学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

盛岡

2007-09-16 21:37:06 | Weblog
果たして盛岡は雨でした。午前中に大分雨が降ったようで、北上川も茶黒く濁り、水量も平常よりも高いようです。盛岡駅から東へ歩くと北上川にかかる開運橋があり、そこを渡ると、盛岡城跡にたどりつきます。私はしとしととまだ雨が降るなか、独り盛岡城を目指して歩きました。

私は、6年ぶりに盛岡を訪ねました。あの頃は、街全体に何だか活気が無くて、随分淋しい気がしましたが、今はなかなかどうして活気のある街になったではありませんか。雨にも関わらず、往来を沢山の人が行き来し、それに伴って、商店街も大変に賑やかなのです。私は色々な街を歩きましたが、かつての華やかし商店街はシャッター通りと化し、「今は昔」の様相を呈していました。盛岡にも、少なからず、そうした印象がありましたので、街の賑わいにはたぶんに驚かされました。

盛岡城三の丸から上がり、城跡を歩いていきます。秋の夕暮れ時、しかも雨の古城ほど、寂しいものはないでしょう。私は中の丸を通り、二の丸へ向かいました。ところどころの水溜りをうまく越えて行きながら。二の丸には、石川啄木の歌碑が建てられています。「不来方(こずかた)のお城の草に寝ころびて 空に吸はれし 十五の心」。かつて学生だった啄木は、授業を抜け出して、ここ二の丸で文学書や哲学書に読みふけっていたそうです。かつてここから岩手山も窺えたとのことですが、今はすっかりビルに囲まれてその姿を見ることはできません。そんな些細なことからも、私は時の流れを感じてしまうのです。

雨が降る盛岡城の散策は、こうして終わりました。散策と申しましても、やはり雨が降っていたために、あまり身動きがとれず、一見して来た程度です。盛岡城へ来た理由は、何も歴史のなかに浸るだけではなく、とある目的があったためであります。それは、ある数枚の古写真に関係するのですが、また明日に御紹介することに致しましょう。