事実は、テレビ番組「ガイアの夜明け」が取り上げるまで当ブログ管理人も全く知らなかった)。B747とA380では別々の操縦免許が必要だし、同じボーイング社製の機種でも、B747とB777では別の操縦免許が必要となるのである。航空業界で、乗務員のストライキが高い闘争力を持つ背景にはこのような制度があるわけだが、一方で、乗務員にとっては、新型機種が導入されるたびにその機種の操縦免許を受けるため勉強しなければならないという厳しい世界でもある。

そして、ジャンボ機には操縦席が2箇所あり、左右どちらの操縦席からでも同じ操縦ができるという事実もあまり知られていない。原則としては、機長が左、副操縦士は右の操縦席に座ることになっているが、どちらに座っても操縦できる内容が変わるわけではない。航空会社によっては、副操縦士の機長昇格試験を兼ねたフライトでは、副操縦士が機長席に座って操縦を行うことさえあるのだ(実際、1985年に御巣鷹に墜落したJAL123便は、佐々木副操縦士の機長昇格試験を兼ねたフライトであったため、佐々木副操縦士が機長席に座っていた。墜落後、そのことが事故原因であるかのように報道したメディアが一部にあったが、ほとんどの航空専門家は左右どちらの操縦席からも同じ操縦ができることを根拠に、こうした報道を否定している)。

このことは、他の交通機関と異なり、航空機では副操縦士は機長と同じ権限を行使できるとともに、運行上も同じ責任を負い、機長に万一の事態が発生した場合は直ちにその役割を全面的に引き受けなければならないということを意味する。パイロットは風邪薬を服用するだけでも乗務できないし、機長と副操縦士は、飛行中に2人揃って食中毒になる事態を避けるため、フライト前には食事も決して同じものを摂らないという。航空業界では、副操縦士は常に機長と同じ覚悟で乗務し、乗客の安全を直接支えているのだ。

「機長さえしっかりしていれば、少しくらい副操縦士なんて解雇したってかまわない」という考えの方がいるとしたら、そうした考えは直ちに改めてほしいと思う。新型機種が導入されるたび、その機種の操縦免許を受けるため機長と同じように勉強し、いったん乗務すれば機長と同じ権限を行使でき、運行上も同じ責任を負っている副操縦士を大量に解雇することは、直ちに安全崩壊につながる。

くどいようだが、経営危機のさなかに自民党への政治献金などの乱脈を続け、その責任も取らないまま大量解雇を行おうとしている恥知らずの経営陣に、改めて強く警告する。23年前、国鉄で引き起こされた差別解雇は、不完全な形ではあるが司法の場で断罪された。差別解雇をした下手人たちは、尼崎事故による107名死亡の罪で今、法廷に引き出されている。航空労働者はみずからの名誉にかけ、最後まで事故だけは防ぐよう努めるであろうが、君たちがもしこれでも解雇を強行するなら、航空労働者は、全労働者の名において、何十年かかっても君たちへの告発を続けるであろう。

そして、「自分たちの過去の行動なんて、世間は数年もすれば忘れてくれる」と君たちがもし思っているなら、後悔することになると警告しておこう。なにしろ当ブログと安全問題研究会は、25年前、御巣鷹に散った520名(そして、1名に数えられることもなく散った胎児1柱)の無念さえ今も決して忘れていないのだ。

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JAL整理解雇、今後は法廷闘争へ

2010-12-24 23:28:31 | 鉄道・公共交通/交通政策
JAL社員、整理解雇なら復帰求め提訴へ 54人が意向(朝日新聞) - goo ニュース

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 会社更生手続き中の日本航空の一部客室乗務員でつくる「日本航空キャビンクルーユニオン」(CCU)は、会社側が予告通りに31日付で整理解雇をした場合、解雇無効を訴えて職場復帰を求める集団訴訟を起こすことを明らかにした。24日に原告団を結成、1月中旬に提訴する。これまで54人が加わる意向を示し、さらに増える見込みだという。

