ニコンF4S ズームニッコールED 50~300mmF4.5S
歴代ニコンフィルム一眼レフのフラッグシップの中で、もっともマニュアルフォーカスレンズに相性が良いといわれるF4です。
オートフォーカス機なのにマニュアルレンズのほうが使い勝手が良いといわれるのも妙な話ですが、Aisレンズでもマルチパターンで
測光できるのはAF機ではF4だけなんですね。AFスピードはもちろん継機のF5やF6にはかないませんが。
F4発売時私はちょうどカメラ屋さんで働いていました。当時は「ついにプロ用ヒトケタにも本格AF機登場!」ということで
お祭りさわぎでした。最初のころはモノがなく、ステイタス性に希少性も加わってまさに日本一の光を放っていました。
製造はF4Sが優先したのか、ノーマルのF4が待っても待っても入荷せずF4をあきらめてF4Sを買っていったお客さん。
特典のペーパークラフトに大喜びしていたおじいさん。知らないうちにグリップの形状が変わっていてお客さんに
「おたくの展示品は旧型だね~。」と笑われたこと。純正の速写?ケースがあまりにも巨大でマクラみたいだったこと。
○クザの若い衆が泣きそうな顔で「キズがついとるやないかい!どないしてくれるんじゃ!」と怒鳴り込んできて、
よくよくみるとパワースイッチに1ミリぐらいのスリキズがあり、「ああ、これですか」「これですかやあるかいや!」
「購入いただいて間なしなので交換しますよ」と言うと「お、おう。そうしてくれ」と心底ほっとした表情になったこと。
親分さんのカメラに誤ってキズでもつけてしまったのでしょうか(^^)?
まさしくあんなことこんなことあったでしょう♪なカメラでした。ただ、ニコンのヒトケタ機は当時は値段も値段なので
ぜんぜん萌えず、「大きくて重くてたいしたものじゃわい」という感想しかありませんでした。
ところが先日いつものジャンクめぐりをしていたところ、「ジャンク不動580円」で棚にでていたのです!。
「このF4みせてくださいっ」
「あ~、こちら動かないんですよね」
さわらせてもらうと25000番台の中期以降のシリアルで、梨地 の艶消し塗装もしっかり残っています。
ファインダーにはアイカップもついていてそれだけでも元はとれるとふみました(^^)。
裏蓋を開けてもフィルム圧板にスレもなく前オーナーはアマチュアユーザーに間違いなさそうです。
念のために、においもかいでみましたが潮っぽくもなく、水没品でもなさそうです。
「動かないけど良いですか?」
「良いです良いです。こんなのが好きなので♪」
店員さんの「こいつはなんでこんなものを買うんじゃろう?」のまなざしを感じつつ
るんるんでカメラ屋さんをあとにしました。
家に帰ってもしやと思って電池を入れてみましたが・・・もちろん動きません。
F4Sは電池の入れ方が難しいのでもしや店員さんがどんくさくて電池を入れそこなっただけでは?
と期待したのですが大アマだったようです(^^;)。
こんなときにはニコンの修理エキスパートであるキートスさんにおすがりするしかありません。
さっそく送ってみてもらいました。二週間ほどしてキートスさんから見積もりの値段の電話です。
「え~おそくなってすいません。なんとかメドがついたのですが・・・」
「はいい。」
「巻き上げのパワートランジスターという部品を交換しますので・・あとオーバーホールしますので」
「じぇじぇ~。そんなにかかりますか!」
「部品代がけっこうしますので」
「これも縁ですから修理お願いします!」
「そ、そうですか。それではとりかからせていただきます」
キートスさんは見積もりを出した時点で拒否られると思っていらしたようですが、カメラおたくを標榜する私としては
「修理不能」ならともかく、せっかくメーカーでさえメンテナンスを放棄したF4がオーバーホールしてもらえるのですから
こんな素晴らしいことはありません。なにしろ20年落ちの超電子カメラなのですから(^^)神様仏様キートス様ですね。
値段は圧倒的にFのときよりも高かったですけれど(^^;)。
ニコンF4S ズームニッコールED 50~300mmF4.5S 1/250 開放 ベルビア100
走っているフネが撮りたくてズームレンズにお世話になる機会が増えてきてしまいました。
単焦点派の私はどうしても歪曲が気になったりもするのですが、50mm~300mmのズームながら
どの焦点距離でも開放値F4.5固定というのはマニュアルで撮影する私には嬉しいスペックです。
またいかにも「EDニッコール!」という解像感あふれる描写は鉄でできたフネの質感描写にはピッタリです。
などといいつつフネ待ちのヒマな時間にクラゲさんなど撮ってしまいました(^^)。
アカクラゲらしいのですがけっこう能動的に泳いでいます。こんなのに海水浴中に追いかけられたら
間違いなくパニックですね。
なかなかに素晴らしいレンズですが、1,950gという重量や2.5mという最短撮影距離は
普段使いには無理があります。さらに50mm~100mmぐらいの間ではファインダーでピントが
全部合っているように見えるのに、F4のフォーカスエイドの合焦シグナルがピコピコ点いたり消えたりして
あまり精神衛生上良くありません。やはりこのレンズは無限大で使う海が好きレンズになりそうです(^^;)。
F2以降のニコンは高度なメカニズムを進化させ,少し使うだけで下級機とは段違いの感触が心地よいのですが,電子部分が修理不能の原因になって刹那的な価格に陥っていますね.
F4の価格は目を覆わんばかり.F5でも2万くらいからありますし.
当家のF4はやはりF4sを中古で求め,後でF4仕様のグリップを追加したものです.もうそんなに多数,そんなに高速で撮影しなくなってしまいましたので...
底蓋部分のプラスチックに割れがあり,半ばジャンクのような個体でした.
ファインダーが見やすくシャッターのタイムラグも一桁機ならではの素晴らしさ,静粛即座に次のコマが準備され,F3にMD4つけるより快適な,まさにAiニッコールのためにあるマシンですね.
当家ではF3AF用の2本を活用(といってもほとんどMFで使いますが)するボディでもありますです.
50-300EDって,当時は高級の中の高級で,何に使ったら良いのか思い浮かばないほどでしたが,
岸から三脚で狙うなら180-600EDと素晴らしい組になりますね!
被写体がスポーツか船など乗り物かの違いは有れ撮影方法は本来の想定通りという気がします.
クラゲの画像は大変すっきりしていて水が介在するのを忘れそう.
最近は機械補正の複雑な動きで同程度のスペックでも小型軽量になっていますが,
50-300は多分シネ用ズームと同じような光学補正,素直で頑丈,長持ちするのではないでしょうか.
lensmaniaさま
いつもコメントありがとうございます。F4は全盛期を知っているだけにあまりにあわれになってオーバーホールして
しまいました(^^;)。Aiマニュアルフォーカスで使うぶんにはF5よりもファインダーも大きくて楽しいです。インターフェイスをアナログにしたのがかえって電装系の耐久性を
短くしてしまったのでしょうか・・・。まさにキートスさんさまさまです。
50-300は歪曲はけっこうあるもののヌケの良さと
EDらしい解像度ですっかり重宝しております。
今のレンズのように可変F値ならもっと小型化できるんでしょうけど必然的に三脚を持参するので結果ブレの少ない写真になるという利点があります。疲労度は2倍になってしまいますが(^^)ゞ。
小生、父が薩摩人で自分も一時鹿児島にいました。
よかよかは耳に心地よくひびきます。
先日、念願のというか単に衝動散財でED50-300/4.5を手に入れました。
この記事へもう一度来てみましたら、よかよかさんの番号が190031でドキッとしました。
ご売却になったのを偶々小生が手に入れたのかと思ったのですが見直したら小生のは190013でした。(笑)
某サイトのNikonの番号リストによりますと、確認した最終番号が189935となっていますので、我々のが大きく、よかよかさんのは最終に近いものかと思われます。
(ま・・どうでもいいことかもしれませんが、コレクターの方には関心事と思います。)
よかよかさんの、カメラへの愛情深い独特の語りが素敵です。
お互いに健康で写真を撮り続けましょう。
ありがとうございました。
初めまして。コメントありがとうございます。自分は両親がネイティブのクマモンでして、ついよかよかとばってんが出てしまうような次第です(^^)ゞ。ちなみに動物園と同じ名前です。
ニコンにはいかにもプレス用といったレンズが多いですね。この50~300は歪曲の見本みたいなレンズなので最近はあまり持ち出しておりません(^^;)。
なんとか月イチで更新していく所存ですのでこれからもよろしくご笑覧くださいませ。