 副操縦士らでつくる「日本航空乗員組合」(JFU)も集団訴訟を準備中で、28日に原告団を結成予定。組合員以外も含め、30人以上が提訴を決めているという。

 会社側は202人に解雇を通知したが、最終的に100人規模の訴訟に発展する可能性がある。

 CCUは24~25日にストライキを行う方針だったが、直前の23日に回避を決めた。同日の団体交渉で会社側の解雇方針に変化がないことを確認しており、今後は法廷闘争に集中する。
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日本航空の整理解雇問題は、管財人・経営陣が解雇を強行すれば、対象者の2人に1人が加わる集団訴訟に発展する可能性が強まった。JFUの訴訟では、組合員以外にも参加の意向を示している人もいるから、労働組合の組織の違いを超えた全社的な整理解雇への怒りと反発が渦巻いていると見て間違いなさそうだ。

この闘いは、その不当性、経営陣の犯罪性、大規模さ、どれを取っても「第2のJR不採用問題」になる。私たち、すべての働く仲間が彼ら、彼女らをどれだけしっかりと支えられるかがこの闘いの帰趨を決することになる。来るべき2011年をそのための体制構築の年にしなければならない。

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【日本航空整理解雇問題】CCU、土壇場でスト回避へ

2010-12-23 23:46:49 | 鉄道・公共交通/交通政策
24日予定のストを中止=解雇不当、訴訟などで主張へ―日航の一部労組(時事通信)

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 会社更生手続き中の日本航空の一部客室乗務員で構成する労働組合「日本航空キャビンクルーユニオン」(組合員約650人)は23日、同労組の組合員を含む202人を対象とする整理解雇の撤回を求めて24、25の両日に計画していたストライキの中止を決めた。

 ストを決行しても事態の打開につながらないと判断したもよう。会社側は、スト突入でも航空機の運航に支障をきたさないと判断し、整理解雇実施の方針を維持していた。

 同労組は、24日から48時間のストを構え、会社側と交渉していた。日航の航空機は両日とも平常通り運航する。
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日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)が計画していたストが、直前で中止となった。詳細は不明だが、CCUは今後、裁判で整理解雇の不当性を訴えていく模様で、別に怖じ気づいたわけではないようだ(怖じ気づくくらいなら、スト通告など最初からしないだろう)。

ストは憲法で認められた権利で、それを行使するかどうかは労働組合と組合員の判断によるが、少数派組合のストであり、実効性があるかどうかは微妙なところだと思う。裁判闘争のほうが、場合によっては有効な手段かもしれない。

今回の整理解雇は「整理解雇の4要件」をひとつも満たしておらず違法無効といえる。不当労働行為の典型中の典型のような事例であり、純粋な法理論だけ見れば労働組合側は100%完勝できるだろう(これで労働組合側が敗訴するなら、どんな事例が違法解雇になるのかというほど典型的な違法解雇事例である)。

ただ、裁判というのは「正しければ勝つ」といえるほど簡単なものではない。それは、国鉄分割民営化当時の国労組合員らの解雇をめぐる訴訟(JR不採用訴訟)で、その当たり前のことを(しかも、ほんの一部でさえ)認めさせるのに23年間かかったという事実に現れている。したがって、裁判闘争となった場合の見通しについて、当ブログは今のところ何ともいえない。

日本航空の場合、おそらく事態はもっと厳しいだろう。日航が策定した会社更生計画はようやくのところで裁判所に認められたものの、この更生計画が実施できるかどうかわからないし、実施できたとしても再建になるかどうかはもっとわからないからだ。「飛行機さえ飛べばいいのだから、もはや日本航空でなくてもいい」という声が強まれば、会社が整理される可能性もあり得る。

なお、この日本航空の整理解雇問題については、現在、問題の論点を整理した拙稿を月刊誌に寄稿している。早ければ年内にも「原稿アーカイブ」にアップする予定なので、この問題に関心のある方はぜひお読みいただきたい。

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22日未明、父島付近の地震について

2010-12-22 23:41:24 | 気象・地震
地震情報(気象庁)

今日未明、父島付近でM7.4、最大震度4の地震があった。当サイト管理人は、前夜、忘年会だったせいで酔って寝ており、全く気づかなかったが、一時、津波警報も発令されたようだ。

気象庁が記者会見を行い、発震機構(地震のメカニズム)について発表する基準の最大震度5弱以上に達していなかったため、詳細はコメントできないが、M7.4、震源深さ10キロメートルという数字だけ見ると、最大震度がよく4で済んだなぁというのが率直な印象である。震度5弱くらいの揺れがあってもおかしくないくらいの規模だっただけに、4で済んでやれやれといったところだ。

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【尼崎事故】山崎正夫・JR西日本前社長の公判始まる

2010-12-21 23:13:17 | 鉄道・公共交通/安全問題
山崎前社長が無罪主張 尼崎JR脱線初公判(神戸新聞)

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 乗客106人と運転士が死亡した2005年の尼崎JR脱線事故で、業務上過失致死傷罪に問われ在宅起訴されたJR西日本前社長、山崎正夫被告(67)の初公判が21日、神戸地裁(岡田信(まこと)裁判長)で開かれた。山崎被告は「事実と全く異なる」と起訴内容を否認し、無罪を主張した。

 鉄道事故で会社幹部の刑事責任が問われるのは極めて異例。脱線したカーブに自動列車停止装置(ATS)が設置されていなかったことをめぐり、被告が事故を予測できたかどうかが争われる。

 午前10時に開廷。神戸地検は起訴状朗読で約30分かけて、全死傷者599人(地検調べ)の名前を読み上げた。

 罪状認否で山崎被告は被害者に謝罪した上で、「ATS設置の必要性に気付くことができる場面がなかったのか自問自答を重ねたが、当時私の立場で気付くことはできなかった」と予見可能性を明確に否定。「裁判で潔白を明らかにしたい」と述べた。

 続いて検察側が冒頭陳述。「部下から、カーブで速度超過することの危険性について指摘を受けていた」とした。休廷を挟んで午後も続行し、弁護側も冒頭陳述を行う。

 地裁はこれまでに、被告人質問や量刑について意見陳述できる「被害者参加」を、遺族・負傷者51人に認めた。この日は、被害者参加人として検察官の後ろに遺族ら2人が座り、40席用意された優先傍聴席にも遺族・負傷者が並んで審理を見守った。神戸地検は毎回の公判終了後、被害者説明会を開く。

 公判は、来年9月末まで計29回の期日が決まっており、検察側、弁護側合わせて30人の証人尋問が予定されている。

 山崎被告は昨年7月に在宅起訴。起訴状によると、1996年6月~98年6月、安全対策を担当する鉄道本部長だった際、同社が現場カーブを急角度に付け替える工事やダイヤ改正を行い、ATSを設置すれば脱線を防げることを認識していたにもかかわらず、指示しなかったとされる。

 一方、この事故では、地検が不起訴とした井手正敬元会長(75)、南谷昌二郎前会長(69)、垣内剛元社長(66)‐の歴代社長3人について、検察審査会の起訴議決を受け、指定弁護士が今年4月、強制起訴している。

 【尼崎JR脱線事故】 2005年4月25日朝、尼崎市のJR宝塚線塚口‐尼崎駅間のカーブで快速電車が脱線。線路脇のマンションに衝突し、乗客と運転士計107人が死亡、493人が重軽傷(神戸地検調べ)を負った。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委)は、大幅な速度超過が事故の主原因と断定。兵庫県警は08年9月、業務上過失致死傷容疑で、山崎正夫前社長ら計10人を書類送検。井手正敬元会長ら歴代社長3人も告訴されたが地検は09年7月、山崎前社長を業務上過失致死傷罪で在宅起訴した。

 【自動列車停止装置(ATS)】 所定の速度を超えて通過しようとすると自動的にブレーキがかかり、減速・停止させる装置。線路上に設置される「地上子」と列車搭載の「車上子」からなる。宝塚線は2003年9月に設置方針が決まったが、脱線事故時はまだ設置されていなかった。事故現場を含む尼崎‐新三田間は05年6月から稼働。同線全体への設置は09年2月に完了した。
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山崎前社長の公判がついに始まった。予想通り、山崎前社長は無罪を主張して全面的に争う構えのようだ。

もちろん、裁判で無罪を主張する権利は誰にもあるから、当ブログはその権利を否定するものではない。しかし、これだけ多くの乗客が犠牲になりながら、誰ひとり罪を問われることがないなんて不条理が許されていいはずがない。

この裁判は、公共交通を初め、製品の安全、食の安全などあらゆる立場で安全を仕事にしている人たちが注視している。裁判はまだ緒に就いたばかりだが、来年春から始まる予定の歴代3社長の裁判に少しでもよい影響を与えるものにするとともに、事故の再発防止につなげていかなければならない。

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